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2012年09月13日

アマゾン対アップル、電子書籍の値下げ競争に突入

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 米国のアマゾンとアップルが電子書籍の価格競争に突入した。

 価格競争を仕掛けたのはアマゾン。paidContentの記事「That was fast: Amazon is already discounting settling publishers’ ebooks」(Sep 10, 2012 - 4:25PM)が、値下げ競争の開始を報道、というか価格競争の火を付けた。同ブログはさらに、「Ebook price drops begin − and Apple is discounting, too」(Sep 11, 2012 - 9:54AM)と、アップルも値下げに応じ始めことを伝える。そして同じ記事内で、値下げに踏み切った出版社HarperCollinsの電子書籍が、アマゾンなどのデジタル書店でそれぞれ販売されている価格を、以下のように一覧表で掲載したのだ。

Ebook20120911US.jpg

 この掲載時点では、明らかにアマゾン書店での販売価格がアップル(iTunes)より安い。そこで、2番目の書籍「Telegraph Avenue」が最も価格差が大きかったので、アマゾン書店とアップル(iTunes)を覗いてみた。確かにアマゾンでは9.99ドルであった。ところがiTunesでは18.99ドルではなくて、アマゾンと同じ9.99ドルに値下げしていた。おそらく、上の表を見てすぐに、値下げに踏み切ったのだろう。

●アマゾン
EbookAmazonTele20120912.jpg


●アップル
EbookAppleTele20120912.jpg

 米司法省は今年4月に、アップルと出版社5社(Hachette、HarperCollins、Macmillan、Penguin、Simon & Schuster)を、電子書籍の販売価格を値上げ操作したとして提訴していた。そのうちの3社(Hachette、HarperCollins、Simon & Schuster)と和解に達したと、米司法省は発表していた。残りの2社はアップルと組んで法廷で闘うことにした。

 そこで和解組のHarperCollinsがアマゾン、 Barnes & Noble、グーグルなどのデジタル書店と新たに契約を結び直し、電子書籍価格を設定し直すことになった。そしてその後すぐに、アップルまでも新契約をHarperCollinsと結ぶことになり、上の例のように値下げに踏み切ったりした。電子書籍の価格戦争が勃発した。

◇参考
・That was fast: Amazon is already discounting settling publishers’ ebooks(Sep 10, 2012 - 4:25PM)(paidContent)
・Ebook price drops begin − and Apple is discounting, too(Sep 11, 2012 - 9:54AM)(paidContent)
・Apple is already fighting Amazon in the ebook price wars(Sep 11, 2012 - 3:40PM)(paidContent)

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posted by 田中善一郎 at 01:17 | Comment(0) | TrackBack(0) | 出版 雑誌
2012年08月24日

ソーシャルネットワークのデモグラフィックデータ

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 FacebookやLinkedInはほぼ全年齢層で幅広く利用されているが、現在急成長しているTumblr, Reddit,Taggedは若い年齢層が多く占めている。Pinterest,Tumblr,Taggedは女性ユーザーが多いが、 Reddit,Slashdotは男性ユーザーが主流である。これはPingdomがまとめた、ソーシャルネットワークやオンラインコミュニティーのデモグラフィックデータの結果である。ソーシャル系ネットワークの先進国である米国ユーザーを対象とした結果である。ユーザーの中心が若年層に偏っている、アラブなどの新興国や中国などとは大きく異なっている。

 Pingdomが選んだソーシャルネットワークやオンラインコミュニティーは次の通り。
Facebook, Twitter, LinkedIn, Pinterest, Tumblr, Reddit, Hacker News, Slashdot, Github, Stack Overflow, Orkut, Quora, WordPress.com, Blogger, Flickr, Myspace, Tagged, Hi5, LiveJournal, Yelp, deviantART, StumbleUpon, Goodreads , Last.fm

デモグラフィックのソースデータはGoogleのDoubleClick Ad Plannerを使っているので、Google+ は対象となっていない。以下は各サービスの米国ユーザーについて、年齢層分布、平均年齢、男女比をグラフ表示している。ここで対象外となっているGoogle+ は、各種調査によると男性比率が高い。

*年齢層分布
USSNSAge.jpg

*平均年齢
USSNSAverageAge.jpg

*男女比
USSNSGender.jpg


◇参考
・Report: Social network demographics in 2012(pigdom blog)
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posted by 田中善一郎 at 09:52 | Comment(0) | TrackBack(0) | 出版 雑誌
2012年08月19日

アフリカのニュースメディアにも中国の影が、尖閣諸島関連ニュースへの誘導も

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 中国の影響力がアフリカのニュースメディアにも及んでいる。

 人権問題などの批判をかわして西欧の影響力に対抗するためのPRキャンペーンを、アフリカや開発途上国などに向けて打つために、中国政府は70億ドルも費やすると言われている。また先月,中国はアフリカ向け借款の総額を200億ドルに倍増すると約束し、アフリカ大陸の資源確保に躍起である。その動きを支援するためにも、アフリカのメディアへの影響力を強化している。たとえばエチオピア政府には、WebサイトやTV、ラジオのインフラ整備に必要なトレーニングや技術供与のために15億ドルの借款を実施する。

 実際のアフリカニュースの制作と放送にも積極的に動いている。2012年1月11日には中国国営メディアのCCTV(China Central Television)がケニアにCCTV Africaを開局し、アフリカ全域をカバーしたニュースを制作し、CCTVの英語チャンネルを介して全世界への提供を始めている。取材のために、南はヨハネスブルグから北はアルジェまで、14支局を置いた。スタッフも記者を含めて100人を抱え、そのうち60人がアフリカ人という。目玉のAfrica LIVEを毎日1時間、アフリカ時間で夕方のプライムタイムに放送している。年内にも毎日2時間に延長する予定である。サイトでは過去の日を含めたAfrica Liveなどの番組をオンデマンドで視聴できる。

 実際のAfrica LIVEを早送りで視聴してみた。アフリカ各地からのニュースが中心で、他はロンドン取引所との中継や世界のスポーツや天気予報となっている。アンカーはアフリカ人だし中継で出てくる特派記者も大半がアフリカ人で、CCTVのロゴがなければあたかもアフリカ人が作ったニュースメディアと思わせる。プロパガンダの臭いが漂わないようにしている。アフリカニュース市場で、CNNや BBC、Al Jazeeraと競合する構えである。また欧米の新聞などが経営難から海外支局や特派員を縮小したり廃止しているだけに、中国メディアにとって優秀な人材を確保しやすいのかもしれない。

 CCTVのニュースはアラビア語を含めて6ヶ国語で放送されており、中国国外で2億人が視聴しているとCCTVは主張している。国営放送なので、ニュース番組は中国政府の価値観に基づいてフィルタリングされていると見るべきであろう。Africa LIVEのページには、1時間番組の他に、その日のその他ニュース(More Video News)が紹介されている。以下のように8月18日には6本の動画ニュースが取り上げられていたが、やはり尖閣列島関連の動画ニュースが出ていた。

AfricaLive20120818.jpg

AfricaLive20120818Islands.jpg

 そこで上のMore Video Newsから、"Chinese activists' campaigns for Diaoyu Islands”とのタイトルが付いた動画ニュースを選んでアクセスしてみた。するとそのビデオでは、以下の写真を見せながら、尖閣諸島の抗議運動の歴史を紹介していた。

cctva1.jpg
cctva2.jpg
cctva3.jpg

 CCTVニュースのフランス語版やスペイン語版も覗いてみたが、トップページの目立つ位置に尖閣諸島関連ニュースが取り上げられていた。上のような中国の主張を伝えるニュースが、Africa Liveページを介してアフリカ人の目に入る機会が増えたのではなかろうか。

◇参考
・Building trust in Africa(China Daily)
・Pursuing Soft Power, China Puts Stamp on Africa’s News(NYTimes.com)
・China Sinking Big Bucks Into African News(Newser)
・Chinese activists' campaigns for Diaoyu Islands(CNTV)
・Changing perceptions(China Daily)
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posted by 田中善一郎 at 23:29 | Comment(0) | TrackBack(0) | 出版 雑誌
2012年08月12日

息を吹き返すか、米国の経済誌

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 米国の主要経済雑誌が好調だ。Bloomberg Business Week、Forbes、Fortuneの3大経済誌のいずれも、今年第2四半期の広告売上高および広告ページ数が前年同期に比べかなり上回っている。

*主要経済紙の広告売上高と広告ページ数(2012年第2四半期と2011年第2四半期)
MagazineBusiness201206.jpg
(Publisher’s Information Bureau)

 米国の雑誌は新聞と同様、広告収入に高く依存していただけに、厳しい状況に立たされている。2000年代に入って紙(プリント)離れが進むに従い広告事業が低迷し始め、雑誌産業に暗雲が垂れ込めていた。そして追い討ちをかけるように2008年にリーマンショックが襲い大変なことになった。年間広告掲載ページ数の増減率の推移からもわかるように、2009年には広告売上高が急落し雑誌の休刊(廃刊)ラッシュが続いた。

USMagAdPage2011.jpg

 それでも2010年には大きくリバウンドし、マイナス成長からの脱出が期待された。だが2011年は足踏みし、2012年に入っても四半期ベースの広告売上高と広告掲載ページ数で前年同期割れが続いた。最初の表に示したように米国の雑誌全体では、第2四半期の広告売上高で前年同期比で2.9%減、広告ページ数で8.6%減と下降線を辿り始めているのだ。

 このように雑誌産業が減衰している中で、主要経済紙が踏ん張っているのだ。でもリーマンショックで大騒ぎしていたころ、新しい情報を競って欲していた読者は、週遅れや隔週遅れの情報が載った経済雑誌(週刊誌/隔週刊誌)を見放しつつあった。経済雑誌の終焉の声すら聞こえてきた。以下のグラフのように、主要経済紙もリーマンショックで大打撃を被っていたのだが、その後、心配を吹き飛ばすように復活してきているのである。そして、2012年第2四半期の広告売上高は、Business Weekが前年同期比6.1%増、Forbesが19.7%増、Fortuneが7.3%増と、好成績を残した。欧州債務危機などによりますます混迷するグローバル経済の動向を先読みするための情報ニーズが高まっているためか。世界経済の混乱が逆に、グローバル経済誌にとって追い風になっているのかもしれない。

