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2010年07月19日

iPadアプリ版ニュースも無料が増えそう

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 iPadは新聞社や雑誌社の救世主になるのではと、一部で持て囃されている。

 新聞や雑誌は、紙(オフライン)の読者減と広告減が続きそうだし、オンラインのWebサイトも無料コンテンツの広告モデルで走っているが牽引役になりそうもない。そこでiPadのようなモバイルアプリが、新聞や雑誌を有料コンテンツの広告モデルとして急浮上させてくれるのではと、期待しているのだが・・・。

 ところが米国では、オンラインオンリーの新聞(ニュース)サイトや雑誌風サイトが無料モデルで頑張っている。その代表格が、新興ニュースサイトのHuffington Postである。月間のユニークユーザー数が、最新のComScoreデータによると、2320万人にも膨れ上がっている。伝統新聞のニュースサイトと比べても、トップクラスの人気である。編集スタッフが50人強と少ないが、得意の政治分野を含めて、20分野以上をカバーしている。さらにカバー分野数の増設に励んでいる。ビジネスモデルは、広告収入モデルである。コンテンツは無料で、今後とも広告料収入依存の無料路線で突っ走る。

 そのHuffington PostがiPad版アプリでニュースを先月から提供し始めており、先週あたりから本格的な展開に入った。もちろんモバイルアプリでも、無料路線を継承する。以下に、Huffington PostがiPad版のトップページと、カバー分野を示す目次ページのスナップショットを掲げておく。

HuffPostiPad20100718a.jpg


HuffPostiPad20100718b.jpg

 iPad版のコンテンツは、Webのニュースサイトをそのまま流用している。iPad版は定型的なレイアウトになっており、Webのニュースサイトに比べてややダイナミックスさが欠けているかもしれないが、人によって好き嫌いがあるだろう。iPad版でも各記事で外部リンクが貼られているし、Facsbookでのニュース共有やリTwitterでのツイートもワンクリックで行える。ユーザーからの大量のコメント欄も閲覧できる。Huffington PostのWebサイトでは毎月約300万件ものコメントが読者から寄せられているように、大きなコミュニティーが形成されているが、iPad版ユーザーも加わることができる。

 BBC NewsのiPadアプリも無料であるが充実しており、人気が高まっている。それに、iPadでもブラウザー経由でほとんどの新聞サイトを無料で閲覧できる。iPadアプリ版ニュースも無料が当たり前になっていくのかもしれない。 


◇参考
・Huffington Post Hits The iPad(MediaPost News)
・Huffington Post Pitches Itself as Social-Media Company(AdAge)



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posted by 田中善一郎 at 16:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース
2010年07月15日

ワシントン・ポストとブルームバーグがオンラインニュースで提携

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 The Washington Postが7月14日に、Bloombergと手を組んでコブランドのオンラインビジネス分野を立ち上げた。

 Washington Postのサイトには次のような分野を示すタブが並んでいる。

WaPo20100714.jpg

 BUSINESS分野をクリックすると、次のように「The Washington Post with Bloomberg」と銘打ったビジネス分野ページが現れた。

WaPoBloomberg.jpg



◇参考
・The Washington Post Launches Co-Branded Online Business Section with Bloomberg(MarketWatch)
・‘Washington Post,’ Bloomberg Launch Co-Branded Online Biz Section(Editor&Publisher)
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posted by 田中善一郎 at 00:33 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース
2010年07月14日

ニュースサイトの記事検索、記者名を入力する

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 NYタイムズ(Web版)の記事を読んでいると、次の文章に出くわした。

“News lovers in Washington can’t live without Mike Allen at Politico. ”

 ワシントンの政治ニュース愛好家にとって、PoliticoのMike Allen記者の記事は見逃せないということだ。以前、「新聞ブランドから記者ブランドの流れ」と書いたように、お気に入りの記者やブロガーの記事を読みたいというニーズが高まっている。そのニーズにGoogle Newsなどが応えている。

 ここでPoliticoのMike Allen記者が気になったので、Politicoのサイトに飛んでみた。案の定、ホームページの最上段に検索窓が置かれており、記者名を入力できるようになっている。

PoliticoSearch.jpg

 記者名と日にちとキーワードの組み合わせで、検索できる。記者名はプルダウンで現れる記者一覧から選べることができる。Mike Allenを選ぶと、彼のこれまでの掲載記事がドッと出てくる。日にちやキーワードで絞り込める。

Politico20100713.jpg

 
 ついでに、ソーシャルメディア界隈で人気の高い政治ニュースソースを調べてみた。政治分野に絞ったニュースアグリゲーターとしてmemeorandumが知られているが、その政治ニュースサイトで掲載頻度の高いニュースソースのランキングは次のようになっている。

memeorandum20100713.jpg

 トップがNYタイムズで2位がワシントンポストは妥当としても、4位にPolitico、6位にHuffington Postと新興のニュースサイトが上位に食い込んでいるのには、新しい流れを感じる。17位にはPoliticoのBen Smithのブログが浮上している(上のトップページのスナップショットでも紹介しているように、Politicoの看板ブログである)。このブログを4位のPoliticoに含めれば、2位のワシントンポストを上回ることになる。
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posted by 田中善一郎 at 00:56 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース
2010年07月05日

英Timesサイトの有料化開始、すべてのコンテンツが「課金の壁」の向こうに

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 News Corp.傘下の英新聞「The Times」と「The Sunday Times」のサイトが、ついに本格的な有料化に突入した。

