スマートフォン専用ページを表示

メディア・パブ

オンラインメディアをウオッチ
TOP / 出版 雑誌
<< 1  2  3  4  5 6  7  8  9  10  11  12  13  14  15  16 >>
2009年10月08日

アマゾンの野望,キンドルで電子書籍市場の世界制覇を

Tweet このエントリーをはてなブックマークに追加
 いよいよ,日本からでも電子書籍端末Kindleを購入でき,英語版の書籍や雑誌、新聞がKindleで読めるようになる。

 blog kindleによると,以下の表のように,169ヶ国で国際版Kindleを購入できる。ただし,ワイヤレスで書籍などのデータを購入できるのは半分くらいの国である。

Kindle1.jpg
Kindle2.jpg
Kindle3.jpg
Kindle5.jpgKindle4.jpg
Kindle6.jpg
Kindle7.jpg

 Kindleを購入できない国は以下の通り。カナダは間もなく購入できるようになる。規制の多い中国が外れているのは理解できるが,ニュージランドとシンガポールがサービス対象国に入っていないのは不思議だ。

Afghanistan, Algeria, Azerbaijan, Bahrain, Bangladesh, Brunei Darussalam, Burkina Faso, Canada, Chad, China, Cuba, Djibouti, Egypt, Eritrea, Gambia, Guinea, Indonesia, Iran, Iraq, Jordan, Kazakhstan, Democratic People’s Republic Of Korea, Kuwait, Kyrgyzstan, Lebanon, Libya, Malaysia, Maldives, Mali, Mauritania, Morocco, New Zealand, Niger, Nigeria, Oman, Pakistan, Palestinian Territories, Qatar, Saudi Arabia, Senegal, Sierra Leone, Singapore, Somalia, Sudan, Syrian Arab Republic, Tajikistan, Thailand, Tunisia, Turkey, Turkmenistan, United Arab Emirates, Uzbekistan, Yemen.

 欧米の新聞や雑誌をKindleで読みたい人は,米国外では写真とか図が含まれなようだから,そのつもりで。念のために,Amazon.comの説明文を以下に。

Kindle Newspaper Subscriptions
・Your Kindle Newspaper is auto-delivered wirelessly when the physical issue hits the newsstand.
・It's risk free - all Kindle Newspaper subscriptions start with a 14-day free trial. You can cancel at any time during the trial period. If you enjoy your subscription, do nothing and it will automatically continue at the regular price.
・Newspapers and magazines delivered outside the U.S. will not include photos and other images.
・Don't have a Kindle? Get yours here.



◇参考
・International release of Kindle 2!(blog kindle)
・Amazon Kindle Now for Sale to Customers in More Than 100 Countries(amazon.comのニュースリリース)



この記事をブックマーク: このエントリーを含むはてなブックマーク この記事を検索: Google 検索
posted by 田中善一郎 at 01:24 | Comment(0) | TrackBack(0) | 出版 雑誌
2009年10月05日

電子雑誌のオンライン・ニューススタンド,出版社が大同団結して開設か

Tweet このエントリーをはてなブックマークに追加
 電子書籍リーダーやタブレットパソコンの台頭で,雑誌も紙離れが進み,デジタル版が主流になっていくのかもしれない。

 すでにAmazon.comが電子書籍リーダーKindleを武器に,電子書籍市場の主導権を握ろうとしている。電子書籍の価格などをAmazonがコントロールするようになっており,出版社はおもしろくない。

 そこで電子雑誌市場では出版社(雑誌社)が主導権を握ろうと,TimeがConde NastとHearstに呼びかけて,オンライン・ニューススタンドの開設を提唱している。2010年にも立ち上げたいとか。

 動画市場ではYouTubeが独走したが,その対抗馬としてTV各社が合同でHuluを立ち上げた。同じように電子雑誌市場で,Amazonの対抗馬として合同で雑誌版Huluを立ち上げたいのだろうが・・・。 



◇参考
・Publishers Like Time Inc.’s “Hulu for Magazines” Pitch. What Will Apple and Amazon Say?(All Things Digital)
・US magazines to start 'digital newsstand' in 2010(afterdawn.com)
この記事をブックマーク: このエントリーを含むはてなブックマーク この記事を検索: Google 検索
posted by 田中善一郎 at 07:21 | Comment(0) | TrackBack(0) | 出版 雑誌
2009年09月27日

1936年〜1972年発行のLife誌,グーグルの書籍検索で閲覧可能に

Tweet このエントリーをはてなブックマークに追加
  1936年から1972年までに発行されたLife誌(1860号分)も,Google Book Searchで検索・閲覧できるようになった。

  Googleは書籍に加えて雑誌のデジタル化も進めており,昨年末から Book Searchで雑誌も検索できるようになっていた。すでにNew York MagazineやPopular Scienceなどの雑誌が検索できるようになっているが,多くの人気雑誌はラインアップにまだ並んでいないのが現状である。それだけに国民的なグラフ誌であったLife誌が加わったのは大きい。 

GoogleBookLife.jpg

 Life誌は1936年から1972年まで週刊で発行されていたが,その時期は同誌にとって全盛期であった。同時に米国の佳き時代でもあった。その期間の1860号分のLife誌を対象に,すべての記事や写真,それに広告までが検索できるようになった。たとえば「toyota」とか「sony」で検索すると,昔の製品広告が見つかる。すべての記事や写真,それに広告は無料で閲覧できる。使い勝手が良かったのは,各号のすべてのページがサムネイルで表示されていることだった。  

GoogleBookLifeNov211960.jpg
 

◇参考
・LIFE magazine now available on Google Books(Inside Google Book)
・次は歴史的な雑誌記事を無料閲覧,Googleが雑誌アーカイブを提供(メディア・パブ)

この記事をブックマーク: このエントリーを含むはてなブックマーク この記事を検索: Google 検索
posted by 田中善一郎 at 00:08 | Comment(0) | TrackBack(0) | 出版 雑誌
2009年09月11日

