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2011年02月04日

実質ナンバーワン雑誌の「People」、サイトも月間10億ページビューでナンバーワンに

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 People誌のサイトが2011年1月の月間ページビューで10億を突破した。これはOmnitureの調査データであるが、単独の雑誌サイトで月間10億ページを超えたのは初めてであろう。 

PeopleSite.jpg


 People誌はTime社が発行する米国の代表的なセレブ誌である。米国の雑誌業界が低迷しているなかで、Peopleの2010年の広告売上高は約10億ドル(800億円相当)に達した。売上高で米国ナンバーワンのコンシューマ誌となっている。日本の全雑誌の広告費(2009年が約3000億円)の4分の1以上を1誌で稼いでいることになる。

 米国の雑誌は一般に広告売上げに大きく依存しており、そのため広告主に示す保証部数を増やすのに注力する。同誌の有料発行部数(2010年上半期)は355万部で、米国雑誌の部数ランキングで11位となっている。また、ニューススタンドなどでの一部売り部数は129万部と、Cosmopolitan誌についで2位にランクされている。

*2010年上半期の発行部数(ソース:The Association of Magazine Media)
People2010FH.jpg
総発行部数=定期購読数+ニュースタンドなどでの一部売り部数

  
 このようにPeopleは紙(プリントメディア)の雑誌としてトップクラスにあっても、オンライン/デジタル版にも力を入れてきている。雑誌サイトでは、充実したセレブのデータベースをベースに、偏執ともいえる過度の追っかけ記事を売り物にしているが、 StyleWatch channel, moms and babies channel, games channel, video channel...などのバーティカルチャンネルも充実させようとしている。またFacebookやTwitterによる読者とのコミュニティーも盛り上げている。Facebookのファンサイトのファン数が約100万人、Twitterのフォロワー数が約230万人と、ソーシャルメディアとの連携でもPeopleサイトは米雑誌のなかでトップクラスと言える。そして、今年1月に月間ページビューが10億ページに到達したのだ。

・Facebook(http://www.facebook.com/peoplemag):ファン数=96万7741人
・Twitter(http://twitter.com/peoplemag):フォロワー数=232万3859人

 参考までに、雑誌ブランドのTwitterアカウントのフォロワー数ランキングを以下に掲げる。ここでもPeopleがトップを走っている。

MagTwitter201101.jpg
(ソース:Folio)

 Peopleのサイトは、単なる雑誌の支援サイトではなくて、Peopleブランドを活用した収益サイトとなってきている。2010年のサイトのオンライン広告売上高は、People全体の広告売上高の12%であった。月間10億ページビューも確保しながら、わずか12%ではまだまだと思われるかもしれない。しかし、決して少なくない。Peopleの年間広告売上高は10億ドルと巨大である。その12%でも1億2000万ドル(約100億円)になる。

◇参考
・People.com Gets 1 Billion Page Views, a First for People and Likely for Magazines(AdAge)
・Four Ways to Get Your Magazine Site 1 Billion Page Views(AdAge)
・The Most-Followed Magazines on Twitter(Folio)



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posted by 田中善一郎 at 00:26 | Comment(0) | TrackBack(0) | 出版 雑誌
2011年01月23日

米国の電子書籍市場、上昇気流に乗る

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 電子書籍が上昇気流に乗り始めた。あくまで米国市場での話だが・・・。

 米出版協会(AAP:Association of American Publishers)によると、2010年1月〜11月の電子書籍売上高(厳密には、2010年大手出版社14社の電子書籍卸出荷額)は3億8670億円ドルに達し、12月分も加えた年間の電子書籍売上は4億5000万ドル近くまで上乗せできそうだ。以下のグラフでも明らかなように、2010年は電子書籍が本格離陸した年といえそう。電子書籍売上が全書籍売上の10%近くまで占めるようになってきている。

EBook2010US.jpg
(2010年は予測値。)


 米国の電子書籍市場の立ち上げを牽引してきたのは、やっぱりアマゾンのeリーダーKindleである。Kindleの初出荷は2007年11月19日であったが、一般の書籍ユーザーにも広く普及し始めたの2010年からでなかろうか。2010年の販売台数は710万台と、The San Francisco Chronicleは見ている。また今年には少なくとも1230万台のKindleを売ると推測している。アマゾンでのKindle関連売上高(eリーダー売上+電子出版売上)は、今年が33億ドル(アマゾンの全売上高の8%)で、2013年が70億ドル(アマゾンの全売上高の11%)に増えていくという。

 ただし、電子書籍市場がいつまでもアマゾンの独壇場であるとは限らない。昨年からeリーダーが続々と誕生しているし、電子出版を販売するサイトも増えてきている。米国では、ベストセラーを始めとして電子書籍の品ぞろえが充実し、しかもたいてい紙の書籍よりもかなり安く購入できるという環境が整っているので、ユーザーにとっての電子書籍のありがたさがわかりやすい。アマゾンの書店では、ベストセラー(トップ10)の書籍の売上数で、電子書籍版が紙の書籍の倍以上となってきたというのも、うなずける。

◇参考
・Amazon Expected To Sell 12 Million Kindles In 2011(eBOOK Newser)
・E-book Sales Rise Nearly 130% in November(Publishers Weekly)
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posted by 田中善一郎 at 23:47 | Comment(0) | TrackBack(0) | 出版 雑誌
2011年01月06日

電子雑誌の出現で海外誌の価格破壊が起こるのか

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 高価であった海外雑誌が、電子版の出現でかなり安く読めるようになるかもしれない。既に一部の海外誌で価格破壊が起こりつつある。

 英国の科学誌「NewScientist」を日本で購読しようとすると、ある国内のオンライン書店では購入価格が1冊1869円もかかる。年間の定期購読にしても9万円以上(1冊あたりは同じ1869円)と高価である。ところが先月オープンになったZinioのサイトで「NewScientist」の電子版を購入すれば、1冊が483円で購入できる。年間購読にすると5842円(1冊あたり115円)と猛烈に安くなる。先の紙の雑誌に比べると16分の1以下の年間購読料だ。その上、紙の雑誌の場合は海外からの配送のため、状況が悪いと発売日から20日も後に届く場合もあるのに、電子版だと発売と同時に入手できる。

ZinioNewScientist.jpg

 紙の海外誌が高価になる最大の要因は、海外からの郵送料がかかるからである。電子版になれば配送料は事実上無料で済む。さらに造本費(紙代、印刷代、製本代など)もかからない。また、特に米国では通常、定期購読にするとと大幅に割り引いてもらえる。ニューススタンドの一部売り価格に比べて、年間購読だと80%くらいの割り引きも珍しくない。でも定期購読の大幅割引の恩恵を日本の読者が、これまでの紙の雑誌ではあまり享受できなかった。毎号の郵送料がかかっていたからである。だが電子版になると郵送料が不要なため、日本の読者にも大幅割引の定期購読サービスが受けられるはず。「NewScientist」の年間購読料が、紙の雑誌の9万7188円から電子版になると5842円と激安になるのは、決して不思議ではないのだ。

