2007年10月08日

米ビッグ3のニュースサイトMSNBC,ソーシャルサイトNewsvineを買収

newsvine.JPG


  米ニュースサイトのトップ3に入るMSNBCが,ソーシャルニュースサイトのNewsvineを買収することになった。

 メインストリームメディアがソーシャルメディアを買収する。米国では一つの流れとなりそうだ。

 Newsvine.comは, Digg.com, Reddit.comと共に米国では人気の高いソーシャルニュースサイトである。これらDigg,Reddit,Newsvineの各アイコンは,主要ニュースサイトでよく見かける。アイコンをクリックすると,対応記事が投票されるようになっている。Newsvine.comの特徴は,ニュースソースとしてAP記事を利用していることと,トップページをNetvibesのようにパーソナライズができることだ。このため,トップページに外部のRSSフィードを取り込める。

 今回の買収額は明らかにされていない。また,買収後もNewsvineの独立運用は継続するという。


◇参考
Msnbc.com buys social news site Newsvine(MSNBC)
参加型ニュースサイトのNewsvineが本番開始,APとの連係が目立つ(メディア・パブ)
posted by Kilimanjaro at 10:11 | Comment(0) | TrackBack(3) | 新聞 ニュース
2007年10月04日

技術分野のニュース市場,「ベストエフォート」型ミドルメディアが台頭

 Techmemeは,技術系のブログの世界(blogosphere)で圧倒的な支持を得ているニュースアグリゲーションサイトである。そのTechmemeが,技術系ニュースサイトのランキング Techmeme Leaderboardを発表し始めている。

 Techmemeは,Google Newsの技術ニュース版と思えばよい。オーソリティーの高いサイトからのインバウンドリンク数が多いニュース記事を,素早く掲載している。Leaderboardには,過去30日間Techmemeに登場した回数によってランキングされており,トップ100のニュースサイトが毎日掲載されている。最新のランキング表(日本時間10月4日)を以下に示す。

TechmemeRank0710.JPG
Techmeme071004.JPG

 このランキングから,米国の技術系分野でどのようなメディアが閲読されているかを垣間見できる。


勢力増すミドルメディア

 やはり,New York Times,BBC,Wall Street Journal,Reuters,Business Weekのような代表的な伝統メディアや,CNET News.com,InfoWorld,Computerworldのような技術専門メディアが選ばれている。いわゆるメインストリームメディアである。だがトレンドとして注目したいのは,伝統的なメインストリームメディアが「主流」でなくなりつつあることだ。

 ブログに代表されるソーシャル系メディアが勢力を増している。トップのTechcrunchや2位のEngadgetはブログである。つまりハイテク分野の世界では,最近は情報源としてメインストリームメディア以上にブログなどが利用され始めているのだ。

 ただし,Techmeme Leaderboardのランキングでも明らかになっているように,ブログと言っても個人ブログは非常に少なくなっている。マスメディア(新聞社/雑誌社サイト)とパーソナルメディア(個人ブログなど)との間に,新しいタイプのメディアが台頭してきているのだ。「ガ島通信」の藤代はんも言っている「ミドルメディア」である。

 ランキング上位に登場している,Techcrunch,Engadget,Read/WriteWeb,GigaOM,Silicon Alley Insider,Techdirtなどのミドルメディアの特徴は,パーソナルメディアと違って,商業メディアであることだ。また,マスメディアと違って,積極的にソーシャルメディア機能を取り込んでいる。

 ミドルメディアの代表例はブログネットワークである。有力ブログを束ねたブログ出版社である。参加するブログも,今ではグループブログ(ブロガーが複数人)が中心になってきた。またBusiness2.0(今月に休刊)やIndustry Standardなどのニューエコノミー誌の残党や,制約の多いマスメディアからスピンオフした編集者が仕掛けている新興メディア社も,目立って多くなってきた。

 こうしたミドルメディアは,苦戦気味のマスメディアと違って,勢いを増している。だが伝統的なマスメディアは,相変わらず「信用」と「安全」を看板に,自前主義を貫いている。外部リンクを張るのも大きく制限する。さらに昔ながらの著作権を主張している。

 これに対し,ミドルメディアはソーシャルメディア的な展開を売りにしている。自前コンテンツにこだわらず,外部リンクもドンドン張りまくる。もちろん,同じ目線での読者との交流も盛んだ。著作権もクリエイティブ・コモンズ 風で,自由に使い合おうとしている。

 例えば,Wikipediaの対応を見れば違いが明確である。信用と安全を第一にするマスメディア,特に新聞社サイトはWikipediaにリンクを張ることはご法度になっている。だが,ミドルメディアではごく当たり前の行動である。つまり,マスメディアが品質保証を主張するメディアとすれば,ミドルメディアは「ベストエフォートメディア」と言える。より良いコンテンツを提供するために少々のリスクを伴っているかみしれないが,ミドルメディアの多くの読者はその当たりを理解しているのだろう。


伝統メディアによるミドルメディア買収が始まりそう

 こうしたミドルメディアは,最近ではマスメディアの領域にも浸食し始めている。例えばBoingBoingは最近,テレビ領域への進出を果たした。伝統マスメディアもこのままではミドルメディアの勢いに押されて,ジリ貧となってしまう。

 そこで,資金力のあるマスメディア企業が動き始めた。ミドルメディア企業の買収である。ちょうど2年前にAOLがブログネットワークのWeblogsを買収したことがあったが,それ以降は動きが途絶えていた。だがここにきて,急成長するミドルメディアに対し,マスメディアが食指を動かし始めている。

 まず24/7 Wall Stが昨日,CNETがTechCrunchを1億ドルで買収する可能性があるの噂を流した。GigaOm, Ars Technica, SeekingAlphaそれに少し技術分野から離れるが,HuffingtonやBoing Boingが買収候補として挙げられている。こうした買収劇は十分に起こりえる話だ。

 ところで,日本のミドルメディアはどうなっているのだろうか。少しは動きが出始めたが,まだこれからである。高齢化社会での多くの日本人は,ベストエフォート型よりも,品質保証型が好きだし・・・。
 

◇参考
Techmeme Leaderboard is live(TechmemeNews)
TechMeme Leaderboardの評判 + 新分野登場間近(TechCrunch Japanese)
Techmeme Leaderboard Dominated By Media Companies(Publishing2.0)
「炎上」の発火源?・マスコミとブログつなぐ新メディアの台頭(NIKKEI NET/IT-PLUS)
プロが編集したニュース 対 集合知で編集したニュース(メディア・パブ)
TechCrunch to Sell to CNET for $100+ Million?(Silicon Alley Insider)
TechCrunch And Huffington: Who Will Buy The Big Blogs?(24/7 Wall St)
BoingBoing.net bounces into TV territory(latimes.com)
米AOL,ブログ専門出版社のWeblogsを買収(メディア・パブ)
posted by Kilimanjaro at 13:24 | Comment(0) | TrackBack(4) | 新聞 ニュース
2007年10月02日