 The TimesのサイトとThe Sunday Timesにアクセスしてみたが、事実上、すべての記事コンテンツが厚い「課金の壁(Pay Wall)」の向こうに置かれている。トップページ(ホームページ)に掲載されている主要記事の見出しと前文が読めるだけである。

TheTimes20100704.jpg

 トップページのどの記事見出しをクリックしても、以下の課金の壁にはねつけられる。ブログ記事も含めてだ。また、各セクション(タブで示されているOpinion、Business、Money・・・など)に飛んでも、同じ課金の壁で遮られる。

TheTimesPayWall201007.jpg

 代表的な有料の新聞サイトであるWSJ.comと比べても、けた違いに強固な課金の壁を築いている。WSJ.comにおいては、ビジネスにかかわる記事は有料だが、一般記事やブログは無料で閲覧できる。さらに、有料の記事もGoogleの検索エンジンを介して無料で利用できる裏技を黙認している。一方The TimesやThe Sunday Timesの記事にGoogleの検索エンジンから飛んでも、課金の壁のページが出てくるだけである。


◇参考
・The Times and The Sunday Times Disappear Behind Pay Wall(Sûnnet Beskerming)
・Getting Paid the British Ways: Pay Walls, Syndication, Meters(PointerOnline)

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posted by 田中善一郎 at 07:57 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース
2010年06月23日

高画質のiPadで映える報道写真

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 高画質のフルスクリーンのiPadでは写真が映える。もともと欧米のニュースサイト(Webサイト)では、大きな報道写真が売りになっている。新興のニュースサイトであるHuffington Postは、その代表例である。

 報道写真のiPadアプリとして人気が高いのが、The Guardian Eyewitnessである。英Guardianが毎日、一本の報道写真を送ってきてくれる。過去100日分(100本)の写真がiPad側に格納してくれているので、無線でつながっていないときも高画質の報道写真をフルスクリーですぐに楽しめる。キヤノンがスポンサーで無料アプリとなっている。

iPadBigPictureGuardian.jpg





 またロイターもReuters Galleries By Thomson Reutersと称するiPadアプリを無料で提供しているが、毎回ダウンロードに時間がかかるのでややしんどい。

 フルスクリーンの報道写真の提供は欧米の新聞サイトでよく見かけるが、GuardianのようにiPadアプリの形で提供している例はまだ少ない。でも、ブラウザー経由でWebサイトの報道写真サービスをiPadスクリーンで閲覧しても、かなり楽しめる。

 たとえば、WSJのPhoto Journalでは、毎日「Picture of the Day」として10点以上の写真が提供されるが、iPadで見ると迫力がある。Photo Journalはブログと位置付けているので、無料で閲覧できる。


 ニュース系のiPadアプリでも、写真が重要な役割を果たしていきそうだ。BBCはiPadアプリ(BBC News By BBC Worldwide)でもニュース配信を始めているが、見出しが写真ベースとなっている。

iPadBBCNews.jpg

 人物写真は喜怒哀楽があらわに出ているし、戦場などの現場写真は生々しいし、素材そのものに迫力があるということか。


◇参考
・フォトジャーナリズム・ブログ,新聞社サイトで脚光浴びる(メディア・パブ)
・Guardian Eyewitness App(Guardian) 
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posted by 田中善一郎 at 11:28 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース
2010年06月21日

新聞発行部数の減少率、2007年以降で米国が 30%、英国が21%、日本が15%も減少

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 先進国を中心に、新聞の発行部数が減り始めている。

 OECD(経済協力開発機構)レポートよると、OECD加盟国では2007年-2009年の3年間でこぞって新聞の発行部数を減らしてきている。以下のグラフのように、米国では30%、英国では21%、そして日本では15%と、2007年以降、新聞発行部数が大幅に減ってしまったのだ。


OECDNewspaper.jpg

 ただしOECDに加盟していない中国やインドでは新聞の発行部数が増えており、世界的に見れば発行部数は減っていない。だが英国や米国のような新聞先進国では、読者離れによる新聞崩壊が迫ってきているのである。

 特に深刻なのは米国である。発行部数の急減と、広告主離れ、景気後退などが重なって、新聞紙広告売上高が急減し、これからも大きな回復が期待できないからだ。同じOECDレポートのグラフによると、米国の新聞は売上高のうち87%も広告売上に依存していた。その広告売上が急落し続けているのだから、大変なのだ。ちなみに、英国の新聞は広告売上依存率が50%、日本の新聞は35%となっている。

NewspaperOECDb.JPG

 米国を中心に先進国では、新聞産業が斜陽化してきているのだが、日本は安泰とみられることもあるようだ。OECDレポートを紹介しているアイルランドの新聞記事では、日本は世界で最も熱心な新聞読者を抱えた国で、1000人のうち有料新聞を購読している人が526人もいると伝えている。これは世界でトップで、その後を458人のノルウェー、400人のフィンランド、362人のスウェーデンが続いている。米国はわずか160人で、オーストラリアは116人、イタリアは90人である。

 こうした熱心な読者に支えられて、世界の発行部数ランキングでトップ10の新聞のうち5紙が、日本の新聞が占めているそうな。そして、発行部数が世界トップの新聞も、約1000万部の日本の読売新聞となる。数字だけで判断すると、日本は新聞天国に見えているのかも。



◇参考
・OECD examines the Future of News and the Internet(OECD)
・UK and US see heaviest newspaper circulation declines(Guardian)
・UK newspaper circulation falls by 22%(how-do)
・Demise of newspapers overstated, says OECD(irishtimes.com)

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posted by 田中善一郎 at 07:35 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース
2010年06月17日

