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2010年01月18日

NYタイムズ,オンラインサイトの有料化を決定した模様

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 The New York Times (NYタイム)がついに,オンラインサイトの有料化実施を決定したようだ。

 New York Magazineの Gabriel Shermanが伝えたところによると,Financial Timesサイトと似た課金方式を採用するという。つまり,メーター方式を取り入れる。一定本数の記事は無料で閲読できるが,それ以上の記事は有料になる。

 有料化実施については社内でも激しい議論が続いていたが,とうとう経営層が決断したようだ。近く有料化を発表し,数ヵ月後に実施すると見られている。

 参考までに,現在のFinancial Timesサイトの有料購読の仕組みを以下に示す。
 登録者は30日間に10本までの記事を無料で閲読できる。それ以上の記事を閲読したい場合は,標準のサブスクリプション(週当たり3.59ドル)などを申し込まなければならない。

FT1001.jpg


◇参考
New York Times Ready to Charge Online Readers(New York Magazine)



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posted by 田中善一郎 at 07:56 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース
2010年01月15日

マードック傘下の新聞サイト,いよいよ有料購読サービスを開始

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SouthCoastToday.jpg


 マードックが打ち上げた「新聞サイトの有料化宣言」に従って,いよいよ実施する段階に入ったようだ。

 米国でその口火を切ったのがマサチューセッツ州の新聞The Standard-TimesのサイトSouthCoastToday.comである。2010年1月12日から課金の壁(Pay Wall)を設け,有料購読サービスを始めたのだ。同紙は,Dow Jones Local Media Groupの一部門であるSouth Coast Media Groupによって発行されており,News Corpration傘下の新聞である。The Wall Street Journalは別にすれば,News Corpration傘下の新聞サイトもこれまで原則無料であったが,マードックが今後無料サイトを有料化にしていくと広言していた。

 同サイトでは毎月10本までの記事が無料でも閲読できるが,それ以上の記事の購読は有料となる。$3.56 for new subscribersが課せられる。また国際ニュースや国内ニュース,天気予報などの記事は無料でアクセスできるが,ローカルニュースや死亡記事,アーカイブ記事などは有料化している。


◇参考
・Mass. paper begins charging Web fee(NEWS&TECH)
・Massachussets paper to charge for online news(editorsweblog.org)
・Important Notice to Standard Times Subscribers(The Standard-Times)
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posted by 田中善一郎 at 07:25 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース
2010年01月05日

新興新聞社Politico,創刊3年目で早くも黒字達成へ

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  新興の新聞Politicoが,2009年決算で黒字化を達成しそうだ。これは,ブログPaid Content(paidContent.org)のスクープである。

 その記事によると,SEC資料から判断してPoliticoの2009年の売上が2000万ドルを超え,黒字化を達成するという。以下の表のように,2009年度の3四半期(2009年の9ヶ月間)の売上(Operating revenues:online+print)が1859.8万ドルで,営業利益が90.1万ドルとなっている。

PoliticoEarnings2009.jpg


 07年1月に創刊した新興新聞が,3年目に黒字を達成するとは凄いことだ。広告不況真っただ中での快挙である。また同じ新興新聞のHuffington Postも2009年は黒字化を達成しそうである。これに対し,多くの伝統新聞は崖っぷちに立たされ,今年に入っても回復しそうもない。2009年は,日が昇る新興新聞と日が沈む伝統新聞の明暗を浮き彫りにした年であったのかもしれない。

 Politicoについては,以前の記事で紹介したので,ここでは簡単に。まずわれわれがいつも目にできるのが,以下のオンライン版のPolitico である。もちろん無料である。

Politico20100104.jpg

 Politicoの特徴は,無料のオンライン版に加えて,タブロイドサイズの新聞“紙”も発行していることだ。この新聞紙は,Capitol Hill と Washington, D.C.の要所でフリーペーパーとして無料で入手できる。サイトでも,以下のように案内されている。

PoliticoinPrintLocation.jpg

 またこのフリーのタブロイド紙は,発行日の早朝にワシントンDCに構える政治関連オフィスに投函される。この結果,たとえば議員秘書にとっては,議員との朝の打ち合わせで,話のネタとしてPolitico紙が欠かせなくなってきたという。議会やロビー活動などの政治関連ニュースをカバーしたタブロイド紙の内容が,ワシントンで政治に携わる人たち(キーパーソンも含めて)にとって,共通の情報源となってきたのだ。

 こうなると政治がらみの仕事と関わっていてワシントン以外に住む人も,Politico紙を読む必要がでてくる。そこで,ワシントンDCなどでは無料で入手できるPolitico紙を有料で販売したのである。購読料は国内読者が年間200ドルで,海外読者は年間600ドルとなっている。議会の開催中は毎週3回(火,水,木曜日)発行し,それ以外は火曜日の週1回だけ。

 広告不況を乗り切れたのは,この有料Politico紙の販売売上があったからである。冒頭の表で示したように,今年の3四半期のオンライン売上(オンライン広告売上)が735万ドルに対し,プリント売上(Politico紙の販売売上が中心)が1125万ドルとなっている。今後は月間ユニークユーザー数が700万人に達するというサイトでのオンライン広告売上が伸びていきそうだ。

 guardian.co.ukによると,Politicoの社員数は77人と少人数である。また同じく2009年に黒字化するとされているHuffington Postのフルタイムの社員数は,LA Timesによると89人である。少数精鋭でローコスト経営を実施している新興新聞社が,2010年はさらに飛躍しそうだ。