 Zinioサイト(Zinioの日本語サイト)では、同じような価格破壊を示す海外雑誌が出始めている。たとえば、「Popular Science」は、紙の雑誌を某オンライン書店で年間購読すると1万5360円であるが、Zinioの電子版(デジタル版)で年間購読すると1619円になる。また「Smithonian」の年間購読料も、紙の雑誌の9590円がZinioの電子版になるとわずか974円で済む。ところが昨日、某オンライン書店では「Smithonian」の販売を突然止めてしまっていた。

 もう海外誌も電子版が出てくれば、紙の海外誌を日本で販売することは成立しなくなるかもしれない。ただ、価格破壊があまりにも強烈なので、どのような価格体系に変えていくかを注目したい。このためか日本のZinioサイトも、影響力の大きい一部海外誌の電子版販売を手控えているのでは。例えば、英「The Economist」の年間購読料は米国のZinioサイトで電子版(51冊)が126.99ドルとなっているが、日本のZinioサイトではまだ販売していない。日本で年間購読料3万4500円で販売している紙の「The Economist」へ配慮しているためであろうか。だが、同じビジネス誌である「Bloomberg Businessweek」は、米国での年間購読料(51冊分)が46ドルに対し、日本のZinioサイトで3733円と米国内並みの格安価格を実現している。 

BusinessweekZinio.jpg

 雑誌・書籍のデジタルコンテンツ配信サービス『Zinio』の日本サイトは12月にオープンしたばかり。同サイトで購入した電子雑誌は、PCやMac、iPadなどで閲覧できる。アンドロイド端末にも対応していく予定である。Zinioの電子雑誌は紙媒体のレプリカである。それをZinioリーダーソフトでペラペラめくりしながら閲覧することになる。

 米国の有力雑誌が相次いでiPadアプリの形での電子雑誌をAppleの配信サイトで発売し始めている。だが、米国の出版社が目指している電子雑誌は、必ずしも紙媒体のレプリカではない。それよりも、紙媒体を超えた電子版ならではの新しい雑誌に挑んでいる。読者もそれを期待している。ところが問題になっているのが、定期購読の進め方である。出版社とAppleの間で激しい綱引きが繰り広げられている。このため現在は、電子雑誌は1冊単位でしか売られていない。格安な定期購読がまだAppleの配信サイトでは始まっていないのだ。

 いずれ有力雑誌の電子版も、Appleのサイトなどで格安な定期購読料で売られることになるだろう。その時、Zinioのように米国とほぼ同じ格安の定期購読料を日本でも実現できるかどうか。一波乱が・・・。

◇参考
・ジニオ、日本で世界各国の雑誌のデジタル配信サービスを開始(プレスリリース)

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posted by 田中善一郎 at 11:32 | Comment(0) | TrackBack(0) | 出版 雑誌
2011年01月05日

新聞離れに次いでTV離れが加速化、若者は完全にインターネット依存に

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 米消費者が利用する主要ニュースメディアとして、新聞離れとテレビ離れが進み、それに代わってインターネットシフトへ。この流れは10年近く続いており、2009年に少し小休止に入ったものの、昨年(2010年)から再び加速化し始めている。

 国内および国際ニュースを得るための主要メディアは何か。米Pew(the Pew Research Center for the People & the Press)が毎年実施している調査結果が新年に公表されたので、まずその結果を見てみよう。調査は2010年12月1日〜5日に実施。無作為に選んだ18歳以上の米国在住の大人1500人を対象に電話聞き取りを行った。1500人のうち500人は携帯電話での聞き取りであった。最初のグラフでは、調査対象者に主に利用するニュースメディアを最大二つまで答えさせている。過去10年間の推移が示されている。

NewsMediaPew2010a.jpg

 目に付くのは、ニュースソースとしてインターネットに依存する人が41%と、一昨年(09年)の35%から大きく跳ね上がったこと。2007年の24%から比べると17ポイントもアップしたことになる。一方テレビは2010年は66%と、09年の70%から4ポイントもダウンしている。また、新聞はこの03年から一貫して下げ続けおり、下げ止まることはなさそう。さらに今年から、スマートフォンやタブレット端末に向けてのニュース配信が本格化し、動画ニュースも充実してきている。ニュースソースとして、新聞離れだけではなくて、テレビ離れも一気に進むのは避けられそうもない。

 その前兆は、次の年齢層別のグラフからも明らかに読み取れる。18-29歳の若年層、いわゆるデジタルネイティブ層では、インターネット利用がテレビ利用をついに追い抜いた。新聞(紙)は相手にされなくなっている。この傾向が2010年に入って、30-49歳層や50-64歳層にもはっきりと現れていることだ。また驚くことは、働き盛りの30-49歳層において、デジタルネイティブ層と同じように、新聞紙離れが急速に進んでいることだ。2010年にはインターネットで主にニュースを取得している割合が48%と増えたのに対し、新聞に頼る人が22%と落ち込んでいる。 

NewsMediaPew2010b.jpg

 高学歴で高所得者層が主にどのニュースメディアに接触しているかは、社会的影響力や広告メディアの観点からも興味深い。やはりというか、高学歴、高所得者層でも新聞離れが進んいた。さらに今年中にテレビ利用がインターネット利用に追い抜かれるのは間違いなさそう。

NewsMediaPew2010c.jpg



◇参考
・Internet Gains on Television as Public's Main News Source(Pew、Survey Reports)
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posted by 田中善一郎 at 13:24 | Comment(7) | TrackBack(0) | 出版 雑誌
2010年12月11日

ウィキリークスの内部暴露本が1月に発行、離反した元リーダー格が執筆

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WikileaksInside.jpg

 Wikileaks(ウィキリークス)自身も内部告発に怯える?
 
