スマートフォン専用ページを表示

メディア・パブ

オンラインメディアをウオッチ
TOP / 新聞 ニュース
<< 1  2  3  4  5  6  7  8  9  10  11  12 13  14  15  16  17  18  19  20  21  22  23  24  25  26  27  28  29  30  31  32  33  34  35  36 >>
2009年10月04日

電子書籍リーダーを購入すれば,新聞が無料で購読できるかも

Tweet このエントリーをはてなブックマークに追加
 Amazonの大画面版電子書籍リーダー「Kindle DX」を購入すると,NYタイムズの記事を1年間無料で閲覧できるかもしれない。

 Columbia Journalism Reviewによると,これまでの新聞紙購読者に向けて,あるメールが届いたという。そのメールのコピーはこちらで。そのメールには,499ドルのKindle DXを購入すれば,NYTの記事をKindleで1年間無料購読できると書かれている。

 つまりKindle購入者に,NYTの年間購読サービスがおまけで付いてくるということか。これとは逆に,NYTの長期購読者にKindleをおまけで無料配布するという話もあるのだが。 



◇参考
・Buy a Kindle, Get the Times for Free(Columbia Journalism Review)



この記事をブックマーク: このエントリーを含むはてなブックマーク この記事を検索: Google 検索
posted by 田中善一郎 at 14:12 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース
2009年09月30日

米国の新聞記者はオンラインシフトの加速化を熱望

Tweet このエントリーをはてなブックマークに追加
NewspaperJournalistDigitalAppetite.jpg

 米国の新聞記者はオンラインの世界で働くことを熱望しており,またニュースルームがもっと速度を上げて紙からデジタルにシフトすることを望んでいる。

 これは,Northwestern UniversityのMedia Management Centerが,79紙のジャーナリスト3800人を対象に調査した結果である。詳しくは,レポート “Life beyond print”(66ページのPDFファイル)で。

 もっと紙にこだわる記者が多いと思ったのだが,大半がデジタル記者として働きたいと答えていた。そこで回答者の半分は,現在ニュースルームが進めているオンライン(デジタル)シフトが遅すぎると見ている。一方で昔の佳き新聞に固執する守旧派は回答者の20%近くと,かなり少数派になっている。

 米国の新聞社では,経営者レベルは別にして,現場レベルでは記者業を続けるにはオンライン記者として働くほかないと覚悟ができており,それならばニュースルームのオンラインシフトを加速化してほしいとのことか。


◇参考
Life beyond print, Newspaper journalists' digital appetite(Media Management Center)
この記事をブックマーク: このエントリーを含むはてなブックマーク この記事を検索: Google 検索
posted by 田中善一郎 at 10:21 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース
2009年09月17日

伝統マスメディアが認知するソーシャルメディアとは

Tweet このエントリーをはてなブックマークに追加
 米英の伝統的なマスメディアサイトが認知しているソーシャルメディアは?


 新聞社やTV社が運営するニュースサイトも,ソーシャルメディアからのトラフィックを増やすための仕掛けを設けるのが当たり前になっている。たとえばWSJ.comでは,各記事の冒頭とか最後部にソーシャルサイトのロゴマークを並べ,ワンクリックで代表的なソーシャルメディアでニュース記事を共有できるようにしている。

WSJSocial090916.jpg


 そこで,伝統的なマスメディアサイトが,どのようなソーシャルメディア・サイトを選んでいるかをまとめてみた。

NewsSiteSocialMedia090916.jpg

 米英の有力メディア7サイトすべてがFacebookとDiggを選んでおり,影響力のあるソーシャルメディアとして認めている。Facebookは会員数が世界で3億人を超えたのだから,当然かもしれない。

 WaPo(WashintonPost)のニュースサイトでも,各ニュース記事の最後部で以下のようにDiggとFacebookを特別扱いしていた。たとえば“It's Time to Legalize Drugs”の記事は,digg(投票)数が4051件となっており,ソーシャルメディアを介して数多く閲覧されたようだ。

WashingtonPostSocialMedia.jpg

 
 また最近は,伝統メディアのニュースサイト(新聞社サイトなど)自身がソーシャルメディア化を加速させており,優秀な記者がブログやツイッターを活用し,ソーシャルメディア界隈での存在感を高めている。


 ついでに日本の新聞社サイトも覗いてみた。朝日と毎日がソーシャルメディアへの仕掛けを用意していた。ただ米国のように,ソーシシャルメディアからの大量のトラフィックを新聞社サイトに誘導しているかどうか。日本のソーシャルメディア界隈で話題になるニュースは,マニアックな記事や軟派系ニュースが多くて,新聞社サイトが提供する主要ニュースはあまり相手にされていないようだし。一方で新聞社サイトでは,議論を呼ぶような深堀のニュース記事が少ないうえに,パーマリンクでない場合が多い。ソーシャルメディアとの距離がいまだに大きいのでは。

JapanNewspaperSocial.jpg

 それでも,ソーシャルメディア対策を施せばそれなりの効果が現れるのかも。asahi.comの記事が Hatena Bookmark Newsでチラホラと見かける。


この記事をブックマーク: このエントリーを含むはてなブックマーク この記事を検索: Google 検索
posted by 田中善一郎 at 11:13 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース
2009年09月05日

痩せ細る米国の新聞,紙の消費が急減

Tweet このエントリーをはてなブックマークに追加
  米国の新聞が痩せ細っている。新聞紙の衰退を象徴するかのように,新聞の紙の消費量が年々減り続けているのだ。

  米新聞協会によると,09年7月には新聞“紙”の消費量は,前年同月比マイナス21.8%の33.3万トンに落ち込んだ。6年前に比べると,半分以下に減っている。発行部数と広告出稿量が減ってきているためだ。さらにオンラインによるペーパレス化も進んでいるので,この流れは止まりそうもない。

 2003年以降,新聞“紙”の月間消費量は次のように推移している。

NewsprintConsumption.jpg

 一方で,このような紙の消費量が減っていく流れをもっと加速化すべきだとの声が高まっている。新聞や雑誌,書籍などの紙メディアはこれまで木や水資源をたっぷり使ってきたため,地球環境を汚染する産業との汚名を着せられていたのである。その汚名を払しょくするには,ともかく紙の利用を減らして,二酸化炭素(CO2)排出量を削減していかなければならないのである。

 そこで出番到来と,はりきっているのがアマゾンである。電子書籍装置のKindleを利用して書籍や新聞などを読めば,紙も物流も要らなくなり地球のクリーン化に貢献できると主張する。

 その主張を後押しするレポートがCleantech Groupから出ている。そのレポートによると,電子書籍装置で年間22.5作品を読んだとすれば,その利用者は紙の書籍を購入しないことによって,年間168kgのCO2削減に貢献したことになるという。

