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2012年07月01日

米大統領選報道の政治ニュースサイト、伝統メディアよりも新興メディアに勢い

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 米国のニュースメディアが今年も盛り上っている。4年ごとに訪れる大統領選挙というイベントに向けて報道合戦が繰り広げられているからだ。

 そこで政治ニュースの動向を探るために、政治ニュースのアグリゲーター「memeorandum」を覗いてみた。技術ニュース・アグリゲーターのTechmemeを運用しているGabe Riveraが姉妹アグリゲーターとして提供している。memeorandumがTechmemeのように権威あるアグリゲーターかどうかは分からないが、Wiredでも話題にするように、それなりの人気があるようだ。アルゴリズムに従って機械的に政治ニュースを収集し編集している。

 そのmemeorandumに掲載されたニュースサイトのシェアランキングから、最新(2012年6月29日の時点)および4年前(2008年6月29日の時点)のトップ10サイトを以下に示す。それぞれの時点での過去1ヶ月間の掲載回数のシェアである

memeorandum Leaderboard201206.jpg

 以前なら大統領選の行方に影響を及ぼすメディアといえば、伝統的な新聞系やケーブル/TV系のマスメディアであった。インターネット時代に入ってからも影響力のある政治ニュースは主に、こうした伝統的なメインストリームメディアが運営するニュースサイトから発信されていた。NYタイムズ(nytimes.com)、ワシントンポスト(washingtonpost.com)、CNN(cnn.com)などである。

 ところが、4年前の大統領選ではニュース環境が大きく変わってきた。まず新興の政治系ニュースサイトが勢いよく台頭してきた。その代表が、2004年生まれのThinkProgress、2005年生まれのHuffington Post 、それに2007年生まれのPoliticoである。4年前の掲載ランキングでも既に、これら新興ニュースサイトはトップ10に食い込んでいた。また4年前のランキングで6位に付けていたBen Smith's Blogは、Politicoの政治ジャーナリストのブログで、Politicoサイト内のコンテンツである。

 さらに4年前の選挙報道では、フェースブックやツイッター、ユーチューブなどのソーシャルメディアも大きな影響を発揮し始めた。新興の政治系ニュースサイトが一気に浮上してきたのも、ソーシャルメディアによって新興サイトの政治ニュースが伝播されていったからである。伝統メディアも競って、ソーシャルメディアとの連携に力を入れ始めた。もちろん、候補者陣営も選挙活動に、ソーシャルメディアをフル活用した。

 そして4年後の最新ランキングでは、上の表でも明らかに、新興ニュースメディアが勢いを一段と増している。PoliticoがワシントンポストやCNNを追い抜いて2位に浮上している。そして、今話題のBuzzFeedが7位に突然出現し、台風の目になろうとしている。BuzzFeedは2006生まれのエンターテインメント系情報発信サイトであったが、先に紹介したPoliticoのBen Smith氏を2011年12月に引っこ抜いて編集長に任命したばかり。そして早速、政治分野もカバーするようになった。さらに驚くことに最近、NYタイムズと大統領選報道で提携することも発表した。

 以下、Politico, ThinkProgress, BuzzFeed, Huffington Postの新興ニュースサイトの画面を載せておく。

*Politico
politicsPolitoco.jpg


*ThinkProgress
PoliticsThinkprogress.jpg


*BuzzFeed(Politics)
PoliticsBuzzfeed.jpg


* Huffington Post
PoliticsHuffingtonPost2.jpg

 技術ニュース分野では前々から、TechCrunch、Verge、Engadget、GigaOM、Business Insiderなどの新興ニュースサイトが伝統メディアサイトを凌ぐ勢いで勢力を増している。すでに技術分野では、NYタイムズをはじめとする伝統ニュースメディアが、新興メディアからライセンス契約してコンテンツを購入するのが当たり前になっている。政治ニュース分野でも同じ動きが出てきている。Politicoのコンテンツは、多くの伝統メディアのニュースサイトで利用されている。

 また今年のピュリツァー賞をPoliticoとHuffington Postが受賞したように、新興ニュースサイトの勢いは止まりそうもない。日本と違って米国では、伝統的なマスメディアから優秀なジャーナリストが新興ニュースメディア(ブログ出版社も含む)に流れていっている。たとえばPoliticoも、ワシントンポストのジャーナリストが中心になって立ち上げた。