英ファイナンシャルタイムズも「課金の壁」撤廃へ一歩

FTcom.JPG

 英国の経済紙Financial Timesのサイト(FT.com)も,有料サービス終了への一歩を踏み出すことになりそうだ。

 FT.comではこれまで,一部の記事を無料で閲覧できてはいたが,全記事を閲覧するには,年間 £98.99 ($110 in the US) か月間 £8.25 ($9.20 to the US) を払わなければならなかった。

 その課金システムを,10月中旬から一部変更する。1ヶ月間で30本の記事を無料で閲覧できるようにするのだ。新たな有料サービス会員を増やすための対応かもしれないが,中途半端に思えてならない。いずれ,「課金の壁(pay wall)」を撤廃して,全記事を無料で開放するのではなかろうか。

 FT.com自身も記事の中で,NYTやWSJの例を挙げて,有料サービス終焉のトレンドを次のように紹介している。
The move comes as growing online advertising revenues prompted the New York Times to end online subscriptions, and as Rupert Murdoch is considering abandoning subscriptions to increase traffic to the Wall Street Journal’s website after News Corp’s purchase of Dow Jones.
 また同記事では,一般のユーザーがアクセスできなかった有料記事を,本数の制約があるにしろ,無料で閲覧させることにより,ブロガーやニュースアグリゲーターがFT.comの記事にリンクを張ってくれるようになると述べている。それなら,30本とケチらずに全記事を無料で閲覧させたほうが,もっとソーシャルメディア経由のトラフィックを増やせるようになるのでは・・。



◇参考
FT.com pioneers change to charging(FT.com)
FT.com Drops Pay Wall For Casual Readers; Subs Remain For Others(paidContent:UK)
Interview: Ien Cheng, FT.com Publisher: A Pay Wall ‘Third Way’(paidContent:UK)
タグ:新聞

posted by Kilimanjaro at 02:09 | Comment(0) | TrackBack(2) | 新聞 ニュース
2007年10月01日

NYTのアーカイブ開放,新聞社サイトが新局面に

 NYT(New York Times)のサイト(NYTimes.com)が,有料サービスTimesSelectに終止符を打った。これは,これからのコンテンツビジネス,中でもニュースサイトの在り方に大きな影響を及ぼしそうだ。

 衝撃的な過去記事の無料化

 TimesSelectの有料コンテンツとしては,過去記事を除けば,売り物にOp-Edなどのコラム記事くらいしかなかった。最新のニュースコンテンツは以前から無料で開放していた。だから,TimesSelectが終了してコラム記事が無料になったからと言って,一般のニュースユーザーにすれば,とりたてて大騒ぎするようなことではない。

 だがサプライズもあった。TimesSelectの終了に合わせて,新聞紙を含めたNYTの過去記事の多くを無料閲覧できるようになったからだ。正確には,1987年以降の過去20年間の記事全てが無料となった。さらに,それ以前の昔の記事もかなりがタダで読めるのである。事例は,あとで紹介する。

 新聞社サイトでは断トツの存在

 NYTimes.comの新しいニュースコンテンツは,先に述べたように,もともと無料で閲覧が可能であった。世界に通用する良質のニュースコンテンツを提供しているのだから,NYTimes.comの人気は高い。単独の新聞紙サイトながら,Yahoo News,CNN,MSNBC,AOL Newsのポータル系に次いで,Nielsen/Netratingsによると米ニュースサイトの5位に付けている。新聞社系サイトではトップである。

*米ニュースサイトの2007年7月のランキング
NielsenNewsSite0707.JPG
(ソース:Nielsen/Netratings)

 ここで注目したいのは,NYTimes.comが昨年から本格的なSEO対策に着手していることである。過去に遡って各記事にパーマリンク(永遠に変わらないURL)を付与したり,また検索エンジン向けに配慮した記事の書き方(見出しの付け方)を進めていた。すでにNYTimes.comは,ブロガーに最も記事を引用されているニュースサイトとなっていた。Technoratiの調査でも,Yahoo News,CNN,MSNBCの3サイトよりも,ブログからのインバウンドリンク数が多い。

*ブログからのインバウンドリンク数ランキング(対象サイトはメインストリームメディアとブログ):2006年第4四半期データ
TechnoratiNYT20062Q.JPG


 NYTimesが高い集客力を獲得できているのは,世界に通用する良質のニュースコンテンツを発信していることに加えて,ブログなどのソーシャルメディアからのトラフィックや検索エンジンからのトラフィックが多いからである。


さらに検索エンジンからのトラフィック増を目指す

 もっとSEOを徹底させてNYTimesのトラフィックを増やしていくために,今回のTimesSelectの終了,つまり「課金の壁」の撤去に至ったと見て良さそうだ。また,NYTが本格的なSEO対策を実施できたのは,買収したAbout.comのノウハウを取り込めたからのようだ。About.comサイトのトラフィックの8割は検索エンジンから導かれているという。

 これまでのSEO対策の延長上で,今回次のことを実現している(一部推定)。
・1987年以降の全コンテンツを無料化
・1981年以降の全コンテンツをテキスト化
・1851年に遡って1980年までの全コンテンツをデジタル化(PDF化)
・全記事のパーマリンク化と検索インデックス化

 「課金の壁」が存在するときは,一般のユーザーが各ニュースに接触できる期間は限られていた。ところが,今回のように「課金の壁」が取り払われると,検索エンジン経由で誰もが全てのニュースと永遠に接することができるわけだ。明らかに,検索エンジン経由のトラフィックが増えるに違いない。ブロガーにとっても,リンク切れが起こらないため,安心してNYTの記事にリンクを貼ることができる。

タイタニック号沈没の記事も無料で閲覧

 ここで,過去記事の検索を試してみよう。1912年のタイタニック号遭難の記事を探してみた。タイタニック号は1912年4月10日に出航して,同月14日に氷山に衝突して沈没している。豪華客船として話題になっていたようで,1911年だけでもタイタニック号関連の記事は58本検索された。さらに1912年には1388本もの記事が検索された。遭難当時の記事に当たるために,1912年4月15日から17日の期間指定で,“titanic”で検索をかけてみた。その検索結果の一部を以下に示す。驚いたことに,タイタニック関連の記事は無料で閲覧できる。 


*NYTimes.comサイトで,期間指定で“titanic”を検索
TitanicSearchNYT.JPG

 その中から,沈没の様子を伝える4月15日付ニュース記事を閲覧してみた。その記事の一部を以下に。この記事にはタイタニック号の写真も掲載されていた。

*タイタニック号沈没を伝えるニュース(1912年4月15日付記事の一部:NYTimes.comのサイトでは全文が無料で閲覧可能)
TitanicNewsNYT.JPG