◇参考
・Politico Crushing It On Revs, Profits In Fiscal ‘09; Changes Ownership Structure(paidContent.org)
・Huffington Post and Politico set to make 2009 profit(guardian.co.uk)
・Huffington Post estimated to bring in $12 - 16 million this year(editorsweblog.org)
・NY Daily NewsとPolitico,人気急上昇の米新聞社サイト(メディア・パブ)
・新興新聞の記事を後追いする伝統新聞(メディア・パブ)
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posted by 田中善一郎 at 11:24 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース
2010年01月03日

元旦の新聞紙のトップページは華やかだが・・・

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 元旦に新聞紙のトップページを眺めてみた。便利なことに今やインターネットで,世界中の新聞紙の第1面が無料で閲覧できる。元旦の新聞はやはり華やかである。

 でも数年後には,閲覧できる新聞がぐんと減っているのでは・・・。特にアメリカでは,多くの新聞紙が消え去っているかもしれないからだ。

2010NewYearNewspaper.jpg

 NYタイムズ紙やLAタイムズ紙,ワシントンポスト紙などの有力新聞までが膨らむ赤字で苦しんでいる。ボストングローブ紙にいたってはひん死の状態である。米国の新聞社を支えてきた広告売上が長期低落し回復の見通しが立たないだけに,延命させるにはとりあえず経費を削減するほかない。ということで,以下のように新聞社はこぞって記者などの社員を減らし続けているいるのである。

NewspaperJobs.jpg

 昨年(2009年),アメリカでの新聞の発行部数は14%近くも減った。西欧や日本などの先進国でも,新聞は構造的な不況業種となってきた。だが世界全体で見ると,新聞は必ずしも斜陽産業とは言い切れない。世界の新聞発行部数が昨年は1.3%も増えているのだ。過去5年間で見ると,9%も発行部数が増えてきているのである。

 World Association of Newspapers and News Publishers (WAN-IFRA)の調査では,約100ヶ国で新聞の発行部数が増加している。そして世界の19億人が毎日、有料新聞を購読している。地球上に住む人の34%にリーチしているのだ。「世界経済=G7国の経済」ではなくなってきた昨今,地球レベルで見れば新聞は斜陽でないかも。インドは日刊紙の発行部数が1億700万部に達し,世界最大の新聞市場になったという。

 そこで,これからの世界経済をけん引するであろう中国,インド,ブラジルそして資源大国オーストラリアの元旦新聞のトップページも眺めてみよう。

*オーストラリア(左上),インド(右上),中国(左下)、ブラジル(右下)
Newspaper2010NewYear.jpg

 でも,BRICsやVISTA(Vietnam、Indonesia、South Africa、Turkey、Argentina)で新聞紙の発行部数が増え続けていくと,紙資源問題が生じそう。そこでこうした国で,安価なタブレットPCをリーダーとした電子新聞が普及すればおもしろいのだが。


◇参考
・世界57カ国の新聞574紙,毎日のトップページがPDF形式で無料閲覧できる(メディア・パブ)
・Will the news survive?(MarketWatch)
・Newspaper sales highest in India, China and Japan: WAN-IFRA(hindustantimes)
・India emerges largest newspaper market in the world:WAN-INFRA(Suni Systems)
・3年後にも登場する75ドルのタブレットPCとは(メディア・パブ)
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posted by 田中善一郎 at 01:19 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース
2009年12月31日

新聞サイト,広告メディアとしての相対的価値が低下している

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 新聞サイトの広告メディアとしての価値が相対的に低下している。以下のグラフがはっきりと示している。

NewspaperSiteAd.jpg

 広告不況が長引く中で,これまで高度成長が当たり前であったインターネット広告までがマイナス成長に陥っている。その中でも,ひときわ落ち込みが大きかったのが新聞サイトであったのだ。上のグラフは米新聞協会(NAA:Newspaper Association of America)と米インターネット広告協会(IAB: the Newspaper Association of America)のデータをベースに,四半期別オンライン広告売上の年間成長率を示している。




◇参考
・Newspapers' Online Strategies Failed In 2009(MediaDailyNews)
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posted by 田中善一郎 at 23:59 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース
2009年12月28日

グローバル市場で勢い増すGoogle News

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 米英の有力ニュースサイトはグローバル展開で勢いづいているようだ。

 先週,comScoreがTechCrunchを介して公開した大手ニュースサイトのユニークユーザー数は興味深い。これまで米国内のユーザーを対象にしたデータは毎月発表されていたが,以下のように世界のユーザーを対象にしたユニークユーザー数が公表されることはあまりなかった。 


comScoreNewsSite0911.jpg
(TecCrunchより)

 上のグラフで目を見張ったのは,Google News Searchが、この1年間で月間ユニークユーザー数を6000万人から1億人に大幅に増やしたことだ。もう一つ驚いたのはNew York Times Digitalの月間ユニークユザー数が,09年11月には9200万人に達していることである。ただしNYT Digitalとなっているので,NYTimes.com以外のサイトのユーザー数も含まれているのだろう。ともかく米国以外に多くのユーザーを抱えているのは間違いない。米英の有力ニュースサイトは海外展開できる強みを備えている。
 