 英Guardianのサイト(guardian.co.uk)によると、来年1月27日にドイツの出版社Econ VerlagがWikileaksの内部暴露本「Inside WikiLeaks」を発行する。

 執筆者のDaniel Domscheit-Berg氏は,創立者Julian Assange氏に次いでWikileaks内でナンバー2の地位に就いていた人物で、スポークスマンも務めていた。同氏は今年の9月に3年間居たWikileaksを辞めた。離反した理由は、Julian Assange氏に権限が集中しWikileaksの運営に透明性が欠けてきたからという。Domscheit-Berg氏は、Wikileaksのライバルサイトの立ち上げを準備中のようだ(こちらを参照)。

 この新刊書は内部告発サイトの心臓部に潜入した暴露本で、これまで知られなかった事実が明らかになると、出版社のEcon Verlagは売りこむ。1月27日の発行本はドイツ語版であるが、その後すぐに英語版が出るとのことだ。どこの日本の出版社が翻訳権を取得するのかな(したのかな)。


◇参考
・Insider to publish tell-all Wikileaks memoir(Guardian)
・Former WikiLeaks Employee to Publish Tell-All Book(AOL.news)
・WikiLeaks Faces New Competition(WSJ.com)
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posted by 田中善一郎 at 12:38 | Comment(0) | TrackBack(0) | 出版 雑誌
2010年11月25日

回復する雑誌と失速したままの雑誌、米国で明暗がくっきり

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 米国の雑誌業界は一昨年から昨年にかけて休刊が相次いだ。広告売上げに大きく依存する米国の雑誌が、不況による大幅な広告収入減に見舞われたからである。それに構造的なプリントメディアの衰退も重なって、今後も紙の雑誌がズルズルと落ち込んでしまうのではとの悲観的な見方が広まっていた。

 ところが今年に入って、明るい話が増えてきた。広告市場も落ちるべきところまで落ち込んでしまったし、景気も底を打ったこともあってか、雑誌の広告売上がリバウンドしてきたのだ。今年第3四半期の米雑誌の広告売上げは前年同期比で5.3%増と、今年第2四半期に続いてプラス成長に入った。また一昨日、minが発表した米月刊誌の今年の広告ページ数からも、多くの雑誌が回復軌道に乗っていることが読み取れる。

 以下は、今年(1月-12月)に広告ページ数を増やした米月刊誌のトップ10である。トップのファッション誌「Vogue」は、昨年に比べ今年、319ページも増やしている。昨年(2009年)は150誌の中で10誌しか広告ページ数を増やしていなかったが、今年(2010年)は149誌中99誌もが広告ページ数を増やした。

Top10Mag2010.jpg


先月上旬にAdvertising Ageが、恒例のMagazines A-Listを発表していた。以下は、AdAgeが選んだ今年の優れた雑誌トップ10である。

1.People StyleWatch
2.The Atlantic
3.All You
4.Cooking Light
5.Food Network Magazine
6.Parenting
7.Harper's Bazaar
8.Elle Decor
9.Vice
10.Wired

 Viceを除く9誌の、今年および昨年第3四半期の広告売上高と広告ページ数を以下に掲げておく。いずれも広告売上/ページ数が急速に回復している。

MagListA2010AdQ3.jpg
(ソース:MPA(The Association of Magazine Media)


 ついでに、米国の代表的な雑誌が、今年第3四半期の広告売上高を前年同期に比べてどれくらい増減させているかを調べてみた。以下のように20〜30%前後、広告売上を増やしている勝ち組雑誌が目立つのに対し、いまだに10%前後のマイナス成長で負け続けている雑誌も少なくない。表では載せなかったが、Newsweek、Time、Business Week、Fortuneなどの日本でもお馴染みの雑誌も、広告売上を減らし続けている。

MagAdUpDown2010Q3.jpg
(ソース:MPA(The Association of Magazine Media)


◇参考
・People StyleWatch Is Ad Age's Magazine of the Year(AdAge)
・Auto rebound fuels mag ad page jump(NYPost.com)
・Top 10 Monthly Mags of 2010: Print Back in 'Vogue'(minonline)

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posted by 田中善一郎 at 23:58 | Comment(0) | TrackBack(0) | 出版 雑誌
2010年11月23日

eリーダーが100ドル割れに、米国の年末商戦で値下げ競争

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 ついにeReader(電子書籍端末)の価格も100ドル割れに突入してきた。今週金曜日(26日)は米国の年末商戦が始まるBlack Fridayである。それに合せて、BestBuyは the Barnes & Noble Nookを99ドルで、Wal-MartはSony PRS-300 を99ドル で売り出す。通常の小売価格は、 Nookが149ドルで PRS-300 が129ドルである。子供向けのギフト商戦の目玉の一つになりそう。

 さっそく、BestBuyのサイトを覗いてみた。

eReaderBestBuy201125.jpg


 そこでeReader市場で先行しているアマゾンのKindleはどうでるか。でも今さら、139ドルで売っているKindleをBlack Friday向けに急に値引くするのは難しそうだし。でも、FacebookのファンページやTwitterの特設アカウントでサプライズ価格をいち早く知らせてくれるかも。ということで、AmazonのBlack Friday Deals Weekにアクセスすると、次のような案内が。

AmazonKindle201011.jpg

 Likeボタンを押してAmazonのファンになれば、毎日一台当たる抽選でKindleがもらえるかも。あまりサプライズ情報ではないのだが・・・。

◇参考
・BestBuy And Wal-Mart To Drop eReader Prices Black Friday(mediabistro.com)
・Best eReader to Buy for Kids in the Black Friday Shopping Deals(suite101.com)
・Amazon’s “Black Friday” deals announced!(Me and My Kindle)
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posted by 田中善一郎 at 11:16 | Comment(0) | TrackBack(0) | 出版 雑誌
2010年11月14日

旧メディア「Newsweek」と新メディア「The Daily Beast」が合体、新メディア主導で展開か

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 オールドメディアとニューメディアの結婚。先週末は、伝統のニュースメディア雑誌「Newsweek」と創刊2年の新興ニュースサイト「The Daily Beast」との対等合併が発表され、米メディア界が盛り上がった。

 ここでも触れたように、2ヶ月少し前からNewsweekとThe Daily Beastとの連携話が進められていたが、あまりにも新旧の文化(編集など)の違いが大きいため破談したと伝えられていた。ところが先週後半から合併話が漏れ始め、12日に正式に、Newsweek誌の全てのビジネスとThe Daily Beastのデジタル資産を合体させた50/50の共同ベンチャー「The Newsweek Daily Beast Company」の立ち上げが発表された。

 67年の歴史を誇る老舗のニュース誌が、誕生して2年そこそこの新興Webサイトと50%/50%との対等合併するとは、少し驚きである。だが実態はそれどころではなさそうである。The Daily BeastのTina Brown編集長が発行部数200万部強のNewsweek誌の編集長も兼任することになった。また、Webサイトは月間ユニークビジター数を500万人擁するThe Daily Beastを中心に展開し、Newsweekのサイトは店じまいするようだ。売却され青息吐息の状態のNewsweek誌と、これから飛躍していこうとする新興のThe Daily Beastでは勢いが違いすぎる。新ベンチャーはThe Daily Beast主導で展開することになるのだろう。

DailyBeast20101114.jpg

 新ベンチャーの看板は、やはりTina Brown編集長である。Vanity FairやThe New Yorkerなどの有力雑誌の編集長を勤め、プリントメディアの頂点を極めた彼女は、プリントメディアを捨て去りネットメディアに転身したはずなのだが。プリントのNewsweekをどう立て直していくのか注目したい。
 