*主要経済誌の第2四半期・広告売上高の推移(単位:100万ドル)
BusinessMagAd2012Q2.jpg

 
 上の表とグラフに、3大経済誌に加えて英国のEconomistと新興のFast Companyも加えた。特に注目したいのがFast Companyで、広告売上が33.7%も急増し絶好調である。Fast Companyは、2000年前後のネットバブル時に相次ぎ登場したニューエコノミー誌の一つであった。The Red Herringや Business 2.0 などと共に、老舗経済誌を脅かす存在と持て囃された。だが、ネットバブルの崩壊とともにほとんどの雑誌が休刊し、生き残っていたのがFast Companyである。メディアキットによると2011年6月30日現在で発行部数(Total Paid & Verified Circulation)が738,950部となっている。月刊誌であるが、2回の合併号があるため、年10回の発行となっている。年間購読料は12ドルで、購読者はKindle電子版を無料で閲読できる。

FastCompanyAmazon.jpg

 Fast Companyは、ビジネス変革に着目し、最新のビジネスニュースや動向、際立った起業家、急成長のベンチャーなどに焦点を当てた記事を売り物にしている。雑誌記事の多くはサイトでも無料で閲覧できる。2012年9月号の記事はこちらで。

◇参考
・Big three biz magazines outperforming industry(Talking Biz News)
・The State of the News Media 2012: Magazine(PEJ)
・Magazine Newsstand Sales Still Falling in 2012(Adweek)

 
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posted by 田中善一郎 at 22:47 | Comment(0) | TrackBack(0) | 出版 雑誌
2012年08月07日

英国アマゾン書店でも、販売数で電子本が印刷本を凌ぐ

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 英国のアマゾンでも、販売数で電子本が印刷本を追い抜いた。

 英国のアマゾン書店では、紙の書籍(ハードカバー本、ペーパーバック本)を100冊売る間に、電子本を113冊売る。つまり、電子本の販売冊数が印刷本の1.13倍になったというのだ。無料の電子本は加えていない。英アマゾンでは1998年から印刷本を売り始めたが、電子本の販売を始めたのは2年前であった。2011年5月には既に、Kindle Book(電子本)がハードカバー本を追い抜いていた。個人出版プラットフォーム(KDP:Kindle Direct Publishing)も急激に立ち上がっていることも、電子本の販売冊数を底上げしている。

 英アマゾンで電子本が勢いよく売れているのには、印刷本に比べ販売価格が安いことと、割引を絶えず実施していることも見逃せない。例えば毎日11:59 pmには、Kindle Daily Deal で新刊本の割引を発表する。

 ここで、英アマゾン書店でベストセラーとなっている電子本の価格例を紹介する。参考までに、同じ電子本が電子ブック楽天「kobo」でいくらで販売されているかも示しておく。

 Kindle Store : Booksにおいて現在、1位の「Fifty Shades Freed」、3位の「Monday to Friday Man」、5位の「The Summer of Secrets」の3タイトルの書籍を取り上げる。客寄せのために大幅値引きも行っているようだ。また当然だが、印刷本よりも安い値付けにしている。

AmazonUKFiftyShades.jpg

AmazonUKMonday.jpg


AmazonUKSummer.jpg

 次に、同じ電子書籍が、楽天の書店でどれくらいの価格で売られているかを以下に示す。参考までに為替レートは、おおよそ1£(ポンド)=120円である。

RakutenkoboFiftyShades.jpg

RakutenKoboMonday.jpg


RakutenkoboSummer.jpg


◇参考
・Amazon ebook sales overtake printed books in UK(Marketing)
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posted by 田中善一郎 at 01:12 | Comment(0) | TrackBack(0) | 出版 雑誌
2012年06月16日

米国の電子書籍の売上、ハードカバー書籍を追い抜く

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 電子書籍がハードカバー本を売上高で追い抜いた。米国出版社協会(Association of American Publishers:AAP)が明らかにした2012年第1四半期の大人向け書籍の売上高によると、電子書籍の売上高が2億8230万ドルとなり、2億2960万ドルのハードカバー書籍を上回った。

 昨年の第1四半期の売上高では、ハードカバー書籍が3億3500万ドルで電子書籍が2億2040万ドルであったが、この1年間でハードカバー書籍の売上高が10.5%も減ったのに対し電子書籍が28.1%も増えた。

*大人向け書籍の2012年第1四半期のカテゴリー別売上高(単位ドル):ソースデータはAssociation of American Publishers
eBooks2012Q1.jpg


◇参考
・eBook Revenues Top Hardcover(GalleyCat)
・E-Book Revenue Continues Growth Across Trade in March, Children’s Still Surging(Digital Book World)
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posted by 田中善一郎 at 12:25 | Comment(0) | TrackBack(0) | 出版 雑誌
2012年04月09日

開花期の電子書籍と萌芽期の電子雑誌、共に米国では急成長

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 電子書籍も電子雑誌も、米国では勢いよく成長している。年末のホリデーシーズンにタブレットやeリーダーが売れに売れたこともあって、電子書籍や電子雑誌の市場が活性づいた。

 特に電子書籍は開花宣言が出たと言ってよさそう。AAP(the Association of American Publishers)によると2012年1月には、電子書籍売上が全書籍売上の31.1%を占めると言う。1年前の24.8%から電子書籍のシェアを大きく拡大させている。(これは報告のあった出版社のデータ(卸売価格)を集計した結果なので、実際には電子書籍のシェアはもっと低いかもしれない)

 パッとしなかった電子雑誌もようやく活気が出てきた。ABC(the Audit Bureau of Circulations)によると、昨年下期には前年に比べ販売部数が倍以上も増えたという。だが立ち上がりが遅れたこともあって、電子雑誌の売上は全雑誌売上の1%程度と微々たるもので、開花には程遠くまだ萌芽期の段階かもしれない。

digitalBookdigitalMagazine.JPG

 電子書籍市場が本格的に動き始めたのは、専用のeリーダーであるアマゾン・キンドル(kindle)が登場した2007年11月からである。アマゾンが強引に電子書籍の価格を紙の書籍よりもかなり安く設定したり、人気の新刊書の電子書籍化を促したこともあって、一昨年前に早くもアマゾンのオンライン書店では、ベストセラー(トップ10)の書籍の売上数で、電子書籍版が紙の書籍の倍以上となっていた。

 AAPは昨年から、子供/若者向け電子書籍も急発進したと自慢する。子供/若者向け電子書籍の売上が2011年1月に390万ドルしかなかったのが、2012年1月には2260万ドルに急増したのだ。これまで電子書籍は中年の大人向けが中心であったのが、子供/若者向けにも飛び火してきた。いよいよ若い読者が電子書籍市場を牽引してくれのではとの期待が膨らむ。

EBookUS201201.jpg
●子供/若者向け電子書籍と大人(成人)向け電子書籍の月間売上高。単位:100万ドル

 ここで注目すべきは、この1年間の書籍売上高がほぼフラットであったのに利益を増やせたのは、電子書籍の売り上げを大きく伸ばしたお陰だと、一部の大手出版社が主張し始めていることだ。紙の書籍に比べ電子書籍が経費節減に効果的だということである。例えばBertelsmannの2011年の年次レポートによると、Random Houseは世界で約4万タイトルの電子書籍を販売しており、書籍全体の売上が減ったにもかかわらずoperating EBIT(earnings before interest and taxes)を増やしてきているという。またPearsonの年次レポートでも、Penguinの2011年の書籍売上はフラットであったが、営業利益を5%アップさせた。それは昨年の電子書籍の売上高を倍増させたお陰と見ている。

 paidContentが、主要出版社の電子書籍売上比率などを一覧表でまとめていたので、その一部を以下に掲げておく(ソースの一覧表はこちらで)。

Pub Book Digital Revenues2012.jpg

 一方の電子雑誌が遅れたのは、まず雑誌コンテンツ向けの閲覧デバイスが出遅れたことがある。初期のキンドルでは役不足であった。画面がモノクロでサイズも小さいからである。電子雑誌の活躍の場が生まれたのは、アップルのiPadが登場した2010年4月以降である。多くの出版社(雑誌社)は電子雑誌の発行に乗り気であったが、でもすぐに出版社は本気にアクセルを踏み込めなかった。アップルがiPad向け電子雑誌の売り場(AppStore)を事実上独占し、電子雑誌の流通をコントロールしようとしたためである。

 iPadの登場後も電子雑誌の流通主導権を巡って、Appleと大手出版社との間で1年以上も激しい綱引きが続いた。アップルが電子雑誌の販売売上の30%を手数料として徴収することになった。出版社が猛反発したのは、定期購読料もアップルの取り分は同じく30%とし、しかも定期購読を含めた購読者の個人情報をアップルが管理することになっていたからだ。米国における紙の雑誌事業の特徴は、非常に安い定期購読料で多くの購読者を獲得し、大きな広告売上高を稼ぐことである。

 例えば、
・Sports Illustrated
年間購読料:39ドル(0.7ドル/1部)、発行部数:318万部、広告売上高:5億7645万ドル
・Cosmopolitan
年間購読料:15ドル(1.25ドル/1部)、発行部数:304万部、広告売上高:3億9921万ドル
・Bloomberg Businessweek
年間購読料:40ドル(0.8ドル/1部)、発行部数:93万部、広告売上高:2億2335万ドル
となっている。