水泳古橋選手の記事は有料

 伝説の水泳古橋選手の記事も探してみた。1947年から1960年までの間で,古橋関連のNYT記事が67本検索された。いずれの記事も有料であった。

*期間指定(1948年1月〜1960年12月)で,“furuhashi”を検索
FuruhashiNYTSearch.JPG

 1948年当時,古橋と橋爪は泳ぐたびに世界新記録を更新,また敗戦国日本が参加できなかったロンドンオリンピック(1948年)と同時に開催された全日本水上選手権大会でも,金メダリストの記録を上回る世界記録をマークした。でも,世界からはあまり信用されないままに,翌年のロサンゼルスで開催された全米選手権に両選手が出場。4種目すべてで世界新記録を樹立して優勝した。その時の驚きの記事を閲覧することにした。その記事をクリックすると,以下のような案内ページが。

*検索結果の記事案内
NYTFuruhashiPreview.JPG

 その記事をダウンロードしてみた。PDFファイルの記事の一部を以下に示す。

*ダウンロードした有料記事の一部
FuruhashiNYT.JPG


2万8,000本の映画レビューも無料開放

 過去記事の無料閲覧は,NYTimes.com内のMovie Reviewsにも及んでいる。1960年以降にNYTに掲載された映画レビュー2万8,000本が無料で閲覧できる。

 アルファベット,年度,分野別,批評家,それに国別の各ディレクトリーからも,映画レビューを探すことができる。批評家による映画レビューに加えて,その映画についてユーザーのコメントも添えられるようになっている。

 このように,事実上の記事アーカイブの無料開放で,検索エンジンやブログからのトラフィックがかなり増えそうだ。リピーター以外のユーザーからのアクセスが増え,リーチの拡大も期待できる。

 NYTがアーカイブ開放に本格的に打って出たからには,他の新聞社サイトも対抗上,追従せざる得ないだろう。新聞社サイトも新たな展開を繰り広げることになりそう。


◇参考
Times to End Charges on Web Site (NYTimes.com)
新聞社サイトの有料サービス,最後の砦も崩れそう(メディア・パブ)
NYTimesのサイト, ブランド依存から脱却し検索エンジン対策も(メディア・パブ)
NYTが有料化サービスを中止,1987年以降の記事も無料に(メディア・パブ)
The State of the Live Web, April 2007(Sifry's Alerts)
NYTimes.com,米新聞社サイトの三冠王に(メディア・パブ)
タグ:NYT 新聞

posted by Kilimanjaro at 01:32 | Comment(1) | TrackBack(2) | 新聞 ニュース
2007年09月23日

ロイターの動画ニュース,ブログに貼り付け可能に

 Reuters日本語サイト)の動画ニュースを,ブログなどに貼り付けることができるようになった。

 Reutersサイトのビデオページ日本語ページ)には,世界中の動画ニュースが掲載されている。例として,「フジモリ元ペルー大統領をペルーに送還」の記事を選んでみた。以下に,その時のスナップショットを。

ReutersVideo.JPG



 右上の赤矢印で示したように,このビデオをWebページに貼り付けるためのHTMLコードが示されていた。これをカット&ペーストしたのが以下のWidgetである。



 Reutersが毎日提供する動画ニュースといえば,内外を含めて,政治,エンターテイメント,スポーツ,ビジネス,技術,環境,インタビューなどなど,豊富に揃っている。これらが,個人のブログなどで利用できるとなるとは・・・。ニュースの先頭部分で短いコマーシャルが出てくるが,個人的にはあまり気にならかった。

 動画ではないが,フランスの通信社AFPは写真付きニュースのブログ転載サービスを既に日本で始めている。以下に,AFPが提供しているフジモリ氏のニュースを貼り付けておく。



 かように,動画,写真,テキストなどのニュースコンテンツを,ブログなどの個人サイトでも利用できるようになってきた。個人が独自の切り口で編集するニュースサイトが面白くなりそう。


◇参考
通信社AFPの写真ニュース,無料でブログへの貼り付けが可能に
posted by Kilimanjaro at 16:11 | Comment(1) | TrackBack(3) | 新聞 ニュース
2007年09月19日

「WSJサイトを無料化にすべきだ」とマードックが繰り返し主張

 Reutersによると,News Corpのマードック(Rupert Murdoch)は,Wall Street Journalサイトを無料化すべきとの見解を繰り返し主張したという。

 WSJサイト無料化は新聞に悪影響を及ぼすリスキーな行動だとのアナリスト達の批判に対し,同氏が Goldman Sachs Communacopia 会議でそのように応えた。

 年間99ドルの有料サービスを止めれば,より多くの閲覧者を獲得でき,グローバルな売上高を大きく伸ばせるとの主張だ。つまり,失う購読料売上以上の広告売上を新たに稼ぎ出せるとのことだ。

 また,マードックはWSJとDow Jones Newswiresとの連携を強化していくことにも言及した。両組織合わせて1,600人のジャーナリストをフル活動して,Reuters や Bloombergと戦っていきたいと。

 さらに,10月15日からスタートするFox Business Networkにも触れた。標的のCNBCは“Wall Street”の金融ニュースネットワークであるのに対し,Fox Business Networkは“Main Street”の金融ニュースネットワークになるそうな。マードック爺さんは,まだまだ元気だ。


◇参考
Murdoch makes case for free WSJ online (Reuters)
タグ:新聞

posted by Kilimanjaro at 09:04 | Comment(1) | TrackBack(2) | 新聞 ニュース
2007年09月18日

NYTが有料化サービスを中止,1987年以降の記事も無料に

  やっぱり,「新聞社サイトの有料サービス,最後の砦も崩れそう」が本当になってきた。NYT(The New York Times )がWebサイトの有料サービスTimesSelectを止めることになったからだ。

 TimesSelectは2年前から実施している有料サービス(年間49.95ドルあるいは月間7.95ドル)である。Op-Edなどのコラム記事やアーカイブ(新聞などの過去記事)を提供していた。

 今回の有料サービスの中止に合わせて,コラム記事だけではなくて1987年以降の記事を,すべての人が無料で閲覧できるようになる。それ以前の記事も,幾つかは無料で利用できる。

 有料化サービスの放棄により,NYTは広告ビジネスに賭けることになる。期待したほどの売上を達成できない有料サービスを中途半端に続行するよりも,広告モデルでまい進するのは当然の成り行きである。

 ここで新聞社サイトの有料モデルの最後の砦はWSJ.comだけとなってきた。そのWSJ.comはマードックの手の平に乗ることになった。NYTimesの記事でも伝えれれているように,マードックはWSJ.comの無料化の可能性を検討しているという。

 ともかく,NYTの過去20年間の記事をタダで閲覧できるのはありがたい。NYTのアーカイブ内記事はパーマリンクで公開されている。Googleなどの検索エンジンからも利用できるのでとても便利だ。ところで,僕はTimesSelectの有料ユーザーだけど,返金してくれるのかな?

◇参考
Times to End Charges on Web Site (NYTimes.com)
新聞社サイトの有料サービス,最後の砦も崩れそう(メディア・パブ)
タグ:新聞 NYT

posted by Kilimanjaro at 12:10 | Comment(1) | TrackBack(3) | 新聞 ニュース
2007年09月15日

プロが編集したニュース 対 集合知で編集したニュース

redditdiggdel.JPG

 伝統的なメディアが提供するニュースと,読者参加型のメディアが提供するニュース。どちらのニュースに接する機会が多いだろうか?