 いい機会なので,米国の主要ニュースサイトが米国内の月間ユニークユーザー数をどれくらい得ているかを,nielsenおよびcompeteのデータで示しておく。

●主要ニュースサイトのユニークユーザー数(2009年11月)
NewsSiteWorldUS.jpg

世界と米国のデータが,同一の調査会社でないのが残念である。記憶がおぼろげであるが,NYT Digital(NYTではない)の米国内ユニークユーザー数が4000万人を超えているというデータを見たことがある。


●米国のユニークユーザ数(Nielsen調査)
Newssite09NovNielsen.jpg

●米国にユニークユーザー数(compete調査)
NewsSitecompete0911.jpg



◇参考
・世界ではCNNよりGoogleニュースの方が訪問者が多い(1位はYahooニュース)(TechCrunch JAPAN)
・Yahoo Top News Site, Google Second; People Spending More Time With Fewer Sites(search engine land) 
・EXCLUSIVE: Growth Stalls at Many Top News Sites in October (Editor&Publisher)
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posted by 田中善一郎 at 07:20 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース
2009年12月20日

LAタイムズもツイッターが大好き,テーマ別や記者別のアカウントが100本以上も

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LATimesTwitter.jpg

  Los Angeles Times(LAタイムズ)も,NYタイムズやウォールストリート・ジャーナル(WSJ)に負けじと,ツイッター利用に取り組んでいる。

 Los Angeles Times on Twitterのページに行くと,Twitterのアカウントがあるはあるは。LAタイムズでは大幅な記者のレイオフが続き,記者も暇じゃないはず。こんなに多くの分野の記者がつぶやいていて,大丈夫なんかしら。でもつぶやく内容はほとんど,自分のカバー範囲の分野に絞っており,情報収集する読者にはありがたく,またマーケティングの観点でも役立つのかも。

 以下に,アカウントのディレクトリーの一部を載せておく。News,Business,Arts & Entertainment,Sports,Opinion & Columns,Multimedia,Livingといった分野をカバーしており,さらにテーマが細分化されている。

LATimesTwitterList0912.jpg


 アカウントはテーマ別と記者別に備わっている。たとえば,LivingのFood分野のアカウントは,次のようにFood分野をカバーしている4人の記者のつぶやきを束ねているが,各記者別のアカウントも用意されている。

LATimesTwitterLiving.jpg

 そこで,テーマ別のアカウントリスト(all accounts by section)と記者別のアカウントリスト( all individual accounts)が備わっており,お好みのテーマや記者のアカウントを選んでフォローできるようにしている。


 米国のメディアの記者も忙しいはずなのに,どうしてこうもツイッターやブログにのめり込んでいる者が多いのだろうか。

 NYタイムズのNicholas D. Kristof氏のような著名な記者だけではなくて,一般の記者も多い。米国の記者は一種の契約社員で,特定の新聞社や雑誌社にいつまでもぶら下がっておれない環境がそうさせているようだ。つまり自分を売り込むために,個人ブランドを高めておく必要がある。そのためには,ツイッターやブログは絶好のツールである。


 LAタイムズのTechBlogの一員であるAlex Pham記者の場合を見てみた。

LATimesTechBlog.jpg

 彼女もまるでブロガーが本業となっているみたいだが,最近はツイッターでも売り込んでいる。最新のブログ記事“A look at the newest digital reader: A pro's take on the Barnes & Noble's Nook”にも,記事の末尾に,次のように自分のツイッターアカウントの案内を付け加えている。

LATimesTwitterIntro.jpg

 またLAタイムズのサイト内には,彼女の経歴(Alex Pham's bio)や,過去記事のアーカイブ(blog posts by Alex Pham)が設けられている。

 さらに外部のGoogle Newsでも,author:"Alex Pham"の検索結果で過去記事を一覧できるようになっている。

 読者もしだいに,特定の新聞の記事を読むよりも,お気に入りの記者の記事を読むようになっているのかもしれない。



◇参考
・The Use of Twitter by America’s Newspapers( The Bivings Report)
・ベテラン新聞記者も,活躍拠点をソーシャルメディアへ(メディア・パブ)
・Google News,新聞ブランドから記者ブランドの流れ(メディア・パブ)
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posted by 田中善一郎 at 12:50 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース
2009年12月16日

NYタイムズ,オンライン事業をバネに復活するか

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 構造的な不況業種となってしまった米新聞業界。米新聞のエースであるNYT社までも,経営危機に追い詰められているのだ。そのNYT社が,09年の第4四半期に入って明るい兆しが見え始めたと,先週のプレスリリースで明らかにした。

 でも今年の第3四半期までの決算を見る限り,厳しい状況から抜け出すのは容易ではないと思っていたのだが。相変わらず広告売上が厳しいからだ。今年の第4四半期のプリント(新聞紙)広告売上高も減り続け,前年同期比マイナス25%と予測している。これでも少しは改善に向かっているとNYT社は見ている。もう新聞紙広告の回復はあまり期待していないということかもしれない。