NYタイムズが金融ブログ「DealBook」を強化、ブロガーを8人から20人体制に

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 NYTimes.com(NYタイムズ紙のサイト)はブログが充実している(同サイトのブログ一覧表はこちら)。「Bits」「At War」「Media Decorder」「Paul Krugman: The Conscience of a Liberal」「Nicholas D. Kristof: On the Ground」などのブログは、NYTブランドがなくてもブログブランドだけで、専門分野の人たちに広く知れ渡っている。金融分野に特化した「DealBook」もその一つである。

DealBookNYT.jpg


 そのDealBook(http://dealbook.blogs.nytimes.com/)に関して、新しい動きをWSJが伝えていた。現在、DealBookには記者を中心に8人がブロガーとして寄稿しているが、さらに12人を加えて20人体制にしていくというのだ。DealBookは2006年の春に立ち上がったが、今ではTechnoratiの世界のブログランキング(Technorati Top100)で世界67位と、堅い内容のブログなのに人気が高い。

 次のような分野をカバーしている
・MERGERS & ACQUISITIONS,
・INVESTMENT BANKING,
・I.P.O. /OFFERINGS
・PRIVATE EQUITY
・HEDGE FUNDS
・VENTURE CAPITAL
・LEGAL

 また、関連資料類はドキュメント共有サイトScribdにアーカイブされているので便利である。

DealBookScribd.jpg


 DealBookの記事はブログらしく外部のニュースサイトやブログへリンクを張ったりして、ソーシャルメディア的な展開が目に付く。DealBookを強化して、WSJが縄張りとする金融分野にどう食い込んでいくかが注目される。

 NYタイムズは来年1月からサイトを有料化することになっているが、DealBookのような有力ブログをどう位置付けていくのだろうか。ブログを有料化の対象にしないと明言しているものの、DealBookのKindle版は月額0.99ドルの購読料(通信料?)を取っている。

DealBookKindle.jpg


◇参考
・New York Times to Expand DealBook Blog(WSJ)
・NYT expands DealBook blog(PRWeek)
・New York Times Plans Public Beta Site for Its Experiments(AdAge)

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posted by 田中善一郎 at 20:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース
2010年06月16日

米広告市場に明暗,TVやネット広告は急回復するが新聞広告は沈んだまま

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 米国の広告市場も今年に入ってようやく回復基調に。でも広告メディアによっては明暗がくっきりと。

 2010年第1四半期の広告売上は、テレビが前年同期比10.5%増、インターネットが同7.5%増、ラジオが同6.0%増と急回復しているのに対し、新聞や雑誌の紙媒体広告はマイナス成長から脱出できていない。なかでも新聞広告は前年同期比9.7%減と、厳しい結果となった。

MediaAd2010Q1.jpg

 米新聞広告は2008年から2009年の2年間で売上高が40%も激減したが、2010年に入っても減り続けている。広告主の新聞離れが進んでいる。例えば、増え始めた自動車販売に合せて、自動車メーカーやディーラーは第1四半期の広告予算を18.6%も増やしているのに、新聞への自動車のクラシファイド広告がマイナスの16.8%と出稿を減らしてきているのだ。

 新聞紙広告のリバウンド力が弱いとなれば、新聞サイトのオンライン広告に頼りたい。オンライン(インターネット)広告売上は新聞紙広告売上に比べまだまだ少ないが、それでも第1四半期には前年同期比4.9%増と、プラス成長に戻ってきた。だが上のグラフで示したインターネット広告の7.5%増より小さい。つまり、新聞サイトの広告メディアとしての価値が、相対的に低くなっているようだ。



◇参考
・Make no mistake: Newspapers are still in trouble(Newssosaur)
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posted by 田中善一郎 at 23:54 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース
2010年06月03日

英新聞サイトの一騎打ち、有料化する「Times」 対 無料継続の「Guardian」

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guardiancoUK.jpg

 これは、Guardian(英ガーディアン)紙の昨日のトップページである。そのページ上段で、guardian.co.uk(GuardianのWebサイト)は"The world's best news website. Free this month. And every month."であると売り込んでいる。「Guardianのサイトは世界でもっとも優れたニュースサイトで、今月それを無料で読める。さらにこれからも毎月“無料で”読める」・・・。

 新聞紙の購読者に向かって、同紙のニュースサイトでベストのニュースが“無料”で閲読できると言い張るのだから驚いてしまう。だがGuardianとしては、優れたニュース記事がWebでこれからもずーっと無料で読めるということを主張しておきたい事情があるのだ。

 昨年からNews corp.のルパート・マードック(Rupert Murdoch)は、新聞サイトの有料化の必要性を新聞業界に呼びかけており、News Corp.自身も傘下の新聞サイトの有料化に乗り出すことになっている。その本格的な有料化の第一弾が、英The Timesのサイトである。その新しいWebサイト(日刊紙The Timesのサイトと日曜紙The Sunday Timesのサイト)が先週から立ち上がっており、6月末までに有料化を実施する。マードック側としては、優れたニュース記事をアクセスするためには購読料を払うという習慣を、読者に植え付けたいのである。

 そのマードック有料化戦略に対抗しているのがGuardianである。購読料を払わなくても、優れたニュースにアクセスできると反発しているのだ。Webサイトの無料サービスを継続させることによって、世界トップクラスのニュースサイトを目指している。

 欧米の新聞社で最も先進的なサイトを構築し運用してきたのは、米国のNYタイムズと英国のGuardianである。Web2.0のユーザー参加型のサービスなどを次々と展開してきた。両新聞社は、ソーシャルメディア化の進んだ新聞サイトを築き上げてきた。ただし、従来の新聞紙の延長上のニュースサイトを望む中高年層には、その有難さを実感してもらえなかったかもしれないが・・。