◇参考
・50/50 Joint Venture will Merge all Newsweek Businesses and The Daily Beast’s Digital Assets; Tina Brown to Serve as Editor-in-Chief(The Daily Beast)
・わずか1ドルで売却されたNewsweek誌、新興ニュースサイト「Daily Beast」と連携か(メディア・パブ)
・Newsweek Site to Shut Down(Mediaweek)
・Newsweek and Daily Beast Have a Deal(NYTimes.com)

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posted by 田中善一郎 at 22:14 | Comment(0) | TrackBack(0) | 出版 雑誌
2010年11月09日

発行部数が100万部を超えるニュース雑誌も休刊へ

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  ブログ「Magazine Death Pool」も伝えているように、ニュース系週刊誌「U.S. News & World Report」が休刊することになった。

  TimeとNewsweekと共に米国の3大ニュース雑誌と呼ばれていたU.S.Newsが消え去る。ただしオンライン版は継続させる。米国のニュース雑誌は、インターネットメディアの出現により、以下のグラフのように発行部数を減らしてきていた。

●米国の3大ニュース雑誌の発行部数の推移(1988年〜2009年)
newsMag19882009.jpg

 1988年当時、3誌の発行部数は、
Time:471万5000部
Newsweek:331万2000部
U.S.News:233万2000部
であった。

 それ以降減り続け、2009年にはTimeが335万部、Newsweekが232万部、U.S.Newsが127万部に落ち込んだ。広告売上げに大きく依存する米国の雑誌にとって、大幅な部数減は致命的になる。2009年の発行部数が前年比でマイナス14.8%と減ったNewsweekはわずか1ドルで売却されてしまったし、同じくマイナス26.3%も激減したU.S. News & World Reportは紙の姿を見ることができなくなったのだ。


◇参考
・US News & World Report to cease printing magazine(NY Post)

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2010年11月04日

Life誌の写真がiPadアプリでよみがえる

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LifeforiPad.jpg

 「Life」誌の写真がiPadで見ることができる。

 1936年に創刊し、今や廃刊してしまった写真誌「Life」誌。20世紀の世界の重要な出来事や人物の写真が同誌のアーカイブにはたっぷり蓄えられている。そうした写真が、21世紀の高解像度のビューアー装置で見ることができるようになったのだ。

 LIFE for iPad By Time Inc.は、“never-before-seen resolution”の 写真を無料で提供してくれる。廃刊した写真誌で提供していた写真も、21世紀の技術のお陰でより高解像度の美しい形で楽しめるのである。

 Lifeのサイトにアクセスすればわかるのだが、廃刊後も同誌の膨大な写真コレクションが閲覧できるようになっている。そして、サイト内のLife Storeでその写真を販売している。過去の写真だけではなくて、昨日の中間選挙の写真が掲載されているように、現在の写真も付け加えている。

LIFE20101103.jpg

 そこで、iPadアプリの「LIFE for iPad」をダウンロードして、試してみた。国別や検索で所望の写真を探せるし、また、Editor's Picks, Most Popular, News, Celebrity, Sports, Travel ,Animalsのカテゴリー別からも探せる。暇つぶしに格好のアプリである。

 例として、ニュース・カテゴリーの中のページを貼り付けておく。言うまでもないことだが、この中の特定の写真をクリックすれば、iPadのフル画面で見ることができる。 また各写真は、TwitterやFacebook、E-Mailで共有できるようになっている。

LifeiPadGalleries.jpg


◇参考
・Life Magazine offers photo archive in a new iPad app(Poynter Online)
・Life Magazine photos now in high resolution in new iPad app(APPS)
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2010年10月31日

Newsweek誌のiPadアプリ、安価な定期購読を提供

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 厳しい状況が続くニュース週刊誌の「Newsweek」。売却された後も泥沼から抜け出せないでいるが、ワラをもつかむ気持ちで期待しているのが電子雑誌。そこで電子雑誌の一部売りをiPadアプリで提供していたが、先週から定期購読のiPadアプリも始めた。

 これまで、雑誌社が既存雑誌(紙)の電子版をiPadアプリで提供する場合、AppStoreでの一部売りが前提になっていた。Appleは電子雑誌の課金を含む販売代理すべてをAppStoreで実施すことになっている。雑誌社からすれば、定期購読までAppleの管理下に置かれることを非常に嫌っていた。米国の多くの雑誌は、一部売りよりも定期購読に頼っており、定期購読者の個人情報は手元に置きたいからだ。

 Newsweek誌の場合、2009年の有料購読部数が前年比14.85減の232万部と落ち込んだが、それでも定期購読部数が225万部もあった。一方のニューススタンドで一部売りされる部数は、わずか6万4000部であった。以下のように、定期購読の場合の一号あたりの価格は、ニューススタンドの一部売り価格の数分の一以下である。読者は年間購読料として40ドル程度払っておれば、毎週、郵便受けに最新号が送られてくる。一号あたり約70セント(60円以下)である。多くの読者が、定期購読になびくのは当然かも。雑誌経営も、200万人以上の安定した定期読者向けの広告収入に頼っていた。 

*Amazon書店におけるNewsweek誌(紙)の価格
NewsweekPrice.jpg

 ところで、一号売りするiPadアプリの販売は、いわばニューススタンドのデジタル版のようなもの。iPadアプリの販売価格も2.99ドルと、リアルのニュースタンドでの雑誌とほぼ同じ価格設定にしている。これではiPadアプリを買ってくれるのは、ニューススタンドで雑誌を購入する代わりとしてか。紙の雑誌を定期購読している読者にすれば、2.99ドルは高すぎる。このままでは、iPadアプリの売上部数を増やすのはかなり難しそう。

 そこで、定期購読による割引販売を始めた。12週間(12号分)の定期購読料を9.99ドルに、また24週間(24号分)の定期購読料を14.99ドルに設定したのだ。Appleの購入システムを使って、読者はiPadアプリの定期購読ができるようになる。特に半年(24週間)の定期購読なら、1号あたりの価格が0.7ドルを切る。それに、ニューススタンドに紙の雑誌が現れるほぼ2日前に、同じ号の電子雑誌(iPadアプリ)がダウンロードして得られるだろう。定期購読で配送される紙の雑誌よりも、同じように早く電子雑誌が入手できるはず。これなら、読者は歓迎する。

*AppleのAppStoreにおけるNewsweekのiPadアプリの価格
NewsweekiPad.jpg

 ここで日本から定期購読しようとアクセスしてみたら、次のような画面が出てきた。12週間の定期購読料が1200円に、また24週間の定期購読料が1700円と、米国のドル価格よりも割高になっていた。それでも24週間購読を申し込めば、一号あたり約70円と安い。日本の某オンライン書店では、紙のNewsweek誌(英語版)を定期購読しても、6ヶ月間購読で1冊(一号)あたり380円、年間購読で352円、さらに3年間購読でも288円となる。さらに配送に時間がかかる。