 これに対して,インターネット広告売上が前年同期比で約プラス10%と予想している。この4四半期,連続してマイナス成長が続いていただけに,これは久々に明るい動きである。

*NYT社の四半期単位のインターネット広告売上高(About.comの広告売上も含まれている。09年Q4は予測値)
NYTInternetAdRevenue09Q4.jpg

 オンライン事業のアクセルを踏んでいたNYTにとって,マイナス成長に落ち込んでいた過去1年間は,悪夢の期間であったはずだ。オンライン事業に傾斜しすぎたせいで,NYTの経営が狂ってきたと責められていたからである。だが,予測通りにインターネット広告がV字回復するならば,オンライン事業で先行しているNYT社は,オンライン事業をけん引役として復活に向かうかもしれない。

 ここで,同社のインターネット売上の推移を再掲載する。大半がインターネット広告が占める。ここにきて,買収していたAbout.comの貢献が大きくなってきた。


*NYT社の四半期別インターネット売上と伸び率(前年同期比):
インターネット売上には新聞サイト以外にAbout.comも含まれている。2009Q4の伸び率は+10%が期待される。

NYTCoInternetRevenue.jpg


◇参考
・The New York Times Company Announces Updated Expectations for 2009(NYT,プレスリリース)
・NYタイムズの二つの異変(メディア・パブ)


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posted by 田中善一郎 at 00:14 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース
2009年12月15日

動きの鈍いマードック陣営に対し,動きの速いグーグル陣営

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 WSJなどの有力新聞を傘下に置くNews Corpのオーナーであるマードック氏は,新聞サイトの有料化を新聞各社に呼びかけている。同時に,新聞サイトのコンテンツを勝手にアグリゲートしているとして,グーグル包囲網も築こうとしている。

 米国の新聞社は,これといった打開策を見いだせずに経営危機に陥っているだけに,マードックの提案する新聞社サイトの有料化やグーグル封鎖を検討している。非常にリスキーな提案だが,みんなで渡れば怖くないと,いったところか。

 ところが現実には,先頭を切ってリスキーな橋を渡りなくないのが本音である。有料化計画を漏らした新聞サイトも,ほとんどがまだ実施していない。また,グーグルサーチで検索させない措置などは比較的容易に実施できそうなのに,どこも動いていない。

 まずWSJが,グーグルに対して何も手を打っていない。先ほどアップしたトップニュースの記事“Citi, Wells to Repay Bailouts”も,Google NewsでCitiで検索すると,以下のように一番目に掲載された。 


*WSJのトップニュース(2009年12月15日12時:日本時間)
WSJ091215a.jpg

*Google Newsの検索結果(Citiで検索)
WSJ091215Google.jpg


 マードックのグーグル封鎖には,MediaNewsやBeloも同調すると手を上げている。そこで,MediaNews Group のThe Denver Postをチェックしてみた。今日のトップ記事Villafuerte withdraws as U.S. attorney nominee(Denver Post)は,以下のようにグーグルの検索エンジンでインデックス化されていた。

*The Denver Postのトップ記事(日本時間12月15日)
DenverPostGoogle1.jpg

*グーグルサーチで検索結果
DenverPostGoogle2.jpg


 米国の新聞サイトは,日本の新聞サイトと違って,検索エンジン経由のトラフィックの依存度が高いだけに,グーグル封鎖に足踏みするのは当然である。

 マードック陣営がもたついている間に,グーグルは米国の有力新聞のNYタイムズ(NYT)とワシントンポスト(WaPo)と組んで,Google Living Storiesプロジェクトに着手した(このプロジェクトについては、こちらで)。

 あたかもNYTやWaPoは,マードック陣営に入らず,グーグルと仲良く手を組んでいく道を選んだように見える。グーグルとしては,こうした協調的な新聞社に対して,できる限り多くのトラフィックを誘導させたい。

 今回の Living Storiesプロジェクトでも,早々とGoogle News(U.S.版)のTop Storiesの枠内から,Living Stories(トピックス)記事へのリンクが張られていた。

GoogleNews091214.JPG

 Google NewsのTop Storiesは多くのユーザーが目にする場所である。そこにLiving Storiesへのリンクを常設しているのだ。Google Newsをカスタマイズしている場合は,以下のようにLiving Storiesへのリンクが張られていた。Living Storiesページを介して,NYTやWaPoのサイトにトラフィックを誘導していく。

GoogleNewsNYTWaPo0912.jpg

 

◇参考
・マードックがグーグルに禁じ手を使うのか,WSJなどのニューズ社の全コンテンツが検索不能になるかも(メディア・パブ)
・マードックのグーグル封鎖,MediaNewsやBeloも呼応(メディア・パブ)
・グーグルが米有力新聞NYT/WaPoと始める「将来のニュース」プロジェクトとは(メディア・パブ)
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posted by 田中善一郎 at 12:57 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース
2009年12月14日