雑誌社サイトのコンテンツにも有料化の波が

Tweet このエントリーをはてなブックマークに追加
  新聞社サイトだけではなくて雑誌社サイトにも,コンテンツ有料化の波が押し寄せてきそうだ。

 極東の国が政権交代で「ドッカーン!」と変わろうとしているように,Economis誌のサイトも有料化で「ドッカーン!」と変わりたいのかも。


Economist0909.jpg

 Economis誌のサイトでは現在,雑誌記事の過去1年分が無料で閲覧できる。そうしたコンテンツに有料の壁を設けることを検討中で,半年以内にも実施したいようだ。マイクロペイメントを導入する可能性もあるという。  

 また大手雑誌社のConde Nastも,同社の技術系ブログのArs Technicaで年間購読料50ドルあるいは半年購読料30ドルの有料サービスを立ち上げようとしている。Ars Technicaは,Technoratiによるブログランキングで世界9位の人気ブログである。


 ルパード・マードック氏が,ニュース社傘下のニュースコンテンツを1年以内にも有料化すると雄叫び,さらに有力な新聞社サイトにも横並びのコンテンツ有料化を呼びかけている。米国の新聞社も雑誌社も,先細る広告収入に頼れなくなってきたこともあって,成功する可能性が低くてもオンラインコンテンツの有料化を検討せざる状況に置かれている。

 また,オンラインコンテンツ無料の流れを生みだした張本人として標的にさらされることが多いGoogleも,しきり新聞社との共存を訴えている。そこで,米新聞協会の要望にも応える形で,マイクロペイメント・プラットフォームを開発しており,来年にも提供する予定である。 


◇参考
・Economist to charge readers for its online news content(MediaWeek)
・The Economist is considering charging for all news content online(editorsweblog.org)
・Introducing Ars Premier 2.0, your new Insider Access(ars technica)
・Google developing a micropayment platform and pitching newspapers: “‘Open’ need not mean free”(NiemanJounalismLab)

この記事をブックマーク: このエントリーを含むはてなブックマーク この記事を検索: Google 検索
posted by 田中善一郎 at 08:18 | Comment(0) | TrackBack(0) | 出版 雑誌
2009年08月22日

動画広告を掲載する雑誌の姿が明らかに

Tweet このエントリーをはてなブックマークに追加
 2日前に伝えた動画広告掲載雑誌の続報を。LATimesの記事で知ったのだが,動画広告を組み込んだ雑誌Entertainment WeeklyがYoutubeのビデオで紹介されていた。そこで,以下に貼り付けておく。



 ここでわかったことは,Americhipのビデオプレーヤーを利用していることだ。音も出ている。

Americhipの解説ビデオはこちらやあちらで。


◇参考
・紙の雑誌に動画広告を,米国の雑誌が9月に実施(メディア・パブ)
・Coming to a magazine near you -- video, right on the page(LATimes)


この記事をブックマーク: このエントリーを含むはてなブックマーク この記事を検索: Google 検索
posted by 田中善一郎 at 11:46 | Comment(0) | TrackBack(0) | 出版 雑誌
2009年08月21日

紙の雑誌に動画広告を,米国の雑誌が9月に実施

Tweet このエントリーをはてなブックマークに追加
 雑誌にも動画広告を。9月に“video-in-print ads”が米国の雑誌に登場する(BBC Newsより)。

 実施するのは,米国の人気ショービジネス雑誌Entertainment Weekly。携帯電話機のディスプレーくらいのサイズの薄型スクリーンが雑誌に付けられており,最大40分程度の動画が格納できる。ページをめくると,起動して動画が飛び出る。ちょうど開くと歌い出すグリーティングカードのようなもの。

 最初の広告主は,CBS(US TV network)と Pepsi。この動画広告は,Los Angeles とNew Yorkで売られる9月18日発行予定の雑誌にのみ掲載される。話題を呼ぶだろう。

 同じような試みは,男性ライフスタイル雑誌のEsquireが昨年9月に実施している。Esquireの75周年記念号(2008年10月号)の表紙で,E-inkの技術を使った。ちなみにE-ink技術は,Sony Reader や Amazon Kindle の電子書籍リーダーで採用されている 。その雑誌を紹介したビデオを,以下に貼っておく。







◇参考
・Video appears in paper magazines(BBC News)
この記事をブックマーク: このエントリーを含むはてなブックマーク この記事を検索: Google 検索
posted by 田中善一郎 at 07:50 | Comment(0) | TrackBack(0) | 出版 雑誌
2009年08月01日

名門出版社コンデナスト,雑誌救済のために新聞購読を中止

Tweet このエントリーをはてなブックマークに追加
 米出版社Conde Nast Publicationsが,社員への新聞購読料補助を打ち切ることにした。同社のDavid Orlin氏(Senior Vice President/Operations and Strategic Sourcing)が全社員に送ったメモの中で明らかにした。

 Conde NastはVogue, Golf Digest, Glamour, GQなどの人気雑誌を発行する名門出版社。世の中のトレンドを先取りするために,社員が新聞を購読するのは当たり前であった。このため会社は社員の新聞購読料を補助してきた。だが,8月3日以降補助を止めることになったのだ。

 世界同時不況の影響で,同社の雑誌の広告売上が激減している。中には息絶えて,今年に入ってライフスタイル誌のDominoとビジネス誌のPortfolio magazineを休刊させてしまった。雑誌を救済していくためには,さらなる経費節減が欠かせない。

 ということで,新聞購読料の補助を止めたわけだが,これは新聞紙のようなプリントメディアに頼らなくても,オンラインの情報を見ておれば時代の流れや読者ニーズを先読みできるというメッセージなのかもしれない。同じように,プリントメディアの雑誌を読まなくてもよいとなってしまわないのかな。



◇参考
・Condé Nast to Save Magazines by Canceling All Newspapers Subscriptions(MEDIA ITE)
・Conde Nast: No More Expensed Newspapers (Editor&Publisher)
・鳴り物入りで創刊したCondé Nastのビジネス誌“Portfolio”、ついに息絶える(メディア・パブ)
この記事をブックマーク: このエントリーを含むはてなブックマーク この記事を検索: Google 検索
posted by 田中善一郎 at 10:14 | Comment(0) | TrackBack(0) | 出版 雑誌
2009年07月23日

