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2010年06月27日

休刊した老舗グルメ誌「Gourmet」、iPadアプリで生き返るか

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  老舗グルメ誌「Gourmet」の昨年10月の休刊は、雑誌業界を震撼させる出来事だった。一昨年まで、発行部数が約100万部で、年間の広告売上げが1億ドルを超え、販売売上も2000万ドル以上を誇る大型雑誌でも、広告売上げの急落でアッと言う間に、70年の歴史の幕を閉じざる得なかったからだ。読者ニーズがあるのに、惜しまれての幕引きであった。

 ところが、紙媒体(雑誌)としては昨年秋に息を引き取ったはずのGourmet(http://www.gourmet.com/)が、iPadアプリに代表されるモバイルアプリの形で復活を目指すことになった。Gourmetの発行元のCondé Nast(コンデナスト)によると、今年の第4四半期に「Gourmet Live」と称する「食」に焦点を絞ったソーシャルメディア・アプリを発行することになった。最初のアプリは無料でダウンロードできるが、それ以降のオプションのコンテンツは有料アプリで提供していく予定。

 そのGourmet Liveのデモビデオが早くも公開されていたので、以下に貼っておく。



 名門出版社のコンデナストも、昨今の雑誌不況や広告不況に見舞われ、抜本的なビジネスモデルの見直しを迫られていた。これまで同社は、他の主要出版社と同様、紙媒体からの広告収入に大きく頼っていた。総売上の7割を広告収入に依存しているのである。そのため、昨年のような広告売上急落の直撃を受けると、「Gourmet」をはじめ、育児誌の「Cookie」、結婚情報誌の「Modern Bride」/「Elegant Bride」と矢継ぎ早に休刊を実施せざる得なかったのだ。

 これからの雑誌事業は、紙媒体(雑誌)広告の依存を減らしていく必要がある。同社CEOのChuck Townsend氏も、広告売上げを総売上の半分に減らし、残り半分をコンシューマーが支払う課金サービスからの売上に頼っていきたいという。どっちにしろ、軸足をプリントメディアからデジタルメディアに移していかなければならない。そこで、iPadアプリに代表されるモバイルアプリで、有料コンテンツなどの課金サービスに注力しようとしているのだ。「GQ」、「Vanity Fair」、「The New Yorker」、「 Glamour」、「Wired」などの人気雑誌のiPad版電子雑誌に取り組んでいるのも、そのためだ。

 そして、死んだはずの 「Gourmet」までも、モバイルアプリの形で生き返らそうとしているのである。ただし、Gourmet誌の最後の編集長であったRuth Reichl氏がTwitterで"They're reviving the brand, not the magazine. Pity."とつぶやき、またCEOのChuck Townsend氏も“It’s not a magazine and it’s not a digital version of a magazine. It’s a whole new way to engage with consumers.”とかたっているように、Gourmetブランドを生かそうとしているものの、Gourmet雑誌を復活させようとしているのではないという。確かに、既存雑誌のiPad版でよく見られるように、単に紙雑誌のレプリカを電子雑誌化しただけでは発展性はないだろう。

 そこで、紙雑誌の延長上ではない新しい電子雑誌を開発するために、メディア/テクノロジー・コンサルタント会社のActivateと組んで、2か月ほど前から「Gourmet Live」を開発することになった。ソーシャルメディア機能をベースに展開するという。FacebookやTwitter、YouTubeのようなソーシャルサイトで記事を共有できるようにしするが、また real-time game engineを組み込むことを検討するという。このreal-time game engineの正体がはっきりしないのだが、ゲーム感覚で新しいコンテンツをユーザーに、無料であるいは一部有料で提供することを考えているようである。

 最初のアプリは今年11月にも、iPadをはじめ, iPhone, Google's Android, Blackberry など幾つかのモバイルプラットフォーム向けに提供されていく予定。またGourmetは雑誌が休刊した後も、Facebook、YouTube、Twitterを利用したオンラインコミュニティは残していたので、それらはGourmet Liveに継続されることになるのだろう。

GourmetSocialMedia.jpg



◇参考
・Conde Nast to Revive Shuttered Mag Gourmet as Mobile App(AdAge)
・As Magazines Close, Interior Designers Look to Web(NYTimes.com)
・Gourmet stumbles upon a business model with the iPad(Econsultancy)
・大手出版社コンデナスト,「グルメ」など4誌を一気に休刊(メディア・パブ)

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posted by 田中善一郎 at 21:25 | Comment(0) | TrackBack(0) | 出版 雑誌
2010年06月17日

米セレブ女王のオプラ、1万ドルとiPadをプレゼントし雑誌スタッフを鼓舞

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OMagazine201006.jpg

 オプラ・ウィンフリーさん(Oprah Winfrey)が、雑誌O Magazine(The Oprah Magazine)のスタッフにそれぞれ、現金1万ドルとiPadを進呈することになった。創刊10周年を記念し、日頃の献身的なハードワークに対する感謝のしるしという。

 Oprah Winfreyは、米国のセレブランキングで長年トップの座についており(昨年のThe Celebrity 100ではトップの座をAngelina Jolieに譲ったが、今年返り咲くとの予想が)、圧倒的な影響力を発揮している。先の大統領選の前哨戦でも、彼女がオバマ氏の応援に駆け付けたことで、オバマ人気に火が付いたと言われるほどだ。また彼女が、Kindleを使ったり、Twitterでつぶやいたということで、新製品や新サービスが一気に広まったりしている。

 影響力の源が、25年間も司会を続けてきた人気番組"The Oprah Winfrey Show"であったが、今年をその番組を終了して彼女自身のケーブルTVネットワークを立ち上げる。TV以外でも雑誌(O, The Oprah Magazineなど)、ラジオ(Oprah Radio)、慈善活動(Oprah's Angel Networkなど)、書籍(Oprah's Book Clubなど)、ショッピング(Shop Nowなど)の各分野で、 Oprahブランドを駆使して大活躍である。

 iPadのようなマルチメディアプレーヤーは、彼女にとっても格好の活躍の場になりそう。OperaブランドのiPadアプリが続々と生まれてくるのだろう。



 参考までに、米雑誌の発行部数ランキングを。The Oprah Magazineは発行部数が約250万部で、昨年のランキングでは23位であった。

USMagazineRanking2009.jpg

◇参考
・Oprah Hands Out IPads and Cash to Magazine Staffers(AdAge)
・(Reuters) - Billionaire media mogul Oprah Winfrey has given staff at her magazine $10,000 each and an Apple iPad, a spokeswoman said on Wednesday.(Reuters)
・O: The Oprah Magazine(Wikipedia)