英GuardianのiPhone対応サービス,有料アプリを購入すればコンテンツを無料で

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guardianiPhone.jpg

 英GuardianがiPhone対応サービスを始めた。£2.39(約344円)のiPhone向けアプリケーションを購入してダウンロードすれば,Guardianが提供するニュース,コメント,オーディオ,写真などを無料でスムーズに利用できる。まだビデオは含まれていない。今後,iPhone以外のスマートフォンにも対応していくという。

 iPhoneなどのモバイル向けコンテンツを有料で提供していこうとする動きが出ている一方で,GuradianはPC向けだけではなくてモバイル向けも無料路線を歩むことになった(同社は現在のPC向けニュースコンテンツは今後とも無料で提供していくことを明らかにしているが,これとは別に有料のプレミアムサービスも検討中である)。

 iPhone向けアプリによる案内ビデオを貼っておく。



主な機能は次の通り。
・オフラインで閲覧したり聴くことができる。
・好みの分野やライターの記事にアクセスでき,ホームページのカスタマイズも可能
・高速ダウンロード。たとえば30分のポッドキャストを30秒でダウンロードして,オフラインで聴くことができる。
・写真ギャラリーをフルスクリーンで見ることができる。
 


◇参考
・Official Guardian iPhone app(guardian.co.uk)
・The Guardian iPhone app: FAQ(guardian.co.uk)
・Guardian News & Media Enters Smartphone Arena With £2.39 iPhone App(paidContent:uk)

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posted by 田中善一郎 at 23:59 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース

新聞サイトの有料化で先行したNewsday,ユニークビジター数が21%減る

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 新聞サイトの有料化がうまく離陸するかどうか。その試金石として注目されているのが,ニューヨークのロングアイランドを拠点にする日刊紙Newsdayのサイト(newsday.com)である。

 newsday.comの記事が10月28日から有料化になった。購読料は週5ドルである。コンテンツのほとんどが課金の壁を越えなければ,アクセスできなくなったのだ。そこでトラフィックがどれくらい減るかに関心が集まる。

 ユニークユーザー数がNielsenデータによると,事実上無料期間であった10月は210万人であったのが,有料化に踏み切った11月には170万人に減った。1カ月で21%減った計算になる。ページビュー数で見ると,1カ月の間で34%も減ったという。でも,想定された範囲内の減り方ではなかろうか。トラフィックがどれくらいで落ち着くかは,あと2〜3カ月くらい見る必要がありそう。

 トラフィック減により広告売上高が減ることは覚悟しているはず。少なくとも広告売上が減った分以上の購読料売上高を獲得しなければならないのだが。残念ながら肝心の有料購読者数がNewsdayからまだ公表されていないので,有料化の評価はおあずけか。

◇参考
・Pay Wall Drives Newsday.com Traffic Down, Paper Says According To Plan(MediaPost)
・Early Results from the Newsday Paywall (Columbia Journalism Review)
・新聞サイトの有料化,Newsdayが今日から開始(メディア・パブ)
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posted by 田中善一郎 at 07:37 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース
2009年12月12日

APの今年の10大ニュース,ソーシャルメディアの声を反映

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 恒例の10大ニュースが発表される季節となってきた。APも1936年から毎年,年末にその年の10大ニュースを発表していたが,今年から初めてFacebookの場を使って公衆の声を反映させることになった。

 もっとも巨大なソーシャルメディアといえるFacebook(http://www.facebook.com/APTopStories2009)上で,APの編集者がノミネートした今年のニュースの中から,Facebookユーザーに投票してもらう。

APTopNewsFacebook2009.jpg

 投票は12月17日まで。オバマ大統領就任のほかに,ソーシャルメディアの声を反映してマイケルジャクソンの死が上位に選ばれるのかな。


 ちなみに昨年の10大ニュースは次の通りであった。

*昨年(2008年)の10大ニュース
1. U.S. Election(Barack Obama )
2. Economic Crisis
3. Oil Prices
4. Iraq
5. Beijing Olympics
6. Chinese Earthquake
7. Sarah Palin
8. Mumbai Terrorism
10. Russia-Georgia War


◇参考
・AP asks Facebook users to vote on 2009 top stories(AP)
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2009年12月11日

創刊125年の雑誌'Editor & Publisher'が廃刊,新聞産業を見切ったのか

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  125年の歴史を誇るEditor & Publisher(E&P)誌が,廃刊することになった。 

  米国の新聞産業の動きを追う者にとって,同誌やそのサイトはバイブル的な存在であった。125年間も新聞業界を見守ってきたのに,突然の廃刊とは。まるで,新聞産業を見切ったかのように。

  同誌のサイトでも,廃刊を次のように報じている。

E&PCease.jpg

  E&Pの親会社がThe Nielsen Coであったので,Nielsen Onlineが調べた米新聞サイトのユニークユーザー数ランキングなどはE&Pを通して発表されてきた。メディア・パブでも,E&Pの記事を何度か引用させてもらった(最近ではこの記事)。  


◇参考
・'Editor & Publisher' to Cease Publication After 125 Years (E&P)
・End Of An Era As Editor & Publisher Ceases Publication(HuffingtonPost)
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2009年12月10日

グーグルが米有力新聞NYT/WaPoと始める「将来のニュース」プロジェクトとは

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  NYタイムズ(NYT)とワシントンポスト(WaPo)の米有力新聞が,グーグルと手を組んで,「将来の新聞」をめざした興味深いプロジェクトを開始した。そのプロジェクト名は,Google Living Storiesである。

  このプロジェクトについてグーグルは次のように語っている。
This experiment will be open on Google Labs for the next few months. We are going to refine all aspects of the format using the feedback we receive. Are Living Stories the "future of news"? Maybe. Are all these concepts correct? Probably not. Can this collaboration kick off the debate and encourage innovation in how people interact with news online? We certainly hope so.