 米国の有力雑誌は定期購読が中心で、日本の有力雑誌と大ざっぱに比較すると、雑誌1部の価格が1/5以下で、有力タイトルの発行部数が5倍から10倍で、広告売上高も約5倍から10倍程度となっている。巨大な広告売上げを達成するために、日本では信じられないほど年間購読料を安価に設定しているのである。それに対し、アップルが定期購読料の30%を徴収するだけでなくて、雑誌社にとって武器であった定期購読者リストや購読者の個人情報を管理しようとしているのである。雑誌社にとって命綱の広告事業が大きな影響を受けるかもしれない。

 そして昨年10月にアップルは、同社が定めた電子雑誌販売ルールをベースにしたニューススタンド(Newsstand)を正式に開設した。アップルのペースで、ともかくiPad向け電子雑誌販売の環境が整ってきたのだ。ニューススタンドで雑誌アプリを定期購読した場合、新号が出るたびにバックグラウンドでダウンロードできるようになる(電子雑誌の場合、ダウンロード時間が長くなりがちなので、この機能は欠かせない)。アップルのニューススタンドではiPad/iPhone向けの雑誌アプリの他に新聞アプリも扱っているが、Distimoの調査によるとニューススタンドは毎日7万ドルの売上を挙げているという(月間で200万ドル以上)。iPad向け電子雑誌が本格的に動き始めているようだ。

 また米ABC(The Audit Board of Circulations)でも、コンシューマー向け電子雑誌の販売点数が2010年下期の146万部から2011年下期には329万部に増えたという。125%アップである。iPad以外にアマゾンのキンドルファイアのようなタブレットの登場も追い風になっている。

DigitalCirculation2011.jpg

 そして3月にHearst社は、Cosmopolitan誌の有料電子購読者(digital subscribers)が10万人を突破したと発表した。これはすごい。さらに同社は2012年内に、同社雑誌のデジタル版購読者総数を100万の大台に乗せると予告している。実現するかもしれない。ただ気になるのは、紙雑誌から電子雑誌のシフトが進むことによって、これまで雑誌社を支えてきた紙雑誌の巨大な広告売上がどう変わるかである。雑誌社が電子シフトに前向きになってきたのは、紙雑誌の広告売上が構造的に減り始めていることがある。でもCosmopolitan誌の電子版が10万部を超えたと言っても、紙雑誌の発行部数300万部のうちの3%に過ぎない。それでも電子シフトが進むという前提で、電子雑誌も広告媒体として成長させていかなければならない。

 そこで米ABCも、電子雑誌の考査を正式に始めることになった。雑誌社から電子(デジタル)版のプラットフォーム別有料購読数を収集する。雑誌社は広告主に紙版だけではなくて電子版の保証部数も告知できるようになる。でもやはり心配なのは、下降線を辿りつつある紙雑誌の広告売上が、紙から電子へのシフトに伴いさらに落下が速まるのではないかということだ。このため、iPad向け電子雑誌の一部売りを実施しても、定期購読を差し控えている雑誌社が少なくない。さらにCosmopolitanのように、紙の年間購読料が15ドルに対し、iPad版電子雑誌の年間購読料を19.99ドルと紙より高い値付けに設定したりしている。

 また、電子雑誌の販売ルートを拡大させ、アップルやアマゾンを牽制したいこともあって、先週、Conde Nast, Hearst, Time Inc., Meredith 、 News Corp.の大手出版5社が手を組んで、Next Issueと称する 電子雑誌販売サービスの開始を発表した。複数の有力雑誌を定額で読み放題のサービスである。最初のサービスでは、月間9.99ドルで以下の月間誌および隔週誌の電子版が閲読できる。さらに月間14.99ドルを払えば、Basic雑誌に加えて以下の週刊電子雑誌も閲読できる。

Basic雑誌、月間9.99ドル
All You,Allure,Better Homes and Gardens,
Car and Driver,Coastal Living,Condé Nast Traveler,
Cooking Light,Elle,Esquire,Essence,
Fitness,Fortune,Glamour,Golf,Health,
InStyle,Money,Parents,People en Español,
People Style Watch,Popular Mechanics,
Real Simple,SI for Kids,Southern Living,
Sunset,This Old House,Vanity Fair, 

Premium(Basicを含む)月間14.99ドル
Entertainment Weekly,People,Sports Illustrated,
The New Yorker*,Time,

  サービス開始時に提供する雑誌アプリは、アンドロイド・タブレット(Honeycomb)しか対応しないが、今夏までにiPadに対応する予定である。また閲覧できる雑誌タイトルも増やしていくという。

NextIssue201204.jpg

 このNext Issueは電子雑誌の販売に新風を吹き込むことになろう。ただし本命になるかといえば、疑問は残る。多くの若い雑誌読者は、雑誌ブランド(タイトル)よりも記事単位で閲覧したい雑誌記事を選ぶようになっており、それにソーシャルフィルタリング環境も欲するようになっている。旧来型の紙雑誌を単に電子化したブランド雑誌を、大手出版社が寄ってたかって提供するだけでは、若い読者が追ってきてくれるかどうか。

 どちらにしろ雑誌も紙から電子(デジタル)に移行していくのは避けられない。電子雑誌の在り方を見直す動きも活発化しそうだし、紙の延長上でない新しいタイプの電子雑誌が次々と生まれてくるのを楽しみにしたい。

◇参考
・E-books are the fastest-growing area of book sales, especially for youngsters(VentureBeat)
・E-Book Sales For Kids And Teens Surge(paidContent.org)
・Thanks To E-Books, Publishers Find Flat Is The New Up(paidContent.org)
・iPad Owners Collectively Spend Over $2 Million on Newsstand Content Each Month(PadGadget)
・The rise of e-reading(Pew Internet)
・Magazines' Digital Circulation More Than Doubles -- But Remains Small(AdAge)
・Mag Bag: Digital Magazine Circ Rises(MediaDailyNews)
・Mag Bag: 'Cosmo' Boasts 100,000 Digital Subscribers(MediaDailyNews)
・Finally, a Reason to Read Magazines on a Tablet(AllThingsD)
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posted by 田中善一郎 at 10:59 | Comment(0) | TrackBack(0) | 出版 雑誌
2012年01月12日

米雑誌の2011年広告売上、前半上昇したが後半失速

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 米国雑誌の2011年広告売上は、前半に回復基調で伸ばしたが後半は失速し、結局前年並みにとどまった。

 米雑誌の2011年広告売上データが米PIB(Publishers Information Bureau)から公表されたが、それによると昨年の年間広告売上高は201億ドルと、2010年と同レベルに収まった。また広告ページ数は前年比3.1%減と再びマイナス成長に落ち込んだ。米国の雑誌や新聞のプリントメディア産業は、リーマンショック以降に広告大不況に襲われ、かつてないほどに売上が急落下した。それでなくても、長期低落で構造的な不況業種になりつつあっただけに、店じまいする雑誌や新聞は相次いだ。それでも、景気回復に伴い2010年後半あたりから薄日が差しかかった。新聞は相変わらず前年割れから脱却できないでいたが、雑誌はリバウンドし回復基調に乗り出していた。特に2011年上半期は、売上高が前年上半期に比べ3%増、広告ページ数でも1.3%増と、回復が本物と期待を膨らませていたのだ。

 それがEU危機などにより世界経済に暗雲が漂い、米国雑誌にも早くも悪影響が出てきたのだ。2011年第4四半期には、広告売上高が前年同期比で5%減となり、広告ページ数では同8%減と、完全に失速状態に落ち込んでしまった。今年は、ロンドンオリンピックと米大統領選の大イベントが控え、雑誌業界も飛躍を期待していたのだが、さてどうなるやら。


 次は、米国の代表的な雑誌の、2011年の広告売上高と広告ページ数を、2010年実績と合わせて示す。米国の雑誌は、広告売上に大きく依存しているので、広告売上高の変化は重要である。  

USMagazineAd2011.jpg

 トップの「People」は10億ドルを割ってしまった(それでも、1雑誌で10億ドル前後の広告売上高とは凄いのだが・・)。第2位の「Better Homes & Gardens」は前年比14.1%減とブレーキがかかった。

 ビジネス誌はまずまずだが、Bloombergに買収された「Business Week」誌が見事に返り咲いているのが目立つ(29.4%増)。女性誌は大半が好調だ。「Vogue」や「Vanity Fair」は2桁成長を成し遂げた。また「National Geographic」、「Reader`s Digest」のような保守的な老舗雑誌が、この混乱の時勢に広告売上を伸ばしているのが、なんとなく興味深い。


 次は、ジャンル別の広告売上と広告ページ数である。もの凄く落ち込んでいた金融と不動産が反動で伸びているのが目立つ。それと化粧品関連が9.5%増で、シェアで断トツで独走している。女性誌が好調なのもそのせいか。

USMagazineAdClass2011.jpg


◇参考
2011 OVERALL MAGAZINE ADVERTISING REVENUE FLAT(MPA)
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2011年11月15日

米大手出版社の有力雑誌、アマゾンの「キンドルファイア」向けに電子版を販売へ

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 年末商戦の台風の目となる米アマゾンのタブレット端末「Kindle Fire(キンドルファイア)」。いよいよ米市場で登場。そのキンドルファイア向けの電子雑誌や電子新聞が400タイトル以上が一斉に売り出された。

KindleFireNewsstand201111.jpg
 
 アップルのNewsstandへの牽制もあってか、Conde Nast, Meredith Corp. それにHearst Corp.の大手出版社がこぞって、アマゾンのNewsstandにも有力雑誌の電子(デジタル)版を提供することになった。ただし最大手のTime Inc.とアマゾンとの交渉はまだ進行中で間に合わなかったが、WSJによると年内にも決着がつきキンドルファイア向けの電子雑誌をTimeも出す予定という。またConde Nastは、Vanity Fair、GQ、 Wired、Glamourなどの17タイトルの電子雑誌を、2012年3月1日までに定期購読を申し込んだキンドルファイア所有者に、3ヶ月間無料で閲読できるサービスを提供中である。