 ただし,新たに購入する電子書籍装置そのものが,CO2を排出している。2009年までは,電子書籍装置の持ち主の大半が,新規に装置を購入したユーザーとなるはずだ。「電子書籍装置の持ち主が削減したCO2排出量」が「その年に新規に売られた電子書籍装置によるCO2排出量」と同じくらいになるという。ということは,2009年までは,電子書籍装置が地球のクリーン化にはほとんど貢献していないことになる。

 ところが2010年以降,電子書籍装置の持ち主が増えてくると(新規に装置を購入した割合が減っていくと),「電子書籍装置の持ち主が削減したCO2排出量」が「その年に新規に売られた電子書籍によるCO2排出量」を大幅に上回ることになる。2012年ころには,装置の持ち主が削減した排出量が新規装置による排出量の2倍以上になるという。新聞社も出版社も,地球のためにも紙離れに向かわざる得ないのかも。



◇参考
・Newsprint Consumption Up in July; Still on the Skinny Side(Futs&Jen,E&P)
・Cleantech Group report: E-readers a win for carbon emissions(Cleantech)
・Why the Kindle Is Good for the Planet(earth2tech)
この記事をブックマーク: このエントリーを含むはてなブックマーク この記事を検索: Google 検索
posted by 田中善一郎 at 09:10 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース
2009年09月01日

日本の総選挙ニュース,海外メディアがどう扱ったか

Tweet このエントリーをはてなブックマークに追加
 世界の新聞が,日本の総選挙をどの程度のニュースとして扱っているかを見てみた。簡単にチェックするには, NewseumサイトのToday's Front Pagesにアクセスすればよい。世界75ヶ国769紙の最新のフロントページが,PDF形式で提供されている。無料で閲覧できる。

 日本発のニュースとしては久々の大きい出来事なので,幾つかの有力紙でもフロントページで報じられていた。以下にその例を(クリックで拡大表示できる)。



*NYTimes

NYT090831JapanElection.jpg


*WashingtonPost

WaPo090831JapanElection.jpg


*WSJ(US)

WSJ090831JapanElection.jpg


*WSJ(Asia)

WSJAsia090831JapanElection.jpg


*Frankfurter Allegemeine Zeitung(独)

Frankufurter090831JapanElection.jpg


*LaTribune(仏)

LaTribune090831JapanElection.jpg

 
 でもこのように日本の総選挙ニュースを伝えていたのは,いわゆる高級紙の一部であって,一般紙や大衆紙となるとほとんど報じていない。最近のイランやアフガニスタンの大統領選ニュースに比べれば桁違いに扱いが小さいし,一般の人もほとんど関心を示していないのだろう。


 政治分野のニュースアグリゲーターmemeorandumでも,その他ニュースの片隅に以下のように小さく掲載されているだけであった。米国のほとんどのニュースサイトとっては,マイナーなニュースであったようだ。

memeorandum090831h1100.jpg

 それではソーシャルメディアでは,どのように扱われているのだろうか。欧米のブログなどのソーシャルメディアで日本関連のニュースが登場するとなると,ゲームやアニメなどのサブカルチャー的な話が中心である。よく出てくる企業名は任天堂やソニーとなる。

 そこでGoogleのBlog Searchに飛んでみると,驚くことにトップニュース(Top Stories)の2番目に日本の総選挙ニュースが登場しているではないか。

GoogleBlogSearchJapanElection.jpg

 Sankaku Complexというニュースサイトの記事“DPJ Slaughters LDP in Election Landslide”が最初に出ていた。このサイトは,日本のアニメやゲーム、マンガなどに絞ったオタク系ニュースサイト(英語)として人気があるそうな。そのニュースにアクセスすればわかるのだが,アキバ系をはじめとするサブカルチャーの世界では,国際的にも麻生氏は知られた存在であったのかな。大きく麻生氏のイラストが描かれている。

 お台場に117億円かけてアニメ美術館をつくる準備を進めていた麻生氏が,国立のマンガ喫茶とけなしていた鳩山氏に負けたので,サブカルチャーの世界では今回の日本の総選挙ニュースは大きな出来事といえるかも。


◇参考
・世界57カ国の新聞574紙,毎日のトップページがPDF形式で無料閲覧できる(メディア・パブ)
この記事をブックマーク: このエントリーを含むはてなブックマーク この記事を検索: Google 検索
posted by 田中善一郎 at 09:59 | Comment(1) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース
2009年08月29日

急減する米新聞の広告売上,まだ底が見えない

Tweet このエントリーをはてなブックマークに追加
 米新聞の広告売上高は,第2四半期に入っても底打ちの兆しが見えない。

 米新聞協会(NAA)が公表した09年第2四半期の新聞社の総広告売上高は,前年同期比29%減の68.2億ドルとなった。以下のグラフで示すように,2006年第3四半期から始まったマイナス成長が12期も続いたことになる。また07年第2四半期からは2ケタのマイナス成長に入っており,そのマイナスの幅が大きくなる一方である(図の折れ線グラフの前年同期比が下る一方である)。

USNewspaperAd09Q2.JPG

 また新聞社サイトのオンライン広告売上も不振で,前年同期比15.9%減の6億5000万ドルとなった。08年第2四半期からマイナスに転じたが,5四半期連続してマイナス成長を続けており,こちらもマイナス幅を拡大している。


◇参考
・Advertising Expenditures(NAA)
・U.S. Newspapers Post Steeper Declines in Ad Revenue (Update1) (Bloomberg.com)
この記事をブックマーク: このエントリーを含むはてなブックマーク この記事を検索: Google 検索
posted by 田中善一郎 at 08:39 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース
2009年08月22日

新聞廃刊の大波,日系米人を支えてきた「日米タイムズ」にも直撃

Tweet このエントリーをはてなブックマークに追加
 日系米人のコミュニティーを支えてきた新聞「日米タイムズ(Nichi Bei Times)」が,9月10日(30日?)をもって廃刊することになった。米国新聞界で広まる廃刊の嵐が,残念ながら日系米人向け新聞にも直撃したのだ。

NichiBeiTimes090820.JPG

The Nichi Bei Times from Paul Billingsley on Vimeo.