◇参考
・Memeorandum Colors 2012: Visualizing Bias on Political Blogs(Wired)
・Huffington Post, Politico Win Pulitzer Prizes(WSJ.com)
・New York Times' + Buzzfeed = OMG(Atlantic)

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posted by 田中善一郎 at 23:10 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース
2012年04月16日

米新聞のデジタルシフト、さらに厳しい現実に直面

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 新聞や雑誌などのプリントメディアも、デジタル(オンライン)シフトが急ピッチで進んでいる。でも伝統的な新聞社や雑誌社にとって、必ずしもバラ色の世界が待っているわけではない。というか、すでに厳しい現実に直面している。

 新聞社のデジタルシフトの段階で、デジタル事業で1ドル稼ごうとすると、代償としてプリント事業で7ドル失う。これは1ヶ月ほど前に、Pew Research Centerの調査結果である。デジタル化の厳しさを伝えたかったのだろう。ところが最近、メディア産業のコンサルタントのAlan D. Mutter氏が、Pewの調査は甘すぎると言いだした。実際にはもっと厳しくて、新規のデジタル事業で1ドル稼ごうとすると、これまでのプリント事業で27ドルを失うことになる主張しているのだ。

 これは、NAA(the Newspaper Association of America:米新聞協会)が発表した広告売上高をベースにした発言である。米国の新聞の売上のほとんど(これまで約8割)は広告売上に頼ってきた。そこでここでは、新聞紙(プリント)とオンラインサイト(デジタル)の広告売上高に着目した。2005年から2011年までの推移は次のようになる。 

USNewspaperAd1.jpg

 総広告売上高(プリント広告+オンライン広告)は、2005年に494億ドルもあったのが、2011年に239億ドルに落ち込んでいる。プリント広告が激減している。一方、2005年ころに力を入れ始めていたオンラインサイトからの広告売上は、絶対額は少ないながらも高い成長率を示していた。ところが、リーマンショック以降の不況でオンライン広告までが一時マイナス成長となってしまった。

 次は、前年に比べての増減高の推移を示している。
USNewspaperAd4.jpg

 2006年から2011年までの間に、267億ドルもプリント広告売上を減らしてしまった。一方期待していたオンライン広告売上は、同じ間で12億ドルしか増やしていない。そこで、デジタル事業で1ドルを得るには、プリント事業で27ドルを失うと、誇張してデジタルシフトの挫折を言いふらしたのだ。別にデジタルシフトに向わなくても、プリント広告売上が大幅に落ち込んでいるはずだが・・・。ただし大きな誤算だったのは、デジタルシフトにアクセルを踏み始めた2005年から2006年ころは、オンライン広告が高成長率を誇示していたのに、金融危機による広告不況でまさかのマイナス成長に陥り、景気回復後も高成長に戻らなかったことだ。

 また、新聞紙から逃げ出した広告が、そのまま新聞サイトにシフトしなかったのも痛かった。例えば、米国の新聞紙広告の中核であったクラシファイド広告が以下のように紙離れが急激に進んだのに、新聞サイトがほとんど受け皿にならなかった。大半の案内広告を無料でオンラインで掲載するCraigslistが、新聞紙のクラシファイド広告の多くを奪ってしまった。

USNewspaperAd3.jpg

 もともと、プリントメディアに比べオンラインメディアの広告掲載料は相対的に低かったし、最近ではソーシャルメディアの台頭で新聞サイトの広告メディアとしての価値も低下している。


◇参考
・Publishers lost $27 in print for every digital $1(REFLECTIONS OF A NEWSOSAUR)
・新聞、米国で最も縮小している落ち目の業種に(メディア・パブ)
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posted by 田中善一郎 at 07:16 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース
2012年03月25日

英ガーディアン記事へのトラフィック誘導、フェイスブックがグーグルをしのぐ

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 検索エンジンだけではなくて、フェイスブックやツイッターのようなソーシャルメディアを介して、情報を収集する機会がめっきり増えてきた。トレンドとして、検索からソーシャルへのシフトが進んでいるのは確かなようである。