 この先進性が功を奏したのか、GuardianのサイトはNYTサイトに次いで、世界第2位の月間ユーザー数を誇る新聞サイトになっているという。世界から毎月3600万人ものアクセスを受けている。ところが新聞紙であるGuardian紙は発行部数が40万部前後に沈んでおり、英国内で9番目の新聞紙にすぎない。逆にWebサイトは、英国でトップを競うニュースサイトとして存在感が増しているのだ。これからは一段とWebサイト事業に傾斜し、無料でオープンを前提にソーシャルメディア化を進めていくことになろう。

 The Timesの有料化実施を、Guardianは反撃するチャンスととらえているようだ。有料化サービスはどうしても閉鎖的になりがちである。The Timesも、同サイト内の記事をGoogleなどの検索エンジンで検索させないようにするようだし、ブログ記事も課金の対象とし無料でアクセスできないようにしていく。外部のソーシャルメディアとの関係が希薄になっていく。無料で開放的なGuardianサイトとしては、The Timesのこれまでのユーザーを取り込めるチャンスである。

 また、The Timesの閉鎖性に反発して、飛び出すブロガーも出てきた。The Timesのサイトで3年間、法務分野のブログ記事を投稿していた弁護士のTim Kevan氏が、寄稿を止めることになった。理由は、投稿ブログ記事が課金の壁の向こう側に置かれることになったからだ。ブロガーやコラムニストの多くは、より多くの人に読んでもらいたいために、課金の対象になるのを嫌がる。人気の法務ブログが無くなった結果、The Timesのサイトでは法律分野の記事が手薄になったようだ。

 一方guardian.co.ukは、この動きに合わせたかのように、以下のような法律分野の新設ページを設けた。The Timesサイトの読者がまたguardian.co.ukに流れていくことになるのかも。

GuardianLaw201006.jpg



◇参考
・‘This could be very interesting’(kippreport)
・Guardian plugs its website as 'free and world's best'(JON SLATTERY)
・Times Cuts Back Before The Wall, As Guardian Tries Law Site(paidcontent:UK)
・マードックの英新聞サイト、有料化を目前にトラフィックデータのABC考査を取り止め(メディア・パブ)
・Times law blogger withdraws from site over paywall plans(journalism.co.uk)
・Press release: Tim Kevan withdraws his blog from The Times to avoid being associated with their new paywall(BabyBarista)

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posted by 田中善一郎 at 17:37 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース

マードックのiPad向け電子新聞、有料アプリを約2万本販売

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  News Corp.が発行しているiPad向けの有料電子新聞アプリが、総計で早くも2万もダウンロードされたようだ。 All Things DigitalのD8 Conferenceに参加したマードックが、The Wall Street Journal(WSJ)、英The Times、それにThe Australianの各電子新聞のiPadアプリの販売本数を、6月2日に明らかにした。

 月額17.29ドルのThe Wall Street JournalのiPadアプリは、登録数が1万件に達した。有料版のユーザーはすべての記事にアクセスできる。また現在のWebサイトのように限定した記事しかアクセスできない無料のiPadアプリも出ているが、それを含めると6万4000人がWSJのiPadアプリをダウンロードしていることになる。

 先週金曜日(5月28日)に、日本と同様、英国やオーストラリアでもiPadの販売が始まった。それに合わせて英国のThe Times紙とオーストラリアのThe Australian紙も、有料のiPadアプリで電子版の販売を始めた。英The TimesのiPadアプリの月額料金は £9.99(15ドル)であるが、早くも5000本もアプリがダウンロードされたという。The AustralianのiPadアプリ(月額4.99ドル)も4500人が購入したという。

 iPadが爆発的な売れているといっても、iPadの保有者は世界で250万人くらい。まだ利用できるユーザーが限られているなかで、 News Corp.の有料電子新聞アプリの購入者が約2万人に達したことは、順調な出足といえる。ただ、現在のiPadユーザーには好奇心旺盛なギークな人が多いだけに、せっかくiPadを手に入れたのだから有料の電子新聞も試しておこうとする人も少なくないはず。アプリ型の電子新聞を定着させビジネスとして成立させていくには、Web版ニュースサイトの有料化も絡んで、かなり厳しいハードルが待ち構えている。



◇参考
・iPad News Figs: UK’s Times Sold 5,000, FT Shifted 130,000, WSJ 10,000 Subs
・Murdoch publications sell 20,000 iPad apps(The Australian)
・App for the Australian goes top of iTunes news pops(The Australian)
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posted by 田中善一郎 at 10:44 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース
2010年05月20日

WSJとFTの両新聞サイト,いまだに有料記事がタダで読み放題

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 有料課金サービスを実施している新聞サイトの代表格といえば,WSJ.comとFT.comである。

 ところが、WSJ.comやFT.comで課金対象となる有料記事が、いまだに裏技を使えばタダで読み放題である。WSJもFTも裏技の存在を知った上で、現時点でも野放しにしている。有料記事の見出しをGoogleの検索エンジンで検索し検索結果のリンク先に飛べば、有料記事の全文を無料で閲覧できてしまう。マードックは、Googleが無断でWSJ.comの記事を検索対象にしているのはけしからんと、怒って見せてはいるのだが・・・。