 以前なら,新聞社やTV局などのメインストリームメディアが提供するニュースに頼るほかなかった。ところが最近は必ずしもそうではない。ユーザーの集合知によって編成されるソーシャルニュースサイトが台頭してきたからだ。

 では,メインストリームメディアが提供するニュースと,ソーシャルニュースサイトが提供するニュースとでは,どう違うのだろうか。例えば,NYT(New York Times)とDigg とでは,接するニュースにどれくらい違いが生じるのだろうか。それに答えるレポートが,Project for Excellence in Journalism (PEJ)から出た。

 PEJは,07年6月24日から29日までの1週間,ソーシャルニュースサイトやメインストリームメディアを対象に,どのようなニュースが取り上げられているかを調べ上げた。

 ソーシャルニュースサイトとしては,次の3サイトをウオッチした。
Digg.com
Reddit.com
Del.icio.us

 同時に,Yahoo News(Most Recommended, Most Viewed, Most Emailed)も調査対象とした。

 これらと比較するメーンストリームメディアとしては,PEJ’s News Coverage Indexにあるメインストリームメディア48社のニュース一覧を利用した。


 DiggとDel.icio.usはブログが主役

 ユーザーの人気度に従ってニュースをフィルタリングするソーシャルニュースサイトは,ユーザーが編集主導権を握っているようなものだ。ここでの編集(editing)とは,ニュースをフィルタリング(filtering)し掲載順序などを決めることとする。ユーザーがニュースを格付けすることになる。でも,ソーシャルニュースサイトがオリジナル記事を作り出すことはほとんどない。

 対してマスを相手にするメインストリームメディアでは,プロの編集者がニュースをフィルタリングする。つまり編集者の価値観に従って,ニュースが格付けされていく。

 このため,メインストリームメディアで登場するニュースとソーシャルニュースサイトで選ばれるニュースとでは,大きなギャップが生じる。6月末の調査でも,メインストリームメディアではイラクや不法移民に関するニュースが大きく取り上げられていたが,一方のソーシャルニュースサイトではそうしたニュースは片隅に追いやられ,Apple(iPhone)とかNintendo(Wii)が重大ニュースとして扱われていた。

 今回の調査で期待したのは,定量的なデータが少なかったソーシャルニュースサイトの実態が明らかになることである。ソーシャルニュースサイトでは一般に,外部サイトの記事(ニュース記事など)の見出しと要約が掲載されている。本文はソースのサイトに飛んで閲覧することになる。そこで知りたいのは,具体的にどのようなニュースが選ばれているかである。RedditやDigg,Del.icio.usの各ソーシャルニュースサイトにおいて,ソースの記事タイプを分類した結果が下のグラフである。

SocialMedia.JPG
(ソース:PEJ)

 3サイト全体では,タイプ別に見たソースの割合が次のようになった。

40%:Blog
25%:Non-wire news,BBCなどのメインストリームのニュース
5%:Wire stories,APやReutersなどの通信社の記事
31%:Other Web Sites,がYouTubeなどからの記事(あまりニュース的でない情報)
1%:Original Reports

 つまり,ソーシャルニュースサイトの掲載記事の71%(Blog+Other Web Sites)は,ソースがメインストリームメディアではなかった。意外とソーシャルニュースサイトはメインストリームメディアに頼っていない。特に注目されるのは,Diggの記事の50%,Del.icio.usの記事の43%がBlogであったことだ。ただBlogでは新聞社系ニュースサイトの記事をよく引用しているので,間接的だがやはりメインストリームメディアに依存しているとも言えそうだ。

 一方でYahoo Newsはもともと,メインストリームニュースのアグリゲーターである。今まで気が付かなかったのだが,Yahoo NewsのMost Popular で選ばれているニュースはほとんどがWire stories,つまり通信社からのニュース記事である。Google Newsが少し前に通信社4社と契約を交わしたことからも分かるように,Yahoo NewsもGoogle Newsも通信社ニュースへの依存度を高めている。



 ソーシャルニュースサイトは今も技術ニュースが中心  

 メインストリームメディアとソーシャルニュースサイトでは,想像通りだが,ニュースの主要トピックに明らかに違いが見られた。メインストリームメディアでは,海外ニュースや災害ニュースなどが頻繁に取り上げられている。一方のソーシャルニュースサイトでは技術ニュースが抜きんでて多かった。Diggでは40%,Del.icio.usでは42%,Redditでは22%のニュースが技術/サイエンス分野である。その次に多かったのは,ニュース性が薄いがライフスタイル分野の記事である。

 具体例で見ていこう。6月24日からの1週間において,メインストリームメディアで取り上げられたニューストピックのトップ10は次のようになった。
 
immigration debate(10%)
major fire near Lake Tahoe (6%)
failed bombings in the United Kingdom (6%)
events on the ground in Iraq (6%)
Supreme Court decisions (5%)
2008 presidential election (4%)
flooding in Texas (4%),
policy debate in the capitol over the war in Iraq (4%)
U.S. domestic terrorism (3%)
the missing pregnant woman in Ohio (3%)

 海外,災害,政治などの分野のニュースが上位に並んでいる。全ニュースの51%が,上のトップ10のトピックに関するニュースで占めていた。

 そこで知りたいのは,同じトップ10のトピックに関するニュースが,ソーシャルニュースサイトではどれくらいの頻度で選ばれているかである。Redditでは全体の13%の記事しか,またDiggではわずか4%の記事しか,上のトップ10トピックをカバーしていなかった。Del.icio.usにいたっては事実上取り上げていなかった。つまり,メインストリームメディアが重要と評価しているニュースが,DiggやDel.icio.usのようなソーシャルニュースサイトではほとんど無視されていたのだ。

 一方ソーシャルニュースサイトでは,調査期間の最終日がiPhoneの発売と重なったこともあって,Apple関連記事で溢れかえっていた。ソーシャルニュースサイトのカバー範囲は,まだまだ片寄っていると言わざる得ない。それでも,若い人の中には,ソーシャルニュースサイトだけで済ませている人も増え始めている。

 メインストリームメディアとソーシャルニュースサイトとでは,フィルタリングする主要ニュースが現時点で大きく異なる。日本ではその差がもっと大きいのでは。確かにSNSなどの若者たちのコミュニティーの世界では,海外や政治のニュースなんか話題になりにくい。それよりもソーシャルニュースサイトが伝える面白い身近な話の方が盛り上がる。イラク問題を知らなくても困らないが,「顔ちぇき」「脳内メーカー」「ニコニコ動画」を知らないと大恥をかくようだし。

 メインストリームメディアの中には一部で,若い読者を獲得するためにソーシャルメディア的要素を取り込もうと試みているが,どうなることやら・・・。


◇参考
The Latest News HeadlinesYour Vote Counts(Journalism.org)
User-news sites offer diverse stories, some questionable sources(SFGate.com)
タグ:新聞

posted by Kilimanjaro at 09:15 | Comment(1) | TrackBack(4) | 新聞 ニュース
2007年09月07日

米新聞社サイト,一斉にWidget配信に乗り出しそう

 米新聞社サイトが,一斉にWidget(ウィジェット)配信を始めそうだ。

 先陣を切ったのは,USA TodayとWashington Post。専用ページを用意し,本格的なWidget配信に乗り出した。The Wall Street Journalも準備を進めている。New York Timesも簡単なWidget配信を既に試みている。