 廃刊理由は他紙と同様,広告売上と購読料売上の長期低落が続いているため。San Francisco Chronicleの記事によると,現在の購読部数は8000部。今は週3回の日本語版新聞(そのうち1回は英語版新聞を挟み込む)に減らしていた。歴史は古く,同紙の前身「the Nichi Bei Shimbun」は1899年(明治32年)に創刊している。日系人が強制収容所に送られた第二次大戦中には休刊したが,戦後の1946年に「The Nichi Bei Times」として再刊した。昭和21年(1946)5月から昭和61年(1986)12月までの新聞は,ニチマイがマイクロフィルム化して販売している。

NichibeiTimesBackNumber.JPG


 日系米人のコミュニティーを支えるシンボル的な存在であったはずだし,たとえば強制収容の補償賠償運動でも大きな役割を果たしてきたのだろう。それだけに廃刊を惜しむ声もあがっている。そこで,Nichi Bei Foundation(Facebookではこちら)を設立し,非営利団体での継続を目指す動きも起こっている。


◇参考
・Nichi Bei Times Decides to Close; Nonprofit Hopes to Continue Legacy(Nichi Bei Times)
・Leaders try to save Japanese American newspaper(SFGate)
・マイクロフィルム出版物:【日米時事】 NICHIBEI TIMES(ニチマイ)
この記事をブックマーク: このエントリーを含むはてなブックマーク この記事を検索: Google 検索
posted by 田中善一郎 at 10:36 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース
2009年08月20日

NYタイムズの記者ブログ,アフガン大統領選をどう伝えているか

Tweet このエントリーをはてなブックマークに追加
 NYTimes.comの記者ブログは活気がある(ブログ一覧はこちら)。その中の“At War”も名物ブログの一つで,ポスト9/11の紛争地域であるアフガニスタンやパキスタン,イラクなどをテーマにしたブログである。

 ちょうど今,アフガニスタン大統領選の投票が実施されているので,どう伝えているかを覗いてみた。一般ニュース記事のように型にはまった書き方ではなくて,ブログらしい冒険を試している。

 今回のブログ記事は,投票の流れをTwitter風に実況スタイルで伝えている。この2時間ほどの間に13本の記事を次々と投稿していた。投稿時刻は次の通り。

Update | 8:55 a.m.
Update | 8:36 a.m.
Update | 8:23 a.m.
Update | 8:18 a.m.
Update | 8:13 a.m.
Update | 8:08 a.m.
Update | 7:50 a.m.
Update | 7:42 a.m.
Update | 7:25 a.m.
Update | 7:15 a.m.
Update | 7:09 a.m.
Update | 7:06 a.m.
Update | 6:41 a.m.

 現在の出だしの部分は次の通り。

AfganElection090820.jpg


 ブログなので頑固な自前主義を貫かない。外部コンテンツに遠慮なくリンクを張るし,必要に応じて引用もする。外部ニュースサイトの動画もWidget(エンベッド)として貼り付けている。

 ABC(ABC記者のTwitter),AP,Reuters,Al Jazeera,CNN,BBC,The Guardian,The Kabul Pressなどにリンクを張っていた。APやブログ記事はソースの本文をそのまま掲載している。

 視聴できる動画は,CNNやAl Jazeeraなどの外部サイトのものが大半である。以下の例でも,英国Channel4の動画を貼り付けて,ページ内で視聴できるようにしていた。

AfganElectionNYT0908.jpg


 写真は自前のスライド(Afghans Go to the Polls)にリンクを張っていたが,twitpicにもリンクを張っていた。

 カブールに居る読者からのコメントを募っていたので,読者からの情報も掲載しているのだろう。


この記事をブックマーク: このエントリーを含むはてなブックマーク この記事を検索: Google 検索
posted by 田中善一郎 at 23:58 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース
2009年08月19日

NY Daily NewsとPolitico,人気急上昇の米新聞社サイト

Tweet このエントリーをはてなブックマークに追加
  米新聞社サイトの7月のランキングが発表された。毎月,Nielsen Onlineによるランキング結果が E&P (Editor&Publisher)のサイトで掲載される(Editor&PublisherとE&Pは同一の親会社Nielsen Business Mediaに属している)。

  月間ユニークビジター数の多い順のランキングであるが,以下の表を見てもわかるように,サイトによって増減が大きい。パネラー(パソコンに測定用ソフトを組み込んだユーザー)が変わったり,人気の高いニュースイベントの有無によって,ユニークユーザー数が大きく振れるようだ。

 7月のトップ30のランキング表を以下に示す。

●米新聞社サイトの人気ランキング(ソース:Nielsen Online)
2009年7月ユニークビジター数と前年同月比

USNewspaperSiteRanking0907.jpg

 いつものようにNYTimes.comがトップである。ここでは,前年同月比で大きく伸びたDaily News Online Editoin(4位)とPolitico(11位)に注目したい。

 Daily Newsは全米15位(6月の発行部数が63万)の日刊紙で,米国最初のタブロイド紙として知られている。NYCの代表的な大衆紙で,ほぼ同じ発行部数であるNY Postの好敵手でもある。両新聞はオンラインでも競合している。Daily NewsのサイトNYDailyNews.comは,7月のユニークビジター数が前年同月比112%増の913万人と急成長し,656万人のNYPostサイト(nypost.com)を引き離した。マードックは大衆向けコンテンツのNYPostサイトまでも有料化しようとしているようだが,NYDailyNews.comを喜ばせることになりそう。

NYDailyNews000818.jpg

 サイトをザッーと見てみたが,なかなか充実した大衆紙サイトである。NYCの住人なら、硬派寄りのニュースはNYTimesから,軟派寄りのニュースはNYDailyNews.comから得ておれば十分かも。軟派寄りといっても,Daily News紙は過去10回もピュリツァー賞を獲得しているだけあって,オンラインの内容もかなりしっかりしているようだが。 
 

 
 もう一つの注目サイトはPolitico。07年1月に創刊した新興の新聞社サイトだが,創刊2年半後に早くも11位にランクされた。Washington Post紙などのジャーナリスト達によって立ち上げられたニュースサイトで,ワシントン発の政治ニュースが売りとなっている。大統領選報道を目玉にスタートしたサイトのため選挙後の失速が心配されたが,順調に育っており今や有力な新聞社サイトとして定着しつつある。新しい試みも多い。例えば政策立案者や政治評論家を交えた討論の場The Arenaは,意欲的なコーナーである。

Politico090818.jpg


 また,アドネットワーク(コンテンツネットワークも兼ねる)“Politico Network”を実施しており,以下のように新聞社サイトやTV局サイトにニュース記事を配信し,掲載ページの広告売上をシェアしている。加入している新聞社やTV局はMedia Group Membersで掲げられている。ネットワークの月間ユニークユーザー数は670万人となっている。

PoliticoNetwork0908.jpg
 

 Politicoの現況についてはVanity Fairの解説記事で詳しく紹介されている。その記事によると,100人のスタッフを抱えているが,すでに黒字化を達成しているという。スタッフの給与も,Washington Postのレベルに近いというから立派だ。だが先のアドネットワークを介しての広告売上は,この不況期だと期待はずれのはず。ところが,副産物(バイプロ)として発行したプリント版(つまり新聞紙)が,同社の台所を支えているという。意外や意外だ。このPolitico紙が同社の売上を倍近く引き上げたというから,いまや救世主的な存在である。