 なぜ、こんな裏技を野放しにしているのか。WSJ.comのトラフィックの3割近くが検索エンジン経由であると言われているように、やはりトラフィックを増やしていきたいのであろう。有料サイトであっても、新聞紙と同じく広告収入にも大きく頼っていきたい。つまり「オンライン広告売上+オンライン有料購読売上」の最大化を目指すことになる。だが課金の壁(Pay Wall)の向こうにすべての記事を置いてしまうと、ユニークユーザー数が減り、広告売上げも減ってしまう。

 WSJ.comは、約2年半前にNews Corpに買収されメディア王マードックが乗り込んで以来,無料の一般ニュース記事を充実させリーチを拡大させてきた。さらにWSJ.comの有料記事も、ソーシャルメディアで情報収集しているギークな連中にタダで利用させてきた。ブログなどのソーシャルメディア界隈でWSJの記事が話題になることが増え、結果としてWSJ.comのユニークユーザー数も着実に増えてきたのである。

 昨年と一昨年は、金融危機に伴う広告大不況で、新聞サイトのオンライン広告売上高もマイナス成長に陥った。だが今年に入って、有力新聞サイトのオンライン広告売上高は大きくリバウンドしており、再び上昇気流に乗りそうだ。有料サイトでも、オンライン有料購読売上を増やすよりも、オンライン広告売上を増やすことに注力したほうが効果的かもしれない。

 ところが、Googleに向かってこぶしを振り上げているマードックとしては、Googleの検索エンジンに頼る集客をできれば避けたいはず。マードック傘下の英Times Onlineと英Sun Onlineは6月から有料化を実施することになっているが、両サイトの記事をGoogleの検索エンジンで検索させない方向で検討しているとか。これからは、伝統的なマスメディアもソーシャルメディアとの関係を深めざるえない時代なのに、真っ向から有力検索エンジンと絶縁する手を打ちにくいのだが。

 ともかく現時点では、WSJ.comの記事はGoogleの検索エンジンで検索できるし、それどころか有料の記事がタダで読めてしまう。WSJ.comの兄弟サイトのBARRON'Sも有料サイトであるが、同じ裏技ですべての有料記事が無料で読めてしまう。

 このような裏技が存在するにもかかわらず、WSJ.comやFT.comの有料購読者は減ってはいない。むしろ金融危機で経済専門ニュースのニーズが高まったせいか、有料購読者は増えているのだ。WSJ.comやBARRON'S、それにFT.comの記事を仕事のために読んでいる多忙なビジネスパーソンにとっては、裏技を使っている余裕なんかないのかも。検索エンジン経由で記事にアクセスしていると、おそらく記事1本当たり1〜2分近く時間をつぶしてしまう。時間を効率的に使うために有料サービスを活用するということか。


 とはいっても、タダで読めるのはありがたい。ということで、WSJ.comとFT.comの有料記事をタダで読むための実例を紹介する。最初はWSJ.comの例。


●WSJ.comの有料記事をGoogle検索エンジン経由で無料閲覧する例

*WSJのトップページ。有料記事(見出し)には鍵マークが付く
WSJPayWall20100519a.jpg



*鍵マークの記事見出しをクリックすると、記事の一部しか現れないで、記事全文は課金の壁で遮られアクセスできない
WSJPayWall20100519b.jpg



*記事見出しをGoogleの検索窓に入力する
WSJGoogle20100519a.jpg



*検索結果のトップに見出し記事へのリンクが現れる
WSJGoogle20100519b.jpg


*リンク先にアクセスすると、見出し記事の全文が閲読できる
WSJGoogle20100519c.jpg



 次はFT.comの例を。
 
●FT.comの有料記事をGoogle検索エンジン経由で無料閲覧する例
 
*ニュースアグリゲーター「mediagazer」に掲載されていたFT.comの記事見出し
FTPayWall1.jpg


*FT.comの記事見出しをクリックすると、記事が現れないで登録案内が出てきた 
FTPayWall3.jpg


そこで裏技を使うことにする。
*FT.comの記事見出しをGoogleの検索窓に入力する
FTGoogleSerach.jpg


*検索結果のトップに見出し記事へのリンクが現れる
FTGoogleSearchResult.jpg


 検索結果のリンク先に飛ぶと、課金の壁が現れないで、次のように記事全文が現れる(ここでは記事の一部だけを掲載)。

*リンク先の記事本文(全文)
FTGoogleFullArticle.jpg



◇参考
・有料のWSJ記事をタダで読む裏技,WSJがこっそりとソーシャルメディア対策を(メディア・パブ)
・マードックの矛盾,盗人グーグル経由で有料のWSJ記事がタダで読めるのはなぜ(メディア・パブ)
・英ファイナンシャルタイムズのサイト,未登録者には一切ニュース記事を読ませない(メディア・パブ)
・米2大新聞のNYTとWSJ,サイトの勢いで明暗がくっきり(メディア・パブ)
・How To Read The WSJ For Free Online(Business Insider)

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posted by 田中善一郎 at 12:52 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース
2010年05月19日

フィナンシャル・タイムズ紙のiPad版、無料サービスとして開始

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 FT(フィナンシャル・タイムズ)紙がiPad版の電子新聞サービスを立ち上げた。とりあえず無料サービスで開始する。以下のように Apple's App(iTunes) Storeからアプリをダウンロードして無料で利用できる。

FTiPad.jpg


 以下のデモビデオからもわかるように、iPad版のコンテンツは、FT紙よりもむしろFT.com(Webサイト)をベースにして構成されている。FTのニュース記事や分析記事、ビデオ、マーケットデータ、投資ポートフォリオがiPad向けに編成されて提供されている。iPad版のコンテンツをダウンロードしておけば、オフライン時にも記事を閲覧できる。iPad版電子新聞としては、NYタイムズやUSAToday、それにWSJからアプリが提供されているが、利用者の声を拾うとFTのiPad版の評価が高い。