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posted by 田中善一郎 at 14:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | 出版 雑誌
2010年05月14日

iPad版の電子雑誌「Vanity Fair」、ワールドカップのスーパースターが国旗の水着姿で登場

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 米国の雑誌に勢いが出てきた。iPadの出現も雑誌を元気づけているようで、電子雑誌化の動きが本格化してきた。

 有力雑誌のiPad版も姿を現し始めている。米コンデナスト社が発行しているエンターテインメント誌「Vanity Fair」は6月号からiPad/iPhone向け電子雑誌版を発行する。そして予定通り5月12日から6月号のiPad/iPhone版を4.99ドルで売り出した。

 その6月号がすごい。目玉はサッカーのワールドカップに絡んだ記事で、今大会の大物選手が登場する。なんとスーパースターが国旗の水着スタイルで出演している。ポルトガルのクリスチアーノ・ロナウド選手やブラジルのカカ選手も含まれている。出演選手は次の通り。

Portugal’s Cristiano Ronaldo,
Ivory Coast’s Didier Drogba,
Cameroon’s Samuel Eto’o,
Ghana’s Sulley Muntari,
the U.S.A.’s Landon Donovan,
Brazil’s Kaká and Pato,
Italy’s Gianluigi Buffon,
Serbia’s Dejan Stankovic,
England’s Carlton Cole,
Germany’s Michael Ballack

撮影風景のビデオを以下に。


 次のビデオはVanity Fairの編集会議。iPad版について話し合っている。








◇参考
・Introducing the New Vanity Fair Magazine iPad App(VF Daily)
・The World Cup’s Stars Wear Their Flags―And Little Else―For Annie Leibovitz(VF Daily)
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posted by 田中善一郎 at 02:20 | Comment(0) | TrackBack(0) | 出版 雑誌
2010年05月06日

売りに出たニューズウィーク誌、火の車のニュース週刊誌に買い手が現れるか

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WaPoNewsweek.jpg


 朝はコーヒーを飲みながら新聞を読み、週明けにはニュース週刊誌に目を通す。こうしたのどかな良き時代も終わってしまうのかも。

 昨日の朝早く、ニューズウィーク(Newsweek)誌が売りに出たとのニュースが飛び込んできた。いつ白旗をあげてもおかしくない経営状況だっただけに、ワシントンポスト社(The Washington Post Co)の発表もついに来たかといったところ。

 1933年に創刊し、1961年にワシントンポスト社に買収されたNewsweek誌であったが、ついにワシントンポスト社が「もうやっていけない」と事実上放り投げたかたち。落ち目のニュース週刊誌に、引き取り手が現れるのだろうか、と心配してしまうのだが。

 
 2009年のNewsweekの営業損失が、広告売上の不振により2810万ドル(26億円相当)と赤字が膨らみ、今年に入って広告売上がさらに大きく落ち込み、手の打ちようのない状態に陥ったのだ。2009年の総売上高も08年の2億2740万ドルから1億6550万ドルへと27.2%も減り、下げ止まりそうもない。

 Newsweekはフルタイムの従業員を427人(09年12月31日)も抱えている。また海外向けに欧州版、中東版、アフリカ版、アジア版を出しているし、Japanese, Korean, Spanish, Arabic, Polish, Russian 、Turkishといった外国語版も発行しており、こうした国際版だけでも発行部数は56万部を超えている。国内版を入れると、世界中に毎週約300万部を届けているだろう。年間の広告売上高も1億ドルを大きく超えているようだ(つまり100億円以上)。今でも、日本のトップクラスの雑誌に比べてもけた違いの規模である。世界的に有名なニュース雑誌だけに、今後の展開が気になる。


 このNewsweek売却の話が出てきたついでに、米国のニュース雑誌の動向を見ておこう。

 NewsweekにTimeとU.S. News & World Report(US News)を加えた3誌が、米国の3大ニュース誌である。いずれも内外ニュースをカバーした総合ニュース誌である。

●3大ニュース雑誌のカバー範囲
NewsMag.jpg

 発行部数は200万から450万部となっているので、米国の主要新聞よりも圧倒的に多くの読者を抱えていることになる。ところが、新聞と同じく年々発行部数を減らしてきており、特に今回の世界不況でその減速に加速がかかっている。

●3大ニュース雑誌の発行部数の推移
NewsMagCirculation.jpg

 読者減とともに、広告売上げの急激な落ち込みにより、3大ニュース誌にも存亡の危機が訪れようとしているのである。まず、US Newsが週刊誌でやっていけなくなり、2008年から月刊誌にシュリンクすることになった。そして次は、Newsweekの売却話が持ち上がったのである。


 ここで、Magazine Publishers of America(MPA)のデータをもとに、もう少し詳しく見ていこう。米国の雑誌の特徴は、新聞と同様に、広告収入に大きく依存していることである。このため非常に安価な年間購読料で多くの定期購読者を獲得し、広告売上げを増やしてきた。

 以下は、2005年(2004年)と2009年(2008年)の購読数である。ほとんどが定期購読数で、店頭(ニューススタンド)での一部売りはほんの少しである。そのニュース誌の一部売りが激減している。一部売り価格はTime誌が4.95ドルでNewsweek誌が5.95ドルとなっている。ところが年間購読すると、一部当たりの価格は約50セント(50円以下)と、店頭売りの10分の1近くになる。なのに、定期購読者数までも大きく減り始めている。一度離れた定期購読者はなかなか戻ってこないので、厳しい。

●3大ニュース雑誌の定期購読部数/一部売り部数/総部数:2009年/2008年(上)
2005年/2004年(下)

USMagCirculationNew.jpg


 広告収益に大きく依存しているが、これだけ定期購読者が多いと、安定した販売売上にも頼りたくなる。だが、以下の表のように、Newsweekの場合、その販売売上も大きく減ってきている。


●3大ニュース雑誌の販売売上高(推定)。2009年と2006年。
USMagCirculation2009N.jpg

 米国の雑誌は一般に、総売上げの中で広告売上が占める割合が非常に高い。このため、雑誌の部数減により大きな痛手を被るのは、販売売上よりも広告売上である。

 次の表は2006年-09年の広告売上と広告ページの推移を示している。MPAのデータは底上げの傾向があるかもしれないが、相対的な動向は読み取れるはず。Newsweek誌の広告売上高は、06年に4.8億ドルもあったのが、09年は2.4億ドルと半減している。この数字を信じれば、2億ドルも年間の広告収入を減らしていることになる。ともかく、火の車になっていることは間違いない。