NewsweekSubscription20101031.jpg

 このような料金の安さが実現し配送の早さも伴えば、それだけでも電子雑誌は魅力的だ。Appleのアプリ購入システムを使って、安い定期購読が受けられるようになったのは、読者にとっては素晴らしいことである。でも、NewsweekとAppleの間でどのような契約がなされたのかが、もうひとつ分からない。今回の定期購読サービスは、新規に申し込む人だけが対象であるようだ(既存の紙の定期購読者は対象でないようだ)。ともかく、iPad向けの定期購読サービスが軌道に乗れば、米国の電子雑誌ビジネスも離陸に向かうのかもしれない。
 

◇参考
・Newsweek Offers iPad App With Subscription Option(NYTimes.com)
・売りに出たニューズウィーク誌、火の車のニュース週刊誌に買い手が現れるか(メディア・パブ)
・米アップルと大手雑誌社の綱引き、iPad向け電子雑誌を雑誌定期購読者に無料提供へ(メディア・パブ)
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2010年10月19日

米国の電子書籍が本格離陸へ、今年にも全書籍売上の10%を超えそう

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 米国の電子書籍市場が軌道に乗り始めたようだ。今年(2010年)にも、電子書籍売上が全書籍売上の10%を上回るだろう。

 the International Digital Publishing Forum (IPDF)はthe Association of American Publishers(AAP)と連携して、電子書籍の売上を定期的に公表しているが、このほど最新の2010年8月データを明らかにした。下のグラフは、2002年から2009年までの電子書籍の年間売上高(卸売ベース)の推移をグラフ表示しているが、今年のデータは表で示した。7月と8月のデータから推測すると、今年第3四半期(7月〜9月)は約1億2000万ドルとなり、年間では4億ドルを超えそう。ただし卸売チャンネルを介していない電子書籍や電子学術書などは計数されていないし、小売売上ベースでは2倍近くになっているという。

EBookWholesale.jpg

 次のAAPが提供している表は、全書籍と電子書籍の年間売上である。今年は8月までの売上を示しているが、年間では4億ドルを超えるのは間違いないであろう。全書籍売上のうち電子書籍の占める割合は、昨年が3.31%で、今年は8月までで約9%であるが、12月までだと10%台に乗せそう。

EBookTrade201008.jpg
(単位:100万ドル)

 米国の電子書籍が離陸し始めたのは、アマゾンのキンドル(Kindle)が出現してきたからだ。Cowenの調査によると、Kindleが米国の電子書籍市場の76%を占めており、Kindleの電子書籍の2011年売上は前年比195%増の7.01億ドルになるという(小売ベースのはず)。先行しているKindleのシェアが高いのは当然かもしれないが、今後同社のシェアは減り始め2015年には51%になると、Cowenは予測している。

◇参考
・Ebook sales grow 172% in August according to the IDPF(TeleRead: Bring the E-Books Home)
・New: Book Sales Statistics (including E-Books) from the IDPF and AAP(Resource Shelf)
・AAP Reports Publisher Book Sales for August(the Association of American Publishers:AAP)
・Amazon has 76% of e-book market, survey reports(TeleRead: Bring the E-Books Home)
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posted by 田中善一郎 at 09:06 | Comment(0) | TrackBack(0) | 出版 雑誌
2010年09月24日

eリーダーで本を読む人、米国でも8%とまだ少数派

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 キンドルのようなeリーダーで本を読む人がどれくらい存在しているのだろうか。Harris Interactive の調査によると、電子書籍の先進国である米国でも、eリーダーで本を読む人の割合が8%とまだ少数派であった。

 今回の調査では、米国の大人(18歳以上)2775人を対象に、2010年8月9日から16日までの間、オンラインで実施した。最初の表は、eリーダー利用の有無を聞いた結果で、回答者の8%が利用していたが、92%が利用していなかった。

eReaderH1.jpg

 次は、eリーダーの利用者と非利用者別に、1年間に読む本の冊数の分布である。多くの本を読む人ほど早々と、eリーダーに飛びついたということか。

eReaderH2.jpg


 次は、現在eリーダーを保有していない人を対象に、これからの半年でeリーダーを購入する意向を持つ人の割合を示している。半年後には、新たに12%の人がeリーダー保有者の仲間に入りそうである。でも80%の人は、半年後にもeリーダーとは縁のない生活で過ごしそう。

eReaderH4.jpg



◇参考
One in Ten Americans Use an eReader; One in Ten Likely To Get One in Next Six Months(Harris Interactive)
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posted by 田中善一郎 at 07:24 | Comment(0) | TrackBack(0) | 出版 雑誌
2010年09月13日

米国人の雑誌離れも止まらない

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 米国でも雑誌離れが進んでいる。

 Pew Research Center の調査によると、「昨日、雑誌を読みましたか」との問いに対して、Yesと答えた人の割合はわずか19%に過ぎず、Noと答えた人が80%も占めた。1994年以降の調査結果をプロットしたグラフからも明らかなように、雑誌離れが止まりそうもない。昨日雑誌を読んだと答えた人が、1994年には33%もいたのに、今年は19%である。2年前の23%からも4%も減っている。

PewBook201009.JPG

 Pewの調査は、ランダムに選んだ大人を対象にした電話インタビューがベースになっている。今年の調査は2010年(2005年)6月8日〜28日に、18歳以上の大人3006人を相手に電話インタビューを行った。


◇参考
Americans Spending More Time Following the News、SECTION 3: NEWS ATTITUDES AND HABITS(The Pew Research Center for the People & the Press )


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posted by 田中善一郎 at 22:14 | Comment(0) | TrackBack(0) | 出版 雑誌
2010年08月28日

米アップルと大手雑誌社の綱引き、iPad向け電子雑誌を雑誌定期購読者に無料提供へ

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 セレブ雑誌のナンバーワンと言えば、タイム社の「People」誌。そしてセレブ雑誌が今競って追っている話題が、23日に発表になったタイガー・ウッズの離婚話。早速、別れるエリン夫人の独占インタビュー記事(総計19時間のインタビュー)が、「People」誌の今週末発行号のカバーストーリーに。そして、その号の電子雑誌がiPadでも読むことができるようになった。

PeopleMobileFree.jpg

 「People」のiPad向け電子雑誌が、先週末から発行され始めていたからだ。紙のPeople誌は、発行部数が約360万部で、売上が約15億ドル(広告売上は約10億ドルで、販売売上が約5億ドル)という、とてつもなく巨大な雑誌である(一雑誌だけで日本のトップクラス出版社の総売上高に近い)。世界でもトップの売上高を誇る雑誌Peopleまでが、iPadアプリの電子雑誌としても毎号発行されることになったのだ。

 その時に注目されたのが、電子版Peopleの販売価格である。実は、発行元のTime社とiPadのAppleとの間で、電子雑誌の販売を巡って激しい綱引きが始まっていた。Time社だけではなくて、米国の多くの雑誌社にとっても、これからの電子雑誌ビジネスを大きく左右する問題が顕在化していたのである。