 アプリを無料でダウンロードしたり無料アクセスができるのは、時計メーカーHublotのスポンサー期間中(2010年7月31日まで)だけで、それ以降はFT.comのアクセスモデルに従った有料サービスとなる。


◇参考
・FT.com Launches iPad App(WebNewser)
・The Financial Times iPad Edition:Q&A(FT)

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posted by 田中善一郎 at 14:08 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース
2010年05月18日

メディア分野のニュースアグリゲーター、掲載頻度が高いソースにブログが目立つ

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 メディア分野のニュースアグリゲーター「Mediagazer」が開設されたのは今年の3月上旬。英語圏の代表的なマスメディアサイトやブログからメディア関連のニュースを収集し、選別して掲載しているサイトである。

 評判の技術分野ニュースアグリゲーター「Techmeme」を運用しているオンラインサイトがメディア分野にも新たに進出するとあって、「Mediagazer」への期待が高まっていた。メディア分野のニュースアグリゲーターとして先行しているサイトは既に幾つか存在するが、「Mediagazer」は速報性や選別ニュース記事の質で競争力を備えたサイトに育ってきている。

 そのMediagazerで選ばれているニュースソースの掲載頻度のランキング「Mediagazer Leaderboard」がこのほど公開された。トップ100サイトが公開されているが、以下ではトップ30ソースを掲載した。過去30日間における、掲載頻度の高い順番である。メディア分野のニュースを収集する者にとって、いずれもお馴染みの定番サイトが並んでいる。

・MediagazerLeaderboard20100517.jpg

 米国の新聞サイトでは、もともとメディア関連の記事が多い。特に最近では伝統メディア危機のニュース記事が定番化しているほどだ。このため、トップ30に、伝統的な新聞の5サイトがランクされていた。

2. New York Times
5. Guardian
9. Washington Post
20. Los Angeles Times
22. Wall Street Journal

 Guardianが5位にランクされているのは、メディア分野の特設ページ(mediaguardian.co.uk)が後押ししたせいかもしれない。

 こうしたマスメディアサイトのニュースよりも目立って多いのがのがブログ記事である。トップのpaidContent、3位のNieman Journalism Lab(ハーバード大学が支援)、6位のTechCrunch、8位のThe Wireが上位を占めている。さらに、11位のMedia Decoderや12位のMediaMemoもブログであるが、実はMedia DecoderはNYタイムズのブログで、MediaMemoはWSJ Digital Networkのブログである。つまりソーシャルメディア界隈では、新聞ブランドよりもブログブランドのほうが受けが良いということである。新聞ブランド色を薄めてブログブランドを前面に押し出したほうが、制約の少ない情報発信ができるということか。


◇参考
・Mediagazer Leaderboard brings you the top 100 media news sites(mediagazer news)
・英国の伝統新聞Guardian,米国の有力ブログ“paidContent”を獲得(メディア・パブ)
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posted by 田中善一郎 at 22:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース
2010年05月10日

iPad向けニュースアプリ、評価トップは「France 24」

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 米国ではiPadの出荷から1ヶ月が過ぎたが、iPad向けニュースアプリの評判はどうだろうか。

 人気ニュースアプリのユーザー評価は次のとおりである。5段階評価で、ニュースアプリの平均は2.8点であった。 

iPadMediaranking201005.jpg
(NEWSOSAURより引用)

 いずれもメインストリームメディアのニュースアプリであるが、まだトライアルサービスとして無料で提供しているアプリが多そう。とりあえず、先行して登場したニュースアプリの現時点での評価としては、France 24(フランス24)がトップであった。

 France 24は、フランス政府の画策で2006年に生まれた24時間放送局。CNNやBBC、アルジャジーラ、 China Dailyのように、自国や地域の価値観で24時間の国際ニュースを流す専門局がフランスでも必要ということで登場してきた。インターネットでも動画ニュースをVOD(Video on demand)で視聴できる。フランス語と英語、それにアラビア語の3言語に対応している。

 そのFrance 24のiPad版の案内ページと案内ビデオを。

France24iPad.jpg



 iPad版France 24の評価が高いのは、iPadのGPS機能を利用してローカルニュースを流したり、また掲載ニュースのバランスやレイアウトも良くできているからのようだ。カニバリゼーションに気兼ねしなくてもよいのも強みかもしれない。

 WSJやTime誌のアプリのランキングスコアが低かったのは有料化のせいでやむを得ないとしても、NYTのアプリが無料なのに2.5と低いのは考えさせられる。選別した一部のニュースだけを提供しているのだが、やはり手抜きのアプリと見なされても仕方がない。ジョブズもNYTのアプリにはかなり落胆したという。


◇参考
・MSM earn middling marks on first iPad apps(REFLECTIONS OF A NEWSOSAUR)
・Steve Jobs Hates The New York Times iPad App(Business Insider)
・Steve Jobs in secret NYT meet(The Register)



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posted by 田中善一郎 at 00:13 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース
2010年05月01日

マードックの英新聞サイト、有料化を目前にトラフィックデータのABC考査を取り止め

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 Times OnlineとSun Onlineの新聞サイトが、ABCへのトラフィックデータの提供を取り止めた。いずれもマードック帝国(News Corpration)傘下の新聞サイトで、6月にもサイトの有料化を始めることになっている。