●3大ニュース雑誌の広告売上高: 2009 vs 2008(年間)
USMagAd2009N.jpg

●3大ニュース雑誌の広告売上高: 2007 vs 2006(年間)
*January - December 2007 vs 2006
USMagAd2007N.jpg


  同じMPAから、09年第1四半期(1月-3月)のデータが公表されているが、Newsweek誌は前年同期比で40%以上も広告売上を減らしている。米国の多くの雑誌が第1四半期に前年比でプラスに転じ始めているのに、いまだに40%減とはただ事ではない。この数字を見て、白旗を上げたのかな。これに対して、Time誌が踏ん張っている。

●3大ニュース雑誌の広告売上高: 2009 vs 2008(第1四半期)
*Jan - Mar 2010 vs 2009
USMagAd2010Q1N.jpg



◇参考
・Washington Post Co. to Sell Newsweek(Newsweek)
・Newsweek on Block as Era of the Newsweekly Fades(NYTimes.com)
・Newsweek by Some-Really-Crazy Numbers(paidContent)

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posted by 田中善一郎 at 16:05 | Comment(0) | TrackBack(0) | 出版 雑誌
2010年05月05日

キンドル対iPad、大手出版Penguinの電子書籍販売を巡る戦い

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 アマゾン対アップル。電子書籍市場の主導権を巡る戦いが白熱化している。

 キンドルで先行していたアマゾンは、電子書籍の価格を9.99ドルと安価に設定することにより一気に市場を席巻する勢いであった。だがその対抗馬が急浮上してきた。iPadを引っ提げて参入してきたアップルである。

 電子書籍の大半は、紙の書籍の電子版である。それだけに出版社にとって気がかりなのは、電子書籍の価格が紙の書籍の売上を大きく左右しかけないことである。なのにアマゾンはキンドル普及を優先して、9.99ドルで電子書籍を売っていたのである(出版社からの卸値より安く売っているので、電子書籍を売るたびにアマゾンは損をしていた)。

 こうした電子書籍の価格決定権を握ろうとするアマゾンの動きに対して、大手出版社は不満を募らせていた。その不満に乗じてアップルはエージェント契約方式を採用し、出版社に価格決定権を与える代わりに30%の手数料を取ることにしたのだ。

 
  その結果、大手出版のPenguin(ペンギン)もアップルとは友好的な関係を築き、出版社の中では最多のタイトル数の電子書籍をiBookstoreで販売している。話題の“The End of Wall Street”の電子版も、以下のように12.99ドルで販売している。

iPadPenguin20100504.jpg

 一方で、Penguinとアマゾンとの間の交渉は、うまくいっていない。アマゾンとしては電子書籍の価格を9.99ドルのフラットで進めていきたいのだが、Penguinがアマゾンの要望をまだ受け入れていない。そこで、アマゾンはPenguinに圧力をかけるためか、Penguinの紙の新刊を9.99ドルで販売し始めた(米国では書籍は再販制度の対象ではない)。

 ベストセラー“The End of Wall Street”の紙のハードカバー版も、以下のように9.99ドルで売り始めたのだ。アマゾンとしては損失覚悟の行動である。

AmazonnPenguinHardcover.jpg

 アマゾンでは、Penguinの電子書籍(Kindle版)の販売を完全に止めたわけではないようである。“The End of Wall Street”のKindle版が、以下のように11.99ドルで販売している。

AmazonPenguin20100504.jpg

 でも、ハードカバー版が9.99ドルで売られているのに電子版がそれより高い11.99ドルでは、ユーザーが納得しないだろう。アマゾンの圧力にPenguinが折れることになるのだろうか。 



◇参考
・Keep doing what you've always done and you'll keep getting what you've always got(the penguin blog)
・英大手メディア「ピアソン」、iPadを活用して電子書籍や教育分野で攻勢(メディア・パブ)
・Amazon goes to war with Penguin over e-book pricing, all Penguin hardcovers now cost $9.99(geek.com)
・Amazon Cuts Prices in Tiff With Penguin(WSJ.com)
・iPad向け電子書籍、分野や出版社それに価格帯のトレンドは?(メディア・パブ)



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posted by 田中善一郎 at 12:38 | Comment(2) | TrackBack(0) | 出版 雑誌
2010年05月04日

iPad向け電子書籍、分野や出版社それに価格帯のトレンドは?

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  iPad向け電子書籍が約1ヶ月間で、150万本以上もiBookstoreからダウンロードされたようだ。5月3日にiPadの販売台数が100万台に達したので、iPadユーザーが一人当たり1.5本の電子書籍をダウンロードした計算になる。

 そこで、どのような分野のiPad向け電子書籍が出ているのか、どの出版社から出ているのか、そして有料の電子書籍の価格帯はどうかを知りたい。O'Reilly Raderが先月末に調べていたので、その結果を以下に掲げておく。

 分野では小説が多く、以下のように約1/3を占めていた。 

 
iPadBookTitle201004.jpg


 出版社ではPenguinグループが一番多くのタイトルの電子書籍を出版していた。

iPadBookPublisher201004.jpg

 次は有料の電子書籍について、分野別のタイトルの平均価格である。

iPadBookPrice201004.jpg




◇参考
・
A few weeks in, a third of iPad Books are Fiction(O'Reilly Rader)
・Apple Sells One Million iPads(プレスリリース)
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posted by 田中善一郎 at 13:25 | Comment(0) | TrackBack(0) | 出版 雑誌
2010年04月03日

米Time誌のiPad版は号あたり4.99ドル、Kindle版の5倍以上の値付けに

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TimeApr12 2010.jpg

 米Time誌の最新号(2010年4月12日号)はスティーブ・ジョブズ の顔写真である。それに合わせたカバーストーリーは、見出しが"The iPad Launch: Can Steve Jobs Do It Again?"と"Do We Need the iPad? A TIME Review"の、iPad関連記事となっている。

 この最新号も4月3日発売のiPadで読むことができるようになる。注目の価格は号あたり4.99ドルと、電子雑誌に賭ける米タイム社の意気込みが伝わる値付けといえそう。

