際だつThe SEA-EAT の活躍 スマトラ沖地震・津波に関する情報提供で,ブログをはじめとするインターネット・メディアが活躍している。速報性,網羅性,有用性の点で.特に大津波が発生した当初においては,マスメディアに劣らない役割を果たした。
その中で,津波発生から数時間以内に立ち上げ,多くのマスメディア側からも絶賛されているブログが,
The SEA-EAT (South-East Asia Earthquake and Tsunami) である。Ms Di Maio が Dina Mehta, Peter Griffinと一緒に手がけたブログで,インド西部の都市ムンバイ(Mumbai)を拠点にしているが,ニューデリーの学生やスリランカのTVプロデューサーなどネットに精通した人たちも仲間入りし,さらに欧米のブロガーも協力に加わった。バーチャルなボランティア活動サイトとも言える。
これまでのマスメディアからは,被災者や関係者,ボランティア志願者などが一刻も早く知りたい被災情報,安否情報,ボランティア情報,義捐金申込先といった情報が,津波発生からすぐには,必ずしも満足に得られなかった。公的機関なども徐々に情報を提供し始めたが,なかなか連絡が取れなかったり,情報も不十分な場合が目立った。
でも一方で,インターネット時代の現在では,個人,マスコミ,病院,支援組織,公共機関が次々と津波関連の一次情報をネットに発信していった。こうしたバラバラに発せられた情報をいち早くフィルタリングしたり整理していったのがSEA-EAT である。一部のブロガーにとっては,どのニュースや情報が役立つのかを嗅ぎわけ,それをブログで伝え広げていくのは日常的な行動でもあったのだ。また,マスメディアが入り込めない危険地域も,SEA-EATではカバーしていった。多くの犠牲者をだした,スリランカの反政府ゲリラLTTEが支配している地域がそうである。
だがいつものごとく,プロのジャーナリストでないブロガーが流す情報は信頼できないとの声も聞かれた。裏をとっていない情報はアテにならないとの意見だ。でも,こうした混乱時に,確実な情報しか流さないとすると,役立つ新鮮な情報はほとんど得られないだろう。北米在住の1000人以上のジャーナリズムを会員とする SAJA(South Asian Journalists Association)が,Webで
Reporting Tips on Tsunami Disaster を発信しているが,彼らすらサイト上で“SAJA has not verified information of the various aid organizations listed here.”と言っているぐらいだから。
SEA-EATも生情報をむやみに垂れ流していたのではない。“junitors”とか“monitors”と称する編集者を置き,junitorsは冗長な情報やダブった情報を取り除き,monitorsは変な情報が流れないようにチェックしている。ブロガーの世界でアッという間に存在が知れ渡り,またいち早くNYTimes,BBCなどで紹介されたこともあって,ハブ的な役割を担い,地震・津波関連情報が集まっていった。さらにSEA-EATは,市民ジャーナリズムのWikinews上で,緊急情報データベースを作り上げている。
ソース
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Blogs Provide Raw Details From Scene of the Disaster(NYTimes.com)・
Web logs aid disaster recovery(BBC NEWS) ・
Web helps collect aid donations (BBC NEWS)・
Bloggers at Front Line of Relief Efforts(SPIEGEL ONLINE )・
Tsunami response(rexblog.com)・
Tsunami Relief: Spreading The Word・
In the tsunami’s wake, blogs come of age ( The Hindu)・
Web users lend virtual hand to tsunami victims (Yahoo! India News ) ・
Tsunami Reconnect Project: Update (boingboing)・
Tsunami blog coverage: updates (boingboing)・
Bloggers and Tsunami: But Is It Journalism?BBCはさすが ネット系マスメディアは,今回の惨事をどう伝えたのだろうか。欧米のメディアは,クリスマス休暇時と重なり自国の観光客が数多く犠牲になったこともあって,当初から大々的に報道してきた。初めは,当然であろうが,自国民をはじめとする外国旅行者の被害,安否,救済に焦点をあてたニュースが中心であった。なかなか惨事の全体像が把握できなかつた。
そうした状況の中で光ったのがBBCの報道(
Reporters' log: Asian quake disaster )である。海外旅行者だけではなくて,現地人の被災についても,時々刻々,レポートをサイトにアップしていった。現地人やリゾート地以外の被災状況を,最初から精力的に取材していたのは,さすがBBCである。
NewsNowやGoogle Newsなどのニュース・アグリゲート・サイトを見ていると,世界のメディアが発するニュースから,各国の支援活動などが手に取るように読みとれる。惨事後すぐにも,民間団体,ボランティア,それに各国政府が活動に入った。初動の早さが大事であることは言うまでもない。欧米企業もいち早く支援に動いた。コカコーラが飲料水などを供与したとか,eBayもオークションの出品者に売値の何パーセントかを慈善団体に寄付する仕組みを用意したとか,各国企業の支援活動のニュースが多く伝えられた。でも,どうも日本の支援活動は陰が薄い。こうした世界のニュースが飛び交うネット上では,一次ニュースの言語は8割強が英語と言われている。日本のメディアが英語ニュースを流すことが少ないせいかもしれない。ただ日本の新聞を見ていても,支援活動の必要性を訴えるニュースが遅いように思えるのだが・・。
韓国のOhMyNewsでも,韓国マスコミの報道について問題点を指摘していた。市民記者の投稿記事で,インターネット新聞JANJANにその
翻訳「
読者の意見>東南アジアの災難を見ながら、韓国マスコミの問題点を指摘する」が掲載されている。もっと,メディアは国際人道支援を仕向けるような報道が必要ということである。
数年前の話だが,パプアニューギニアに出かける直前に,同国が地震と大津波に襲われたことがあった。当時の新聞では,インドネシア国境近くの村々が10メートルを超える大津波により犠牲者が数千人に達した,と報道していた。たまたま旅行しよとした国でもあったので,同国の大使館を訪ね,現況をを聞いた。そのとき驚いたのは,予想に反して,日本からの支援が少ないことであった。日本に留学しているパプアニューギニアの学生(確か,東北地方に一人,四国地方に一人)も,掲示板で悲惨な大津波の現況を訴え,義捐金を必死に切望していたのを思い出す。
今回の東南アジアの地震・津波に対する支援については,年明けの新聞でようやく大きく扱うようになった。6日にジャカルタで開かれる緊急首脳会議に合わせて,小泉首相が5億ドルの無償資金の供与を表明するとのこと。金額面では日本は世界最大の救出国家ではあるのだが・・・。
ソース
Corporations give to tsunami relief (CNN money)
posted by 田中善一郎 at 20:52
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