米ファッション誌の9月号,華やかな表紙とは裏腹に残酷な月に

Tweet このエントリーをはてなブックマークに追加
 米国の有力なファッション誌が恐ろしい事態に陥ろうとしている。

 トップクラスのファッション誌の表紙写真を,AdAgeが以下のように掲げていた。一見,華やかである。ところが,各表紙の右下の赤丸上に記された百分率が,恐ろしい事実を示しているのだ。今度の9月号の広告ページ数が,1年前の9月号に比べ何パーセント変化したかを表示している。

  9月号は米国のファッション誌にとっては特別の号である。秋のファッション特集を組み,広告の出稿量が際立って多い号のはずである。例えばVogueは,昨年9月号の広告ページ数が何と673.89ページであった。9月号だけで年間の総広告ページ数の23%も稼いでいたのである。その稼ぎ時の9月号が,今年は昨年に比べ37%も急減しているのだ。残酷な9月を迎えることになる。


FashionMagSep2009.jpg
(ソース:AdAge)


◇参考
・September Ad-Page Tallies Plunge(AdAge)
・Publishers Fret Over September Issues(AdAge)
この記事をブックマーク: このエントリーを含むはてなブックマーク この記事を検索: Google 検索
posted by 田中善一郎 at 00:31 | Comment(0) | TrackBack(0) | 出版 雑誌
2009年07月21日

大学が電子書籍の戦いの場に,米ハーバード大学が文書共有サイトで書籍販売を

Tweet このエントリーをはてなブックマークに追加
 文書共有サイトのScribd(こことここで紹介)で,Harvard University Press も書籍を販売することになった。

 文書ストア“Scribd Store”のHarvard University Press の売り場では,以下のように,すでに販売が始まっている。まず1000タイトルを売り出す予定。

 HarvardPressScribd.jpg

 アカデミック出版は電子書籍の有望な市場である。アカデミック関連の書籍は,一般にニッチで専門性が高い。そのため,販売部数が少なくて販売価格は高価になることが多い。典型的なロングテール商品である。このため,多くの人にとって無縁の類の書籍であった。一方で,アカデミック出版業界は経営的に厳しくなっている。古い体質のせいか,紙を残すのにこだわっていた。でも紙を脱する時期なのかもしれない。

 YouTubeが動画共有サイトとして定着してきたように,Scribdは文書共有サイトの定番サイトとして根付いてきた。研究レポートやホワイトペーパーなどの各種資料の共有の場になっているのである。MIT PressやNYU Press などのアカデミック出版社もコミュニティーの場を設けて,研究資料などを無料で利用できるようにしている。

 そのScribdが文書のマーケットプレイスの場としても利用できるようになったので,Harvard University Press がScribd Storeで電子版の販売に乗り出したのである。たとえば,上のScribd Storeの最上段に置かれている“China Marches West: The Qing Conquest of Central Eurasia ”を35ドルでダウンロード購入できる。これは,ハードカバー版と同じ価格(35ドル)である。そこで,Amazonを覗いてみた。すると,Kindle版は用意していないが,ハードカバー版が23.1ドルの割引価格で売られているではないか。Scribdの電子版を割り引かないのは,電子書籍に対して薄利多売になることを恐れているのだろうか。

HarvardPressAmazon.jpg

 Amazonも大学をKindle版電子書籍の重要な市場して,力を入れている。科学やコンピュータサイエンスの教科書がプレインストールされたKindle DXを、秋の新学期に一部学生に配布する予定である。この実験に、Pace, Princeton, Reed, Arizona State, and Darden School at the University of Virginiaが加わることになっている。教科書出版社を取り込もうしているのだろう。学生は重たい教科書や資料から解放されるので,嬉しいかも。

 だが,AmazonがコントロールするKindleの垂直型ビジネスに対して,出版社は警戒している。一方のオープンな水平型モデルを採用したScribdは,販売のやり方の自由度が高く,またリーダー装置(ネットブック,スマートフォン,電子書籍専用端末、パソコンなど)の制約も少ない。出版社としては,電子書籍の販売チャンネルとしてAmazon以外の道を確保しておきたいのかもしれない。

 大学での「Kindle対Scribd」の主導権争いは,これからの電子書籍市場の行方を占う意味で見逃せなくなってきた。


追記:Amazonを間違ってAppleとしていました。ご指摘して頂いた方,ありがとうございました。


◇参考
・Harvard University Press to sell 1,000 Books on Scribd(Scribd Blog)
・The future of scholarship? Harvard goes digital with Scribd(ars technica)
・開花する電子書籍市場,本命Amazonに挑むScribd(メディア・パブ)




この記事をブックマーク: このエントリーを含むはてなブックマーク この記事を検索: Google 検索
posted by 田中善一郎 at 12:59 | Comment(2) | TrackBack(0) | 出版 雑誌
2009年07月19日

売りに出た経済誌"Business Week",1ドルの価値しかないとFTが評価

Tweet このエントリーをはてなブックマークに追加
  米McGraw- HillがBusinessWeek(BW)を手放すかもしれないという推測記事を,1ヵ月ほど前にNew York Postが伝えていた。名門ビジネス週刊誌のBusinessWeekが身売りされるなんて,単なる噂話に過ぎないと思っていたのだが・・・。

  だが,噂ではなかった。先週末のBloomberg.comの記事でBW売却話が報道されると,すぐにBusinessWeekの記者ブログが追認したのだ。

 BWは1929年創刊なので満80年の老舗誌である。約190人の編集スタッフを擁している。販売部数は93万部のトップクラスのビジネス誌である。だがこの2〜3年,以前の勢いが見られなくなっていた。さらに大不況に見舞われ,MPA(Magazine Publishers of America)によると,BWの2009年第2四半期・広告売上高が前年同期比ー30.1%の4388万ドルに落ち込んでいる。

 英国のFT(Financial Times)には,今のBWを売りに出しても1ドルしか得られないと,こっぴどい評価を下されているのだ。BusinessWeekや NewsWeekのようなニュース週刊誌は,そろそろ幕を下せということか。新聞(ニュース日刊紙)以上に厳しいのかもしれない。