TimeiPad20100403.jpg
March 22, 2010

 一方アマゾンのキンドル(Kindle)版の価格は、月間2.99ドルである。Time誌は週刊誌なので、号あたりの購読料は0.75ドル以下となる。つまりiPad版の価格はKindle版より5倍以上も高いことになる。iPadはカラーだし、紙の雑誌記事に加えて動画や写真スライドなど特別のコンテンツも備わっている。

TimeKindle201004.jpg

 Time誌の紙雑誌の価格はどうなのか。Time誌を年間購読すると20ドルで済み、号あたり0.36ドルと非常に安くなる。

<TimeMagSubscription.jpg

 購読料を安くして定期読者を増やし、広告収入に頼っていこうとするのが米雑誌の一般的なビジネスモデルである。Time誌の昨年の発行部数は号あたり337万部で、そのうち327万部が定期購読で、10万部が1部売りである。

 実は、今回のiPad版Timeの4.99ドルは、ニューススタンドで紙の雑誌を1部売りする時の価格である。一方で、Web上でもTime誌の記事の大半(冒頭で述べたカバースートリーの記事も)を無料で読めるし、またiPhone版もモバイル環境で無料で読める。

 iPad版Timeはプレミアムコンテンツを売り物にしているようだが、はたしてどれくらいのユーザーが4.99ドルを払ってまで読んくれるか、注目したい。


◇参考
・TIME magazine iPad app FAQs:(Time)
・Time Inc.‘s Tablet Push Starts With Time Mag App At $4.99 An Issue(paidContent)
・Amazon: Time To Cut Kindle To $149, Piper’s Munster Says(Barrons)

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posted by 田中善一郎 at 03:13 | Comment(0) | TrackBack(0) | 出版 雑誌
2010年03月27日

iPad向けのiBookストア、無料の電子書籍3万タイトルもリストに

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 iPad向けのiBook Storeには、プロジェクト・グーテンベルク(Project Gutenberg)からの3万タイトルを上回る無料の電子書籍がリストされているようだ。

 アップルが4月3日にオープンする電子書籍店の画面写真に、Project Gutenbergが提供する電子書籍が含まれていることを、AppAdvice.comが明らかにした(写真はこちらで)。

 Project Gutenbergは、著作権が切れた書籍を電子化し、インターネットで公開するプロジェクトである。青空文庫の国際版といえそう。Project Gutenbergでは3万点以上が電子書籍化され、またePubフォーマット化されている。アップルはePubフォーマットに対応するiPad用 iBooks applicationを用意している。このアプリを使えば、Project Gutenbergの電子書籍をダウンロードして、iPadで読むことができる。

 


◇参考
・Exclusive: iPad iBooks Features The Gutenberg Project Catalog – 30,000 Free eBooks(appadvice)
・Exclusive: iPad iBooks Pricing Revealed – Matches The Kindle(appadvice)
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posted by 田中善一郎 at 00:18 | Comment(0) | TrackBack(0) | 出版 雑誌
2010年03月08日

米雑誌のバックナンバー,グーグルの支援で次々と無料閲覧に

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 Google Book Searchで、バックナンバーを検索し閲覧できる雑誌が増えてきている。今月に入って、Bonnier社は、「Popular Science」の137年分の過去記事が無料で閲覧できることを、正式に発表した。続いて、技術系出版社のIDG社が発行している「CIO」,「CSO」,「InfoWorld」、「 Network World」の4誌のバックナンバーが、同じく無料で利用できるようになった。

 グーグルが、過去の雑誌をスキャニングしてOCRでテキスト化しているので,検索も可能である。いずれも創刊号からを対象にしているが、最近のほぼ1年分の号は無料で閲覧できないようにしている。

 
 Popular Scienceは、創刊号のMay 1872から1年前のMar 2009までのすべてのバックナンバーの雑誌の記事を、検索し閲覧できる。次は創刊号の一部である。

PopularSienceFirstIssue.jpg

 137年分の記事をタダで読ませるのは、雑誌の潜在読者層に幅広くリーチするためであろう。米国の雑誌は一般に購読料を安くして、年間予約購読者を増やしていき、広告売上収入に大きく依存している。

 Popular Scienceも年間12号分の購読料を14ドルと安く設定していることもあって、号あたりの購読者数が130万人を超えている。広告売上高は、大不況のため大幅に落ち込んでいるが、それでも6200万ドルを稼いでいる。販売売上を大幅に上回っているはず。

*2009年上半期の購読者数(ソース:Magazine Publishers of America)
PoPSciSub2009.jpg

*2009年の広告売上高(ソース:Magazine Publishers of America)
PopSciAd2009.jpg 

 無料の記事でPopular Scienceのファンを増やし、年間購読者を確保し、レートベースを上げて、広告売上で稼いでいこうとしている。バックナンバーを有料化してもあまり販売売上を得られるとは思えないし。いま旬のフリーミアムモデルとも言えそうだ。

 Popular Scienceは月刊誌なので、ニュースはサイトから発信しており、以下のようにiPhoneアプリを用意し、スムーズに閲覧できるようにしている。もちろん、FacebookやTwitterを介して、読者を参加させたコミュニティーにも力を入れている。

popsciiphoto.jpg



  IDGは、1970年後半以降に創刊したIT関連雑誌4誌の過去記事を無料公開することになった。

・CIO(Sep-Oct 1987 〜 Mar 1, 2008)
・CSO(Sep 2002 〜 Sep 2009)
・InfoWorld(Dec 11, 1978 〜Mar 26, 2007)
・ Network World (Jan 10, 2000〜Dec 22-29 2003)

 70年代後半は、ちょうどビジネスパソコンの市場が離陸し始めたころで、当時のビル・ゲーツやスティーブ・ジョブスの活躍している記事などが見つかる。また80年代前半は、日本のエレクトロニクス産業が絶頂のころで、以下のInfoWorld Jul 19, 1982号の表紙からもわかるように、日本も警戒されていた時代があったのか・・・・。

InfoworldJapanArrives.jpg

◇参考
・New! Browse the Complete PopSci Archive(POPSCI)
・Four decades of IDG magazines available in Google’s magazine archive(Media Business)
・次は歴史的な雑誌記事を無料閲覧,Googleが雑誌アーカイブを提供(メディア・パブ)


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posted by 田中善一郎 at 07:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | 出版 雑誌
2010年03月03日