  このプロジェクトのコンテンツは,いわゆるトピックス記事である。すでに欧米の新聞社サイトが手掛けているサービスの類である。その代表例がTimes Topicsである。約1万種のトピックス記事を用意している。Wikipedia風記事とニュース記事を足し合わせたようなコンテンツで,外部サイトへのリンクもほとんど制約なしに張られていた。このため,グーグルの検索エンジンなどで主要キーワードを検索すると,Wikipediaの記事と並んでNYTのトピックス記事が上位に掲示されることが多かった。目玉コンテンツに成長すると期待したのだが。

 でも,NYTのトピックス記事は質が低下しているように思える。最近のニュース記事が掲載されていなかったりする。つまりきっちりとサポートされていない。その結果,ページビューも増えなくて,広告売上にもほとんど貢献しなくなったようである。やはりプライドの高い新聞記者にとって,辞書的なトピックス記事の仕事は苦手なようだ。トピックス記事で大成功しているのは,日本のYahoo!ニュースである。トピックス記事のメンテに外部メディアのスタッフを参加させたり,Yahoo!Japanのトップページなどからトピックス記事への誘導の仕方は,見事である。日本のニュースサイト市場でヤフーが独走できたのも,このトピックス記事のお陰とも言える。

 ただしトピックス記事を成功させるには,ニュースアグリゲーターとしてのセンスが欠かせない。そこで,NYTとWaPoはニュースアグリゲーターとしてのセンスも技術も兼ね備えたグーグルと組むことになったのではなかろうか。両新聞は,新聞サイトのコンテンツを過去に遡って提供し,"future of news"となるようなトピックス記事の制作をグーグルと組んで挑むことになった。

 実験的なプロジェクトのためか,スタートページは飾り気もなく質素なつくりだが,進めていることは面白い。始めたばかりなのでトピックス数は少ないが,The New York Times with Googleでは,次の5つのトピックスが始まっている。

・The War in Afghanistan
・Battling Swine Flu
・The Struggle Over Health Care
・The Politics of Global Warming
・Executive Compensation: How Much to Pay?  

一方のThe Washington Post with Googleでは3トピックスが始まっている。
・Washington Tackles Health Care Reform
・Fixing D.C.'s Schools: Michelle Rhee Takes Charge
・The Redskins Face a Season of Troubles
 

 実際のトピックス記事を覗いてみよう。まずThe War in Afghanistanから。そのスナップショットを。

NYTwithGoogleAfgan0912.jpg

 アフガン戦争の最新記事や過去記事がすぐに読める。タイムラインからも記事が探せる。アフガン戦争に関係する,Events,Articles,People,Quotes,Resources,Images,Videos,Audio,Graphics,Opinion
などもすぐに表示できる。読者コメントの投稿も受け付けている。

 各トピックス記事はパーマリンク(固有のURL)を持ち,新しい記事が加わると,その通知をメールやRSSフィードで受けることもできる。
NYTwithGooglemailAlart.jpg


 WaPoのトピックス記事例として,Washington Tackles Health Care Reformを以下に載せておく。フォーマットは,NYTのトピックス記事と同じである。 

WashingtonPostwithGoogle0912.jpg



 このGoogle Living Storiesがどのように展開していくのかが楽しみである。グーグルのEric Schmidt氏が,WSJのオピニオン欄で “How Google Can Help Newspapers”と主張しているのだが,さてこのプロジェクトが新聞を助けることに貢献すればよいのだが・・。

 以下は,グーグルが作成した,同プロジェクトのガイドビデオである。





◇参考
・Google Unveils News-by-Topic Service(NYTimes.com)
・NYT: Murdoch Is Crazy, We Love Google! (NWS, NYT, GOOG)(Silicon Alley Insider)
・Times Professes 'Distinctly Successful' Relationship With Google, Unlike 'Some Competitors'

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posted by 田中善一郎 at 12:04 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース

マードックのWSJはグーグルと戦うが,NYTはグーグルと今後も仲良く

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 メディア王と称されていたマードックも,オンラインメディアの世界では神通力が利かなくなっているのかも。

 マードックはおそらく,新聞業界を救うつもりで悪役を買って出て,グーグルを口汚く罵っているのだろう。新聞コンテンツがタダでアグリゲートされたり検索されたがために,米国の新聞社が崖っぷちに立たされているのだと,グーグルへの口撃は激しくなる一方である。

 オンラインコンテンツの有料化とも絡んで,新聞業界が団結してグーグルと戦うことをマードックは望んでいた。ところがやっぱりというか,足並みがそろわない。有力新聞のNYタイムズやワシントンポストは,グーグルと戦うことはまずなさそうだ。

 先週開かれたUBS Global Media and Communications Conferenceで,NYT社の Vice-President and C.F.O.であるJim Follo氏は,"We have a very significant relationship with Google, and a very good relationship with them," と語った(New York Observerより)。グーグルを敵視するどころか,重要なパートナーとして良い関係を継続させるとのことだ。