 米国の雑誌の特徴として、大部数を確保するために予約の定期購読(サブスクリプション)に力を入れていることがある。このため定期購読の場合の一部当たり価格を、ニューススタンドでの一部売りに比べ、大幅に値引する場合が多い。例えば、週刊ニュース誌のTime誌の場合、ニューススタンドでの一部売り価格が4.99ドルに対し、年間購読を予約すると一部あたり0.36ドルと大幅に割り引かれる。大部数を確保して、広告売上を増やすことが米雑誌の基本的なビジネスモデルであるからだ。

 ところで、AppStoreでのアプリ販売では一部売りを前提にしている。そのため、電子雑誌の各号にiPadアプリを用意してダウンロード販売を行ってきている。そのiPadアプリの価格を、ニューススタンドにおける紙の雑誌の一部売り価格と同じに設定している場合が多い。Time誌の電子雑誌も4.99ドルである。定期購読で安く雑誌を入手するのに慣れきっている米国人からは、電子雑誌が高価と見られているようだ。ともかく電子雑誌(iPadアプリ)の購読者の評価は厳しく、大半が高すぎると不満を募らせている。

 そこでTime社としては、電子雑誌にも定期購読サービスを導入したい。同社は動いた。「Sports Illustrated」のiPadアプリの定期購読版を先々月に立ち上げた。購読者はAppleのiTuneを介して電子雑誌(iPadアプリ)をダウンロードできる。ただし、定期購読料はTime社に直接支払う。ところがApp StoreではApple以外のサードパーティーが課金することを認めていない。課金を中抜きされたAppleは当然のごとく、定期購読できるiPadアプリを認めなかった。そしてTime社に対してiTuneで一部売りだけを許したのである。

 米国の多くの雑誌社にとっては、定期購読者の情報は宝である。定期購読者を囲い込み、自分たちのデータベースで管理することにより、安定した売上を継続させていきたい。特に定期購読者の個人情報は、雑誌広告営業の武器にもなっており、外には出せない。

 一方でAppleのビジネスモデルでは、電子雑誌(iPadアプリやiPhoneアプリ)の課金を含む販売代理すべてをAppStoreで実施し、その電子雑誌の販売価格の30%を手数料として雑誌社から徴収することになっている。一部売りの場合は雑誌社も従わざるえないかもしれないが、定期購読の場合はAppleのビジネスモデルに従いたくない。定期購読者の貴重な個人情報がAppleに握られてしまうことになるからだ。米国の雑誌社にとっては、定期購読の読者管理を自分たちの手で進めたい。


 「Sports Illustrated」の定期購読の件でAppleともめていたこともあって、Timeが「People」 のiPad向け電子雑誌をどう販売していくかが注目されていた。基本的には他の電子雑誌と同じく、号単位のiPadアプリがiTunes AppStoreで売られことになった。ニューススタンドでのPeople誌と同じ価格の3.99ドルで一部売りされる。また今回も、AppStoreでのiPadアプリの定期購読は実現しなかった。だが、既存の紙のPeople誌の定期購読者に対しては、号単位の電子雑誌(iPadアプリ)を無料でダウンロードできるようにした。現行の雑誌定期購読者は、AppStoreで自分の定期購読番号を入力するとTime社のサーバーで確認されて、iPadアプリを無料でダウンロードできるのだ。これまでなら、雑誌の定期購読者が電子雑誌を閲読したい場合、3.99ドルを払うほかなかった。Appleが譲歩した形となっている。このモデルなら、雑誌社が死守したい定期購読者の情報を自分たちで管理できる。

 ただし、PeopleのサイトのQ&Aで、
Q:Can I buy a subscription only for the iPad?
A:At this time the only way you can subscribe to the iPad edition is by being a current subscriber to the print magazine.
となっているように、
iPad向け電子雑誌だけを定期購読したい場合でも、紙の定期購読を申し込まなければならない。紙の資源の無駄使いで、しっくりしない話だが・・・。

 この、雑誌定期購読者に電子雑誌(iPadアプリ)を無料提供する販売モデルを、Time社発行の「Sports Illustrated」、「TIME」、「FORTUNE」でも採用していく。


◇参考
・Figuring out magazine subscriptions in the iPad age(ars technica)
・PEOPLE magazine iPadR App FAQ( www.people.com)
・Time Inc. breaks the iPad logjam(Appl2.0)
・Apple and Time Agree On Free iPad Magazines For Paid Print Customers [Apple Backs Down, Finally Allows Magazine Publishers To Give Free Virtual Copies To 'Real Life' Customers](TFTS)
・Time Inc.’s iPad Problem Is Trouble for Every Magazine Publisher (MediaMemo)
・米Time誌のiPad版は号あたり4.99ドル、Kindle版の5倍以上の値付けに(メディア・パブ)



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2010年08月08日

米雑誌社コンデナスト、ビジネスモデルを見直して再飛躍めざす

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 米雑誌社大手のコンデナストに活気が戻ってきた。次々と新しいプロジェクトに取り組んでおり、これからの展開が楽しみである。

 米国の雑誌産業は、景気低迷による深刻な広告不振に加えプリントメディアとしての構造的な問題も抱えているため、一昨年あたりから休刊や人減らしが日常化し、長期低落が終わりそうになかった。名門雑誌社のコンデナスト(Condé Nast )社も例外ではない。昨年秋には、グルメ誌の定番とも言われた「Gourmet」を含め、4誌の一斉休刊を断行せざるをえなかった。同社の有力誌の「Vogue」や「Vanity Fair」ですら、昨年(2009年)の広告売上げは2008年より27%前後も落ち込み、たとえばVogue1誌だけでも約1億ドルも前年に比べ広告売上げが減ってしまった(最後部の表を参照)。

 雑誌経営の抜本的な見直しが避けられなくなっていた。そこでまず、人事の刷新を。会長には内部からの昇格であるが、Robert A. Sauerberg氏が就いた。就任するや青写真として、収益モデルの見直しとブランドビジネスを宣言した。米国の多くの雑誌社と同じく、コンデナストも売上の大半を広告収入に依存している。同社の場合、総売上の約7割を広告売上げに頼っている。ここまで広告に依存していると、昨年のように主要雑誌の多くで広告売上げが20%〜30%も激減してしまうと、一気に経営危機に陥ってしまう。

 そこで今後は、過度な広告収入依存から脱却し、読者から得る購読料などの収入を増やすことに注力することにしたのだ。 米国の雑誌では、購読数が100万部クラスの大部数雑誌も珍しくないが、購読料売上が意外と少ない。広告売上げを増やすために(広告単価を上げるために)、安い年間購読料で多くの定期購読者を獲得しているからである。ニューススタンドで一部5ドル程度で売っていても、年間定期購読では一冊当たり1ドル程度と大幅割引を実施している場合が珍しくない。広告売上がたっぷりと見込める場合は、数分の1程度の大幅割引の購読料金でも成り立っていたのだ。