 
 Politico紙は議会,ロビー活動などの政治関連ニュースをカバーしたタブロイド紙。議会の開催中は毎週3回(火,水,木曜日)発行し,それ以外は火曜日の1回だけ。congressional offices, the White House, the Supreme Court, the Pentagon, federal departments, media outlets, lobbying firms, PR firmsなどの関係者に配布するとともに,ワシントンDCの決められた場所に、フリーペーパーとして置かれている。

 それ以外の人は購読することになる。購読料は国内読者が年間200ドルで,海外読者は年間600ドルとなっている。米国の新聞としては高価である。Vanity Fairによると,有料購読数が3万2000部に達したという。

 Politicoはワシントン発の政治ニュースに絞り,最初はオンライン版のみを発行し,低コストで出発した。そのおまけでターゲット化した新聞紙を発行すれば,それほどコストの上乗せがないはず。高コスト体質の伝統的な新聞社ではマネができそうもないが。


◇参考
・Exclusive: Top 30 Newspaper Sites for July -- Shake-up at the Top! (Editor&Publisher)
・Daily News (New York)(Wikipedia)
・Politico’s Washington Coup(Vanity Fair)

この記事をブックマーク: このエントリーを含むはてなブックマーク この記事を検索: Google 検索
posted by 田中善一郎 at 11:23 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース
2009年08月17日

紙メディアからネットメディアへ,ジャーナリストの大量移住が始まるのか

Tweet このエントリーをはてなブックマークに追加
 米新聞業界では今や,リストラや身売りの話が日常茶飯事になってきた。先週末にもAFP通信社が“112 jobs cut at San Diego newspaper”を伝えていたが,この程度の話だともうニュースにならない。

 paper cutsマップによると,今年に入って1万3253人の従業員が,勤めていた新聞社のオフィスから追いやられたようだ。

papercuts090814.jpg

 米大手新聞社のMcClatchy(マクラッチー)が今年第2四半期に増益になったのも、大幅人員削減が利益を押し上げただけのこと。同社は昨年6月に全従業員の10%に相当する1400人の削減を発表し、さらに今年3月には15%に相当する1600人のカット(“McClatchy Plans to Cut 15% of Staff”,NYTimes.com)を明らかにしていた。Blommberg.comの記事“McClatchy Extends Wage Halt, Enforces Unpaid Leave ”によると,居残った社員は賃金凍結が言い渡されるかもしれない。

 人員削減の対象は、ニュース編集室のジャーナリストにも及んでいる。というか人件費削減にはジャーナリストのカットが最も効果的となっているだけに、ジャーナリストが標的になっている。新聞と同じように,BusinessWeekなどのビジネス誌やNewsWeekなどのニュース週刊誌も、ジャーナリストが厳しい状況に置かれている。


 ところが,この事態をチャンス到来と手ぐすねを引いていたメディアサイトが活発に動き始めている。AOLである。同社はTime Warner から独立して再スタートすることになった。そのAOLの会長兼CEOに,Googleで広告戦略を指揮していたTim Armstrong氏が今春に就任したが,どうもAOLを世界最大クラスのオンラインパブリシャーに育て上げたいとか。すでに細かくセグメント化したバーティカルな分野のオンラインサイトを80近いタイトルをひとまとめにし,Media.Glow.comのブランド名の下で大展開を進めつつある。TechCrunchやBNETの記事によると,このAOLのメディア部隊には約1500人のスタッフが働いている。その中には,BusinessWeek, New York Times, USA Today, ESPN, Washington Post, Wall Street Journal, Forbes, Consumer Reports, Condé Nast などの有力プリントメディア企業から転職してきたジャーナリストもいるし,地方新聞や大手雑誌社の出身者も多いという。

 さらにAOLは近いうちに,スタッフを現在の2倍から3倍に増やしたいという。1500人の2〜3倍とは,すごい大風呂敷を広げたものだ。集めたいのはブログ記者のはず。フルタイムでAOLで働く記者も採用するが,フリーランサーが多いようだ。 Marty Moe氏(SVP of AOL Media)は「どのコンテンツカテゴリーにおいても,優れたライターをすぐに獲得できる」と語る。そりゃそうだろう。新聞や雑誌のプリントメディア社のジャーナリストがこれだけ次々とレイオフされているのだから。解雇されなくても、プリントメディアに見切りをつけた人も多いはずだ。それに今だと買い手市場で,かなり低賃金で雇うことができるようである。プリントメディアからネットメディアへ,ジャーナリストの大量移住が始まろうとしているのかもしれない。

 Marty Moe氏は「すでに米国内で7600万人の月間ユニークユーザー数を誇る米最大のオンラインパブリシャーであるが,これからは高品質のコンテンツを提供する世界最大のパブリシャーに育て上げる」と抱負を語る(BNETの記事より)。確かに,80近いタイトルの中には,人気ブログが目白押しである。ブログ検索エンジンのTechnoratiが選んでいる世界トップ100 blogsにも,27タイトルのブログが選ばれている。参考までに世界トップ10のブログを以下に掲げておく。EngadgetとTMZ.comはAOLのブログである。TMZ.comはマイケルジャクソン心停止をいち早く報じたメディアとして話題になった。


1. The Huffington Post(Breaking News and Opinion)
2. TechCrunch
3. Mashable!
4. Engadget
5. Boing Boing
6. The Official Google Blog
7. Gizmodo
8. Lifehacker
9. Ars Technica
10.TMZ.com

 AOLが新聞社や雑誌社でレイオフされたジャーナリストの受け皿になるのかもしれないが,一方でBarronによるとそのAOLで今週にも大量レイオフが発表されるとの噂も。これまで何度か期待を裏切ってきたAOLだけに,ほんまに世界一のオンラインパブリシャーになれるのか。ちょっと不安ではあるが,このような挑戦は楽しみでもある。



◇参考
・AOL's Business Model: "High-Quality Content to Scale"(BNET Media)
・AOL Newsroom Now Has (Wow) 1,500 Writers(TechCrunch)
・ジャーナリズムは再生するか―新New York Times私案(TechCrunch Japanese)
・AOLが世界最大級のオンライン雑誌社を目指す,タイムの紙雑誌リソースに頼らず(メディア・パブ)
・AOL’s MediaGlow Sites Achieve Record Traffic Growth In 2008(Taxi)
・Massive AOL Layoffs? Not Imminent–But Top-to-Bottom Cost Exam Definitely in Process.(BoomTown)
この記事をブックマーク: このエントリーを含むはてなブックマーク この記事を検索: Google 検索
posted by 田中善一郎 at 06:48 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース
2009年08月09日