◇参考
・BusinessWeek Said to Be Up for Sale by McGraw-Hill (Update3) (Blommberg)
・Business Week sale may fetch only $1(FT.com)
・Is BusinessWeek Worth $1?(HuffingtonPost)
・Bloomberg reports that Businessweek is for sale(BusinessWeek)
・Confirmed: McGraw-Hill shopping BusinessWeek(BusinessWeek)
・How to remake BusinessWeek(BusinessWeek)
この記事をブックマーク: このエントリーを含むはてなブックマーク この記事を検索: Google 検索
posted by 田中善一郎 at 23:46 | Comment(0) | TrackBack(0) | 出版 雑誌
2009年07月15日

英Econimist誌, 映画館の動画広告で若年読者獲得を狙う

Tweet このエントリーをはてなブックマークに追加
  英Economist誌の動画広告が,英国の映画館で映されている。若い読者を獲得するための動画広告である。

  その動画広告がWSJ.comのビデオコーナーで紹介されていたので,それを以下に貼り付けておく。長さが70秒間のビデオである。




  英Economist誌も不況の影響で広告売上が落ち込んでいるが,米国の3大経済誌(Business Week,Foebes,Fortune)と比べれば軽傷で済んでいる。これまで米国市場に注力してきた結果,専門性の高い若い米読者を取り込めているという。米国読者の平均年齢は39歳と,比較的若い。米国とカナダでの昨年の購読数は前年比9%増の78万6977部に対し,英国読者は前年比3.1%増の18万6995部であった。

 おひざ元の英国での伸び率が北米に比べ低く,さらに読者の平均年齢が47歳と米国読者に比べればかなり高齢であることが問題になっていた。マーケターからはEconomist誌を読むような富裕層で,かつ若い読者を望まれているのだ。その読者若返りのニーズに応えるために,映画館でもコマーシャルビデオを流すといこことだが・・・。



◇参考
・The Economist Targets U.K. Readers(WSJ.com)
この記事をブックマーク: このエントリーを含むはてなブックマーク この記事を検索: Google 検索
posted by 田中善一郎 at 10:33 | Comment(0) | TrackBack(0) | 出版 雑誌
2009年07月12日

米雑誌の広告売上が下げ止まらない

Tweet このエントリーをはてなブックマークに追加
  米国雑誌の広告売上高および広告ページ数が下げ止まらない。 米雑誌協会(MPA:Magazine Publishers of America)が発表した広告データによると,09年第2四半期の広告売上/広告ページの年間下落率がさらに大きくなっている。

  MPAは四半期ごとに,Publishers Information Bureau (PIB)が調べた米雑誌の広告売上/広告ページを公開している。一般にメディア広告の出稿量は季節要因に左右される。このため,四半期データを調べる場合も,一つ前の四半期と比べるのではなくて,1年前の四半期と比較することになる。

 以下は,09年第2四半期および同第1四半期における,米雑誌の広告売上/広告ページの年間増減率を示している。第1四半期の広告売上が前年同期比20.6%減で,広告ページ数が同26.1%減であった。それに対して,第2四半期の広告売上が前年同期比21.4%減で,広告ページ数が同29.4%減と,下落率が大きくなっている。つまり,米国の雑誌広告は底打ちしていないのだ。


USMagazine20091q2q.jpg
(ソース:MPA)


 雑誌別の広告実績も公開されている。個人的に関心のある雑誌をピックアップして,以下に掲載しておく。ここでは,09年上期(1月-6月)と08年上期における,広告売上と広告ページ数が出ている。平均して,広告売上が2割減,広告ページ数が3割減だから,史上最悪ともいえる状況だ。その上,まだ下げ止まっていないのだから怖い。

USMagazine2009FirstHarf1.jpg
(ソース:MPA)

 Business Week,Foebes,Fortuneの3大ビジネス誌が,やはり悲惨な状況に陥っている。全雑誌の平均よりも,広告売上/広告ページ数の落ち込みが大きい。金融や自動車の広告が激減したのが大きく響いたのだろう。それに,めまぐるしく激変する金融/ビジネスの動きを追うには週刊誌や月刊誌では遅すぎて,読者が離れるも仕方ないのかも。

 全滅に近い状況下の中で,踏ん張っているのがMeredithの有力誌である。FamilyCircleは,上期の広告売上を前年同期比で14.3%も増やしている。同社のBetter Homes and Gardens やLadies' Home Journal も,広告売上を微減に食い止めている。トップランナーであるTime Inc.のセレブ誌Peopleも,広告売上が4%減に留まっており,頑張っている。


 広告カテゴリー別の売上/ページ数も公開されていたので,以下に載せておく。

USMagazine2009HarfAd.jpg
(ソース:MPA)

 金融と自動車が激減しているのは当然か。不況でも,暮らしていくには日用品や食料が欠かせないので,その分野の広告の落ち込みが少なめなのも納得できる。



◇参考
・PIB: Recession Continues to Impact Magazine Advertising in First Half( Magazine Publishers of America)

この記事をブックマーク: このエントリーを含むはてなブックマーク この記事を検索: Google 検索
posted by 田中善一郎 at 10:21 | Comment(0) | TrackBack(0) | 出版 雑誌
2009年07月08日

アマゾン“Kindle”の次の一手,広告付きの無料電子書籍を提供か?

Tweet このエントリーをはてなブックマークに追加
 米アマゾン(Amazon)が広告付きの電子書籍を画策しているようだ。

 MediaPostによると,Amazonが広告付き電子書籍の特許を出願していたが,同社の特許“ON-DEMAND GENERATING E-BOOK CONTENT WITH ADVERTISING “がこのほど米国特許商標庁から発行された。

AmazonKindleEbookAd.jpg

 また同社からは,INCORPORATING ADVERTISING IN ON-DEMAND GENERATED CONTENT の特許も出ている。オンデマンド印刷コンテンツ(書籍)への広告組み込みも検討しているのだろう。

 Amazonとしては,Kindle向け電子書籍を本格離陸させていくために,できる限り安く電子書籍を提供していきたい。紙の書籍よりもグンと安く電子書籍が購入でき,それも思い立った時に無線ですぐに入手できれば,Kindleで書籍を読もうとする人が増えるはず。