 近く,ブログやSNS(プロフィールページ),パーソナライズドページ,個人ホームページなどの個人ページで,各社の最新ニュースの見出しなどをWidgetの形で見ることができることになりそう。

 USA TodayとWashington Postの例を見てみよう。
 
 USA Todayでは,とりあえず次の3種類のWidgetを用意した。
・Travel Deals and Destinations
・Today in the Sky with Ben Mutzabaugh
・Top Travel Stories

 代表的なパーソナライズドページ(Netvibesなど),SNS(MySpaceなど),ブログ(TypePadなど),ホームページ(Freewebs)には,ワンクリックで所望のWidgetを貼り付けることができるようにした。

USATodayWidget.JPG


 washintonpost.comは,次の9種類のWidgetを用意した。

・Celebritology
・D.C. Sports Bog
・The Fix
・Lean Plate Club
・On Balance
・Post I.T.
・PostGlobal
・White House Watch
・Iraq Strategy

 実際のWidget2種を,以下に貼り付けておく。

*Post I.T.


*Iraq Strategy


 ここでも,以下のように,Googleなどのパーソナライズドページにワンクリックで貼り付けることができる。
 
WaPoWidget.JPG


 米国の新聞社サイトでは,カテゴリー別のニュースをRSSフィードできめ細かく配信しているので,Widget配信についても特に障壁はなさそう。RSS配信と同様,ニュースカテゴリー別のWidgetを揃えていくことになろう。既に現在でも,iGoogleやNetvibesなどのパーソナライズドページでは,RSSフィードから抽出した見出しなどを,Widgetのごとく貼り付けることができる。ただ,スタティックな形ではあるが。また,Nokiaのケータイ向けに,欧米の多くのメディアサイトはRSSフィード対応のWidgetを用意している。

 ここにきて,米国の新聞社や雑誌社などのメディア企業が本格的にWidgetに取り組もうとしているのは,Widgetを利用したサービス提供やバイラルマーケティングが盛り上がってきているからだ。

 本格的なWidgetを制作し配信していくには,Widget制作/配信の専門業者に頼ることになりそう。代表的なブログ,SNS,個人ホームページ,パーソナライズページに対応させたり,インタラクティブ(タブやスクロールなど)機能やマルチメディア機能,バイラル機能などを備える必要があるからだ。またホスティング機能やアクセスログやトラフィック測定も必要になろう。そこで,USA TodayはNewsGator Technologiesに,またWashington PostはMuseStormに依頼している。



◇参考
Widget Goes Arlington: Paper Adopts Hot New Web Tool (AP)
Free Webinar: Widgets and the Future of Advertising(NewsGator Technologies)
最新ニュースリリースもウィジェットでチェック(メディア・パブ)
経済誌ForbesサイトのWidgets採用,バイラルマーケティングに注目(メディア・パブ)
新聞社NYTが手掛けるWidget利用の有料サービスとは(メディア・パブ)
欧米のメディア企業,ノキアのWidSets対応のニュース配信に相次ぎ参加(メディア・パブ)
タグ:Widget 新聞

posted by Kilimanjaro at 10:42 | Comment(1) | TrackBack(1) | 新聞 ニュース
2007年09月04日

若者向け金融情報サイト,WSJとIACが年内に立ち上げ

 若者を対象にした個人向け金融情報サイト“FiLife”が, The Wall Street JournalとIAC/InterActiveの共同プロジェクトとして年内に立ち上がる(Talking Biz Newsより)。

 WSJとIACの凄い組み合わせだけど,若者向けの軽いサイトのようだ。開発スタッフ5人がブログ(サイト名と同じFiLite)を始めているので,それを見れば何をやろうとしているかは把握できる。

 そのブログのカテゴリーから判断すると、次のテーマを扱う模様。
Checking Accounts
Credit Cards
Credit Reports
Credit Score
FiLife
Mortgages
Organize
・・・


◇参考
Personal finance web site FiLife closer to reality(Talking Biz News)
FiLite.com(about-us)
タグ:Facebook myspace

posted by Kilimanjaro at 08:45 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース
2007年09月03日

Google Newsの方向転換, 新聞社サイトのトラフィックが減りそう

 Google Newsが方向転換した。

 Google NewsにしろGoogle Searchにしろ,Googleのビジネスではネット上の他社コンテンツをタダで拝借している。この結果として,ユーザーに無料サービスを提供でき,またソースコンテンツのサイトに多くのユーザーを誘導できる。Googleに言い分としては,皆がハッピーになれるというわけだ。

 ところがGoogle Newsが,通信社4社のニュースに関してはコンテンツ全文をGoogleサイト側で閲覧できるようにしたのだ。当然,Googleは通信社にコンテンツ料を支払うことになる。これは大きな方向転換である。競合のYahoo Newsではもともと,全てのニュースサイトと契約し,原則としてYahooサイト内でニュース全文を閲覧させていた。今回のGoogle Newsの転換は,一線を画していたYahoo News方式に歩み寄ることになる。

 Googleと契約した通信社は次の4社である。
・Associated Press,
・Agence France-Presse,
・UK Press Association,
・the Canadian Press

 実際の例を見てみよう。以下は,日本時間9月1日の英文Google Newsの一部である。

GoogleNewsAFP.JPG

 これまでGoogle Newsのニュース見出しをクリックすれば,ソースのニュースサイトに飛ぶことになっていた。ところがこれから,契約した通信社のニュースの場合は,Googleサイト内で閲覧できる。

 上は、AFP(Agence France-Presse)発のニュースの例である。そこをクリックするとGoogleドメイン(http://afp.google.com/article/ALeqM5gdyB8Vc_OX8j6mlsu03FOSo1UkCg)に飛ぶ。(注:飛び先はパーマリンクでないため,現在は別のAFP記事が掲載されているはず)。以下は,上の記事見出に対応するAFP記事である(クリックで拡大表示可能)。AFPコピーライトと“Hosted by Google”が表示されている。

GoogleAFP1.JPG


GoogleAFP2.JPG


 Googleが通信社と契約を結んだ背景には,1昨年前頃からニュースコンテンツの無断使用の件で,APなどの通信社から強く抗議を受けていたことがある。AFPからは提訴され損害賠償金を要求されていた。通信社のコンテンツ(時には写真もあり)が,配布先ニュースサイトの記事として使われ放題でもあった。