英大手メディア「ピアソン」、iPadを活用して電子書籍や教育分野で攻勢

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 英国の大手メディアグループのピアソン(Pearson)が、アップルのiPadを活用して、出版事業や教育事業で攻勢をかけたいようだ。同社は、Pengine(ペンギン)やFT(ファイナンシャル・タイムズ)などを傘下に持ち、すでに教育事業市場や出版事業で確固たる地位を築いてきたが、これからはデジタル化を加速化させ、さらなる発展を目指す。

 そのデジタル化で注目されるのが、iPadのような電子書籍/新聞リーダー装置に、どう対応していくかである。PengineのiPad版電子書籍のデモが公開されている。教材風の電子コンテンツが多い。




◇参考
・First Look: How Penguin Will Reinvent Books With iPad(paidContent:UK)
Pearson looks to iPad for expansion plans(MailOnline)
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2010年02月23日

マルチメディアの電子書籍出版社Vook,250万ドルの資金を調達し年内に250タイトルを発行

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vook.jpg

 マルチメディアの電子書籍出版社のVook社が,このほど250万ドルの資金を調達した。Huffington PostのKen Lerer会長などが出資している。

 Vookは「Video+Book」の造語で,テキストに写真や動画なども取りこんだ電子書籍である。Simon & Schuster, HarperStudio ,それに Hachette Filipacchi Media U.S.の大手出版社とも提携しており,これまで13タイトルのvookを発行してきた。年内に250タイトルを出していく予定だ。現在は,各タイトルともiPhone版とWeb版(パソコン版)を用意しているが,いずれiPad版も出してくるだろう。

 Vookの一例を見てみよう。女性誌Woman's DayがVook社と組んで,Cookvookを売り出している。レシピとビデオが付いたデジタル料理本なので,Cookbook(料理本)ではなくてCookvookと呼んでいる。

 Woman's DayはHFMUS(Hachette Filipacchi Media U.S.) が発行している女性誌で,発行部数が約400万部を誇る。最近Woman’s Day Cookbook for Healthy Living と称するハードカバーの書籍を発売していたが,それをベースにしてWoman's Day Cookvookを作り上げたのである。レシピに沿って,編集者や読者からのクッキングデモのビデオ45本が入っている。またユーザーたちがレシピのコメントをFacebookを介して共有できるようにしている。


Cookvook.jpg

 販売価格はWeb版もiPhone版も同じ9.99ドルである。iPhone版はアップルのApp Storeで購入できる。

 この電子書籍のデモビデオは次の通り。




◇参考
・Text-Video Publishing Platform Vook Gets $2.5 Million Seed Funding(paidContnt.org)
・Vook, Maker of Multimedia E-Books, Raises $2.5 Million(NYTimes.com)
・Vook, New Digital Publisher, Plans 250 Titles for 2010, Has "CookVook" with Woman's Day(Beet.TV)
・Woman's Day and Vook Launch 'Woman's Day Cookvook: Healthy Food for Everyday Living'(ニュースリリース)
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2010年02月18日

iPad版雑誌の初めてのビデオデモ,Wired誌の電子雑誌が今夏から発売へ

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iPadWired.jpg

 iPad向けの電子雑誌のビデオデモが,TEDカンファレンスで初めて公開された。

 大手出版社コンデナスト(Condé Nast)が発行しているWired MagazineのiPad版である。Adobe AIRを使用している。そのデモ動画を二つ,以下に貼り付けておく。
 






 アップルのiPadは大型のカラータッチパネルなので,電子雑誌や電子新聞のリーダー(eReader)としても期待が高まっている。このため3月出荷を前にして,雑誌社や新聞社とアップルとの間で交渉が進められている。ただ,価格設定や購読者情報の扱いなどの点で,難航しているという。

 それでも,萎む一方の紙媒体に代わって電子媒体に活路を見出したい雑誌社や新聞社は,iPad版にも挑戦していきたい。そのなかで,意欲的なのがコンデナスト社である。デモで示したWiredのiPad版電子雑誌を今夏にも発売の予定である。また同社の人気雑誌GQと Vanity FairのiPad版も出す予定である。

 同社がiPad版電子雑誌に力を入れているのは,iPhone版のGQが順調に滑り出しているからだ。iPadはiPhoneの大型版でもあるだけに,iPad版電子雑誌に期待を寄せているようだ。

 GQのiPhone版は,09年12月号から始めており,2.99ドルでダウンロードできる。2009年12月号は約7000部が,2010年1月号は1万2000部以上がダウンロードされた。売り場はiTuneである。売上げの7割が出版社に分配されるとして,2号分で4万ドルの売上げとなる。3月号からはGQ iPhone版の現読者には,1.99ドルの割引価格でダウンロードできるようにする。  

GQiPhone.jpg


◇参考
・The Wired Tablet App: A Video Demonstration(Wired)
・Publishers warn of hurdles to iPad deal(FT.com)
・GQ Sells 18,000 Issues on iPhone(minonline)
・GQ App Does OK(The New York Observer)
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posted by 田中善一郎 at 09:35 | Comment(0) | TrackBack(0) | 出版 雑誌
2010年02月10日

英図書館所蔵の著作権切れ小説6万5000点,無料でキンドルで読むことが可能に

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  英国図書館所蔵の小説6万5000点以上が電子書籍化され,今春からダウンロードしてアマゾンのキンドルなどで読むことができるようになる。ダウンロードは無料である。

  今回は著作権切れの19世紀の書籍(初版)が対象である。ディケンズ(Charles Dickens),オーステン( Jane Austen ),トーマス・ハーディ(Thomas Hardy)のような有名作家の小説が含まれる。また,英図書館しか所蔵していないユニークな書籍も多い。これらの紙版( print-on-demand physical book)はアマゾン書店で購入できるようになる。そういえば,NASAが発行する書籍も,電子版が無料で,紙版が有料である(こちらで紹介)。

 今回の電子書籍化プロジェクトは,マイクロソフトの資金支援で進められている。次は20世紀初頭の書籍を対象にしていく予定だ。2020年までには,5000万点の書籍のデジタル化を目指しているという
 


◇参考
・British Library to offer free ebook downloads(The Sunday Times)
・British Library releases thousands of free e-books(TGDaily)

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posted by 田中善一郎 at 08:26 | Comment(0) | TrackBack(0) | 出版 雑誌
2010年02月06日

米出版社マクミランがNYTに全面広告,「書籍はアマゾン以外のどこの本屋でも買える」

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  4日付けのNYタイムズ紙に,米大手出版社マクミラン(Macmillan)の全面広告が掲載されていた。アマゾンのネット書店(amazon.com)を標的にした広告のようだ。