 たとえば,ハードカバー版の“The Roger Federer Story”が24.95ドル(アマゾン価格は16.47ドル)で売られているのに対して,以下のようにKindle版電子書籍が9.99ドルと大幅割引にてAmazon.comで売られている。

AmazonPrice.jpg 

 この割引攻勢もあって,電子書籍リーダーKindleは,2008年に50万台,2009年第1四半期に30万台が出荷されたと言われている。でもまだ,380人の米国人のうち一人しかKindleを所持していない。これからが本番ということだろう。ソニーやサムソン,それにグーグルやアップルなども電子書籍市場に乗り込んだり,あるいは参入準備を進めている。

 そこでアマゾンは,電子書籍に広告を掲載することにより,より安価に販売したり,物によっては無料で電子書籍も配布するかもしれないのだ。電子書籍流通の制空権確保を目指して,アマゾンが次の一手を打とうとしている。


◇参考
・Amazon Patents Detail Kindle Advertising Model(MediaPost)
・Amazon Filings Suggest Ads May Be Coming To E-Books(paidContent.org)
・Amazon Could Offer Free Or Cheap Ad-Supported Kindle E-Books (AMZN)(Silicon Allay Insider)
・6 Reasons Why Ads On The Kindle Don't Work (AMZN)(Silicon Allay Insider)
この記事をブックマーク: このエントリーを含むはてなブックマーク この記事を検索: Google 検索
posted by 田中善一郎 at 13:11 | Comment(0) | TrackBack(0) | 出版 雑誌
2009年07月01日

AOLが世界最大級のオンライン雑誌社を目指す,タイムの紙雑誌リソースに頼らず

Tweet このエントリーをはてなブックマークに追加
 AOLが世界最大級のオンライン雑誌社に変身するかもしれない。 

 ダメ会社の代名詞的存在となり,Time Warner のお荷物部門に転落していたAOL。とうとうTime Warner からも見捨てられ,独立した株式会社として再スタートすることになった。 

 正直なところ,AOLなんて過去の会社と思って無視していたのだが,意外にもおもしろい展開を見せ始めている。まず今年3月にトップが変わった。AOLの会長兼CEOに,Google副社長(広告担当)のTim Armstrong氏が就任したのだ。そこで動いた。バーチカルな分野のオンライン雑誌(オンラインサイト)を数多く擁した,世界最大級のオンライン雑誌社を目指す。そのためにMediaGlowのブランド名を冠したサイト(ベーター版)を立ち上げている。

MediaGlow.jpg

 ここで注目したいのが,Time Warnerとの関係である。Time Warnerといえば,世界最大級の雑誌部門(TimesInc.)を持ち,PeopleやFortuneなどの有力雑誌を多く発行している。こうしたTime Warnerの強力な雑誌ブランドやリソースを活用して,新生AOLの再出発に弾みをつけることも考えられたはず。

 ところが,Time  Warnerのリソースに全く頼らない戦略を選んだ。オンラインに特化した専門出版社として飛躍してていくためには,紙文化と決別するのも必要かも。紙雑誌の組織(人的リソースも含む)や文化(価値観)を引きずった形で,オンラインメディアを成功させるのは非常に難しいからだ。

 実は,AOLはオンライン出版で先手を打っていた。2005年に「米AOL,ブログ専門出版社のWeblogsを買収」していたのだ。まだ萌芽期にあったブログ出版社を,時代の流れから遅れつつあったAOLが買収したので,当時,驚いた覚えがある。そのWeblogsがら出ているEngadget や Joystiq,Autoblogなどは世界的に有名なブログブランドに育ってきている。Weblogが持ち込んだオンライン出版手法がAOLで根付き,ニッチな分野のターゲットオンラインマガジン(サイト)が生まれてきている。さらに外部のブログサイトの買収にも乗り出している。

 MediaGlowのサイトにアクセスすると,以下のような79タイトルのオンライン出版が既に並んでいる。狙いは,それぞれのターゲット分野でナンバーワンになることだ。すでにcomScoreの調査によると,Asylum(男性向けライフスタイルのオンラインマガジン)をはじめとする9タイトルが,各分野におけるナンバーワンサイトになっている。

MediaGlow1.jpg
MediaGlow2.jpg
MediaGlow3.jpg

 新しいサイトとして加わったPolitics Dailyも,MediaGlowの勢いを象徴している。新興の政治専門ニュースサイトPolitico(こちらで紹介)を,Politics Dailyがユニークユーザー数で一気に追い抜いたからだ。

PoliticsDaily.jpg



 こうした細かくセグメント分けしたオンライン出版の集合体であるMediaGlowは,集客数を急伸させている。comScoreの5月調査によると,月間ユニークユーザー数が7600万人に達した。ページビューも,今年1月の古いデータであるが,月間70億ページビューと1年前に比べ47%も増えている。

 現在約300人のスタッフがMediaGlowのサイトの運用に携わっており,それに加えて同じ300人ほどのフリーランサーと契約している。過去6ヶ月間に,Associated Press, Washington Post, USA Todayなどのジャーナリストを50人ほど雇った。外部のオンライン出版社の獲得にも力を入れる。最近では,Patch Media と Going Inc.の2社を買収した。ともにローカルコンテンツの専門出版社である。

 どうも,紙媒体のリソース(人材やコンテンツなど)に頼らないで,自分たちのオンライン出版のために本当に必要なリソース(人材や,時にはオンライン出版物まるごと)を外部から調達したほうが良いということか。
 



◇参考
・Here Comes The AOL Blog Rollup (TWX)(Silicon Alley Insider)
・AOL Buys Two Local Content Sites(NYTimes.com)
・AOL Cracks Web Publishing -- Sans Time Warner(AdAge)
この記事をブックマーク: このエントリーを含むはてなブックマーク この記事を検索: Google 検索
posted by 田中善一郎 at 11:25 | Comment(0) | TrackBack(0) | 出版 雑誌
2009年06月15日

開花する電子書籍市場,本命Amazonに挑むScribd

Tweet このエントリーをはてなブックマークに追加
SimonSchusterScribd.jpg

  電子書籍市場で足場を固めつつあるAmazonに対して,文書ストアを開設したScribdが挑戦する。

  このほど,そのScribdが出版社Simon & Schuster(CBSの一部門)と提携し,Simon & Schusterが発行している書籍のデジタルコピーを文書ストア“Scribd Store”で販売することになった。約5000タイトルを売ることになっているが,中にはStephen King, Dan Brown,それにMary Higgins Clarkなどのベストセラー作家の作品も含まれる。