米新聞は崖っぷちから這い上がる,Borrellの予測

Tweet このエントリーをはてなブックマークに追加
  米新聞社の広告費が2009年に底打ちし,2010年以降回復していくという予測レポートを,Borrell Associatesが発売した。米新聞社の破綻する話がやたら横行している昨今なのに,米新聞社が崖っぷちから這い上がると告げるレポートが出てきたのだ。

  そのレポートの中から,次のグラフを公開している。

NewspaperAdBorrell2014.jpg

  上のグラフは,米新聞紙の広告売上の推移である。米国の新聞社は,新聞紙広告収入に大きく依存してきただけに,経営指標として新聞紙広告売上が最も重要であることは確か。

  その新聞紙広告売上が2009年に底を打ち,2010年には2.4%増とリバウンドすると見ている。さらに全新聞の広告費が2014年には390億ドルと,2009年の底値から8.7%増になると予測している。新聞広告費が2014年になっても2008年の値にも戻らないのだが,このように少しずつ回復していけば新聞崩壊の雪崩現象は避けられるのかもしれない。景気回復後も新聞広告の長期低落が避けられないとする見方が多いだけに,こうした回復予測は新聞関係者を元気づけるのかも。

  でもどうして,これからの新聞広告売上にオンライン広告を含んで予測しないのだろうか。また意外にも,地方紙が踏ん張ると見ている。有料のレポートを見ていないので何とも言えないが,グラフを見る限りにおいては楽観的な予測と思えるのだが。



◇参考
・The rumors of newspapers’ death(Borrell Associates)
・Back From the Brink - Newspapers Stop Their Slide(Borrell Associates)
この記事をブックマーク: このエントリーを含むはてなブックマーク この記事を検索: Google 検索
posted by 田中善一郎 at 00:15 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース
2009年08月07日

インターネットの世界でも米新聞社サイトの影が薄くなってきた

Tweet このエントリーをはてなブックマークに追加
  米国のインターネットユーザーは,月間のWeb利用ページ数やWeb滞在時間のうち1%以下しか,新聞社サイトと接触していない。これは,Nielsen Onlineのデータを基に,Nieman Journalism Labが試算した結果である。

 まず,米新聞社サイトのここ数年間のユーザートレンドを最初の表で見ておこう。全新聞社サイトのユニークユーザー数やページビューの総計は,少し頭打ちの傾向を示しているが,まだ増えてはいる。ただ,生き残りを賭けてオンライン事業に投資している割には,やや勢いに欠ける。それよりももっとも気になるのは,一人当たりの閲覧ページ数や訪問回数が少なく,滞留時間が短いことだ。さらに悪いことに,一人当たりの閲覧ページ数や滞留時間が下降線をたどり始めていることである。


●米新聞社サイトのユーザー関連データの推移(2003年3月〜2009年6月)
USnewspaperSiteNielsen0906.jpg
(ソース:Nielsen Online)

 主要新聞社サイトも,一人当たりの平均滞留時間が減ってきている(6月にBoston.comが異常に増えているのは, Boston Globe紙が廃刊の瀬戸際に立たされ,それに関するニュースで盛り上がったため)。

●米主要新聞社サイトの一人当たりの平均滞留時間:09年6月
USNewsStayHours0906.jpg
(ソース:Nielsen Online)

 米国の主要Webサイトと比べても,全ての新聞社サイトが束になっても,ユニークユーザー数や滞留時間で劣勢となっている。

●大手Webサイトと新聞社サイトのユニークユーザー数/一人当たり月間滞留時間
portalNewspapersite0906.jpg
(ソース:Nielsen Online)


 米国のアクティブ・インターネット・ユーザー数(Active Digital Media Universe)は,Nielsen調査によると 1億9597万人となっている。一人当たりの月間閲覧ページ数を2569ページと見ているため,米国ユーザーの総閲覧ページ数は月間5030億ページとなる。冒頭の表で,6月の新聞社サイトのページビュー総数が35億と見積もっている。ということは,米国の総閲覧ページ数の1%以下,正確に言うと0.69%になるとNieman Journalism Labは推測しているのだ。


◇参考
・NEWSPAPER WEB SITES ATTRACT MORE THAN 70 MILLION VISITORS IN JUNE; OVER ONE-THIRD OF ALL INTERNET USERS VISIT NEWSPAPER WEB SITES(NAA)
・70.3 Million Unique Visitors Go to Newspaper Sites in June(NAA)
・Newspaper Web Sites(NAA)
・EXCLUSIVE: Average Time Spent For Top 30 Newspaper Sites (Editor&Publisher)
・NIELSEN PROVIDES TOPLINE U.S. DATA FOR JUNE 2009(Nielsen Online)
・NAA/Nielsen stats show newspapers own less than 1 percent of U.S. online audience page views, time spent(Nieman Journalism Lab) 

この記事をブックマーク: このエントリーを含むはてなブックマーク この記事を検索: Google 検索
posted by 田中善一郎 at 07:58 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース
2009年08月06日

Google Newsアーカイブの検索対象記事数が4倍に,昔の新聞記事がたっぷり

Tweet このエントリーをはてなブックマークに追加
  Google Newsのアーカイブ検索がさらに拡充した。 Halifax Gazette, Sydney Morning Herald, the Milwaukee Journal Sentinel,the Village Voiceなどの新聞記事が過去に遡ってインデックス化され検索対象になった。インデックス化された記事数は約4倍に膨れ上がった

  たとえば,250年以上の昔の記事が閲読できることもある。そこで1753年の記事に当たってみた。以下は1753年当時の記事の検索結果である。

GoogleNews1753.jpg

 ここで,最初に現れた1753年6月2日付けのHalifax GAZETTEの記事にアクセスしてみると,次のように閲覧できる。

GoogleArchives1753Halifax.jpg



 次に拡充後のアーカイブサービスで,どの程度のことが調べられるかを試してみた。「フジヤマのトビウオ」の“hironosin furuhashi”(古橋広之進さん)の記事を探してみることにした。Timeloneで検索結果を見ると,やはり1949年の全米選手権関連の記事が多い(英語記事だから当然だが)。90年代以降はJOCなどでの活躍を報じた記事であろう。


FuruhashiGoogleNewsArchives.jpg


 検索結果の中で,1947年に古橋選手が世界新記録を出したことに触れた記事が見つかった。昔の記事をテキスト化したJuegos Olímpicos. Londres 1948では,1948年のロンドオリンピックをレポートしているが,その中の複数個所で古橋さんの記録に触れていた。(スペインフランス語が分からないので,正確ではないが)。

400m.crol: récord mundial en poder del francés Alex Jany, 4,35”2, el 12 de septiembre de 1947, en la p.50m. y agua salobre de Montecarlo-Beach (había un mejor tiempo de 4,33”0 logrado por el japonés Hironoshin Furuhashi, aquel mismo año, pero que, por las razones que explicaremos más abajo, no era oficial). El mejor tiempo mundial oficial en piscina larga y agua dulce estaba en poder del norteamericano Bill Smith, 4,39”6, logrado sobre 440 yardas, el 8 de agosto del 1942, en New London).


