
(これはPlastic Logic社の大型画面E-Reader)
アマゾンが大型画面のKindleを今週の水曜日(6日)に発表するようだ。電子新聞や電子雑誌をターゲットにしたE-Readerであると、米国のマスメディアサイトやブログが一斉に伝えている。
大型画面なので、紙媒体の新聞や雑誌と同じようなレイアウトのコンテンツを表示できるのだろう。記事だけではなくて広告コンテンツも同じ画面に表示できそうなので、一部の新聞社や雑誌社は乗り気である。アマゾンCEOのJeffrey P. Bezosは、苦境に立たされている新聞を救済したいと発言しており、その願いを込めて新Kindleを世に送り出すとアピールしたいのだろう。
NYtimes.comの記事も、新聞を救う騎士のようだと、大型画面のE-Readerに期待を膨らませている。その記事では、新Kinjdleの開発プロジェクトのパートナーとしてNYTが加わっていることをほのめかしている。どうもNYTは大型画面Kindle向けの電子新聞を出したいようである。
数年先にはE-Readerが紙媒体を救う騎士になるかもしれない。でも現在の新聞や雑誌の苦境を素早く打開してくれる騎士と期待するのは酷である。今の端末で提供できるコンテンツは、カラー表示もできないし、写真の質も劣るはず。わざわざ端末を購入してまで、紙媒体よりも表示の質が劣るコンテンツを有料で購読する読者は、しばらく少数派ではなかろうか。
さらに、現在のオンラインの新聞コンテンツと比べると大きく見劣りする。カラー表示ができないことの他に、リンク機能、マルティメディア機能、対話性などが備わっていないからだ。現在開発が進められているE-Readerは、低消費電力を実現するためパソコンレベルの処理機能を持たせられないので仕方がない。
それよりも、ネットパソコンやスマートフォンでオンライン新聞コンテンツを無料で閲読するユーザーの方が多くなるのではなかろうか。E-Readerでスタティックなコンテンツを有料で購読するよりも、ネットパソコンなどでダイナミックなコンテンツを無料で閲読する方がありがたい。でも,今の新聞社サイトのコンテンツではなくて、どうしても新聞紙と同じレイアウトのコンテンツを読みたい読者は、E-Readerになびくかもしれないが。
またE-Readerの対抗馬として、Appleが開発していると噂が飛び交っているタブレットも注目しておきたい。iPhoneよりスクリーンサイズが3〜4倍大きいカラー表示の多用途向けタブレット(大型画面iPhone?あるいはネットパソコン?)とのこと。既存のダイナミックな新聞社サイトを無料で閲覧できるはず。
更新:5月5日14時
ブログengadgetは“
Amazon Kindle DX to feature 9.7-inch display? Update: Pictures!”と,画面サイズが現Kindleの6インチより大きい9.7インチになると伝えている。写真(スライドは
こちら)も掲載している。
この新Kindle(Kindle DX?)の水曜日の発表では、NYT社やTime社(Time WarnerInc)も参加するように、電子新聞や電子新聞のリーダー装置として一部で期待が寄せられている。でもやはりまだ時期尚早ではなかろうか。WSJ.comが“
Amazon to Launch Kindle for Textbooks”と伝えるように、当面は大学生向け教科書リーダーとして利用されそうである。engadgetによると,科学やコンピュータサイエンスの教科書がプレインストールされたKindle DXを、秋の新学期に一部学生に配布する予定という。この実験に、Pace, Princeton, Reed, Arizona State, and Darden School at the University of Virginiaが加わることになっている。
◇参考
・
Looking to Big-Screen E-Readers to Help Save the Daily Press(NYTimes.com)
・
New Amazon Device Debuts Wednesday(MediaMemo)
・
新聞紙を止めてKindleに配信すれば、経費が半減するって本当か?(メディア・パブ)
・
FTやUSA Todayが新たな電子ペーパー発行へ、Kindleだけではなくて Plastic Logicも採用(メディア・パブ)
posted by 田中善一郎 at 02:08
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