NYTAdnoKndle1002.jpg
[img credit: Galleycat]

 その中で,"Available at booksellers everywhere except Amazon."とのメッセージが掲げらているではないか。アマゾン以外のどこの書店からでも書籍は購入できますよとのことである。アマゾンの行動に対するマクミラン社の怒りがまだ収まっていないようである。

 
 Kindleを武器に先行していたアマゾンが,電子書籍市場で主導権を握りつつある。ところがアップルが,先月末に発表したiPadで強力な対抗馬としてのし上がろうとしている。一方で出版社は,電子書籍の流通でアマゾンやアップルのようなIT/ネット企業に主導権を握られ,価格決定権を奪われようとする動きに,苛立っていた。

 すでにアマゾンのネット書店は,紙の書籍だけではなくてKindle向け電子書籍の販売価格も事実上コントロールしている。さらに最近,電子書籍の販売価格を9.99ドルに設定し,どの競合書店よりも安く販売する出版社には,販売価格の70%近くを分配するとアマゾンが発表したばかりである。70%印税は出版社にとって一見オイシイ話のように思えるが,アマゾンに販売価格をコントロールされることになる。また割高になる紙の書籍の売り上げが大きく減る心配もある。アマゾンとしては,この70%印税プランで出版社を囲い込んでしまい,アップルのiPadの出鼻をくじく腹積もりであったのかもしれない。

 アマゾンの安売り戦略に対し,ついに反旗を翻した最初の出版社が現れた。それがマクミランであったのだ。12.99〜14.99ドルの価格帯でKindle向け電子書籍を売りたいとアマゾンに提示した。これに対し,アマゾンは同社のネット書店で,マクミランの紙の書籍とKindle版電子書籍の両方の取り扱いを中止するという強硬手段に打って出たのだ。巨大なアマゾン書店での販売依存を高めてきている出版社にとって,取扱い中止は痛い。

 だが,アマゾンも強硬な対応を取り続けられない背景がある。アマゾンがほぼ独占していた電子書籍市場に新規参入してきたアップルが,iPad向け電子書籍の販売価格を12.99ドルか14.99ドルのどちかに設定するよう出版社に要望していたからだ 。Appleは出版社に柔軟な対応で臨むことになろう。

 このためアマゾンが,マクミランの書籍の取り扱いを再開し,そして最終的には電子書籍の販売価格の引き上げに対しても譲歩することになるだろうと述べたのである。それにもかかわらずアマゾンのネット書店では,マクミランの書籍(ハードカバー版書籍と電子書籍)の購入ボタンがまだ働いていなかったのだ。

 そこで怒ったマクミランがNYタイムズに全面広告を掲載したのである。 書籍"The Checklist Manifesto,"( Atul Gawande著)の広告となっており,この書籍が米国の主要新聞でベストセラーとして紹介されていることを伝えている。そしてこの書籍がアマゾン以外のどの書店でも購入できることを強調していたのだ。先ほどアマゾンのネット書店を覗くと,この書籍が売られてはいた(購入ボタンが有効かは確かめていないが)。

AmazonHardcover1002.jpg


 Kindle版電子書籍の販売価格値上げに関するマクミランの動きに,HachetteやHarperCollinsなどの大手出版社も同調しようとしている。電子書籍の流通をめぐる主導権争いがこれから本格化する。


追記(2010年2月7日):
NYタイムズ紙の全面広告の成果か,米国時間の5日夕方にマクミランの書籍がアマゾン書店で購入できるようになった。NYTimes.comの人気ブログBitsの5日付記事“Macmillan Books Return to Amazon After Dispute”が,1週間近く続いた「アマゾン対マクミラン」の論争に決着がついたと伝えている。詳細はまだ明らかではないが,電子書籍の標準価格は9.99ドルとしながらも,新刊書やベストセラーのKindle版電子書籍は14.99ドルでの販売を認めることになったようだ。

 ただし,Reuterの記事(2月6日)によると,“Amazon reshelves Macmillan titles but not e-books”となっており,6日現在,マクミランの電子書籍はアマゾンでは購入できないようだ。


◇参考
・Macmillan NYT Ad: "Available at booksellers everywhere except Amazon"(Gallycat)
・Amazon-Macmillan fight heats up(TechFlash)
・Announcement:Macmillan E-books(Kindle Community,Amazon.com)
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posted by 田中善一郎 at 23:51 | Comment(1) | TrackBack(0) | 出版 雑誌
2010年02月02日

NASAがKindleやSony Reader向けの電子書籍を発行,紙書籍は有料だが電子書籍は無料

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 NASAが電子書籍を初めて発行した。Kindle版とSONY Reader版があり,いずれもNASAのサイトから無料で電子書籍をダウンロードできる。nook版も間もなく用意する。

 最初の書籍のタイトルは,
“X-15: Extending the Frontiers of Flight by Dennis R. Jenkins.”。NASAのサイト(こちら)から電子書籍がダウンロードできる。無料である。ついでなのでX−15の説明も。X−15は,1950年代後半にNASAの主導で開発された超音速実験機(有人機)。ロケット推進でマッハ6以上が出たという極超音速機である。

X-15NASA.jpg

 ところで,同じ内容の紙書籍は,NASAのサイト(こちら)から有料で購入できる。つまり,電子書籍は無料だが,紙書籍は有料ということか。

 そこで,Amazon.comでもその書籍を探してみると,ハードカバー版が売られていた。なんと価格は80ドルである。

X15NASAAmazon.jpg

 2作目の電子書籍も近く発行される。そのタイトルは次の通り。
“Apollo of Aeronautics: NASA’s Aircraft Energy Efficiency Program, 1973-1987″ by Mark D. Bowles。



◇参考
・NASA Publishes Its First e-Book (Free)(ResourceShelf)
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posted by 田中善一郎 at 00:39 | Comment(0) | TrackBack(0) | 出版 雑誌
2010年01月14日

2009年の米雑誌,広告売上が17.5%減で休刊誌の山を残す

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 2009年の米国の雑誌業界は,史上最悪ともいえる広告不況に見舞われ,休刊ラッシュが続いた。毎号100万部近くも発行していた 人気雑誌Gourmet Magazineまでも突然休刊し,深刻な状況を浮き彫りにした。

 Publishers Information Bureau (PIB)が公表した2009年の米雑誌の広告売上データも,悲惨な状況を明らかにしている。前年比で広告売上が17.5%減,広告ページ数が25.6%となった。2008年がそれぞれ7.6%減,11.7%減であったのに比べても,2009年の落ち込みはすさまじい。