KindleFirePremier201111.jpg

 出版社とアマゾンの交渉は、アップルと同様、かなり厳しい綱引きを経てきた。アマゾンもアップルも手数料条件は似通っていたが、定期購読者の名前や住所を含めた読者ユーザーのデータを出版社に提供することについては、アマゾンは出版社の要求をすこし受け入れたという。ただし定期購読料金についてはアマゾンはコントロールしようとしているが、Time社との交渉では、購読料金の設定に融通性を持たせることにより決着をつけるようである。


◇参考
・Kindle Fire Newsstand to Offer Over 400 Full-Color Magazines and Newspapers(Fierce Mobile Content)

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2011年09月29日

アマゾンにすり寄る米出版社、だが決して甘くないアマゾン

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 アマゾンのタブレット「Kindle Fire(キンドル・ファイア)」が発表された。予測通り7型のカラー液晶画面を採用しているが、価格はうわさの250ドルではなくて199ドルと安い。小型ではあるがiPadよりも300ドルも安いのだ。

 さっそく、キンドル・ファイアのTVコマーシャルを見てみた。



 iPadと同様、マルチメディアプレイヤーを売りとするデバイスである。プレスリリースでも、映画、 TVショー, 音楽, アプリ,ゲーム, 書籍、そして雑誌などの、1800万を超えるデジタルコンテンツ全てを、キンドル・ファイアで楽しめると売り込んでいる。またアマゾンのテストを受けたキンドル・ファイア向けのアプリ(無料あるいは有料)がアマゾンから毎日のように提供されいくという。

 TVコマーシャルの中の以下のスナップショットでも紹介されていたように、ここでは雑誌コンテンツに注目したい。従来のモノクロのキンドルは雑誌向けデバイスとして向いていなかったが、カラー化した安価なキンドル・ファイアを武器に、アマゾンは電子雑誌市場に本格的に参入し、アップルと激しく戦うことになる。

KindleFireeTVCM20110928.jpg

 電子雑誌向けのデバイスとしては事実上、これまでアップルのiPadに独占されていた。だが、iPadの出荷台数がまだ少なく、それにアップルが提示するパブリッシャーへの要求があまりにも厳しくて、ほとんどの雑誌社は電子版雑誌事業に思い切ってアクセルを踏み込めないでいた。そこに電子雑誌向けデバイスとしてiPad対抗馬のキンドル・ファイアが現れたのだから、米国の大手雑誌社が歓迎したのは言うまでもない。アップルへの牽制の意味もあって、アマゾンにすり寄っているのだ。それに応えるようにアマゾンもTVコマーシャルで、Hearstの「Marie Claire」やConde Nastの「Vanity Fair」の人気雑誌を登場させ、大手雑誌社と友好的な間柄にあることを知らしめているのである。

 特に、アマゾンと提携することをわざわざプレスリリースしたHearstは、アマゾンとの連携を深めていきたいようだ。電子雑誌事業が軌道に乗り始めているから、なおさらだ。同社雑誌のデジタルレプリカ版電子雑誌の有料定期購読者数が、ABC's Rapid Report(June 2011)により次のように明らかになった。
Cosmopolitan : 81,690
Popular Mechanics :21,725
Esquire:20,997
O, The Oprah Magazine :12,567
 同社としては、新たに加わる電子雑誌の販売チャンネルとして、キンドル・ファイア(+キンドルストア)に期待を寄せるのは当然である。

 また、Condé Nastも気合が入っている。「Vanity Fair」、「GQ」、「Glamour」を含も17タイトルの電子雑誌を、キンドル・ファイアのユーザーに3ヶ月間無料で楽しめる試読サービスを提供する。Meredithは人気雑誌「Better Homes」の電子版を、キンドル・ファイアの出荷時に合せて提供していく。

 
 このように大手雑誌社がアマゾンにすり寄っているのだが、雑誌社はアップルとは違った販売の好条件をアマゾンから引き出せているのだろうか。アマゾンは3ヶ月前から雑誌社と交渉を始めている。たとえばHearstはアップルとの交渉が非常に円滑に進んだとのコメントを出しているものの、どのような条件で成立しているかは明らかになっていない。雑誌社の声をまとめると、アマゾンもアップルの条件とあまり変わっていないようである。売上の約30%をアマゾンが手数料として徴収するし、ユーザー情報の扱いもアマゾンが少なからずコントロールしていく。ただ一部のパブリッシャーによると、ユーザーのeメールアドレスをパブリッシャーも共有できるようになっているという。だが一方で、コンテンツの価格決定においては、アマゾンのほうが厳しいと漏らすパブリッシャーも現れている。

 アマゾンの方がパブリッシャーに対して厳しい条件を突きつける場合がもともと少なくないとの声もある。アマゾンのビジネスの目標は、できるだけ多くのコンテンツを売ることである。デバイス(キンドルなど)は多くのコンテンツを売るための支援ツールで、デバイスで儲けるのがかならずしも目標ではない(片やアップルはデバイス(iPadやiPhone)で儲けていこことも目標にしている)。このため、キンドル・ファイアを200ドルを切る価格で安売りできる。一方でコンテンツの価格については口出しをするし、特に定期購読料金については注文を付けることが多い。コンテンツを売る機会を増やすために個人出版を支援する場合もあり、既存パブリッシャーと競合することも起こりうる。雑誌社にとって、甘い存在ではないのだ。


 どうもオンラインパブリッシャーはアップルやアマゾンのようなメディアプラットフォーム(アプリショップ+デバイス)に対して弱い立場に置かれている。アップルやアマゾンは、映画、 TV, 音楽, アプリ,ゲーム, 書籍、雑誌、新聞などのあらゆるメディアのデジタルコンテンツの流通をコントロールしてしまおうとしている。一つのID(アカウント)であらゆる種類のデジタルコンテンツを、アップルやアマゾンのオンラインストアで購入できるようになっていく。ユーザーにとって便利になるかもしれないが・・・。オンラインパブリッシャーはコンテンツ販売の場として、アップルのApp StoreやアマゾンのKindle Storeに頼らざるえなくなる・・・。


 そこで、「モバイルアプリがオンラインパブリッシャーを殺す?」(Outbrainの創立者Yaron Galai氏)という発言も飛び出してきた。



◇参考
・Magazines Climb on Kindle Fire's Wagon(WSJ)
・Kindle Fire: Meet the new boss, same as the old boss(GIGAOM)
・Amazon Tablet Revealed: Kindle Fire(Folio)
・Introducing the All-New Kindle Family: Four New Kindles, Four Amazing Price Points(プレスリリース)
・Is the app economy killing online publishers?(GIGAOM)
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posted by 田中善一郎 at 16:42 | Comment(0) | TrackBack(0) | 出版 雑誌
2011年09月28日

アップル支配に抵抗示す米出版社、アマゾンタブレット支持の大合唱を

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 アマゾンのアンドロイド・タブレットが間もなく登場する。それに合せて米国の大手雑誌社がこぞって、アマゾンのタブレット向け電子雑誌を出すことになっている。iPad向けの電子雑誌の発行を巡って、アップルから高圧的な条件を押し付けられてきている雑誌社にすれば、アップルへの牽制球を投げるためにも、アマゾンのタブレット向け雑誌を支持する大合唱を起こしたい。

 最初にアマゾン提携の狼煙を上げたのが大手雑誌社でもあるHearst。わざわざ今月(9月)13日にプレスリリースで、Hearstとアマゾン(Amazon.com)が連携を拡大していくことを明らかにした。この動きに追う形で、今日(9月28日)のアマゾンのタブレットの発表に合せて、Hearst以外にもConde NastやMeredithなどの大手雑誌社も、有力雑誌の電子版をアマゾン・タブレット向けに提供することを打ち上げる予定だ。

 Hearstは、日本でもお馴染みのCosmopolitanやMarie Claireなど、20タイトルの有力雑誌を発行している雑誌社である。電子版の発行にも意欲を示している。すでにEsquireやO, The Oprah、Popular Mechanicsの電子版をiPad向けに出しており、Appleの厳しい要求にしぶしぶ従って、App Storeで一部売りや定期購読を実施している。

HearstTablet2011.jpg

 Hearstのタブレット向け電子(デジタル)雑誌事業も、徐々に離陸し始めている。同社は、有料の電子雑誌のダウンロード数が月間30万を越えたと話している。なかなか立ち上がらない電子雑誌市場において、月間30万部は明るい動きと言える。アップルのApp Storeだけではなくて、Barnes & Nobleの NookやZinioのdigital readerプラットフォーム向けの電子雑誌も含む。そしてHearstは、4番目の電子雑誌販売チャンネルとして、アマゾンのタブレットとストアに大きな期待を寄せているのだ。

 アマゾン(Amazon.com)は紙の雑誌も販売しているので、アップルには真似できない紙雑誌と電子雑誌を組み合わせた販売メニューなどを、雑誌社に提示しているかもしれない。だがアマゾンも、電子書籍の販売でも見せたように、雑誌社にとって厳しい存在であることには違いないのだが。


◇参考
・Most − But Not All − Big Magazine Publishers Sign On for Amazon’s Tablet(All Things D)
・Hearst Passes 300,000 Monthly Digital Subscribers, Takes a Bow(All Things D)
・Amazon.com & Hearst Corporation Expand Business Relationship(MarketWatch)
・Amazon to release new tablet : The Kindle Fire?(The Editors Weblog)
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posted by 田中善一郎 at 11:31 | Comment(0) | TrackBack(0) | 出版 雑誌
2011年09月10日

電子と紙のカニバリズム、書籍でも陥る心配が

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 今年上半期の米国書籍の売上で、電子書籍が大きく伸びたが、プリント(紙)書籍が落ち込んだ。米出版社協会(AAP:the Association of American Publishers)の月次レポートによると、電子書籍の2011年上半期売上高が前年同期比で161%も急上昇したが、紙書籍の落ち込み分を補えず、書籍全体では2桁台のマイナス成長に陥った。