 通常のGoogle Newsの検索エンジンでも,次のようにアーカイブのガイドが出ていた。検索対象期間が案内されている。ここでは1949年を選ぶと,次のような検索結果が現れる。

GoogleNewsStandardFuruhashi.jpg

 検索結果で出てきたNYTimesやLATimesの記事は有料であったが,無料閲覧できる新聞記事も現れる。


GoogleNewsArchivesFuruhashi1949.jpg

 The Ageの1949年8月24日付けの記事New Technique in Swimming は,無料で閲覧できた。こうした中小の新聞社の記事は,“Google News Archive”と記されており,著作権フリーの形でGoogleがデジタル化して無料公開しているのではなかろうか。

FuruhashiTheAge1949.jpg



◇参考
・Extra! Extra! Updates from our growing newspaper archives
Monday
(Google News Official Blog)


この記事をブックマーク: このエントリーを含むはてなブックマーク この記事を検索: Google 検索
posted by 田中善一郎 at 07:13 | Comment(2) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース
2009年08月04日

新聞ブランドよりもブログブランドが通用する

Tweet このエントリーをはてなブックマークに追加
 ブログなどのソーシャルメディアの世界では,新聞ブランドよりもブログブランドの方が通用するようだ。

 技術分野の代表的なニュースアグリゲーターであるTechmemeでは,掲載記事のソースランキングLeaderboardをいつも公表している。ソースには,新聞社や雑誌社のような伝統的なマスメディアサイトや,オンライン特化の専門ニュースサイト,それにブログなどが登場している。以下は,8月3日付のランキング結果である。過去1ヶ月間の掲載シェアによるトップ24ソースが出ている。


TechmemeNYTWSJBlog.jpg

 Techmemeで掲載されている記事は,ブログやSNSなどのソーシャルメディアの世界で話題になり頻繁に引用されているはずだ。上の結果からもわかるように,New York Times(NYT)やWall Street Journal(WSJ)のような有力な新聞社サイトも姿を現している。ここで興味深いのは,新聞社サイトの記者ブログが別扱いになっていることである。

 上のランキングに登場しているDigitsとBoom TownはそれぞれWSJ(Digital Network)内のブログであり,またBitsはNYTimes.com内の記者ブログである。Techmemeでの掲載だけではなくて,ブロガーやソーシャルメディア・ユーザーの間でも,記者ブログが新聞ブランドではなくてブログブランドで通用するようになっているというこどだ。たとえばBitsのブログ記事は,NYTの記事ではなくてBitsの記事として流通し始めているのである。


 ブログ検索エンジンやブログアグリゲーターのTechnoratiでも同じ動きを見せている。Technoratiでは世界のトップ100ブログ((top 100 blogs)を発表しているが,新聞社サイトの記者ブログが新聞ブランド抜きで扱われていた。以下はその例である(ABC NewsのブログもABCブランドが消えている)。

Blog100TechnoratiNewspaper.jpg

 記者ブログの例として,NYTimes.comの政治ブログCaucusを覗いてみよう。

CaucusNYT.jpg

 当然のことだが,ブロガーである記者の署名記事となっている。上の例で,記者名David Stoutをクリックすると,同記者の過去記事アーカイブに飛ぶ。以前Google Newsを例に,新聞ブランドから記者ブランドの流れを紹介したが,新聞社サイトにおいてもブログブランドや記者ブランドを前面に押し出す時代になってきたようだ。これは読者のニーズに応える動きともいえる。新聞ブランドよりもブログブランドや記者ブランドに従った方が,雑音が少なく効率よく情報収集しできるのかも。



◇参考
・Google News,新聞ブランドから記者ブランドの流れ(メディア・パブ)

この記事をブックマーク: このエントリーを含むはてなブックマーク この記事を検索: Google 検索
posted by 田中善一郎 at 09:19 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース
2009年07月27日

米新聞社のNYタイムズとマクラッチー,増益となったが苦境脱出からは程遠い

Tweet このエントリーをはてなブックマークに追加
 米国の代表的な新聞社であるNYタイムズ(NYT)とMcClatchyがそろって,第2四半期の決算で増益となった。NYTは前年同期比84.8%増の3906万ドルに,またMcClatchyは同114.7%増の4221万ドルと純利益を計上したのだ。

 同業のFinancial Timesは“NYT profit offers hope for industry”と,今回のNYTの黒字化が新聞業界に希望をもたらすと伝える。ほんとうに米新聞社が回復に向っているのだろうか。

 どうもそうでなないようだ。総売上は回復どころか大幅に減っきており,厳しい状況に変わりがない。NYTは21.2%減で,McClatchyが25.4%減と前年同期に比べ大幅に売上が落ち込んでいるのだ。なのに増益になったのは,大きく経費を節減したからである。NYTは20.0%,McClatchyは28.1%も経費を節減したのである。

 さらに問題は売上の内訳にも見られる。両社とも売上の中核となる広告(プリント広告+オンライン広告)売上が前年同期比で30%以上も減らしている。まだ底打ちしていなかったのである。これでは,回復に向かっているとはいえない。

 両社の09年第2四半期決算の概要は次の通り。

*NYT(The New York Times Company) の2009年4-6月期決算(単位:1000ドル)


NYT09Q.jpg


*McClatchyの2009年4-6月期決算(単位:1000ドル)
McClatchy09Q2.jpg




◇参考
・The New York Times Company Reports 2009 Second-Quarter Results
・NYタイムズが本当に危うくなってきた
・New York Times Company CEO confirms likelihood of pay-wall for NYT content by Autumn(editorweblog.org)
・McClatchy Reports Growth in Second Quarter 2009 Earnings(プレスリリース)
・McClatchy Net Rises on Cost Cuts(WSJ.com)


この記事をブックマーク: このエントリーを含むはてなブックマーク この記事を検索: Google 検索
posted by 田中善一郎 at 22:58 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース
2009年07月24日

ジャーナリストのTwitterアグリゲーター“Muck Rack”が急拡大

Tweet このエントリーをはてなブックマークに追加
 欧米のジャーナリストがこぞってTwitterアカウントを持ち始め,一斉に「つぶやき」はじめてている。そこで,ジャーナリストの「つぶやき」を束ねたアグリゲーター“Muck Rack”が急拡大している。

