タダのコンテンツの撃破には,メディア界のドンことマードックが旗振り役を演じている。他の有力新聞社にも働きかけて,新聞社サイトの有料化を推し進めている。でも有料化で成功しそうな新聞社サイトはごく一部で,ほとんどのニュースコンテンツはこれからもタダのままではなかろうか。
もう一つのタダの広告とは,Craigslistが提供しているクラシファイド広告サービスである。求人求職,不動産,チケット,物の売買,サービスなどの案内広告だが,その広告をタダで掲載できるのが特徴。これまで米新聞社の大きな収入源であったクラシファイド広告売上が,タダの広告サービスにすごい勢いで侵食されているのだ。
その米新聞社のクラシファイド広告売上が四半期ごとにどれくらい激減しているかを示したのが,次のグラフである。
●米新聞社サイトのクラシファイド広告売上(四半期単位)と前年同期比の推移(データは米新聞協会より)

06年半ばに前年同期比でマイナス成長に転じてからは,まっ逆さに落っこちている。そのマイナス幅が拡大する一方で,09年第一四半期にはマイナス40%を割ってしまっている。
ちょっと前まで米新聞社において,クラシファイド広告売上は全広告売上の約4割を占めていた。2000年には,全広告売上の487億ドルに対して,クラシファイド広告売上は196億ドルもあった。それが昨年(08年)は,全広告売上の347億ドルに対して,クラシファイド広告売上は99.8億ドルに激減。今年はさらにクラシファイド広告売上は昨年の半減近くになりそうである。
これまで新聞社にとってクラシファイド広告は,小枠広告が集まったロングテール的な広告で,安定した巨大な収入源であった。でも前からわかっていたことだが,クラシファイド広告はオンラインに向いている。プリントからオンラインへの雪崩現象が起きるのは覚悟していたはずだが・・・。前の記事「不況でも,急成長しているWebサイトとは」でも示したように,Craigslistサイトの月間ユニークビジター数が4680万人と,1年前の3416万人から急増している。クラシファイド広告の急激なオンラインシフトは避けられない。
新聞紙のクラシファイド広告売上の激減が避けられないとなると,オンライン(新聞社サイト)でのクラシファイド広告に力を入れたい。でも,その新聞社のオンライン広告にも,Craigslistが立ち塞がっている。
全米3位の大手新聞社McClatchyを例に,クラシファイド広告売上の動向を眺めてみる。以下は,09年第2四半期の広告売上を示している。全広告(新聞紙広告+オンライン広告)に加えて,新聞紙広告とオンライン広告も個別に公表されている。

(ソース:McClatchyの四半期決算より)
広告売上で最も打撃を被っているのが,クラシファイド広告分野である。中でも悲惨なのは,新聞紙のクラシファイド広告である。前年同期比45.4%減と,ほぼ半減している。さらにそれ以上に落胆させられたのが,新聞紙サイト(オンライン)のクラシファイド広告である。急成長を期待していたのに,同25.7%減と大きくマイナスに振れてしまったのだ。事実上無料でクラシファイド広告を提供するCraigslistが陣取っている限り,新聞社サイトのクラシファイド広告の苦戦は免れない。
そこで次の記事では,Craigslistについて。