 新聞や雑誌と違って書籍市場では、プリント(紙)とデジタル(電子)の共存が進み、深刻なカニバリズムは生じないと楽観視する見方も少なくなかっただけに、今回のデータは気になる。ただ同じAAPが1ヶ月ほど前に、 the Book Industry Study Groupと共同で、BookStatsレポートを発行し、その中で次のように書籍売上が増え続けていたと報告している。2008年から2010年までの2年間で、5.6%の成長率を示した。電子書籍が急離陸した時期でもあるが、カニバリズムの兆しは見られなかった。

米出版社の書籍売上高(net sales revenue)
・$279億ドル( 2010年)
・$271億ドル( 2009年)
・$265億ドル( 2008年)

 どうして、急に書籍全体の売上が、今年に入って急落したのか。景気が悪くなってきたことや、世界を揺るがすニュースが相次いだことも影響しているかもしれないが、調査対象の出版社数が違っていることも左右しているようだ。1ヶ月前のBookStatsレポートでは約2000社の出版社のデータをもとにまとめたのに対し、今回のレポートでは72社の出版社から4分野(trade, K-12, higher education and professional/scholarly publishing)のデータを集めて調べている。その72社のうち15社から電子書籍のデータを集めた。

 今回のレポートは調査対象が72社と一部であるが、比較的規模の大きい出版社が多そうだし、ある程度のトレンドを示しているのではなかろうか。

 調査対象の書籍のとして、プリント(紙)メディアでは大人向け書籍(hardcover, paperback and mass market paperback books)と子供向け書籍( hardcover and paperback books)を取り上げ、それに電子書籍とオーディオ書籍(ダウンロード販売)を調べている。確かに、紙の書籍が大きく落ち込んで、電子の書籍が急上昇している。ちょっと偏り過ぎた結果と思えるし、紙の書籍全体でここまで急落しているとは考えられないのだが。 


printEbookUS201106.jpg
(ソース:paidContent.org)

ebookprintbook201106.jpg


◇参考
・New Book Stats: As Print Book Revenues Plunge, E-Books Aren’t Making It Up(paidContent.org)
・NEW PUBLISHING INDUSTRY SURVEY DETAILS STRONG THREE-YEAR GROWTH IN NET REVENUE, UNITS(The Association of American Publishers)
・カニバリズムは神話だった(航)
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posted by 田中善一郎 at 14:55 | Comment(0) | TrackBack(0) | 出版 雑誌
2011年08月09日

雑誌表紙からも「いいね!」

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 雑誌表紙に付いているタグをデジカメ内蔵のスマートフォンやフィーチャフォンで撮って、飛び先ページで「いいね!」と反応すると、クライアント企業から特別オファーが与えられる。これは、米コンデナスト発行の女性ファッション雑誌「Glamour」が、最新号(9月号)で仕掛けたモバイルマーケティング手法である。

 SpiderLync社のSocial Snap Tagを使う。9月特集号表紙に載ったFacebookロゴのSocial Snap Tagをスマートフォンなどで撮影して、現れたページで「いいね!」と応じると、Glamour誌から特別キャンペーンのサービス(割引サービスなど)が受けられるわけだ。GlamourブランドのFacebookページのファンになることになる。また同号の雑誌に広告を掲載したZappos, GAP, Lancome, Nivea, Skinny Cow, Dr. Scholls, HTC など20社以上の企業もこのキャンペーンに参加し、企業ブランドのFacebookページやTwitterページと雑誌広告との連動を実現させた。

GlomourFacebook.jpg


 2次元バーコードを使って雑誌や新聞などの紙メディアとオンラインサイトとを連携させたマーケティング手法は、特に目新しいものではない。QRコード技術を用いた事例はいくらでもある。SpiderLync社もSnap Tagを介してモバイルユーザー向けマーケティングのソリューションを提供している。FacebookやTwitterなどのソーシャルメディアとの連動に特化したソリューションを売りにしている。また技術的な特徴も備え、先のFacebookの例のように、Snap Tagにはブランドロゴを目立つ形で配置できる。


 トヨタもSpiderLync社のSnap Tagを採用した。たとえば以下のようなToyoTagsと称するSnap Tagをいろんなところで露出させ、20〜30代の潜在的なユーザー(たいていスマートフォンを常時利用)に向けてソーシャルメディアと連動したマーケティングに力を入れている。
 
SnapSendToyota.jpg


◇参考
・Glamour Magazine Using Social SnapTags to Connect Readers to Brands on Facebook & Twitter(SocialTimes)
・Snap and Send, and Learn More About Toyota(NYTimes.com)
・SpyderLynk Launches Social SnapTags Enabling Mass Media to Instantly Activate Social Connections(PRWeb)
・Facebook Marketing: Toyota Crowdsources Philanthropy(RealtimeReport)
・Toyota Donates 100 Cars on Facebook(ClickZ)
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posted by 田中善一郎 at 08:25 | Comment(0) | TrackBack(0) | 出版 雑誌
2011年06月12日

アップルのiPadアプリ戦略により、雑誌の定期購読料が乱高下

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 雑誌の年間購読料がいきなり2倍に値上げになり呆れていると、その約1ヶ月後に半額に値下げが敢行される。この購読料の乱高下がアップルのiPadアプリの電子雑誌が絡んでいるから、話が面倒だ。

 この1年以上、雑誌社や新聞社のパブリッシャーと電子媒体プラットフォームを運用するアップルとの間で、電子媒体の流通の在り方を巡って、綱引きが繰り広げられていた。激しく衝突したのは定期購読の進め方であった。iPad/iPhoneとApp Storeを武器に主導権を握るアップルが、今年2月に定期購読ルールを策定した。雑誌社の電子雑誌(iPadアプリ)をApp Storeで販売した場合、売上の30%がアップルに徴収される。定期購読も同じだ。さらに、営業上不可欠の読者の個人情報もアップル側が握る(読者の承諾があればパブリッシャーも得られる)。パブリッシャーは自社サイトで電子雑誌を販売できるが、App Storeの価格よりも安く販売してはいけない。

 そこで、雑誌(紙雑誌)の電子版(電子雑誌)をiPadアプリで発行し始めている大手出版社の中で、Condé Nast社やTime社はそれぞれ、雑誌の定期購読者に電子雑誌を無料でダウンロード(入手)できるようにした。電子雑誌が無料だとアップルに30%分を徴収されることもないし、自社サイトで定期購読を申し込んだ読者の個人情報が外(アップル)に流れることもない。読者の個人情報はこれまで通り、自分たちの手で管理できる。でもこれでは、電子雑誌のコストは完全な持ち出しになってしまう。

 そこで、Condé Nast社では雑誌の定期購読料を値上げを断行した。例えば雑誌「WIRED」は、アマゾン書店で年間購読料が10ドルであったのが、5月3日に突然、19.9ドルと2倍に値上げされたのである。いくら電子雑誌がタダで読めると言っても、安価な年間購読料が当たり前と思っている米国の読者からすると納得がいかない。紙の雑誌しか読まない従来の定期購読者からすれば、完全な2倍の値上がりである。また電子雑誌しか必要でない読者にすれば、電子雑誌の販売価格が値上げ前の紙の雑誌の2倍というのは受け入れられないはずだ。


WiredSite20110610.jpg

 ところが驚くことに、先ほどCondé Nastのサイトにアクセスすると、WIREDの年間購読料が10ドルになっている。同じく19.9ドルに値上げしていた「GQ」は12ドルに値下げしている。どうもこの値下げは昨日か今日(12日)に実施されたようだが。最初、「父の日」の特別割引かと思ったのだが。

CondeNastsubscription.jpg

 だがもっと理解できないのは、同じ時間帯にAppleのサイトに行くと、WIREDやGQのそれぞれの電子雑誌の年間購読料が、いずれも19.99ドルのままになっていることである。

WiredGQ.jpg

 つまり、Condé Nastのサイトでは紙の雑誌「WIRED」の年間購読を10ドルで受け付けているのに、Appleのサイトでは電子雑誌「WIRED」の年間購読を19.99ドルで販売している。もし、紙の雑誌の年間購読者が無料で電子雑誌も閲読できるという約束がまだ生きていれば、10ドルで電子雑誌も読めることになる。こんなことを、アップルが認めるはずがないと思うのだが。

 ともかく、WIREDの年間購読料は、以下のように乱高下した。

WiredPriceHistory201106.jpg
(ソース:camelcamelcamel)




◇参考
・How Apple Almost Killed Magazine Subscription Deals(GottaBeMobile)
・Apple Reverses Course On In-App Subscriptions [Apple Confirms](MacRumors)
・Apple、強い反発に妥協―App Storeでの定期講読などへの課金モデルの制限を緩める(TechCrunch Japan)
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posted by 田中善一郎 at 23:33 | Comment(0) | TrackBack(0) | 出版 雑誌
2011年06月06日

153年の老舗雑誌「Atlantic」、デジタル強化で勢い復活

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 153年の歴史を誇るオピニオン雑誌「The Atlantic」が、オンライン強化で見事な復活ぶりを見せている。

AtlanticMag201106.jpg

 老舗雑誌AtlanticのWebサイト(The Atlantic+The Atlantic Wire)の月間ユニークビジター数が、5月に1000万人を突破したようだ。伝統的な硬派雑誌のサイトが、ビジター数をこの1年間で倍増させ、1000万人の大台に乗せるとは・・・。見逃せない動きである。

AtlanticDigitalGrowth.jpg

 サイトの動きを反映して、デジタル広告が急増している。2011年1月〜5月のデジタル広告売上が前年同期比で20%も増えた。2009年1月〜5月に比べると219%もアップしている。その結果、Atlanticの総広告売上高(プリント+デジタル)のうちデジタル広告の占める割合は、2008年の16%から2010年は40%、そして今年は45%に達する予定だ。