  文書ストアScribd Storeは,文書共有サービス(Scribd.com)をベースにして先月に開設されたばかりの文書マーケットプレイス・サイトである(こちらを参照)。出版社を含む企業から個人までの誰もが,小説やレポートなどを販売できる。

 ところで文書ストアの土台となるScribd.comは,誰もが勝手に投稿できる無料の文書共有サイトであった。文書版YouTubeのようなサービスであったため,月間ユニークユーザーが6000万人も集まる人気サイトに育ったものの,やはりYouTubeと同様に不法コピーの投稿で問題を引き起こしていた。被害を受けた出版社や著者との間で,ゴタゴタが絶えなかったのだ。

 そこで,Scribd Storeの開設に合わせてScribdは,不法コピー対策に乗り出している。たとえば,Simon & Schusterの書籍コンテンツの不法コピーが投稿されていないかを監視し,見つかれば直ちに不法コンテンツをサイトから取り除くようにしている。

 このScribd StoreをAmazonのKindle e-book storeの対抗馬と言うには,まだ時期尚早かもしれない。だが米国の出版社のなかには,Kindle e-book storeに対抗する販売チャンネルとしてScribd Storeに期待を寄せているところも少なくない。それは,出版社側でAmazonに対する不満がくすぶっているからのようだ。

 Amazonは,電子書籍の業界標準としてKindleを定着させるために,Kindle版書籍の販売価格を低く設定している。つまり,電子書籍の販売価格のコントロール権をAmazonが握っており,出版社が自由に販売価格を設定できないでいるようだ。Kindle版書籍が安く売られているため,出版社にとって収益性の低いビジネスとなっているのでは。

 一方のScribdは,出版社が自由に販売価格を設定できるようにしており,さらに販売売上の80%を出版社に分配する。出版社としては,かなり好条件である。また,販売コンテンツをDRM保護にするかどうかも出版社が決めることができる。


 すでに,Simon & Schusterの書籍コンテンツの幾つかが,Scribd Storeでも販売されていた(文頭のスナップショットを参照)。そこで,Kindle版と販売価格を比較してみた。例として,Jodi Picoult著の小説“Second Glance”を取り上げる。 

 Scribd Storeでは,12.8ドルでダウンロード購入ができる。パソコンだけではなくて,Sony Readerやスマートフォン/ケータイなどでも閲覧できる。また驚くことに,433ページのうち377ページ分を無料で立ち読みができる(続くで,サンプルを貼り付けておく)


ScribdSecondGlance.jpg


 同じ小説のKindle Editionが,AmazonのKindle e-book storeで7.99ドルで売られていた。Scribd Store価格よりも4.8ドルも安い。電子書籍端末KindleかiPhone(Kindle版書籍閲覧用アプリを使用)が必要となる。

AmazonKindleSecondGlance.jpg


 Scribdは,販売提携の件で大手出版社と交渉中という。出版社はScribd Storeを好意的に見ているものの,電子書籍の販売チャンネルとして,Kindle版を切り捨てることは難しいのではなかろうか。となると,やはりAmazonの優位性は崩れないかな。






◇参考
・Scribd Signs Deal with Simon & Schuster to Showcase and Sell Thousands of eBooks and Printed Titles(プレスリリース)
・Simon & Schuster to Sell Digital Books on Scribd.com(NYTimes.com)
・Publisher warms to Scribd store(AP)
・文書共有サイト“Scribd”,マーケットプレースでマネタイジングを(メディア・パブ)

続きを読む
この記事をブックマーク: このエントリーを含むはてなブックマーク この記事を検索: Google 検索
posted by 田中善一郎 at 07:47 | Comment(0) | TrackBack(0) | 出版 雑誌
2009年05月22日

電子書籍端末「キンドル」のユーザー,大半が中高年者なのか

Tweet このエントリーをはてなブックマークに追加
  Amazonの電子書籍端末「キンドル(Kindle)」に飛びついているユーザーは,どうも大半が中高年者のようだ。

  Kindleの出足は,これまでの電子書籍端末と違って,きわめて順調であるという。Citiも昨年だけで既に50万台が売られたと見ている。さらに,先日のKindle DXの発表時にAmazon CEOのJeff Bezosが,現在Amazon.comで販売された書籍の35%がKindle版であることを明らかにした。驚くべき割合だ。またPiper Jaffrayの予測によると,Kindle関連(Kindle端末+Kindle版出版物)の売上が,2009年に4億500万ドル,2010年に10億ドル近くに達するという。

KindleRevenue.jpg

  Amazon.comのKindle Communityも盛り上がっている。マニアックなKindle中毒者が多そう。そのコミュニティーでAverage Kindle Owner's Ageと称する興味深いフォーラムが,4月から立ち上がっている。そのフォーラムで次のようなメッセージがポストされていた。
I just completed a survey of Kindle users (largely on this forum, though other places as well). Age correlates, in a positive direction, to ownership - up to the age of 60. The largest percentage of Users, at almost 30% are in the 51-60 year old age category. 24% are 41-50, 19% 31-40 and 16% are 61 plus. I am still processing results, but thought I would crunch these quickly as this is clearly a popular question in the forum. I'll share other demos when I process them (preview: 66% of you are women).
Kindle所有者の年齢分布を次のようにまとめている。
61歳以上:16%
51-60歳:30%
41-50歳:24%
31-40歳:19%

 Kindle所有者のほぼ半数が50歳以上である。所有者の70%が41歳以上となる。フォーラムを拾い読みしても,中高年者が目立って多いのは確かだ。

 Kindleの持ち主は,頻繁に書籍を購入する中高年の読書家が多いようだ。ベストセラーを含む新刊書が数多くKindle版でも販売されており,その多くが紙の書籍よりも安いディスカウント価格で買える。熱心な読書家ならば,興味のある新刊書をすぐにでも手に入れたい。Kindleを持っていれば,欲しいと思った時にすぐにデジタル版の書籍を入手できるわけだ。それも紙の書籍よりも安く購入できるとなれば嬉しい。Amazonで売れる書籍の35%がKindle版というのも,なんとなく理解できる。