 Google Newsのようなニュースアグリゲーターの特徴は,複数サイトの記事(見出しとリンク)も同時掲載していることである。特定のニュースについて複眼的な見方を提供するためだ。ところが,大半のニュースサイトでは通信社の記事を頻繁に使っている。このため,同時掲載の記事が同じ通信社コンテンツで重複している場合が多く,ユーザーの不満も少なくなかった。そこで,今回のGoogle Newsでは同じ通信社ニュース記事を重複掲載しないようにした。そして,通信社コンテンツは,通信社ロゴを明示して,全文をGoogleサイト内で閲覧できるようにしたのである。

 これで困るのは新聞社などのニュースサイトである。特に通信社コンテンツに高く依存するローカル新聞社のサイトでは,Googleからのトラフィックが大幅に減りかねない。通信社コンテンツを読むために外部ニュースサイトに飛ぶ必要がなくなるからである。さらに,通信社のニュース記事がGoogle Newsで優先して扱われるかもしれないし。

 ただしGoogle Newsにも悩みがある。未だに広告事業を展開できないでいるからだ。ニュースサイトの記事をタダで利用していることもあって,広告事業に踏み出せないでいる。一方,Yahoo Newsは全てのニュースサイトと契約しているので,堂々と広告事業を展開できる。Google Newsが通信社だけではなくて新聞社サイトとも契約を結んで,Yahoo Newsモデルに変身させていくのかどうかは,見えてこない。ニュースに関係者コメントを付けたり,YouTubeのニュースビデオを掲載したりと,サービス拡充は進めているのだが,いつまでも収益モデルを描かないわけにはいかないし・・・。でも,通信社ニュースのページ(Googleドメイン)への広告掲載はありそうだが。


◇参考
Original stories, from the source (Google News Blog)
Google News Starts Publishing Full Stories; AP, AFP, PA and Canadian Press; Still No Ads(paidContent.org)
Google and the wires torpedo newspapers(mathewingram.com/work)
Google Starts Hosting AP Content -- Could Cut Traffic to Newspaper Sites (AP)
Would you like video with that?(Google News Blog)
通信社AFPが,Googleを無断掲載で提訴(メディア・パブ)
Googleがついに,メディア会社にコンテンツ料を支払う(メディア・パブ)
タグ:google 新聞

posted by Kilimanjaro at 01:00 | Comment(0) | TrackBack(1) | 新聞 ニュース
2007年08月27日

NYTimes記者が薦める他サイトコンテンツとは

 NYTimesがパーソナライズド・ページ・サービスMy Timesの公開を始めた。

 1年少し前から一部ユーザーに提供していたサービスを,ブラッシュアップして誰にも利用できるようにした。機能的には,1年前のベータ版とほとんど変わらない(エントリーで紹介)。新たに以下のWidgetを備えたが,売り物にするほどのレベルではない。

◇WIDGETS(My Timesに貼り付けることができる)
・Times Journalists' Suggestions
・Weather
・Flickr Photo Browser
・Movie Showtimes
・Markets & Stock
・QuotesNYT > Crosswords
・Bookmarks
・Mortgage & Home Equity Rate Trends

 パーソナライズド・ページ・サービスはiGoogle,My Yahoo, Pageflakes , Netvibesなど,既に数多く出回っている。My Timesは遅れて参入している上に,メニューも先行サービスに比べ見劣りする点が散見される。特定のメディア企業が提供するサービスにユーザーが飛びつくかどうか疑問でもある。確かにNYTimesサイトをいつもスタートページとして利用し,NYTimesのコンテンツを中心に情報収集しているユーザーには,魅力があるかもしれないが。

 My Timesでは,他サイトのコンテンツも取り込める(米国では,ブログはもちろん,ニュースサイトもカテゴリー別にRSS配信されているから)。でも,これは米国のパーソナライズド・ページ・サービスでは,当たり前の機能で売り物にはならない。ただ注目されるのは、NYTimesの記者が薦める他サイトコンテンツをワンクリックでMy Timesに取り込めることだ。当然だが,Washington Postなどの競合サイトのコンテンツも含まれている。

 NYTimesの記者がどのようなサイトのコンテンツを,日常的にチェックしているのかは興味深い。意外な面白いサイトを発見できるかもしれないので調べてみた。ここでは,Business,Technology,Healthの各分野で,NYTimesが薦める他サイトコンテンツを紹介する(My TimesのAdd ContentやJournalists’Picsをクリックすれば,その他の推薦コンテンツを閲覧できる)。


◇Business分野
footnoted.org
・Yahoo! News: Top Stories
・Latest financial news - CNNMoney.com
・Yahoo! News: Business

◇Technology分野
・Boing Boing
・Gizmodo
・CNET News.com - E - Business
・Tech News First
・Cool Tools
・Engadget
・John Battelle's Searchblog
News: Digital Photography Review (dpreview.com)
・Pidgin News
・Techdirt
Ubergizmo
・Wired Top Stories
・Yahoo! News: Technology News
・Yahoo! Search Blog
Zatz ・Not Funny!

◇Health分野
・BBC News | Health | World Edition
Diet, Health and Fitness News from eDiets.com ・Weight Loss Program
・MSNBC.com: Health
・New Scientist - Health
・What's Happening at CNN
・Yahoo! News: Health News

 全体に,メインストリームメディアらしく手堅いサイトを紹介している。Techcrunchのようなエッジの効いたブログが外れている。

 Business分野では,footnoted.orgが必見ブログのようだ。

 Tchnology分野では定番ブログが多く薦められている。ガジェット系ブログでUbergizmoが面白そう。

 Health分野では,やはりダイエット/フィットネスのeDiets.comが定番のようだ。

 際だって注目すべきサイトの発見はなかったが,ある記者が選んだpopgadgetは掘り出しブログである。ガジェット製品系ブログであるが,女性の視点から面白いガジェットを紹介している。これまでのガジェットブログは,やはり男性向け製品を紹介している。popgadgetでは,
“Personal Tech + Innovative Lifestyle for Women”をキャッチフレーズにしており,これまでと違った視点のガジェットブログではなかろうか。



◇参考
My Times Launches On NYTimes.com
NYTimes.comのパーソナライズドサービス,競合サイトのコンテンツを取り込める(メディア・パブ)
NY Times Launches My Yahoo Clone A Decade Late(Techdirt)
タグ:NYT

posted by Kilimanjaro at 09:23 | Comment(0) | TrackBack(1) | 新聞 ニュース
2007年08月22日

米新聞紙広告の不振が続き,記者のレイオフ相次ぐ

 米新聞社でニュースルーム・スタッフのレイオフが相次いでいる。4月からの約5ヶ月間で900人ほどの編集スタッフが職を失った。新聞広告の不振と発行部数の減少が続き,人件費カットに向かっているのだ(The Editors Weblogsより)。

 Illinois’ Daily Herald ,The Daily Herald, Chicago Tribune, San Jose Mercury News , Denver Postなどの新聞社でレイオフが実施された。

 今年に入ってから米新聞社各社の広告売上高が低迷している。先週に発表された7月の広告売上高も,ほとんどの新聞社が前年同月をかなり割り込んでいる。大手McClatchy社も7月広告売上高は前年同月比9.4%減と元気がない。