 このようにデジタル分野の割合が膨らんでいくと、その反動でプリント分野(老舗雑誌)が萎(しぼ)んでいくように思える。ところが注目すべきは、紙雑誌(プリント分野)も元気が出ていることである。米国の雑誌はこぞって、2008年後半から2009年まで金融危機による大不況で、広告売上と読者数を大幅に減らした。Atlanticも広告売上高が落ち込んだが、以下の表のように2010年から急反発した。発行部数も2010年には48万2659部と、2008年から10%も増えた。

*Atlanticの四半期別広告売上高と増減率(前年同期比)
AtlanticAdRevenue2011q1.jpg
(ソース:PIB(Publishers Information Bureau)

 なぜ、Atlanticは勢いが増しているのか。2008年から始めた野心的な「5年計画」が功を奏してきたという。ブランディングキャンペーン、プリント(雑誌)とデジタル(サイト)の再設計、広告売上と販売(購読料)売上をアップさせることにより、2012年までに総売上高を倍増させ利益率を大幅に改善させることを目標にした。

 ここではデジタル(Webサイト)分野の動きを見ていく。まず、「digital-first publication」を掲げたことだ。確かにこれまでも、「Web first」などと唱えた新聞社や雑誌社は少なくなかったが、ほとんどは従来通り紙(プリント)優先を踏襲しているのが実態であった。だがAtlanticは本気でWeb firstを実施した。まず、2008年1月に課金の壁を追っ払い、サイトの無料化を決行した。昔の雑誌記事が入ったアーカイブも無料で開放した。そして雑誌コンテンツに頼らないで、力の入ったオリジナルのWebコンテンツを充実させることにしたのだ。

 紙のAtlanticは昔から、文学や文化から始まり教育や政治、経済などと幅広い分野のコラム/オピニオン欄からなる質の高い雑誌として知られており、競合誌と比べて最も年収が高く影響力のある読者を抱えているとされている。最近では、雑誌(Atlantic誌)ブランドと同じように、デジタルブランドも強力になってきたと言えよう。

 このメディア・パブのネタ探しでも、Atlanticサイトの記事を参考にすることが、最近増えてきた。実際にはサイトに直接アクセスして記事を探すのではなくて、ニュースアグリゲーターやツイッター経由で記事にたどり着くのだが。個人的には、Atlanticの記事は当たり外れが少ない。一つのテーマでも、技術や文化、産業、政治などの多様な視点で書かれているためである。確かにデジタルブランドの高いサイトになってきている。

 例えば、ニュースアグリゲーターでも、2008年からのサイト無料化の効果もあって、次のようにソースサイトのランキングでAtlanticサイトが現れるようになっている(6月4日のランキング)。

Memeorandum(政治分野のニュースアグリゲーター):12位
Mediagaze(メディア分野のニュースアギリゲーター):22位
Techmeme(技術分野のニュースアグリゲーター):94位

 ブログを含めたソーシャルメディアで、Atlanticサイトの記事が話題になってきているのだろう。

 「digital-first publication」が掛け声に終わらないために、優秀な人材を外部に求めた。たとえば、Andrew Sullivan(2011年4月にDaily Beastに転職したが)やJeffrey Goldbergのような著名なブロガーを雇い入れた。最近では、Boston.comのAlan Taylorをハンティングし、彼に2月から写真ブログ「In Focus」を立ち上げさせた。TailorはBoston.comで人気の「Big Picture」を立ち上げ、米国のニュースサイトにおける写真エッセイのトレンドを作り出した人物。In Focusを見たければ、たとえば5月25日のThree Months of Civil War in Libyaをどうぞ。凄く迫力のある写真に圧倒される。またリビア関係の話としては、Atlanticと契約していたフリーランサーの女性レポーターがリビア政府に拉致されたが、先週末に解放されている。

 また2009年には、オピニオンアグリゲーターとして「The Atlantic Wire」を新たに立ち上げた。文化の批評に力を入れている。上の棒グラフで示すように、かなりユニークビジター数を増やしている。5月に200万人近くも訪れているのは、ビンラディン関連のオピニオンが多かったせいかも。さらに、2011年5月から編集プロセスを読者に開放する実験的な試みを開始する。

 The AtlanticとThe Atlantic Wireのそれぞれのトップページを以下に。 

*The Atlantic
theAtlantic201106.jpg


*The Atlantic Wire
AtlanticWire.jpg

 インターネット時代においても、こうした硬派雑誌でも、やりようによっては息を吹き返すということか。


◇参考
・THE ATLANTIC: Andrew Sullivan Who? We're Crushing It!(BusinessInsider)
・The Atlantic Opens Up Editing Room to Public(Mashable)
・Former Gawker editor to lead The Atlantic Wire(On Media)
・Detained Journalists Released by Libyan Government(Atlantic)
・Media Kit(The Atlantic)


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2011年05月14日

iPad版電子雑誌が本番へ、大手出版社がAppleルールに従う流れに

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 米国のデジタル(電子)雑誌産業の流通主導権を巡って、Appleと大手出版社との間で激しい綱引きが続いていた。そしてようやく先週あたりから決着が付き始めている。米雑誌出版社2位のHearst社と同3位のCondé Nast社はAppleが今年2月に策定した定期購読ルールに従うことになった。ただし同1位の Time社は抵抗の姿勢を崩さず、とりあえずAppleのルールを避ける道を選ぶ。

 音楽産業の次は雑誌産業も。Appleは米国のデジタル音楽の流通プラットフォームを事実上牛耳ったように、デジタル雑誌産業の流通も支配していこうと、米国の大手出版社に対して個別に、Appleルールに従うよう説き伏せてきた。そして、両社の綱引きの結果もほぼ出揃い、電子雑誌ビジネスが本番を迎えることになった。

 Appleは音楽流通の場合と同様、デバイスとコンテンツ販売サイト(App Store/iTunes store )の二つの武器を擁している。1年少し前に登場してきたiPadに代表されるタブレットデバイスが、電子雑誌のeリーダーとして最有力視されている。そのタブレット市場では、先行したAppleのiPadが約8割のシェアを確保し事実上寡占状態にある。電子雑誌事業に進出する雑誌社にとって当分の間は、電子雑誌リーダーとしてiPadを最優先にしていかなければならない。そのiPadアプリ向け電子雑誌の販売/決済の場となるのがiTunes store(App Store)である。つまり電子雑誌を売っていくには、iPad+ iTunes storeのプラットフォームを利用せざる得ない状況にあるのだ。

 ただし昨年は、電子雑誌市場は本番前の足慣らしの段階であった。まず、iPadの出荷台数がまだまだ少ないことと、iTunes storeにおける電子雑誌の販売が1部(1号)売りしか認められなかったことがある。それでも電子雑誌に活路を期待している出版社は次々と、iPadアプリの電子雑誌を送り出してきた。大手出版社も有力雑誌のiPad向け電子版(電子雑誌)を発行してきた。たとえば、Time社からはTime、People、Sports Illustratedなど、Condé NastからはVogue、New Yorker、Vanity Fairなど、HearstからはEsquire、Cosmoporitanなど、それぞれの電子版がiTunes storeからダウンロード販売されるようになった。

 だが、号あたりの販売部数は有力誌の電子版でも1万部を届かない場合が多く、販売部数も伸び悩んでいる(紙媒体の有力誌ともなると発行部数が100万部を超えるのが一般的)。電子版の立ち上がりが鈍い要因の一つとして、iTunes storeで電子雑誌の定期購読サービスが実施されていないことが挙げられていた。米国の雑誌読者にとって割安の定期購読が当たり前になっているだけに、電子版においてもその実施が待たれていたのだ。そして今年の2月に入ってようやく、iPad/iPhoneアプリの電子新聞や電子雑誌を定期購読するルールが固まった。

 前述の二つの武器を背景に、Appleが主導権を握るルールである。電子雑誌の販売売上の30%はAppleが手数料として徴収する。定期購読料になってもAppleの取り分は同じく30%である。そして、定期購読を含めた購読者の個人情報はAppleが管理する。これまで培ってきた自前による定期購読販売を核としたビジネスモデルを、雑誌社が放棄することになりかねない。雑誌社にとって武器であった定期購読者リストが、事実上Appleに渡ってしまうことになるからだ。

 このためTime、Hearst、Condé Nastなどの大手出版社が、Appleに対して猛反発したのは当然であった。だが一方で、今年内にもiPadが累計約4000万台出荷され電子雑誌の利用環境が一気に拡大しそうなだけに、出版社の本音としてはiPad向け電子雑誌事業に本格的に展開したいようだ。そこで、一部の出版社はAppleの主張をすぐに受け入れて、Newsweek、Popular science、Elleなどの雑誌の電子版をiTunes storeで定期購読できるようにした。でも大手出版社はAppleと定期購読ルールを巡って激しく対立していたのだが、先週ついに大手出版社の一角が崩れ、とうとうHearstがAppleルールに従うことになった。同社発行雑誌のPopular Mechanics, Esquire それに O(The Oprah Magazine)の電子版(iPad向け)が7月号から, 月間1.99ドル、年間19.99ドルでiTune storeで定期購読販売されることになった。

 そして今週に入ってCondé Nastも、同社の電子雑誌をiTune storeで定期購読販売することでAppleと同意したのだ。the New Yorkerから始め、GQ, Wired, Golf Digest, Self, Glamour, Vanity Fair 、Allureの各雑誌の電子版(iPadアプリ)がiTune storeで定期購読ができるようになる。Condé Nastのthe New Yorkerの電子版は、Hearstの電子雑誌よりも一足早く、iTune storeで定期購読販売が始まっている。これまでNew Yorkerの電子版は雑誌と合わせて週刊で発行されていたが、iTune storeでは1号売りしか認められなかった。その時の単価は、以下のように4.99ドルであった。それが今回の電子雑誌の定期購読化が実施され、かなり割安になった。月間購読料が5.99ドル、年間購読料(47号)が59.99ドルに設定されている。年間購読なら1号あたりの価格が約1.3ドルで済む。 