MagazuneAd20082009.jpg

 同じくPIBが発表した,分野別の広告売上高と広告ページ数は次の通り。予想通りだが,自動車分野と金融分野の広告が激減している。

MagazineAd2009Class.jpg


 次は,雑誌別のデータである。注目すべき雑誌だけを取り上げたが,その他の雑誌についてはこちらを参照してもらいたい。

MagazineAd2009.jpg

 米国の雑誌の特徴は,発行部数が多い巨大誌が目立つことと,一般に広告収入依存が極めて高いことである。雑誌離れが進んでいると言っても,今でも有料発行部数が200万部を超える雑誌が約40誌も存在している。広告売上高も,2億ドルを越える雑誌が目白押しである。それだけに,今回のような広告不況に襲われると,売上減の絶対額も大きくなり,持ちこたえられなくなりアッという間に休刊に追い込まれる雑誌も相次ぐことになる。


 ただ雑誌がおもしろいのは,編集者の企画力により,大きく浮き沈みすることだ。この空前の不況の中でも踏ん張る雑誌が少なくない。総崩れの新聞との違いと言える。たとえば,PeopleやBetter Homes and Gardensが代表例である。

 Peopleの昨年後半の一号当たりの有料発行部数は361万5858部で,2009年の広告売上高は9億3300万ドルであった。前年比3%増と頑張った。

 Better Homes and Gardensは有料発行部数は763万4197部で,2009年の広告売上高は8億1200万ドルであった。その広告売上は前年比7.8%である。

 桁違いの発行部数と広告売上高である。

PeopleBetterHomes.jpg


◇参考
・PIB: Full-Year 2009 magazine advertising show the effects of the recession (Magazine Publishers of America)
・FH2009 Top 100 ABC magazines by average Paid & Verified Subscription circulation(Magazine Publishers of America)
・2009年の北米の雑誌,428誌が休刊し275誌が創刊(メディア・パブ)


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posted by 田中善一郎 at 10:18 | Comment(0) | TrackBack(0) | 出版 雑誌
2009年12月21日

2009年の北米の雑誌,428誌が休刊し275誌が創刊

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 米国およびカナダにおいて,今年は428誌の雑誌が休刊し,275誌の雑誌が創刊した。MediaFinder.comによるデータであるが,今年も毎日のように雑誌の死亡欄が賑わっていた。

 BusinessWeek Small Biz, Conde Nast Portfolio, それに Fortune Small Businessといったビジネス誌が消えていったし,100万部近くも発行していた Gourmet Magazineが突然休刊になったのもショックであった。

 広告不況の悪環境の中でも,産声をあげた雑誌が275誌もあった。特に創刊誌の多かった分野は,地方(Regional)分野の21誌,ヘルス分野の15誌,フード分野の14誌であった。身近な幸せを求める読者がターゲットみたい。

 代表的な創刊誌は次の通り。

*地方誌(Regional magazines)
Maine Magazine,
B-metro Birmingham

*ヘルス誌
Scottsdale Health,
Natural Awakenings

*フード誌
Food Network Magazine,
Edible Queens,
Sandra Lee Semi-Homemade.

 ガツガツした都会生活から逃避したい人は,Mainewo読んで田舎生活でも。

Maine.jpg


 美味しいものを食べて,いやな現実世界から逃避したい人は,Food Network Magazinを読んでみたら。同誌はすでに100万人以上の読者を抱えているという。

FoodNetworkMagazine.jpg


◇参考
・275 NEW MAGAZINES LAUNCH AND 428 FOLD IN 2009 :ACCORDING TO MEDIAFINDER.COM(プレスリリース)
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posted by 田中善一郎 at 08:09 | Comment(0) | TrackBack(0) | 出版 雑誌
2009年12月05日

BlommbergによるBusinessWeek誌買収が完了,同誌サイト編集長は独立してデジタル媒体の開発を

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BusinessWeekBloomberg.jpg

 Bloomberg.comのトップページから,BusinesWeek.comへのリンクが12月1日から張られている。

 BlommbergによるBusinessWeek誌買収が12月1日に完了したからだ。140ヶ国に470万人以上の購読者を抱え,80年の歴史を誇るビジネス週刊誌BusinessWeekが,McGraw-HillからBloombergへ売却されたのである。

 この売却日に合わせて,名物編集者のJohn A. ByrneがBusinessWeekを去り,新しいデジタルメディアを開発するためにC-Change Media Inc. を設立した。同氏はBusinessWeek誌で56回もカバーストリーを執筆した人気記者であり,BusinessWeek.comの編集長も務めてきた。また同氏のポッドキャストは評判が高かった。毎週のBusinessWeek誌のカバーストリー執筆記者を相手にインタビューした内容である。

 その彼が開発するデジタルメディアの具体的なイメージがまだはっきりしないが,Byrneは次のように開発の背景を語っている。

 まず,プリントメディアの現状が,
・プリント広告は回復しない
・オンライン広告でプリント広告が減った分を補うことは不可能
・ユーザーはオンラインコンテンツにほとんど金を払わない
ということを認識した上で,デジタルメディアの開発に挑む。

 伝統的なメディアは,高コスト,古い思考,時代遅れの仕事の進め方から抜け出せないでいる。このため新興メディアが大きなアドバンテージを持ち得るのだ。これからの3年間はメディアブームが到来するはずだ。伝統的なメディアのメルトダウンが進む一方で,新興のオンラインメディア企業が何千あるいは何万と生まれてくる。多くのメディアベンチャーは失敗するであろうが,開花するベンチャーも生まれてくる。

 すでに新興のメディアベンチャーが開花し始めている。Huffington Post, Politico, Drudge, GigaOm, TechCrunchなどがそうである。これら先行した新興メディアを追うメディアベンチャーが,これからの3年間にドッと登場してくる。後発の新興メディアは先行のメディアを学習することにより,アドバンテージを持ち得る。

 さてByrneはどのような新興メディアを立ち上げていこうとするのか,楽しみである。


◇参考
・Bloomberg Completes Acquisition of BusinessWeek(プレスリリース)
・Bloomberg completes purchase of BusinessWeek(AP)
・Byrne Leaving BusinessWeek to Start Digital Media Company(BusinessWeek)
・About My New Company(C-Change Media Inc. )



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posted by 田中善一郎 at 08:08 | Comment(0) | TrackBack(0) | 出版 雑誌
2009年10月16日