 NYTやDJの有力新聞社も同じように苦しんでいる。NYT社はニューメディアグループ(Aboutグループを除く)の7月広告売上高が同5%減とやはり不振である。WSJ紙の7月広告売上高(オンラインは除く)も同7.2%減と落ち込んだままである。 

 米新聞社の多くは底なし沼にはまってしまったのかもしれない。


◇参考
US: 900 newsroom layoffs in 5 months(The Editors Weblogs)
McClatchy's advertising revenue falls 9.4 percent in July(Sacramento Business Journal)
Dow Jones Reports July 2007 Advertising Revenue(DJ,プレスリリース)
The New York Times Company Reports July Revenues(NYT,プレスリリース)
タグ:広告 新聞

posted by Kilimanjaro at 08:05 | Comment(0) | TrackBack(4) | 新聞 ニュース
2007年08月20日

米ニュースサイトのトップ争い,Yahooの独走に待ったをかけるCNN

 米ニューサイトのトラフィック動向を調べるには,CyberJournalist.netが便利である。毎月,Nielsen/Netratingsの測定データを基に,ニュースサイトのランキングを掲載している。また,同サイトには2002年7月からの毎月のランキングも, CyberJournalist.net - Top News Sites:に残してくれている。

 最新の2007年7月のランキングと,1年前の上位ランキングを以下に転載する。

*米ニュースサイトのランキング:2007年7月,Nielsen/Netratingsデータ
netratingNEWSsite0707.JPG


*米ニュースサイトのランキング:2006年7月,Nielsen/Netratingsデータ
Newssitejuly06.JPG

 Yahoo,MSNBC,CNNの3強時代が続いたが,昨年当たりからYahoo Newsのトップが定着し,MSNBCが伸び悩んでいる。この1ヶ月間の動きではYahooとCNNの差が縮まっており、YahooとCNNの2強時代が到来するのかもしれない。注目したいのはAOL Newsの躍進で,MSNBCに急迫している。AOLの一人当たりの利用時間が長いのも見逃せない。

 それと気になるのが,Google Newsが伸び悩んでいること。この1年間でユニークオーディエンス数がほとんど増えていなくて,ランキングも昨年7月の10位から今年7月は13位に落っこちている。Google Newsのような機械的なニュースアグリゲーターサイトは,限られたニュースマニアに人気があっても,一般ユーザーは浸透していないのかもしれない。

*2007年7月のトップ10サイトの前月比増減
Yahoo! News 32,674 (+381)
CNN Digital Network 29,757 (+1,436)
MSNBC 26,015 (-1,419)
AOL News 23,103 (+1,165)
NYTimes.com 14,149 (+1,614)
Gannett Newspapers 13,812 (+1,533)
Tribune Newspapers 12,218 (+180)
USAToday.com 10,611 (+2,019)
ABCNEWS Digital Network 9,876 (-976)
Fox News Digital Network 9,343 (+1,151)




◇参考
Top news sites for July 2007(CyberJournalist.net)
タグ:yahoo

posted by Kilimanjaro at 07:14 | Comment(2) | TrackBack(2) | 新聞 ニュース
2007年08月13日

米NYT,もし新聞紙を休刊しオンライン事業に全て切り替えたらどうなる

 米新聞社はこれからの青写真を上手く描けないでいる。オンラインシフトの掛け声が大きくなっているのだが・・・。

 世界トップクラスの新聞社でありオンライン事業でも先行しているNYT(The New York Times Company)すら,苦境に立たされている。そのNYTが,もし今すぐに新聞紙を休刊し,オンライン事業に全面シフトしたとすると,どうなるのだろうか。Silicon Alley InsiderのHenry Blodgetが,そのシミュレーション結果をレポートしている。極端な仮定の基でのシミュレーションであるが,新聞経営の問題を浮き彫りにしているので紹介する。

 まず現況のデータの把握から。Compete調査によるNYTimes.com の月間ユーザー数は750万人である(確か,Compete調査は米国ユーザーだけを対象にしているはず)。一方,NYTimes紙の購読者数は約110万人である。2007年第2四半期の決算で,オンライン事業の売上高がNYT全社売上高の10%台を初めて突破した。つまり750万人相手のオンライン事業で10%の売上高しか達成していないのに,110万人相手のオフライン(新聞紙)事業で90%の売上高を稼いでいることになる。

 ここでオフライン事業を止めて,すべてオンライン事業に切り替えたらどうなるかだ。

 NYT紙の購読者は約110万人となっているが,回し読み読者を加えると実数は2〜3倍程度になるはず。となると新聞紙が無くなると,200万人強の人たちがNYTimes.comを新たに読むことになろう。そこで,NYTimes.comの読者が750万人から1000万人に増えるとする。

 新聞紙を休刊すると,次のように新聞紙関連の経費や売上高がゼロになり,オンライン事業の広告売上高が上積みされる。
・新聞紙の製造/流通経費(紙代,印刷代,配送費など)→ゼロ
・オンライン広告在庫(売上高)→33%増:オンライン読者が750万人から1000万人と増えるため,
・オフライン編集費→オンライン編集費
・新聞紙の広告売上高/販売売上高→ゼロ

 ところで,年間550億ドルの新聞広告費は,新聞紙が消えるとオンライン広告費に流れるとしよう。でも新聞社系のオンラインサイトに全部が流れるわけではない。多くは, eBay, Monster, Yahoo, Googleなどのサイトに取られてしまいそう。ここではNYT紙の休刊で,これまでのオフライン(NYT紙)広告売上の25%が,NYTimes.comに流れると仮定している。

 このような仮定の下で,NYTが新聞紙を休刊した場合に2007年第2四半期の収支がどうなるかを,はじいた結果が次の表である。

NYTsimulation0708.JPG

*Adjustments(1):
Offline to zero
Online readers increase 7.5mm to 10mm
Online revenue up by 33%
BONUS: Online up by 25% of offline

*Adjustments(2):
Cut all raw materials
Assume all "other" is print-related and cut
Assume 25% of "wages" is print and cut

Adjustments(3):
Reduce SGA by 1/3rd for lower revenue
 

 結論としては,売上高が半分以下に落ち込み,従業員の半分近くを解雇しても,大幅赤字が避けられないとのことである。非常に乱暴なシミュレーションだが,早急なオンラインシフトが多難含みであることを示唆しているのかも。



◇参考
Running the Numbers: Why Newspapers Are Screwed (Silicon Alley Insider)
米有力新聞社NYTとDJ,第2四半期決算も冴えない(メディア・パブ)
タグ:NYT 新聞 広告

posted by Kilimanjaro at 07:52 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース
2007年08月09日

新聞社サイトの有料サービス,最後の砦も崩れそう

 New York Times(NYT)は,有料コンテンツサービスの売り物であったコラムニスト記事を無料化するようだ。

 New York Postのスクープである。同記事によると,同紙サイトの有料サービス“Timeselect”で提供していた有名コラムニスト記事(Op-Ed)の無料化を,NYTの経営陣が決めたという。