 でも景気後退が収まった今年に入っても米国の雑誌(プリントメディア)の広告は、以下のグラフのように回復が鈍い。広告メディアとして相対的に弱体化している。今年の第2四半期にはようやく一部の雑誌で広告のV字回復が見られるが(最後部の表を参照)、読者の紙離れが止まりそうもないだけに、やはりプリントメディアの広告に大きく依存し続けるのは無理であろう。

printmediaAd2010Q1.JPG

 となるととりあえず、読者から徴収する購読料売上を増やしていきたい。問題はどこで徴収していくかである。コンデナストもこれまで、プリント(紙)だけではなくてデジタル、特にWebサイトの展開にも注力してきた。だが残念ながらWebコンテンツでは無料が定着しており、コンデナストの雑誌のようなコンシューマ向けコンテンツをWeb上で有料化するのは容易ではない。

 そこでコンデナストが救世主到来とばかりに期待を寄せたのは、iPadのようなモバイル端末である。特に注目したのは、iPadアプリのようなモバイルアプリでは、雑誌コンテンツをパッケージした形で提供できることである。雑誌をニューススタンドで1部売り(有料販売)することが、オンラインで実現できるようになるからだ。

 同社の動きは早かった。iPadが販売される前からいち早く、「GQ」、「Vanity Fair」、「Wired」、「Glamour」、そして「The New Yorker」 の5雑誌について、今年の夏あたりまでに、電子版をiPadアプリの形で発売することを明らかにした。予告通り、「GQ」、「Wired」、「Vanity Fair」、それに8月に入って「Glamour」のiPadアプリを売り始めている。各号のiPadアプリの販売価格を、ニューススタンドでの雑誌の1部売り価格に合せたのも、購読料売上アップを目指しているからであろう。

 以下の「Glamour」のiPadアプリのダウンロードも、ニュースタンド価格と同じ3.99ドルとなる。ただしアプリには、ビデオやオンラインショッピングなどが加わっており、雑誌プラスアルファのコンテンツとなっているようである。

Glamour20100803.jpg



 iPadアプリなどのモバイルアプリに力を注ぐと言っても、同社のコア事業はまだ当分は紙の雑誌であろう。そこで、紙の雑誌に加えてiPadのような新しい多様なプラットフォームやWebサイトにも対応できる統合的な編集システムを整備しなければならない。ブランドを生かしたマーケティングビジネスにもシステムの支援が欠かせない。そこで先週、同社は新しいCTO(chief technology officer)にJoe Simon氏を任命した。彼はこれまでViacomのCTOであった。

 さらに同社は同じ先週に、派手な発表を打ち上げた。同社本社を、グランドゼロに構築中の 1 World Trade Center(写真はこちら)に移転するとの発表である。もちろん構築中なので、入居はまだ先の話である。それにしても、ニューヨーク市の新しいシンボルとなるビルに本社を構えるとは、コンデナストらしい。 


◇参考
・Glamour Selected as Magazine of the Year(NYTimes.com)
・Transcending Print:A Q+A with new Condé Nast president Robert Sauerberg.(Folio)
・Condé Nast Is Changing Its Blueprint(NYTimes.com)
・Condé Nast Names a Chief Technology Officer(NYTimes.com)
・Condé Nast Taps Viacom Exec to Explore New Publishing Platforms(EPICENTER,Wired)
・Another Magazine App? Yep. But This One’s For the Ladies: Condé Nast Brings Glamour to the iPad.(MediaMemo)
・Vogue Ad Pages Rise 24 Percent for September(Media Decorder、NYTimes.com)
・大手出版社コンデナスト,「グルメ」など4誌を一気に休刊(メディア・パブ)
・Make no mistake: Newspapers are still in trouble(REFLECTIONS OF A NEWSOSAUR)
・Condé Nast to Move to Skyscraper at Ground Zero(NYTimes.com)
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posted by 田中善一郎 at 23:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | 出版 雑誌
2010年07月22日

iPad版アプリの「Flipboard」、新しいソーシャルマガジンの誕生

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Flipboard.jpg


  昨日から話題になっているのが、iPadアプリの「Flipboard」。カリスマブロガーのRobert Scobleも、FlipboadをiPadアプリのキラーアプリと激賞する。世界最初のソーシャルマガジンと大騒ぎする人も出始めている。

  まずは、そのFlipboadのデモビデオを。



 利用しているTwitterやFacebookなどのソーシャルメディアから、情報(ツイート、写真、記事など)をかき集め、自分専用のマガジンを作れるようだ。でも単なるアグリゲーターではなさそう。Flipboardは、セマンティック技術のスタートアップEllerdaleを買収したばかり。Ellerdaleはリアルタイム検索やトレンド追跡(たとえばこちら)を手掛けており、Ellerdaleの技術を使って質の高いパーソナライズド・リアルタイム情報収集が実現し、魅力的な雑誌風レイアウトのソーシャルマガジンが誕生するのかも。

 FlipboardはiTuneからダウンロードできる。無料なので、iPadにダウンロードして、いろいろと試してみることにしよう。


◇参考
・First look at “revolutionary” social news iPad app: Flipboard(scobleizer)
・Flipboard Buys Ellerdale, Launches Social Digital Magazine(GIGAOM)
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posted by 田中善一郎 at 09:49 | Comment(0) | TrackBack(0) | 出版 雑誌
2010年07月08日

米Time誌のサイト、「課金の壁」を立てて雑誌やiPadアプリの販促を

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  米Time誌のサイト(www.time.com/time/)は充実していた。Webのための毎日のニュース記事に加えて、週刊誌Timesの最新号の記事も事実上ほとんどが閲覧できたからだ。さらに昔の記事までも検索でき、閲覧できた。ユーザーにとって有難いことに、すべてが無料で利用できていた。

  ところが突然変わった。最新のTime誌の雑誌記事が、これまでと違ってWeb上で記事全文が必ずしも読めなくなっているのだ。2010年7月12日号の記事から、掲載基準を変えたようだ。いつものように最新号の目次は掲載されている。以前なら見出しをクリックするとほとんど全文を閲覧できた。

TimeMag20100712.jpg

 ところが目次にある幾つかの雑誌記事見出しをクリックすると、記事の一部しか表示されなくて、その後に次のようなメッセージが現れるようになった(全文を読める記事もある)。

TimeMagazine201007.jpg

 つまり、雑誌記事全文を読みたければ、Times誌の定期購読を申し込むか、TimeのiPadアプリをダウンロードしなさい、ということだ。事実上の「課金の壁」を立てたのだが、壁の向こうに有料記事を置かないで、紙の雑誌やiPadアプリで閲覧させようとしている。

