「ザガットサーベイ東京のレストラン 2008」(¥1,680)と「MICHELIN GUIDE東京 2008」(¥2,310)
ミシュラン狂騒も少しは落ち着いてきたようだが,日本人のブランドや権威に相変わらず弱いところを露呈したようだ。東京版で三つ星レストランを8店も献上し,日本人のブランド信仰につけ込むビジネスはさすがである。
「MICHELIN GUIDE東京 2008」は六本木の書店でもすぐに完売。店頭には1ヶ月前に出た2008年版「ザガットサーベイ東京のレストラン」が寂しく山積みされていたのが印象的だった。世界の大都市のレストランガイド本では,
ZAGATはMICHELINの対抗馬とされているが,ブランド力では相手にならないのかも。
Googleによる検索件数では,日本語サイトも英語サイトも,以下のようにミシュラン(Michelin)がザガット(ZAGAT)に圧勝していた。
*Google(日本語)
ミシュラン:2,400,000件(ザガットの16.4倍)
ザガット:146,000件
*Google(英語)
Michelin:26,800,000件(Zagatの11.2倍)
Zagat:2,390,000件
ところで,ミシュランはプロの調査員だけで審査しているのに対し,ザガットは食通の一般消費者の投票をベースに審査している。ミシュランが権威あるマスメディアとすれば,ザガットはユーザー作成コンテンツのソーシャルメディアなのかも。ザガットは世界中に30万人の一般調査員を抱えているという。となれば,権威のミシュランよりもユーザー参加型のザガットを応援したくなるのだが・・・。
そこで,ブログの世界ではミシュラン一辺倒になっていないのではと期待し,ブログ検索エンジンのTechnoratiで調べてみた。同じように,ミシュラン(Michelin)とザガット(ZAGAT)を検索してみた。検索件数は次のようになった。
*Technorati(日本語)any authority
ミシュラン:31,230件(ザガットの38倍)
ザガット:822件
*Technorati(全言語)any authority
Michelin:33,420件(Zagatの6.6倍)
Zagat:5,083件
*Technorati(英語)any authority
Michelin:12,598件(Zagatの3.6倍)
Zagat:3,470件
日本では,ミシュラン狂騒の真っ直中の時期だし,ブランド好きの若者が多いだけに,ミシュランを取り上げるブログが多いのも仕方がない。だが,外国語ブログでは,MichelinとZAGATの検索件数差が意外と大きくない。英語ブログでは,かなり接近している。
さらに,Google Trendで調べてみた。Google検索エンジンでのクエリのトレンドをグラフ表示してくれるサービスである。米国ユーザーによるMichelinとZAGATのクエリ回数の推移は,次のようになった。
クエリの回数比では,ZAGATはMichelinの約半分と健闘している。次に都市別でチェックしてみた。何と,ニューヨークではZAGATはMichelinよりも2倍以上検索されていたのだ。
Michelinがニューヨークに上陸した(NY版Michelinを発行した)時に,ZAGATで高ランキングのレストランをことごとくNY版Michelinが星なしに評価し,ニューヨークっ子を怒らしたことがあった。もともと,ZAGATはニューヨーク生まれだけに,ZAGATの人気は高い。NY版Michelin(2007年版)の販売部数が15万部と予想されているのに対し,NY版ZAGAT(2007年版)は65万部の販売が見込まれている。ニューヨークではZAGATの圧勝である。
“Zagat 2008 New York City Restaurants (Zagatsurvey: New York City Restaurants) ”($15.95)と“Michelin Red Guide 2007 New York City: Restaurants & Hotels”($16.95)
◇参考
・
How Do You Dine? User-Generated (Zagat) vs. Expert-Driven (Michelin)(Buzz Canuck)
・
Michelin, Zagat in dining guide duel (AP)
・
「ミシュランガイド」と「ザガットサーベイ」(nikkei BPnet)
posted by 田中善一郎 at 16:46
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