 でも一方で,たまにしか書籍を購入しない若者の多くは,わざわざKindleを持とうとしないかも。ケータイやスマートフォンで済ませてしまうのだろうか。



◇参考
・Kindle Joins Hybrid Solution for News(PointerOnline)
・Kindle users skew older; does that impact news biz’s revenue hopes?(The Nieman Journalism Lab)
・Kindle Books Now A Shocking 35% Of Sales When Kindle Version Available (AMZN)(Silicon Allay Insider)
・Will Digital Books Turn Paper Books to Kindle-ing?(eMarketer)
・Citi Says Amazon Sold 500,000 Kindles Last Year; $1.2 Billion Business Next Year(MediaMemo)

この記事をブックマーク: このエントリーを含むはてなブックマーク この記事を検索: Google 検索
posted by 田中善一郎 at 07:48 | Comment(0) | TrackBack(0) | 出版 雑誌
2009年05月05日

3大ビジネス誌のBW,Forbes,Fortuneも苦境に

Tweet このエントリーをはてなブックマークに追加
 構造的な不況業種となってきた新聞や雑誌の紙媒体業界。米国の3大ビジネス誌のBusinessWeek, Forbes, それに Fortuneも例外ではない。その3大雑誌がしのぎを削っていたビジネス雑誌市場に乗り込んできたCondé Nastのビジネス誌“Portfolio magazine”も、創刊2年にして敢え無く休刊することになった。

 老舗の3大ビジネス誌の現況を24/7Wallstがまとめていたので、紹介する。

*BusinessWeek(1929年創刊)
・2008年の広告ページ数が前年比16%減。
・2009年の広告ページ数が4月末までで63%減
・編集と管理の総スタッフが220人以上。営業スタッフは含んでいない。
・Webサイト(Businessweek online)の広告売上高が、2008年はわずか3000万ドル。

*Forbes(1917年創刊)
・2008年の広告ページ数がほぼフラット。
・2009年の広告ページ数は、現在まで38%減。最新号は65%減。
・競合2誌に比べオンライン事業が強く、オンラインの年間売上が7000万ドルから8000万ドルの範囲であるが、最近の不況で成長が止まっている。


*Fortune(1930年創刊)
・2008年の広告ページ数は17%減。
・2009年の広告ページ数はこれまで19%減。最新号は前年同期号と比べて33%減。
・今年は700万ドルから800万ドルの損失か


 広告の急回復が期待できそうもないだけに、いずれも台所事情は厳しそう。特に多くのスタッフを抱えているBusinessWeekのさらなるレイオフは避けられないのでは


◇参考
・The Sun Sets On BusinessWeek, Forbes, And Fortune(24/7Wallst)
・鳴り物入りで創刊したCondé Nastのビジネス誌“Portfolio”、ついに息絶える(メディア・パブ)
タグ:雑誌

この記事をブックマーク: このエントリーを含むはてなブックマーク この記事を検索: Google 検索
posted by 田中善一郎 at 15:47 | Comment(0) | TrackBack(0) | 出版 雑誌
2009年04月28日

鳴り物入りで創刊したCondé Nastのビジネス誌“Portfolio”、ついに息絶える

Tweet このエントリーをはてなブックマークに追加
PortfolioTheEnd.JPG

  1か月ほど前の記事で 「Condé Nastが一昨年満を持して創刊したビジネス誌“Portfolio magazine”も、4月号は広告が21ページしかない総計106ページの薄っぺらい雑誌となっている」と伝えたばかりであったが・・・。

 Condé Nastは、the New Yorker, Vogue, Vanity Fair, GQ 、Wiredなどの個性ある有力雑誌を発行している名門出版社。そして、3大ビジネス雑誌のFortune、 Forbes、 BusinessWeekの一角に食い込もうと、2年前に鳴り物入りで創刊したビジネス誌が“Portfolio magazine”であった。同時にWebサイトPortfolio.comもスタートさせた。だが、大不況の大波をかぶり、広告が振るわず、2年間の短い命を絶つことになったのだ。

 雑誌をほとんど読む機会がなかったが、Portfolio.comの記事は何度か参考にさせてもらった。記事もWebのデザインもスマートで気に入っていただけに、残念である。Portfolio.comはひとまず閉めるが、The Portfolio Insider と称するコミュニティー指向のサービスを始める予定である。

 ちなみにPortfolio magazineの発行部数は40万部とも45万部とも言われていた(実売部数はもっと少ないと思うが)。80人以上のスタッフが職を失うことになる。また同社は2ヶ月前にライフスタイル誌のDomino(こちらで既報)を休刊させたばかりである。ニューヨークの名門新聞社(NYTimes)も名門出版社(Condé Nast)も大変だ。


◇参考
Portfolio Magazine Shut, a Victim of Recession(NYTimes.com)


タグ:雑誌

この記事をブックマーク: このエントリーを含むはてなブックマーク この記事を検索: Google 検索
posted by 田中善一郎 at 18:19 | Comment(0) | TrackBack(0) | 出版 雑誌
2009年04月20日

オンラインシフトで成功した技術出版社IDG、景気後退にもかかわらず売上伸ばす

Tweet このエントリーをはてなブックマークに追加
IDGAdnet.JPG

  大手の技術系出版社のIDGが、景気後退にもかかわらず売上を伸ばしている。オンラインシフトが軌道に乗っているため、逆風の中でも収益を増やしているようである。

 創業者であり、今も会長として陣頭指揮を執るパトリック・マクガバンPatrick McGovern(71)が、MediaShiftのインタビューに応えていたので、興味深い発言をまとめておく。

 その前に、IDGの業績と最近の戦略について。
・2008年の年間売上高:32億ドル
・世界で運用中のWebサイト:450サイト以上
・オンライン売上比率:総売上の48%
・ IDGTechNetworkの月間ユニークビジター数:平均4000万人
 
 IDGの大きな戦略転換としては、2007年にオンライン事業を最優先に置いたことがある。その象徴的な決定の一つが、旗艦メディアのInfoWorldをオンラインオンリーとしたことだ。