 この時期に,NYTとグーグルの良き間柄を見せつけるかのようなプロジェクトGoogle Living Storiesが始まった。このプロジェクトにはワシントンポストも加わる。またワシントンポストのサイトでは今もグーグルの検索エンジンを使っている。

 同プロジェクトのページで見つけた看板を。

NYTwithGoogle.jpg

WaPowithGoogle.jpg



◇参考
・NYT: Murdoch Is Crazy, We Love Google! (NWS, NYT, GOOG)(Silicon Alley Insider)
・Times Professes 'Distinctly Successful' Relationship With Google, Unlike 'Some Competitors'(New York Observer)
・Google Unveils News-by-Topic Service(NYTimes.com)


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posted by 田中善一郎 at 01:17 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース
2009年12月09日

あの記者もこの記者も,NYタイムズの編集室スタッフの解雇リストに

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 NYタイムズはかねてから,ニュースルームのスタッフを100人削減することを明らかにしていた。そして,Bill Keller氏(executive editor of The New York Times)が先週末の4日(金),スタッフに希望退職を募るメールを配信した(全文はこちらで)。

From: Bill Keller
Date: Fri, Dec 4, 2009
Subject: A note to the staff

Colleagues:

As you all know only too well, we are in the process of reducing the newsroom staff by 100 jobs, a process that began with a round of voluntary buyouts. The window for those voluntary buyouts closes at the end of the day Monday, December 7.


 だが締切の7日(月)になっても,目標の100人には達しなかった。そこで,ついに指名解雇に。その解雇希望退職リストが,Gawkerをはじめとするブログで出回り始めている。Media Allay(The Wrap)に掲載されていたリストを以下に。

Edmund Andrews, reporter, Washington bureau
Alex Berenson, business reporter
Jack Curry, national baseball writer
Geraldine Fabrikant, senior writer, Business
Jonathan Glater, reporter, Sacramento
Stephen Labaton, reporter, Washington bureau
Neil A. Lewis, reporter, Washington bureau
David Stout, reporter, Washington bureau
Louis Uchitelle, business/economics

 ワシントン支局の記者が多い。これじゃますます,新興新聞のPoliticoを勢いづけることになりそう。

 現在のNYTのニュースルームは1332人のスタッフを抱えている。その中から,あの記者もこの記者も消えていくことになるのか。

 自ら,新天地に移る記者も。Silicon Allay Insiderによると,技術記者のSaul Hansell氏が新生AOLの移ることになったようだ。同記者はNYTの人気ブログBitsでも活躍していた。



◇参考
・Keller: Layoffs expected at the Times(POLITICO)
・The NYT Buyout List(Media Alley)
・New York Times does not meet buyout goal; must resort to layoffs(EditorsWeblog)
・Here Are The Four New York Times Biz Reporters Taking The Buyout Deal(Silicon Allay Insider)
・Tech Journalist Saul Hansell Quits The New York Times (NYT)(Silicon Allay Insider)

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posted by 田中善一郎 at 10:19 | Comment(2) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース

ハイパーローカルのニュース情報,米大手ポータルが競って拡充

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 ハイパーローカルのニュース提供が,米国で盛り上がっている。

 ハイパーローカルのニュースアグリゲーターであるOutside.inが,このほどCNNなどから700万ドルを調達したことを発表した。Outside.inはブログや主要ニュースサイト,ツイッターなどのコンテンツを集め,全米の5万7830地域別にニュースを提供している。たとえば, Silver Lake, Los Angelesのローカルニュースは以下のようになる。近くCNNのサイトでも,Outside.inのハイパーローカルのコンテンツを掲載していく予定だ。

outsideinSilverLake.jpg


 ポータル系サイトも,ハイパーローカル情報を強化している。MSNBCは,ローカルニュースアグリゲーターのEveryBlockを今年の夏に買収した。特定地域における,犯罪データ,ニュース発生場所,レストランデータなども収集している。

 Dallas(ベータ版)のサンプルは次の通り。

EveryBlockDallas.jpg


 AOLも最近,ローカルニュースネットワークのPatchを獲得した。現在のPatchのカバー地域は,ニューヨーク市と周辺のNew JerseyとConneticutである。New JerseyのCranfordという地域の例(CranfordPatch)を以下に掲げておく。専任の編集者が張り付いているようだ。

PatchCranford.jpg

 Yahooは約2年のテストを経て,Yahoo Localで9月から新サービス “Neighbors”を開始した。ご近所のトピックスについて話し合うコミュニティーページなのかな。Yahoo Local Sunnyvale Neighborsは以下の通り。

YahooLocalNeighborsSunnyval.jpg

 こうしたハイパーローカルサイトの収入源は,ハイパーローカルのクラシファイド広告となるのか。あのCraigslistもローカルの大都市はカバーしても,ハイパーローカルまでは攻めてこないということか。


◇参考
・CNN Invests in Neighborhood News Feed Outside.In(WSJ.com)
・Hyperlocal Aggregator Outside.in Raises $7 Million From CNN, Others(paidContent.org)
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posted by 田中善一郎 at 08:47 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース
2009年12月08日