 WSJやFTの経済専門紙を除けば、新聞サイトの本格的な有料化はこれからで、その口火を切るのがTimes OnlineとSun Onlineの両サイトである。ところが、英新聞の3月のABC考査が公表された中で、以下のグラフのように、注目の両新聞サイトのトラフィックデータが抜けているではないか。今後とも両サイトはトラフィックデータを公表しない方針のようだ。

UKNewspaper2010Feb.jpg

 このままでは、6月からの有料化によって、サイトのトラフィックがどの程度変動するかが、わからないままになりそう。Times Onlineは £1(約145円)/日や£2 (約290円)/週の購読料で、6月から有料サービスを始める。Times Onlineの2月のユニークブラウザー数は2042万で、トラフィックの2/3は英国外からであるという。そのトラフィックが有料化でどの程度落ちるかを知りたいところである。

 上の表をよく見ると、この2年間で、先頭グループのGuardianやMail Onlineのトラフィックが増えているのに対し、2番手グループのTimes OnlineとSun Onlineが伸び悩んでいる。有料化でトラフィックがTimeやSunからGuardianやMailに流れてしまい、先頭グループと2番手グループの差がさらに大きく開くのではなかろうか。MailOnlineを先ほど見たのだが、英国ではこうした大衆サイトに人気が集まりそう。グル―バルな閲覧者数は月間3800万人で、英国内においてはインタネット人口の40%にリーチするという。また英国でトッピクラスのGuardianサイトも一般記事の有料化は実施しない。

◇参考
・Before The Paywall, Murdoch Stops Disclosing UK News Site Traffic(paidContent:UK)
・Times’ New Pay Sites: £1 A Day, £2 A Week, Starting June(paidContent:UK)
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posted by 田中善一郎 at 14:23 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース
2010年04月29日

新聞も3D時代?、英Sun紙が6月に「飛び出る」記事を

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 3Dメディアが盛り上がっている。3D映画に3Dテレビと。それなら3D新聞も。

 その口火を切るのが英国のThe Sun紙。カラー3Dの編集ページと広告ページを6月5日発行紙の中で提供する。無料で3Dメガネが付いてくる。南アで開催されるサッカーのワールドカップの1週間前で、同大会の試合一覧表も3Dで掲載される。3D広告の掲載料は通常広告より高い特別価格に。5月にTVで3D新聞をプロモーションし、6月5日の新聞紙を増刷するようだ。

 物珍しさで単発的には受けるかもしれないが、3D新聞が定着するとは考えにくい。でも3D企画を実施するのは、今が旬かも。実は既に、中国の新聞が一足先に、3D版を提供しているではないか。Shiyan Evening Newsが4月16日発行の新聞で、16ページの3D特別版を提供していた。どうも内容は3D広告特集のようで、広告主は次の通り。
・wedding photo studio,
・dinosaur theme park,
・local theaters screening the 3D version of Clash of the Titans,
・several hospitals,
・a number of car makes,
・the eyewear retailer that sponsored the free 3D glasses.

一例を以下に掲げておく。
3DnewspaperChina.jpg

 新聞の3Dは、編集のためよりも、広告のために利用されていくようだが。 

◇参考
・The Sun to publish 3D issue(MediaWeek)
・China's First 3D Newspaper Would Like To Inform That Dinosaur Theme Parks Are Awesome(mediabistro)
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posted by 田中善一郎 at 11:36 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース
2010年04月27日

米新聞の発行部数、前年並みのWSJを除けば総崩れ

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 米国の新聞紙の発行部数が下げ止まらない。

 ABC(The Audit Bureau of Circulations)によると,日刊紙(平日紙)の今年3月時(10月1日〜3月31日)の平均発行部数が前年同期比で8.7%減となった。昨年9月時の10.7%減に比べれば下落幅が縮小しつつあるが、下げ止まりそうもない。

 以下に、発行部数(Circuration)によるトップ25新聞を掲げる。WSJ(The Wall Street Journal)だけが1年前に比べ0.5%アップと、発行部数を維持した。その他の新聞は大半が、発行部数を大きく減らしている。

Top 25 List by Daily Circulation
Newspaper Circ as of 3/31/10/ % Change

USNewspaperCir201003.jpg

 WSJの発行部数を押し上げているのが、電子版新聞である。WSJの電子版新聞の(オンライン版)の購読数は40万部を超えいる。一方NYTの電子版(digital reproduction of the international version of the New York Times)はWeb版でなくて新聞紙のデジタルレプリカで、購読者数は約9万となっている。

 以下は電子版の発行部数の多い新聞トップ25である。

From Fas-Fax: Top 25 E-Editions(April 26, 2010)
USNewspaper Top 25 E-Editions.jpg


◇参考
・Like Newspaper Revenue, the Decline in Circ Shows Signs of Slowing ・(Editor&Publisher)
・From Fas-Fax: Top 25 E-Editions(Fitz & Jen blog)
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posted by 田中善一郎 at 09:25 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース
2010年04月25日

米新聞社、底を打ったが鈍い回復

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  大手新聞社のNYタイムズ(NYT)社とMcClatchy社がそろって、2010年第1四半期(1-3月期)で黒字を達成した。昨年末あたりから底を打ったようにも見えるが、とても楽観視できる状況にはない。

  総売上高はNYTが前年同期比3.2%減、McClatchyが同11.2%減とマイナスが続いている。黒字になったのは、大幅に営業経費を削ったためだ。NYTは前年同期比で18%も、またMcClatchyは23%も経費を削減した。