 
 米国のニュース週刊誌は今、経営的に厳しい状況に立たされている。Newsweek誌は白旗をあげて売却先探しに追われている。Time誌は経営状態が順調と主張しているが、収入の主柱である雑誌広告売上がなかなか下げ止まらないだけに、購読料売上を増やしていきたい。そこで今ブームのiPadアプリで、Timeの電子雑誌版をいち早く発行した。だが、紙のTime誌は年間購読料が20ドルで1冊あたり0.36ドルで済むだけに、1冊4.99ドルの電子雑誌の割高感は否めない。その上、雑誌記事コンテンツのほとんどが、ブラウザー経由でiPadからも無料閲覧できていたのだ。Webサイトの雑誌記事が無料で読めていては、4.99ドルのiPadアプリが売れるわけがない。

 iPadアプリ(Timeの電子雑誌)を売っていくためにも、また紙の雑誌を定期購読してもらうために、Webサイトに課金の壁を設けざるえなかったのだが、中途半端では。


◇参考
・Time Magazine putting up a paywall to protect print?(Nieman JournalismLab)
・Government for Sale: How Lobbyists Shaped the Financial Reform Bil(Time)
・Time Inc.’s Web Paywall, Explained(MediaMemo)
・Newsweek Gets at Least Two Bids(WSJ.com)
・米Time誌のiPad版は号あたり4.99ドル、Kindle版の5倍以上の値付けに(メディア・パブ)
・売りに出たニューズウィーク誌、火の車のニュース週刊誌に買い手が現れるか(メディア・パブ)



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posted by 田中善一郎 at 08:20 | Comment(0) | TrackBack(0) | 出版 雑誌

350万タイトル以上の電子書籍を開放、今週からの1ヶ月間

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WorldeBookFair201007.jpg


  World Public Library Association主催の第5回“World eBook Fair”が、7月4日から8月4日まで今年も開催されているが、その期間中350万点以上の電子書籍を無料開放する。電子書籍をPDFファイルで自由にダウンロードできる。

 電子書籍は、世界の100を超える eLibrariesや数千のボランティアから提供されているという。主要な提供元とタイトル数は次の通り。

. 2,324,842 from The Internet Archive
. 750,000 from World Public Library
. 400,000 from Wattpad
. 112,000 from Project Gutenberg
. . 62,000 from International Music Score Library Project
=========
3,648,842 Grand Total


 同Fairでは2006年の第1回から、会期期間中に電子書籍の無料開放を実施してきたが、以下のように年々タイトル数が増えてきている。

第1回(2006年):30万タイトル
第2回(2007年):60万タイトル
第3回(2008年):100万タイトル
第4回(2009年):250万タイトル
第5回(2010年):350万タイトル以上

 著作権切れの小説や、ニッチな分野の書籍が中心のようだが、Fairの開催期間とは関係なしに無料でダウンロードできる作品が多いようだ。ただし年会費8.95ドルを払えば、年中、利用できるようになる。

 WattpadからiPhone/iPad向けアプリ(Wattpad 100,000 Free BooksBy Wattpad)が出ていたので、ついでに覗いてみた。以下は、iPad画面でのスナップショット。蟹工船、人間失格、などの日本の著作権切れの小説もダウンロードできる。

wattpad1.jpg

wattpad2.jpg

◇参考
・World eBook Fair Collection(WorldBookFair.org)
・The 5th Annual World eBook Fair is Underway; Celebrate 40th Anniversary of eBooks(resource shelf)
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posted by 田中善一郎 at 01:58 | Comment(0) | TrackBack(0) | 出版 雑誌
2010年07月01日

iPadアプリの電子雑誌、早くも値崩れの兆し

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 iPad版電子雑誌で早くも値引きの動きが・・・。

 コンデナスト社が発行している月刊誌「WIRED」の電子版(iPad版)は、6月号が5月26日から売り出されていた。価格はスタンド(店頭)での1部売りと同じ4.99ドルであった。米国の一般の雑誌読者からすれば、4.99ドルはかなり高い価格である。

wiredipadPrice.jpg


 米国の雑誌は一般に、年間購読のような定期購読が中心で、「WIRED」誌の年間購読料(12冊、送料込)は10ドルであるから、1冊あたり1ドル以下になる。電子版の4.99ドルは、紙雑誌の年間購読の場合に比べると、一冊当たり5倍以上の値付けである。でも同誌発行人は、6月号のiPad版の電子雑誌は9万5000部も売れたと自慢する。新しい物好きのiPadの初期ユーザーが、試しにと話題の6月号を購入したのだろう。それでも、これだけ売れれば成功である。

 ところが、電子版WIREDの7月号から、4.99ドルから3.99ドルに値引きすることになった。最初の6月号も20%カットの3.99ドルになる。

WiredJily2010iPad.jpg

 
 構造的な紙媒体不況の中で米国の多くの出版社は、モバイルアプリが大きな活路となることを期待している。タダ同然の定期購読で読者を増やし、広告売上げに大きく頼るビジネスモデルが崩壊してきている。そこでiPad版の電子雑誌で先行している雑誌社は、購読料収入に賭けていきたい。

 大手出版社の有力雑誌もiPad版電子雑誌を出し始めているが、多くは1冊(1コピー)あたりの価格を「WIRED」と同じく4.99ドルに設定している。つまり、店頭での一部売りと同じ価格設定である。

 「Popular Science」、「TIME(Magazine)」、「Men's Health」 、「VANITY FAIR」 などの各iPad版電子雑誌の価格は、いずれも4.99ドルであった。購読料収入を増やしていきたい雑誌社とすれば、電子雑誌の価格の相場を高くもっていきたい。だが当然、ユーザーからの反発は出てきている。

 たとえば「Popular Science」の年間購読料は5ドルである。1冊あたり0.42ドルなのに、電子版では4.99ドルと10倍以上になる。週刊誌の「TIME(Magazine)」では年間購読料が20ドルなので、1冊あたり0.36ドルで毎週最新号が郵便受けに届けられる。それが電子版になると4.99ドルである。電子版が、単に紙雑誌をデジタル化しちょっと動画を加えた程度では、多くの米国読者はついてこないだろう。

 確かに、「WIRED」の電子版6月号のデモビデオを見ると、紙媒体プラスアルファのコンテンツも多く、かなり頑張っていると思ったのだが。



 それでも、WIRED Magazine for iPad on the iTunes App Store におけるユーザーの声(Customer Reviews)は厳しい。雑誌コンテンツがベースになっていることやソーシャルネットワーキング機能が不足しているなどの不満の声が。要するに高い値付けに向けられているようだ。そこで、20%の値引きを敢行したのだろう。



◇参考
・Wired’s iPad App Boasts a New Feature: A Price Cut(MediaMemo)
・Conde Nast Does Last-Minute Pivot On Wired App Pricing(paidContent)
・Why iPad mags cost $4.99 each(Fortune)


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posted by 田中善一郎 at 12:26 | Comment(0) | TrackBack(0) | 出版 雑誌
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