 現時点で収集対象となっているジャーナリストが属するメディアは,次のとおりである。有力な新聞や雑誌,それにブログが並んでいる。

MuckRack.jpg

 お気に入りのジャーナリストのTwitterのタイムラインを閲覧できるのは当然だが,Muck Rackではカテゴリー別に束ねたジャーナリストのつぶやきをタイムラインで見ることができる。欧米のジャーナリストは通常,自分の担当カテゴリー分野についてつぶやいているので,カテゴリー別に閲覧するとノイズが少なくて有難い。

 カテゴリーは,以下のBEATS欄で示されているように,WorldからWeatherまでの15種が用意されている。以下はBusiness分野のタイムラインである。

MuckRackBeats.jpg


 また各カテゴリー別に,その分野を担当しているジャーナリスト一覧表も見ることができる。以下は,Travel分野担当のジャーナリスト一覧である。

MuckRackTravelPeople.jpg

 Business分野は現在180人強,Politics分野は約60人のジャーナリストが収集対象になっている。良く知られている有名記者も多いので,お気に入りが見つかるかも。

 ここのジャーナリストのTwitterアカウントは,新聞や雑誌などが認めた公式アカウントのはずである。このため,ノイズが少なくて質の高いリアルタイム情報が得られそうである。しばらく使ってみよう。

この記事をブックマーク: このエントリーを含むはてなブックマーク この記事を検索: Google 検索
posted by 田中善一郎 at 00:59 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース
2009年07月15日

新聞2010年終焉説を覆す収益モデル改革とは

Tweet このエントリーをはてなブックマークに追加
 米新聞の2010年終焉説までがついに飛び出てきた

 新聞や雑誌,ラジオの広告売上が急激に落下していく。その様子を現わす下のグラフを何度となく見せつけれらると,Examinerの記事“2010 the final year for newspapers?”も笑い飛ばせなくなってしまう。広告売上に大きく依存する新聞などの米メディア業界にとって,メディア広告の底打ちが見えない現況では,不安が募る一方だ。2010年まで下げ止らないとの予測も出ており,2010年に息絶える新聞が相次ぐのではと心配する声も高まる。

NewspapaerMagazineRadio2010.jpg


  米新聞社は救命策として,人員カットなどの経費削減とかオンライン版コンテンツの有料化を進めているが,どこまで延命効果を発揮するやら。下手すれば終焉を早めることになりかねない。現在の新聞社の収益モデルの延長上で救命を図るのがますます厳しくなっている。
 

 そこで,メディアコンサルタントのPaul Gillin (Paul Gillin Communications )が,メディア企業の収益モデルの改革を提案している(プレゼン資料は「続きを読む」)。

 新聞社に代表される米メディア企業のこれまでの収益モデルでは,広告収入に大きく依存してきた。今でも新聞社の多くは7割近くを広告売上に頼っている。残りは,読者からの新聞紙購読料,つまり販売収入となっている。ネット時代になってもこの収益モデルの延長上で展開していたのではなかろうか。

NewspaperTodayModel.jpg

ところが,この2〜3年の新聞紙広告の激減で,頼みの広告収入が急速に先細りしている。この新聞紙広告の落ち込みを,ネット広告だけではとても補えそうもない。一方の販売収入も厳しい。読者の新聞紙離れが止まりそうもないからだ。販売収入の下落を,オンライン版コンテンツの有料化程度では,とても食い止めることができそうもない。

 つまり,オンライン売上を加えても,米国の新聞社がこれまでの形の広告売上や販売売上を維持するのは,とても無理である。というか,従来の形の売上が大きく減っていくことを前提に,経営を考えざる得ない。つまり,以下のような収益源の多様化が必要とのことである。

NewspaperFutureModel.jpg

 イベント事業,出版事業,教育事業などからの収入に頼っていく経営である。でも,これって,日本の新聞社がやっていることではないのかな。不動産が大きな収入源となっている日本の新聞社もいるが。メディアブランドを武器に,米国の新聞社も多角経営に乗り出せということである。収入源の多角化という方向性は理解できても,上のグラフのように売上げの大半を従来の広告や販売以外からの収入に頼れるようになるのは,すぐには実現できるとは思えないのだが。それまで持ち堪えることができるのか。


◇参考
・2010 the final year for newspapers?(Examiner)
・「新聞の終焉」を予告する最新データ(メディア・パブ)
・世界広告市場の底打ちはまだ先,今年の広告費は前年比5.5%減と下方修正(メディア・パブ)
・Why the New York Times Co. Will Be in Business Until at Least 2012(AdAge)
・The Year The Newspaper Died(Silicon Alley Insider)続きを読む
この記事をブックマーク: このエントリーを含むはてなブックマーク この記事を検索: Google 検索
posted by 田中善一郎 at 10:27 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース
2009年07月11日

NYタイムズのオンライン版,月間5ドルの有料化を検討中

Tweet このエントリーをはてなブックマークに追加
 The New York Timesのウェブサイト(NYTimes.com)が,月間購読料5ドルの有料化を検討中である。このようにBloombergが報じている。

 NYTimes.comのコンテンツ(ブログやマルチメディアも含む)をアクセスする際に月間5ドルを課した場合に,NYTの現読者が払うかどうかをアンケート調査しているという。また,NYT紙読者に月間2.5ドルの割引料金を用意した場合の反応も調べている。 

 オンライン版の有料化で,収支が本当に改善されるのだろうか。有料化によりオンライン販売が新たな増収となるが,一方でオンライン読者が少なくなってオンライン広告売上が減収となるだろう。

 そこでSilicon Allay Insider(SAI)は,次のように試算している。

 NYTimes.comのユニークユーザー数(米国)は,Competeによると1500万人であるが,無料であるから利用している者が多いのは否めない。有料化の壁を設定した場合でも,どれくらいのユーザーが購読料を払ってまでアクセスするかである。SAIでは,少なくとも100万人くらいは払うだろうと予測している。ただし,Times Select(2007年秋まで実施していたNYTimes.comの有料サービス)の購読者数(web-only)が22万人程度であったことを参考にして,今回の有料サービス利用者を75万人と少なめに見積もって試算している。ただしオンライン版の年間購読料は80ドルとした。

 この前提で計算すると,
6000万ドル=75万人×80ドル
がオンライン販売の増収分となる。


 次は,オンライン広告売上への影響である。NYT社のオンライン広告売上は年間にして約3億ドル(3Qが7500万ドル)。そのうちAbout.comの広告売上が年間1億ドル程度なので,残り2億ドルの大半がNYTimes.comからの売上となるはず。少なくとも,NYTimes.comのオンライン広告売上は年間1億5000万ドル〜1億7500万ドル程度であろう。