●iTune Storeでの価格
NewYorker20110516.jpg

 ここで注目されるのが、New Yorkerの電子雑誌(iPadアプリ)をCondé Nastのサイトからでも申し込めるようにしたことである。ただし、電子雑誌だけの定期購読の申し込みをCondé Nastのサイトでは受け付けない。Condé Nastのサイトでは、電子雑誌に紙の雑誌とWebコンテンツとをセットにした形でしか販売しない。セットの月間購読料を6.99ドルに、年間購読料を69.99ドルに設定した。

●Condé Nast Digitalでの価格
New Yorker Condé Nast Digital.jpg

 激しく反発していたCondé NastにAppleの定期購読ルールを受け入れさせるには、Appleも少し譲歩する必要があったようである。Condé Nastをはじめとする出版社は、iTune storeで販売した電子雑誌の手数料が売上の30%であることに不満を抱いてはいるが、それ以上に電子雑誌の新規の購読者の個人情報がAppleに握られてしまうことに拒絶反応を見せている。読者とのダイレクトな接点をAppleが持つようになるのに対して、出版社は読者との接点を失っていきそうである。出版社の不満を配慮してAppleは、出版社のサイトでも電子雑誌の申し込みを認めることにしている。出版社サイトで申し込んだユーザーの個人情報は、出版社が確保できる。ただし、電子雑誌の価格やサービス内容はベストのものを、iTune storeで提供しなければならないという厳しい条件がある。出版社サイトで、iTune storeより安い定期購読料を設定することは認められない。

 先の電子版the New Yorkerの例でも、電子雑誌だけを申し込む場合、定期購読料が安いのはiTune storeとなっている。Condé Nastの出版社サイトでは、紙の雑誌とのセットでしか電子雑誌を申し込めない。紙の雑誌の価格を非常に安く設定することにより、Condé Nastとしてはセットユーザーを増やし紙の雑誌を介して読者との関係を保ちたいのだろう。またCondé NastのサイトでiTune storeと同じ定期購読料サービスを提供したとしても、手軽に申し込め実績のあるiTune storeに新規読者は流れてしまいそう。

 いずれにしろ、定期購読の申し込み者の多くはiTune storeに集まることになりそう。そうなると、雑誌出版社は新規読者の個人情報を集めることができなくなる。そこでCondé Nastは、iTune storeで申し込んだ読者の個人情報を知らせてほしいとAppleに強く要求した。Appleは、雑誌購読申し込みの読者が、自分の個人情報を出版社と共有することを許しさえすれば、個人情報を出版社に提供することに応じることにした。いわゆるオプトインを導入し、ユーザーの同意があればそのユーザーの個人情報が雑誌側に渡ることになる。

 読者がiTune storeで購読を申し込むと、以下のようなポップアップウィンドウが現れ、個人情報の共有を同意するかを聞いてくる。調査によると、iPadの定期購読者の50%が同意することが明らかになったという。つまり、iTune storeで申し込んだ定期購読者でも、その50%の読者の個人情報(定期購読者名、eメールアドレス、zipコードなど)をCondé Nast が入手できるようになる。こうした背景があって、Condé NastはAppleと合意することになったようだ。

ApplePrivacy.jpg


 最後までAppleに抵抗しているTime社は、雑誌(紙)の定期購読者に電子版(iPadアプリ)を無料でダウンロードさせることにした。新規の定期購読者は紙の読者としてTimeのサイトから申し込むため、読者の個人情報はこれまで通り、自分たちの手で管理できる。それに電子雑誌はタダ(売上ゼロ)なので、Appleに手数料を徴収されることもない。でも、これは暫定的な措置であろう。これから主役になろうとする電子雑誌が、紙雑誌のおまけとしてタダで提供していくのは不自然である。いずれ、アップルルールに歩み寄らざるえないのでは。

 iPadアプリの電子雑誌市場が、Appleのコントロール下で、本格的に立ち上がろうとしている。

◇参考
・Updated: The New Yorker Leads Conde Nast’s iPad Subscription Push(paidContent)
・'The New Yorker' magazine is first in-app subscription for the iPad(USATODAY)
・Time Inc. on iPad Subscriptions in the App Store: 'We Have Chosen Not to Do That'(AdAge)
・Why Are Magazine App Subscriptions Priced So Weird?(Time,TECHLAND)
・Half of iPad magazine subscribers ready to share data with publishers(TOPNEWS)
・Apple should clarify iOS subscription policy(Macworld)
・Surprise: 50% of iPad subscribers click "Allow"(Fortune)
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2011年04月17日

Facebookページ、ファン数よりファン・エンゲージメントが重要

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 タレントや企業が開設した Facebook(フェイスブック)ページでは、ファン数よりもアクティブファン数が重要になってきたようだ。

 Facebookページのアクティブファン数を、ニューヨークのスタートアップFanGagerが測定している。ここではアクティブユーザーを、Likeボタンをクリックしたり、コメントを寄せたり、ポストするなど、コミュニティーでエンゲージメントを高める行動を起こしたファンと定義している。アクティブユーザー数の多いFacebookページランキングを、TOP ENGAGED FACEBOOK PAGES として公表している。トップ20を以下に掲げる。

FanGager20110416.jpg

 トップとなったカナダのポップスターJustin BieberのFacebookページでは、2000万人を超えるファンを抱えているが、最新のアクティブユーザー数は約36万人でアクティブユーザー比率が1.8%となっている。つまり、Justin Bieberに対して高いエンゲージメントを示しているユーザーが現時点で36万人いるということだ。 

FanGagerJustinBieber.jpg

 Facebookページを活用するミュージシャンとっては、新曲やアルバムをリリースする場合、それに合せてエンゲージメントの高いアクティブユーザーを増やしておくべきかもしれない。4月19日に新曲シングル “Judas,” を出すLady Gagaと、今月末に新アルバム“Femme Fatale”を出すBritney Spearsはそれぞれ、プロモーションに向けてアクティブユーザーを増加させた。アクティブユーザー数ランキングで、Gagaは10位から3位に、またSpearsはランク外から9位にアップした。両人とも、Facebookページをファンとコミュニケーションするパーソナルなアプローチとして利用しており、本人が直接関わっているようである。

*Lady Gaga(左)とBritney Spears(右)の、それぞれのFacebookページ
FacebookFanPage.jpg


◇参考
・Lady Gaga & Britney Spears Amp Up Facebook Fan Engagement Before Album Releases(Mashable)
・Study: Justin Bieber, Manchester United Fans Most Engaged(EPICENTER)
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posted by 田中善一郎 at 23:59 | Comment(0) | TrackBack(0) | 出版 雑誌
2011年04月10日

米雑誌に薄日、ビジネスウィーク誌が見事に復活

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 米雑誌業界に薄日がさしている。

 リーマンショック以降、米国の雑誌は深刻な広告不況に見舞われた。プリントメディアの構造的な衰退も重なって、底なしの状況に陥っていた。「紙の雑誌にすがっていては先がない。iPadの出現に合わせて、電子雑誌に賭けよう」との切羽詰まった声までも出かけていた。

 ところがしぶとく回復軌道に乗る雑誌が現れ始めている。同じプリントメディアでも新聞ほどひどくはなさそう。四半期別の全米雑誌の広告売上および出稿広告ページ数が、2010年の第2四半期(4月-6月)から、前年同期比でプラスに転じたのだ。そして一昨日PIB(Publishers Information Bureau)が公表した今年第1四半期(1月-3月)のデータでも、広告売上高が同6.1%増の43億ドルに広告ページ数が同2.5%増の3万5800ページと、プラスになっている。これで4期連続して四半期ベースの広告売上高と広告ページ数が、前年同期比でプラスを継続させた。落ち込みが大きかったから反動でプラスに転ずるのは当然との見方もあるが、元気が戻ってきたのは間違いない。

 各年(2008年〜2011年)の第1四半期の広告売上高と広告ページ数は次のようになる。%CHGは前年同期比である。2008年ころに比べ2011年はまだまだ低レベルにあるが、ともかく底なしから脱出できたのは大きい。米国の雑誌では、平均すると売上高の8割近くを広告に依存するだけになおさらである。

2011q120081qMag.JPG

 次は、代表的な雑誌を取り上げ、2011年第1四半期と2010年第1四半期のそれぞれの広告売上高と広告ページ数を示している。

2011Q1MagAd1.jpg
2011Q1MagAd2.jpg
(ソース:PIB: Magazine Ad Revenue and Pages Grow in Q1)

 雑誌は一般に、編集の自由度が大きく編集長の裁量も大きい。一昨年は総崩れになったが、最近のように少しは景気が持ち直してくると、編集の企画、つまり編集長の手腕次第で、雑誌の浮き沈みが大きく現れてくる。編集に魅力があれば、読者も広告主もついてきてくれる。そこで、以下のようが勝ち組みと負け組に色分けされていく。

MagAdGainerLoser.jpg
(ソース:The Top 25 Winners and Losers of the Magazine Ad Page Race、The Wrap)

 この中で最も目を見張ったのが、「Bloomberg Businessweek」の復活である。「BusinessWeek」は80年の歴史を誇るトップ経済誌であったが数年前から急激に勢いを失い、2009年末に発行元のMcGraw- HillからBloombergに売却されていた。編集内容も魅力を失っていたし、売却時に人気編集者も去っており、もうBusinessWeekは過去の雑誌になっていくと見ていたのだが・・・。それが、今年第1四半期の広告売上高が前年同期比65.3%増の4600万ドルに急回復している。広告売上で1年前までForbes、Fortune、Economistの競合3誌に水を開けられていたのに、一気にトップに躍り出たのだ。