これからのプレゼンもツイッター風に

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 米雑誌協会(Magazine Publishers of America)が,米国の雑誌産業の現況を20の事実で紹介している。そのプレゼンのビデオ版とテキスト版を以下に掲げておく。

 ひとつの事実を,140字以内にインパクトのある形で表現する。つまりTwitterスタイルを取り入れる。要するにこれからのプレゼンは,伝えたいメッセージを140字以内に凝縮してということ。





1. Magazine readership remains steady in an increasingly crowded and noisy media landscape.
Source: MRI Fall Study 2008, Page 7 of MPA 2009 Magazine Handbook

2. 92% of U.S. adults read magazines.
Source: Experian Simmons, 2009

3. Magazine readers pay attention to magazine ads. They don’t pay to avoid the advertising as they do with other media.
Source: BIGResearch Simmultaneous Media Usage Study, 2008 Page 30 of MPA 2009 Magazine Handbook

4. Consumers spend more than $86 million each week on single-copy magazines.
Source: Nielsen 2006

5. Subscriptions to magazines are on the rise. 2007: 322 million paid subscriptions. 2008: 325 million paid subscriptions.
Source: MPA; A.B.C.. Page 14 of MPA 2009 Magazine Handbook

6 Magazine subscriptions increased in the first half of 2009.
Source: MPA Info Center analysis of ABC First Half 2009 Fas Fax

7. New magazines continue to be launched. The latest figures show that magazine launches surged 10% in the first part of 2009 from the prior year.
Source: Professor Samir Husni, author of The Guide to New Magazines; MrMagazine.com

8. Magazines covers chronicle key events. President Obama’s election resulted in dozens of covers with him, his family....and even his dog.
Source: American Society of Magazine Editors

9. Who says that iPod-dependent teenagers have abandoned magazines? 75% of teens read magazines.
Source: MRI Teenmark 2008, Page 78 of MPA 2009 Magazine Handbook

10. Magazines appeal to younger adults. Adults 34 and younger read more magazines than adults +34.
Source: MRI Fall 2008, Page 77 of MPA 2009 Magazine Handbook

11. Over the past 5 years, the median age of magazine readers has remained consistently younger than the media age of total U.S. adults.
Source: MPA SalesEdge June 8, 2009; MRI Spring Reports 2009, 2008, 2004

12. 54 magazines closed in 2008. A decrease of 17% from 2007.
Source: Ulrich's Publications Database www.ulrichspub.com

13. Magazines love the Internet. Almost a quarter of all new subscriptions come from the Internet.
Source: MPA Internet Subscription Surveys 2009 edition

14. Magazines build buzz. They excel in reaching people who shape attitudes and behavior.
Source: MRI Omnibus Recontact Study, 2008; Page 73 of MPA 2009 Magazine Handbook

15. The top 25 magazines reach more adults and teens than the top 25 prime-time TV programs.
Source: Carat Insight, Nielsen September 2007-May 2008 (Primetime Schedule) MRI Fall 2008; MRI Twelveplus 2008, Page 75 of MPA 2009 Magazine Handbook

16. Circulation generates more than 40% of all magazine revenue.
Source: PriceWaterhouseCoopers Financial Survey for MPA, 2008, 2007, Page 20 of MPA 2009 Magazine Handbook

17. The number of consumer magazine websites grew 78% between 2005 and 2009.
Source: Mediafinder.com, 2009, Page 9 of MPA 2009 Magazine Handbook

18. Magazines excel at long-form journalism, superb photography, eye-catching design.

19. Consumers buy more magazines when there’s big news. Michael Jackson-themed magazines in July drove an extra $55 million in sales.
Source: Advertising Age "Somber Bright Spot for Magazines" by Nat Ives; August 27, 2009

20. Magazines drive web search more than any other medium. More than double Internet advertising and social media.
Source: BIGResearch Simmultaneous Media Usage Study (SIMM13), December 2008, Page 70 of MPA 2009 Magazine Handbook



◇参考
・The Twenty Tweetable Truths About Magazines(Magazine Publishers of America)
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posted by 田中善一郎 at 08:09 | Comment(0) | TrackBack(0) | 出版 雑誌
2009年10月08日

大手出版社コンデナスト,「グルメ」など4誌を一気に休刊

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 「Vogue」,「The New Yorker」,「Vanity Fair」などクールな雑誌を数多く発行している大手出版社のCondé Nast(コンデナスト)。そのコンデナスト社が,一気に計4誌を休刊することになった。

 休刊する4誌は,グルメ誌の「Gourmet」,育児誌の「Cookie」,結婚情報誌の「Modern Bride」と「Elegant Bride」である。幸せ一杯の読者向け雑誌が,相次いでRIP(安らかに眠れ)とは。

CondeNastMagzineRIP.jpg

 70年の歴史を誇るGourmetもDeath Pool行きとなった。同誌の年間広告売上高は,2007年が1億2592万ドルで,08年が1億0199万ドルであった。また同じくDeath Pool行きとなったModern Brideの年間広告売上は,07年が1億4767万ドル,08年が1億4514万ドルである。

 つまり年間広告売上高が100億円規模の雑誌までがDeath Poolに追いやられるわけだ。今回の不況が,広告依存度の高い米雑誌を窮地に追い込んでいるのだ。

 その広告売上が09年上期に入っても下げ止まらない。休刊が決まった4誌の,09年上期の広告売上高と広告ページ数は次のとおりである(米雑誌協会のデータ)。

CondeNastRIP.jpg

 08年上期と比べても,かなり落ち込んでいる。特にGourmetは悲惨だ。広告売上高の規模が大きいだけに,売上の減り方も生半可ではない。今回の休刊に合わせて,約180人の人員削減が実施されるもよう。

 雑誌休刊に伴って,コンデナストもオンラインサイトの強化を進めるようだ。休刊誌のブランドもオンラインサイトで活かしていく。



◇参考
・Condé Nast Shuts Gourmet, Cooking Mainstay Since World War II (bloomberg.com)
・For Gourmet, The Unkindest Cut of All(washingtonpost.com)
・Condé Nast Closes Gourmet and 3 Other Magazines (nytimes.com)
・After Print Deaths, Condé Nast Faces Digital Future(New York Observer)
・米雑誌の広告売上、2011年までマイナス成長が続くのか(メディア・パブ)
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posted by 田中善一郎 at 10:29 | Comment(0) | TrackBack(0) | 出版 雑誌
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