 有料化の壁が設定されることにより,どれくらいのユーザーが去っていくかが大きな問題となる。SAIでは,月間ユニークユーザー数が半分以下に落っこちると推定している。広告売上がユニークユーザー数に比例するとすれば,2億ドルの半分,つまり1億ドルが減収となってしまう。

 この試算では,オンライン販売収入が6000万ドル増えても,オンライン広告売上が1億ドルも減ってしまっている。つまりオンライン版の有料化により,収益が悪化することもありうるのだ。

 ただ,この試算はかなり大雑把である。有料化の壁の設定の仕方によって,シミュレーション結果がかなり違うはず。ブログや動画コンテンツを含めて,現在のNYTimes.comのほとんどのコンテンツを有料化にしてしまうのか。あるいは,WSJ.comのように仕事に関するコンテンツだけを有料にするが,それ以外の一般記事は無料のままとするかである。

 ソーシャルメディア化で先行してきたNYTimes.comが,有料化の壁を設けて逆行の道を歩むのだろうか。オンライン版の有料化がばくち的な危険性を抱えていることは間違いない。


◇参考
・New York Times Considers $5 Monthly Web-Access Fee (Update2) (Bloomberg)
・New York Times Considers Charging $5 Per Month For Access To NYT.com (NYT)(Silicon Alley Insider)
・Dear New York Times: Please charge me more than $5 for your web site.(The Nieman Journalism Lab)
この記事をブックマーク: このエントリーを含むはてなブックマーク この記事を検索: Google 検索
posted by 田中善一郎 at 10:38 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース
2009年07月09日

「グーグルのパソコンOS参入」,メディアの速報合戦

Tweet このエントリーをはてなブックマークに追加
 昨日(日本時間8日の昼過ぎ,米時間7日から8日の深夜),「Google Chrome OS」のニュースでメディアサイトが賑わった。そこで,その速報合戦の様子を。

 火ぶたを切ったのはArs Technica(Condé Nast傘下)の以下のスクープ(米中央時間7日10:20PM)である。

GoogleOSArs.jpg

 技術系専門サイトのArs Technicaが,米時間7日の深夜近くに米グーグルがパソコンOS参入の発表を行うと伝えたのだ。そのあと直ぐに,Googleが公式ブログで,以下のように発表した。

GoogleOsOfficialBlog090707.jpg

 発表直後から,Twitterやニュースアグリゲーター(Techmemeなど),ソーシャルニュースサイト(Diggなど)は,Google OSのニュースで大賑わいすることになった。もちろん,NYTimes.comやCnetなども速報した。深夜なのにご苦労様だ。

 ニュースアグリゲーターTechmemeの,米東部時間8日1時と同2時における掲載を示す。

TechmemeGoogleOS0907080100am.jpg


TechmemeGoogleOS0907080200.jpg

 ニュースアグリゲーターでは少し遅延が加わるが,ソースの有力なマスメディアやブログでは,米時間8日深夜1時〜2時(日本時間昼過ぎ)にこのニュースを伝えていたようだ。

 日本の技術系サイトも8日14時から15時の時間帯で,第一報を伝えていた。


◇参考
・Google Plans a PC Operating System(NYTimes.com)
・Introducing the Google Chrome OS(Google Blog)
・Sources: Google OS lives (and it's coming to a netbook near you)(Ars Technica)






この記事をブックマーク: このエントリーを含むはてなブックマーク この記事を検索: Google 検索
posted by 田中善一郎 at 07:57 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース
2009年06月25日

Google News,新聞ブランドから記者ブランドの流れ

Tweet このエントリーをはてなブックマークに追加
 特定新聞の記事ではなくて,特定記者の記事を読みたい。こうしたニーズに,Google Newsが応える。

 ニュースアグリゲーターGoogle Newsでは,掲載ニュース記事(見出しと要約)に筆者名を付記するようになっている。新聞記事なら記者名が,ブログならブロガー名が付いているのである。

GoogleNewsJournalist.jpg

 その筆者(記者,ブロガー)名をクリックすると,その筆者の過去記事が見つかる。上の例で,WashintonPostのAlec MacGillis記者をクリックすると,以下のように,「author:"Alec MacGillis"」のGoogle News検索結果が現れる。

GoogleNewsAuthorSearchResults.jpg


 お気に入りの記者の記事を必ず読みたい。見逃しなくない。その場合は,メールへのアラートサービスやRSSサービスを利用できる。もちろん以下のように,Google Newsをパーソナライズして,お気に入り記者の常設欄をGoogle Newsページに設けることもできる。

GoogleNewsAuthorPersonalized.jpg

 ニュースアグリゲーターやソーシャルニュースサイト,RSSフィード配信の普及で,自分にとって面白い記事や有益な記事の選択を新聞ブランドだけで行わなくなってきている。米国の新聞社サイトでは記者ブランドを前面に押し出した記者ブログが増えてきているだけに,これから新聞ブランドから記者ブランドへの流れが加速化しそう。



◇参考
・Search by Author on Google News(Google News Blog)
この記事をブックマーク: このエントリーを含むはてなブックマーク この記事を検索: Google 検索
posted by 田中善一郎 at 09:29 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース
<< 1  2  3  4  5  6  7  8  9  10  11  12  13  14  15  16  17  18  19  20  21  22  23  24  25  26  27  28  29  30  31  32  33  34  35  36 >>
Powered by Seesaa
Seesaaブログ
新着記事
(10/17)激しく責め立てられる「…
(09/19)動画配信のソーシャル系…
(09/11)SNS上のニュースは不正…
(07/28)勢いが続く「LINE」「In…
(06/30)TVニュースだけではなく…
(06/15)ニュースユーザーのFB離…
(06/01)高年層のSNS利用が増え…
(05/21)金融新聞「FT」までがFB…
(05/06)米ニュースメディアが相…
(04/16)モバイル広告市場を牽引…
(04/10)FBのアルゴリズム変更後…
(03/14)紙の「雑誌ブランド」は…
(02/07)「メディア」も「プラッ…
(01/30)国民の信頼が最も低い米…
(01/21)メディアに好かれる「グ…
(12/21)若いミレニアル世代ほど…
(12/08)世界の全広告費の25%を…
(11/28)デジタル売上8億ドルの…
(09/28)「グーグル」と「FB」が…
(09/07)FBに頼る海外のニュース…
カテゴリ
RSS配信 ブログ(202)
マーケティング 広告(339)
新聞 ニュース(702)
出版 雑誌(319)
TV  ビデオ ラジオ(277)
ポータル サーチエンジン(179)
メディア(94)
ケータイ モバイル(115)
市場(144)
その他(47)
日記(1)
Web2.0 SNS CGM(312)
ネットワーク(30)
ビッグデータ AI(4)
過去ログ
記事検索
 
プロフィール
名前:田中善一郎
E-mail:ztanaka@excite.co.jp
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。