グーグルのCEO,ツイッターでWSJに謝辞を

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 メディア王マードックのグーグルに対する口撃は激しくなる一方である。米国の新聞社をひん死の状態に追い詰めた元凶は,グーグルに代表されるニュースアグリゲーターと見なしているからだ。

 罵声を浴びせられているグーグルのEric Schmidt(CEO)が,なんとマードックの新聞(The Wall Street Journal)に謝辞を述べているではないか。そのためにツイッターのアカウントを取ったのだろう。以下のように,WSJのオピニオン欄に投稿する機会を与えてくれたことに感謝しているのである。 


EricSchmidt.jpg


 そこでリンク先に飛ぶと,"How Google Can Help Newspapers"と見出しが付いたSchmidtのオピニオン記事に。グーグルは,新聞を殺すのではなくて助けようとしているのだと,主張しているのである。 

WSJGoogle0912.jpg


追記:Schmidtの冒頭のアカウント(@eschmidt0)はなりすましかな?現在はnameが変わっている。そのアカウントで指示された@ericschmidtに飛ぶと,認証アカウントが付いているのでこちらが本物らしいのだが・・。どうなっているの??

EricsschmidtTwitter.jpg
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posted by 田中善一郎 at 00:40 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース
2009年12月01日

ベテラン新聞記者も,活躍拠点をソーシャルメディアへ

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  As bloggers have increased in numbers, the number of journalists has significantly declined.
“America's Newest Profession: Bloggers for Hire(WSJ.com)”
 
 このようにWSJの記事によると,ジャーナリストの数が減って,ブロガーが増えているとのことだ。新聞に代表されるマスメディアの記者をジャーナリストと呼ぶなら,ジャーナリストが減り続けているのは確かだろう。アメリカでは次々と記者がレイオフされているのだから。

 そのプリントメディアの新聞社や雑誌社を辞めたジャーナリストの中には,ブロガーに転身し新興のブログパブリッシャーなどで活躍している人も少なくない。Gawker Mediaを率いるNick Denton氏は Financial Times (FT)の記者であったように。

 また,新聞サイトや雑誌サイトが設けたブログなどに活躍の場を移し,事実上ブロガーに転向したジャーナリストも増えている。WSJ Digital NetworkのAll Things DigitalでブログBoomTownを執筆するKara Swisher氏は,かつてはWSJ紙の記者であったが,今ではブロガーになりきっている。

 2度のピュリツアー賞を受賞したNicholas D. Kristof氏は,今もNYTimesのコラム欄(Op-Ed)に週2回のペースで記事を投稿しているが,活躍拠点はブログなどのソーシャルメディアに移している。

 定期コラム記事の最後部にはいつも,次のように,彼のブログ(On the Ground)をはじめ,Facebookページ(http://www.facebook.com/kristof),YouTubeページ(http://www.youtube.com/user/NicholasKristof>),それにTwitterアカウント(http://twitter.com/nickkristof)に加わるようにと誘っている。

OpEdKristof091114b.jpg

 以下に,彼のブログ,フェースブック,YouTube,それにTwitterの各スナップショットを。
 

*ブログ(外部サイトへのリンクを自由に張っている)
OpEdKristofBlog0911.jpg



*フェースブック(ファン数が約14万3000人)
OpEdKristofFacebook.jpg



*YouTube
OpEdKristofYouTube.jpg


*Twitter(フォロワー数が80万人を超えている)
OpEdKristofTwitter.jpg



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posted by 田中善一郎 at 00:10 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース
2009年11月27日

WSJもツイッターに注力,アカウント数が50を超える

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WSJ ON TWITTER.jpg

 ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)もTwitterのサポートに力を入れ始めている。

 “WSJ ON TWITTER”の看板が出ているページには,以下のようなWSJ.comのTwitterアカウント一覧表が掲載されている。ニュースのカテゴリー別やブログ別に,50を超えるアカウントが揃っている。WSJ.comの関連サイト,たとえばBarron's(barrons.com), MarketWatch(marketwatch.com),All Things Digital(allthingsd.com)などでも,アカウントが用意されているので,それらも含むと約70種が揃っている。


WSJTwitter.jpg

 News Tweetsで最初に紹介されているTop Storiesのアカウントページを以下に。

WSJonTwitter.jpg

 ここで,リストにどのようなアカウントをフォローしているかが気になったので,@WSJ/newsを覗いてみた。フォローしているアカウントのメンバーは15のニュースサイトであった(現在はReutersも加わって,16メンバーに)。NYTやFTなどの競合ニュースサイトだけではなくて,会長マードックが嫌っているGoogle Newsや新興ブログ新聞であるHuffingtonPostも加えているのは、さすがである。

WSJTwitternews.jpg


 WSJ.comの関連サイトの中から,All Things DigitalのTwitterを見てみよう。このサイトはWSJ紙の元記者(テクノロジージャーナリスト)などが活躍しているブログベースのソーシャルメディアである。ジャーナリストからブロガーに転向した連中の集まりとも言える。その中の人気ブロガーであるKara Swisherさんは,ブログBoomTownとともに,@karaswisherからツイッターでも発信している。以下のように,50万人を超えるフォロワーを抱えている。

WSJTwitterKaraSwisher.jpg


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posted by 田中善一郎 at 08:21 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース
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