 以下は主なQ&A。
Q:オンライン優先の今後
A:この3年間で、オンライン売上比率が35%から48%にアップした。2010年には、オンライン売上を50%、プリント(雑誌)売上を35%、会議/イベント売上を15%にする。景気後退期なので、イメージ/ブランド広告よりも、パフォーマンス志向の広告が増える。見込み客獲得のための「lead generation」に特に力を入れていく。

Q:InfoWorldを雑誌からオンラインオンリーへの切り替えで何を学んだか。
A:オンラインならではの表現手法を開発。その一つに、アニメを利用したInfoClipz(たとえばGreen Technology)などがある。雑誌を休刊することにより売上を40%ほど失ったが、オンラインユーザーが増えて結局は売上を10%も伸ばすことになった。

Q:IDG TechNetwork の展開について。
A:現在、Webサイトやブログが153サイトも参加している。有力ブログのGigaOmも仲間に入った。ターゲット化したアドネットワークとして、広告売上が急増している。参加サイトコンテンツの品質テストを実施しており、われわれの品質テストにパスしなかったサイトは仲間から外す。

Q:コンテンツの60%がUGC( user-generated content)であるが、今後UGCの割合をもっと増やしていくのか
A:仕事向けのB2Bメディアの場合は、読者の多くが専門知識を持っているので、彼らと経験を共有することは重要。UGCは拡大していくだろう。

Q:景気後退の影響は
A:雑誌(プリント)事業の広告は20%ダウンした。 lead generationビジネスは30%〜40%も急成長した。そのため全体では、売上を8〜10%ほど増やせた。オンライン広告もCPMタイプ広告は3〜4%の伸びに留まっている。つまりページビュー依存の広告が伸び悩んでいる。しかし我々はcost-per-lead (CPL)に力を入れてきたので、 売上を伸ばすことができた。



◇参考
・How Tech Publisher IDG Grows Revenues During Recession( MediaShift)
・InfoWorld Leads Way as IDG Goes Head-First on Web( MediaShift)
・伝統メディアの垂直アドネットワーク,ポータル系巨大ネットへの従属嫌う(メディア・パブ)
タグ:雑誌

この記事をブックマーク: このエントリーを含むはてなブックマーク この記事を検索: Google 検索
posted by 田中善一郎 at 00:31 | Comment(0) | TrackBack(0) | 出版 雑誌
2009年03月30日

米雑誌の広告売上、2011年までマイナス成長が続くのか

Tweet このエントリーをはてなブックマークに追加
  新聞の休刊ほど社会に与える影響は大きくないかもしれないが、雑誌の休刊ラッシュも悲しい。米国では2008年に525タイトルの雑誌が休刊したが、今年に入って87タイトル以上の雑誌が消えてしまった。

  米国の雑誌は新聞と同じく、広告売上に大きく依存しているため、休刊ラッシュも仕方がない。景気減速により広告が急減しているためだ。例えばCondé Nastが一昨年満を持して創刊したビジネス誌“Portfolio magazine”も、4月号は広告が21ページしかない総計106ページの薄っぺらい雑誌となっている。

  eMarketerがコンシューマー向け米雑誌の広告費を次のように予測している。2007年から2011年まで、長期的なマイナス成長が続くと見ているのだ。今年2009年は109億ドルと、前年比 16.2%減の厳しい予測が出ている。

USConsumerMagAd2009a.jpg
(ソース:eMarketer)

 
 米国の雑誌社も、オンライン事業に力を入れ始めている。新しい収益源としてオンライン広告収入に期待しているのだが、プリント(雑誌)広告収入と比べるとまだまだ少ない。以下は、米主要雑誌社のオンライン広告売上ランキングである。Advertising Ageのデータをベースに、eMarketerが作成したグラフである。

USMagazine2009a.jpg
(ソース:Advertising Age)

  トップのTimes社のオンライン広告売上は、2008年が2億4500万ドルであった。これは、同社の全広告売上の10%である。オンライン広告売上が全広告売上の10%以上占めている出版社は、Timesを除くとMartha Stewart Living Omnimediaだけである。オンライン事業に牽引役を期待するのは難しそう。

  プリントメディアの新聞社や雑誌社の前途は厳しい。
 

◇参考
・Magazines Run Online(eMarketer)
タグ:雑誌 広告

この記事をブックマーク: このエントリーを含むはてなブックマーク この記事を検索: Google 検索
posted by 田中善一郎 at 00:11 | Comment(0) | TrackBack(0) | 出版 雑誌
<< 1  2  3  4  5  6  7  8  9  10  11  12  13  14  15  16 >>
Powered by Seesaa
Seesaaブログ
新着記事
(10/17)激しく責め立てられる「…
(09/19)動画配信のソーシャル系…
(09/11)SNS上のニュースは不正…
(07/28)勢いが続く「LINE」「In…
(06/30)TVニュースだけではなく…
(06/15)ニュースユーザーのFB離…
(06/01)高年層のSNS利用が増え…
(05/21)金融新聞「FT」までがFB…
(05/06)米ニュースメディアが相…
(04/16)モバイル広告市場を牽引…
(04/10)FBのアルゴリズム変更後…
(03/14)紙の「雑誌ブランド」は…
(02/07)「メディア」も「プラッ…
(01/30)国民の信頼が最も低い米…
(01/21)メディアに好かれる「グ…
(12/21)若いミレニアル世代ほど…
(12/08)世界の全広告費の25%を…
(11/28)デジタル売上8億ドルの…
(09/28)「グーグル」と「FB」が…
(09/07)FBに頼る海外のニュース…
カテゴリ
RSS配信 ブログ(202)
マーケティング 広告(339)
新聞 ニュース(702)
出版 雑誌(319)
TV  ビデオ ラジオ(277)
ポータル サーチエンジン(179)
メディア(94)
ケータイ モバイル(115)
市場(144)
その他(47)
日記(1)
Web2.0 SNS CGM(312)
ネットワーク(30)
ビッグデータ AI(4)
過去ログ
記事検索
 
プロフィール
名前:田中善一郎
E-mail:ztanaka@excite.co.jp
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。