  いつまでも厳しい経費節減に頼っていけないので、これからは景気回復に伴って、総売上高を増やしていかなければならない。そのためには総売上の大半を占める広告に期待したいのだが、景気回復に向かい始めている今年に入っても広告売上高が未だに大きく前年を下回っているのが現状だ。NYTが同6.1%減、McClatchyが同11.2%減となっている。

 その広告売上高の内訳が深刻な問題を浮き彫りにしている。新聞社の広告売上では、新聞紙広告がオンライン広告よりも圧倒的に多い。その新聞紙広告が、NYTでは同12.3%減、McClatchyでは同14%減と、厳しい状況が続いている。プリントメディアの広告が激減しているのは構造的な問題を抱えているためで、景気が上向いても回復しないのではとの不安がくすぶっていたが、現実にそのようになってきている。

 一方で、オンライン広告はマイナス成長からプラス成長に復活してきた。NYTは18.3%増で完全に回復している。McClatchyも2%増のプラスに転じた。だが悲しいかな、オンライン広告の増収分で新聞紙広告の減収分をとても補えないのだ。このままでは、広告売上げの長期低落は避けられないのかも。

*NYT社(The New York Times Company)の2010年1-3月期決算(単位:1000ドル)
NYT2010Q1.JPG


*The McClatchy Company の2010年1-3月期決算(単位:1000ドル)
McClatchy2010Q1.jpg




◇参考
・The New York Times Company Reports 2010 First-Quarter Results(プレスリリース)
・McClatchy Reports First Quarter 2010 Results(プレスリリース)
・Gannett Co., Inc. Reports First Quarter Results(プレスリリース)
・New York Times, McClatchy Decline on Print Ad Slump (Update1)(Bloomberg Businessweek)
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posted by 田中善一郎 at 22:25 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース
2010年04月20日

ブルームバーグがサイト刷新、無料路線継続で打倒WSJを目指す

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 ブルームバーグ(Bloomberg)がサイトを刷新する。

 これまでのサイト(www.bloomberg.com)は、以下のように、黒の背景にテキストが詰まったページで構成されていた。

BloombergOld201004.jpg

 刷新したサイトのデザインは以下の通り。まだ十分に見ていないので評価はできないが、すっきりしたデザインで、所望のニュースが探しやすい。

 刷新サイトはこちら(preview.bloomberg.com/)でチェックできる。最初にホーム(HOME)ページを。

BlommbergNew201004a.jpg

 次はNEWSページを。

BloombergNew201004b.jpg

 Blommbergのサイト刷新のニュースは、競合の新聞サイトで無視されていたが、Business Insiderやmediabistroなどのブログを介して伝えられた。Business Insiderでは、Kevin Krim氏( head of Bloomberg.com)のインタビュー記事が出ていたので、その一部を紹介する。

Q:なぜデザイン刷新を
A:毎日、それに毎週、見逃せないニュースサイトにするため

Q:bloomberg.comにアップする1日当たりのニュース記事本数は
A:毎日約500記事。サードパーティーサイトへのリンク張りも積極的に実施していきたい

Q:Wall Street Journal, FT, Reutersのようなライバルをkillしたいか
A:そのとおり

Q:儲かっているか
A:Bloomberg.comは利益を出している。BusinessWeekが加わったので、もっと儲かるようになるだろう。高品質のコンテンツを発信することにより、影響力のあるユーザーを抱えており、広告主も満足している。

Q:有料化はやらないのか
A: 課金の壁を設けることは当分行わない。ただし、将来にサブスクリプション商品を開発するかもしれないが。

 
 Blommberg.comだけではなくて、買収したBusinessWeek誌も4月23日から刷新する。BW誌を刷新する狙いを、Josh Tyrangiel編集長がこちらで説明している。More Clarity、More Energy、More Impactにしていきたいとのことだが、具体的な刷新内容は実際の刷新号を見ないことには・・・。

 Blommberg全体で世界中に1700人のレポーターを配備しており、彼らがBloombergやBusinessweek、それにTerminal向けの金融記事を送り続けている。


◇参考
・BLOOMBERG.COM Starts First Phase of New Web Strategy(プレスリリース、EarthTimes)
・Bloomberg Sheds Black Background in Web Redesign(mediabistro.com)
・Bloomberg Redesigns Website As It Tries To Kill The Journal(Business Insider、The Wire)
・The New Bloomberg Businessweek、Coming April 23rd(Businessweek.com)


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posted by 田中善一郎 at 23:59 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース
2010年04月17日

USA TodayのiPadアプリ、現在の無料が7月から有料に

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  iPad版USA Todayの電子新聞が7月4日から有料化になる。

  iPad版USA Todayは、4月3日のタブレットPCのiPadの売り出しに合わせて、App Storeでアプリ“USA Today for iPad”として無料で提供されている。広告主のCourtyard by Marriottの厚意ということで無料でスタートし、この2週間で17万5000のアプリがダウンロードされた。電子新聞版USA Todayの閲覧インターフェイスの様子は、こちらで。

USATodayiPad201004.jpg

 iPadアプリを介して無料で閲覧できるのは7月3日までで、7月4日から有料(サブスクリプション)に切り替わる。

 また、最初から月額17.29ドルの有料サービスでスタートしたiPad版WSJ(The Wall Street Journal )は、3200人のiPad only-subscription購読を新たに獲得したようだ。




◇参考
・USA Today iPad App Will Go Subscription Model This Summer(paidContent)
・iPadになびく新聞、雑誌、テレビ放送(メディア・パブ)
・MEMO: Wall Street Journal Gets 3,200 To Pay For iPad App(The Wire)



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posted by 田中善一郎 at 13:39 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース
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