BW.jpg



 Bloombergに買収された「BusinessWeek」は「Bloomberg Businessweek」と改名し、2010年4月から大幅に誌面刷新して再出発した。大きな変化は、72ヵ国146支局に散らばっている2300人以上のBloombergのジャーナリストが同誌を支援することになったことだ。Wall Street中心の視点よりもグローバルな視点の情報ニーズが高まっているだけに、大きな武器になっているのだろう。年間の発行号数も47号から50号に、号あたりの編集ページ数も平均して20%も増えた。Webサイトも世界中からのBloomberg Newsが流れており充実してきている。またデジタルコンテンツ配信サービス『Zinio』により、雑誌の電子版(デジタルのレプリカ版)をPCやMac、iPadなどで閲覧できる。年間51号分を¥3,845でこちらから申し込める。また、今年の米National Magazine Awardsの Single-Topic Issue 部門でBloomberg Businessweekがノミネートされていることも、復活が認められてきたためであろう。

 元気印の米雑誌の代表となると、やっぱり「People」か。2011年第1四半期の広告売上高でも、以下のようにトップを走っている。同誌の第1四半期広告売上高で過去最高を記録している。

*2011年第1四半期の広告売上高トップ5
1. People $236,332,270
2. Better Homes & Gardens $159,490,058
3. Sports Illustrated $145,329,598
4. Good Housekeeping $112,990,413
5. Vogue $96,303,773

 年間の広告売上高でも、2010年に10億ドルを突破した。以下のように、広告の大不況期にも売上げを伸ばしてきたのだからすごい。 
2008年:899,401,498ドル
2009年:933,135,770ドル
2010年:1,014,346,650ドル

 Peopleに登場する多くのセレブが、ツイッターでスキャンダルっぽい話題を振りまいているのも、追い風になっているのかな。それに今月は英国ウィリアム王子の結婚式が強烈な追い風になるのは間違いなさそう。そして2011年のPeopleの広告売上高は記録を更新するだろう。

 

◇参考
・PIB: Magazine Ad Pages Continue To Grow, Albeit Slowly(paidContent.org)
・NY Times vs. Bloomberg News: It’s War!(Forbes)
・Bloomberg Magazines Named Finalists for National Magazine Awards(プレスリリース)


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posted by 田中善一郎 at 12:27 | Comment(0) | TrackBack(0) | 出版 雑誌
2011年02月23日

NYタイムズのベストセラーリストに電子書籍が登場

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 米国では、電子書籍が定着してきたようだ。NYタイムズのベストセラーリスト(Best Sellers)についに電子書籍が登場してきた。

 米出版協会(AAP:Association of American Publishers)の発表によると、2010年は電子書籍が本格離陸した年となった。電子書籍売上が全書籍売上の8.3%まで占めるようになってきている。今年前半にも10%越えは間違いないだろう。

BookSalesUS2010.jpg
(the Association of American Publishers:AAP)

 アマゾンのキンドル版を中心に電子書籍の売上が急激に増えてているのだが、今の勢いが続けば、2〜3年以内に電子書籍売上が全書籍売上の25%に達するとの強気な予測が出てきている。こうした流れの中で、NYタイムズも書籍のベストセラー覧に電子書籍を加えることを検討し、昨年の10月の記事で2011年早々にも実施することを宣言していた。そして先週から始まった。

 電子書籍のフィクション部門とノンフィクション部門のそれぞれの売上ランキングが出ている。従来からのハードカバー書籍のランキングも継続して載せている。さらに、電子と紙の書籍を足し合わせた「COMBINED PRINT & E-BOOK FICTION」と「COMBINED PRINT & E-BOOK NONFICTION」のそれぞれのランキングも掲載されている。

 以下に、電子書籍とハードカバー書籍の最新ランキングを転載しておく。

NYTBestsellerEbook201102.jpg

 電子書籍とハードカバー書籍におけるフィクション部門とノンフィクション部門のそれぞれのベストセラー(1位)が、同じであった。フィクション部門の「TICK TOCK」とノンフィクション部門の「UNBROKEN」は、アマゾン書店で次の価格で販売されていた。「TICK TOCK」のハードカバー版は14.57ドル、キンドル版は12.99ドルであった。また「UNBROKEN」のハードカバー版は13.99ドル、キンドル版は9.99ドルであった。

 新刊の場合、電子書籍(キンドル版)とハードカバー書籍の価格は意外と差が小さかったが、時がたつにつれて電子書籍の価格が値下がりする傾向がみられる。

TickTock.jpg


Unbroken.jpg


◇参考
・New York Times Announces the Best-Selling Ebooks(Beyond Black Friday)
・New York Times Ready To Release Its First Ebook Best Sellers List(Media Source)
・AAP Publishers Report Strong Growth in Year-to-Year, Year-End Book Sales(AAP)
・Times Will Rank E-Book Best Sellers(NYTimes.com)

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posted by 田中善一郎 at 09:57 | Comment(0) | TrackBack(0) | 出版 雑誌
2011年02月16日

米アップルのApp Storeの定期購読ルールが確定、雑誌/新聞の流通や広告の主導権を握るのか

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 米アップルがApp Storeにおける定期購読(サブスクリプション)ルールを発表した。iPadやiPhoneなどのiOSアプリで提供されるコンテンツ(雑誌、新聞、音楽、動画など)を、月間や年間などの定期期間で購入できるようになる。

 昨年4月にiPadが登場し、電子雑誌や電子新聞のeリーダーとしても期待されているのに、今ひとつiPad向け電子パブリッシング市場の立ち上がりが鈍かった。その要因の一つに、定期購読サービスが実施されていなかったことがあった。米国では新聞だけでなくて雑誌も、割安の定期購読が中心なだけに、そのサービスの実施が待たれていたのだ。

 そこで、アップルと大手パブリッシャー各社(雑誌社や新聞社)との間では、定期購読の進め方を巡って、昨年半ばころから交渉が続いていた。ところが激しい綱引き合戦が続き、なかなか妥協点が見いだせないままになっていた。そうこうしている間に、アップルはApp Storeの定期購読ルールを固め、一足先の2月2日に創刊したNews CorpのiPad専用新聞「The Daily」に定期購読サービスを適用した。今回の発表は、基本的には、The Dailyに適用した定期購読サービスを他のパブリッシャーにも開放するということだ。

 はたして、パブリッシャーにとって、この定期購読ルールは受け入れられるのだろうか。読者が定期購読をApp Storeで申し込んだ場合、定期購読料の30%はアップルによって徴収される。でもこの定期購読申込みに関して、アップルも少し譲歩している。AppStore以外のサイト、例えばパブリッシャーの自社サイトでも定期購読が申し込めることを認めたのだ。この場合、定期購読料は100%、パブリッシャーの収入となる。パブリッシャーにとって心配なのは、既存の雑誌/新聞(紙)の定期購読者が更改時AppStoreで申し込み、その読者からの定期購読料収入が30%減ることであろう。その対抗として自社サイトなどで申し込ませたい。ところがアップルは甘くない。自社サイトなどで提供する定期購読サービスと同等あるいはそれ以上のレベルで、AppStoreでも実施しなくてなならないとした。パブリッシャーは自社サイト内だけで時別のキャンペーンなどを行えない。またアプリから、自社サイトへの誘導リンクを張ってなならないとなっており、思い切った販売手法がとれない。

 ということは、新規読者だけではなくて既存の定期購読者も、AppStoreで電子雑誌/新聞を申し込みする場合が増えていくのでは。そうでなくても、サービスメニューが豊富で集客力があり、定期購読などの申し込みも簡単で、決済サービスも実績があるAppStoreに流れていきそうである。

  アップルが狙っているのは購読料だけではない。本命は広告売上との声も。昨年から話題になっているのは、有料アプリ(電子雑誌や電子新聞)の購読料の30%に加えて、アプリ広告売上の40%を徴収することをアップルが狙っているということだ。 

  そのために、アップルは定期購読者の個人情報を独占しようとした。一方で、例えば雑誌社にとっては、読者の大半を占める定期購読者のデモグラフィックデータなどは、広告主と共有するための貴重な財産である。電子雑誌になっても購読者の個人情報はどうしても手元に持っておきたい。App Store経由の定期購読者でも本人が許せば、メールアドレスやzipコードなどをパブリッシャーが入手する道があるし。でもApp Store経由で定期購読する読者が増えてくると、パブリッシャーが行う個人情報の収集に制約が加わり、逆にアップル側に購読者の個人情報がどんどん蓄積されていくのかも。そして、広告営業の主導権もアップルが握るということになるのだろうか。

 そこで、アップルへの牽制の意味もあって、タイム社やコンデナスト社などの有力雑誌社は、Androidタブレット向けに有力誌の電子版に力を入れていこうとしている。今のところ、Android向けの場合、定期購読料の30%を徴収されることがないし、紙の雑誌の既存定期購読者を囲い込むことも可能である。でもiPadと別れて、Androidタブレットに完全にシフトすることは自殺行為かも。ともかくタブレット市場はiPadが事実上寡占に近い。iPadが保有ベースで約80%も占め、また販売ベースで現在でも70%弱を保っている。

 ということで、早くも今回の定期購読ルールに従って、Popular ScienceがiPad向け定期購読サービスを開始することになった。また電子新聞で定期購読サービスにいち早く突入したThe Dailyは、もともと紙の新聞がなくて既存の定期購読者がゼロからスタートしており、アップルの定期購読ルールが受け入れやすい環境にあったと言える。

◇参考
・Apple Launches Subscriptions on the App Store(プレスリリース)
・Sports Illustrated to Stop Selling Print-Only Subscriptions(AdAge)
・Popular Science Accepts Apple's Terms, Starts Selling iPad Subscriptions(AdAge)
・Apple rumored to announce newspaper subscription plan for iPad(Apple Insider)
・Condé Nast to Launch Magazine Editions for Google’s Android(The Wrap)
・iNewsstand, iAd and What Steve Wants(Digital Magazine Publishing)
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posted by 田中善一郎 at 16:27 | Comment(0) | TrackBack(0) | 出版 雑誌
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