 アーカイブの過去記事を別にすれば,現在も最新記事を有料提供している新聞社サイトは数少ない。有力サイトとしては,WSJ,FT(Financial Times)それにNYTくらいである。だが,FT.comの記事は配信先の他ニュースサイトなどで無料閲読できることが多くなってきた。NYTimes.comでもこれまで通常のニュース記事は無料で閲読できていた。売り物であるOp-Edなどのコラム記事だけが有料であったが,それも無料化になるということだ。

 となると,WSJ.comが有料サイトの最後の砦となるのかもしれない。だが,DJ(ダウジョーンズ)がNews Corpに買収されることになったため,マードックがWSJ.comの無料化を仕掛けるのではとの噂が絶えない。

 米国の大手新聞社は最近,Webと心中する覚悟で,オンラインシフトを加速化させている。いかにオンライン広告売上高を伸ばしていけるかが鍵となる。米国の有力新聞社サイトは,英語コンテンツなのでグローバル展開できるのが強みである。中でも,インドや中国市場の急成長が楽しみである。ちまちました有料サービスで販売売上を伸ばすよりも,無料にして世界からの読者をより多く呼び込み,広告売上を増やすことの方が賢明なのかもしれない。


◇参考
TIMESSELECT CONTENT FREED(New York Post)
タグ:新聞

posted by Kilimanjaro at 07:43 | Comment(0) | TrackBack(1) | 新聞 ニュース
2007年08月08日

米新聞社サイト,97%がRSSフィード配信を,96%が記者ブログを実施

 The Bivings Report (TBR)が,トップ100位の米新聞社を対象に,各社Webサイトのオンライン機能を調べた。トップ100社はABC(the Audit Bureau of Circulations) 公査の発行部数で選んでいる。

USNewspaperOnline0708.JPG

 RSS配信は,前年比21%増の96新聞社(サイト)が実施していた。いずれも当然のことだが,セグメント別に配信している。注目すべき点は,フィードで全文配信しているサイトがわずか3サイトであることだ。やっぱり,記事全文は自社サイトに来て読んでもらいたいのだろう。このため,RSSフィード内広告はどこも行っていない。

 ビデオの提供も当たり前になってきた。06年は61%の新聞(サイト)が実施していたが,今年は92%もの新聞が実施している。32新聞はオリジナルのビデオコンテンツを発信していた。26新聞はAPからのビデオストリームを流用している。

 記者ブログもすっかり定着している。95%の新聞が少なくとも1本の記者ブログを備えており,そのうちの88%はユーザーコメントを受け付けている。また各記事に対するユーザーコメントの掲載は,06年の14%から07年の19%と増えたが,やはりこの点については慎重である。

 サイトのユーザー登録は,前年比6%増の29%となった。3新聞は有料登録で,26新聞は無料登録である。

 オンライン機能を充実させることにより,ページビューも広告売上高も増えているのは確かである。だが,まだまだオンライン広告売上高の絶対額が小さくて,米新聞社の地盤沈下は止まらない。

◇参考
The Internet Seen As An Opportunity for Newspapers(MediaPost Publications)
American Newspapers and the Internet: Threat or Opportunity?(The Bivings Report)
タグ:新聞

posted by Kilimanjaro at 09:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース
2007年08月07日

NYTのAbout.com,ヘルスケアサイト立ち上げ収益強化図る

NYT(ニューヨークタイムズ)傘下のAbout.comは,ヘルスケアサイト“Symptom Checker ”を新たに立ち上げた。

SymptomChecker.JPG

 Harvard Medical Schoolと共に開発した対話型の診断ツールが売り物である。ツールは100以上の症状をカバーし,ユーザーに取るべき行動をガイドしてくれるという。

 About.comは月間ビジター数3400万の人気サイトである。今年4-6月期の売上高は2500万ドルで前年同期比27%増と順調に伸びている。営業利益は850万ドルと同16.4%増である。だが,NYTプリント部門の落ち込みを補っていくには,オンライン部門のさらなる頑張りが期待されている。Symptom Checker もそのための一手である。

 米国には,こうしたヘルスケアサイトが数多く存在する。ヘルスケアに関することだけに,ユーザーはどのサイトの情報が最も信用できるかに気を配る。Symptom Checkerとしては, NYTブランドを武器にしたいところ。



◇参考
About.com Announces Site Enhancements(プレスリリース)
Outlook healthy for health care Web sites, but use caution(Webware)
Finding Reliable Health Information Online (The Queens Gazette)
タグ:NYT

posted by Kilimanjaro at 09:29 | Comment(0) | TrackBack(1) | 新聞 ニュース
2007年07月26日

米有力新聞社NYTとDJ,第2四半期決算も冴えない

 米国の新聞社は,構造的不況の色相をますます濃くしている。有力なNYT(ニューヨークタイムズ)とDJ(ダウジョーンズ)も,第2四半期は減益となり元気がない。

 相変わらず,プリント(新聞紙)部門の減益分を,オンライン(Webサイト)部門の増益分で補えていない。しばらく,この状況は続きそう。

 NYTの4-6月期決算では,売上高が前年同期比3.7%減の7億8900万ドル,営業利益が同49.8%減の4300万円と,減収減益となった。またIncome from continuing operations(税引後継続事業による利益)は,同59%減と落ち込んだ。

*NYT(The New York Times Company) の2007年4-6月期決算(単位:1000ドル)
NYT072Qb.bmp


 売上の7割近く占める広告売上が,同5.7%減と大きく足を引っ張った。特に,金融分野とクラシファイド(案内)の新聞紙広告の不振が目立つ。

 頼みのインターネット売上高(digital archives, NYTimes.com, Boston.com , About.com)は,同23.4%増の8100万ドルと頑張っているが,やっと全売上の10%を突破した段階。V字回復させるだけの規模には至っていない(米新聞社の中では,NYTのオンライン売上比率は高いが・・)。またAbout.comの売上高は同27%増の2500万ドルであった。


 一方,買収騒動に巻き込まれているDJの4-6月決算は先週発表されているので,概要だけを。Factivaを100%傘下に収めたこともあって売上高こそは同16.2%増の5億3000万ドルと伸ばしたが,営業利益は同16%減の3800万ドル,当期利益は同27%減の2100万ドルと低落した。

*DJ(Dow Jones & Company )の2007年4-6月期決算(単位:1000ドル)
DJ20072Q.JPG


◇参考
Dow Jones Reports Improved Operating Results for Second Quarter(DowJones)
DowJones,Q2_2007EarningsRelease(DowJones)
The New York Times Company Reports 2007 Second-Quarter Results(The New York Times)
タグ:NYT

posted by Kilimanjaro at 10:04 | Comment(2) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース
2007年07月17日

ついにニューズ社がダウ・ジョーンズを買収へ

 米WSJ.com(ウォールストリート・ジャーナルのオンライン版)が報じるところによると,News Corp.(ニューズ社)がDow Jones & Co.(ダウ・ジョーンズ)を買収することで,双方の間で暫定的な合意に達した。

DJNews070717.JPG

◇参考
Dow Jones, News Corp. Set Deal(WSJ.com)
タグ:新聞