The Times ,The Sunday Times ,Times Onlineの記事が含まれる。なんと,1785年の記事から 対象となる。ということは,歴史書や教科書でしか知らなかった次のような産業革命時代の出来事も,ニュース記事として読めるようになるはず。
1785年:カートライトが力織機を発明
1811年:ラッダイト(機械打ち壊し)運動
1814年:ジョージ・スチーブンソン が蒸気機関車を実用化
1834年:チャーチスト運動
1848年:マルクスとエンゲルスの共産党宣言
などの出来事を,当時のジャーナリストがどのような視点で報道しているかが興味深い。
すでに英Guardian News and Media は,過去212年間の記事をデジタルアーカイブ化し,有料のオンラインサービスを開始している。ナポレオンに関する記事も見つかるようだ。また米New York Timesは1851年以降の全記事を収めたデジタルアーカイブサービスを始めている。過去20年間の記事を無料で閲覧でき,それ以前の記事も一部は無料で利用できる(詳しくは,以前のエントリーで紹介)。
NYTimes.comでは,サイト内の検索窓からデジタルアーカイブを利用できる。以下に実例を示す。検索対象記事の期間を年月日で指定できる。ここでは,1912年1月6日から同年12月31日までを検索期間として指定し,“titanic”で検索している。
検索結果から,次のタイタニック号沈没を伝えるニュース(1912年4月15日付記事)が見つかった。無料で閲覧できる。
沈没しようとするタイタニック号からの打電の様子を報じた記事である。臨場感溢れる生々しい記事である。その当時は,インクの臭いがする新聞紙をむさぼるようにして読んでもらえたのだ。テレビもない。ましてやインターネットもない,良き時代?であったのか。
英Timesのデジタルアーカイブもその良き時代のニュースを閲覧できるのだが、正式サービスは有料で提供するようだ。ただしNYTのように,かなり過去の記事が無料でアクセスできるようになるのではなかろうか。現在のTimesの検索サービスを使ってみると,約10年間の過去記事を無料で閲覧できた。以下は“sony”で検索した結果である。4437件の記事が検索された。2000年当時の記事も実際に読むことができた。
NYTの例からもわかるように,過去記事すべてにそれぞれ固有のURL(パーマリンク)を与え,オープン化の流れが始まっている。自社サイトの検索サービスだけでなくて,Googleのような検索エンジンからでも,大昔の記事が利用できるようになっていくのだろう。
*おまけニュース:Timesはマードック帝国の新聞であるが,先週WSJとTimesは広告事業で提携することになった。
◇参考
・ Over 200 years of newspaper content to be made available as TimesOnline launches digital archive(Journalism.co.uk)
・NYTのアーカイブ開放,新聞社サイトが新局面に(メディア・パブ)
・GuardianとObserverのアーカイブ,ナポレオンの記事も閲覧できる(メディア・パブ)