 でもビジネスなどでの情報収集において、まだまだ検索エンジンに頼る場合が多い。Shareaholicがパブリッシャーサイト(20万サイト以上)へのビジットがどこから飛んできたかを調べた結果でも、約半数近くのビジットがグーグル(検索)からであった。一方フェイスブックからのビジットのシェアは7%にも達してない。 

ShereahTrafficSource201202.jpg


 Pew Research Centerが最近公開した「The State of the News Media 2012」でも、オンラインでニュースに接する米国成人が最も頻繁に利用する経路としてフェイスブックやツイッターと答えた割合はわずか9%であった。ソーシャルメディアでの薦めに応じてニュースサイト/アプリケーションに頻繁に訪れる人は、意外とまだ少数派なのだ。

PewSocialMedianotMainDriver.jpg


 ブランド力のあるパブリッシャーサイトと見なされていた新聞サイトでも、かならずしもソーシャルメディアからのトラフィックが期待するほど多くないのかもしれない。実際、フェイスブックから新聞サイトへのトラフィックが急に増え始めたのは昨年からであった。ソーシャルメディアマーケティングに前向きに取り組む英Guardian(ガーディアン)ですら、以下のグラフにように昨年の秋ころまでフェイスブックからのトラフィックはグーグルの検索に比べ微々たるものであった。1年半前には、検索からのトラフィックが40%も占めていたのに対し、ソーシャルからのトラフィックは2%しかなかった。

GuardianfromFacebook.jpg

 ところが昨年10月あたりから突如、フェイスブックからのトラフィックが爆発的に増え始めた。そして先月(2012年2月)には瞬間的だがグーグル検索からのトラフィックを追い抜いたのだ。突然変異が起きた理由は明確だ。フェイスブックと提携して、ガーディアン紙のFacebookアプリ(https://apps.facebook.com/theguardian/)を提供し始めたからだ。これはユーザーが記事を"frictionless sharing"(手軽にシェア)できるソーシャルアプリで、編集的なキューレーションは施していない。つまり、編集者がコンテンツをコントロールしていないという。以下のスナップショットのように、閲読数の多い順に記事見出しが自動的に掲載されている。記事見出しをクリックして閲覧する記事全文も、フェイスブックのドメイン内にエンベッドされている。フェイスブックの友人が閲覧した記事はすぐわかるように明示されている。

FacebookGuardian20120323.jpg

 このガーディアンのFacebookアプリのサービスが始まってからちょうど5ヶ月が経過した。その間、800万人がアプリをダウンロードした。毎日約4万人が加わっている。また最近の4週間で、400万人がこのアプリを利用したという。このアプリの利用している最大の年齢層は、これまでリーチが難しかった18歳-24歳である。またフェイスブックのお陰でこれまでにないグローバル展開も実現している。ルワンダやエルサルバドルでそれぞれ100人オーダーのユーザーを、またカンボジアやナイジェリアでそれぞれ1000人オーダーのユーザーを獲得できたという。さらにユーザーが積極的にコメントやリコメンドする傾向が見られ、このためコンテンツがバイラルに伝播していくようだ。

 このFacebookアプリの開発・運用コストはあまりかかっていないのでは。フェイスブックのTanya Cordrey氏(director of digital development)は、開発コストをカバーするに十分な広告売上げをすでに生み出しているという。

◇参考
・Pinterest Sent More Referral Traffic Than Twitter in February(Shareaholic)
・Tanya Cordrey's speech at the Guardian Changing Media Summit(Guardian)
・Guardian Facebook app causes ‘seismic shift’ in social traffic, and The Onion launches its own(Poynter.)
・What Facebook and Twitter Mean for News:The State of the News Media 2012(Pew Research Center's Project for Excellence in Journalism)
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posted by 田中善一郎 at 23:45 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース
2012年03月11日

新聞、米国で最も縮小している落ち目の業種に

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 米国で最もシュリンクしている業種は新聞であるのかも。LinkedInの発表によると、2007年から2011年の間に最も従業員を減らした業種は新聞業界であった。リーマンショックによる金融危機に見舞われた波乱の時期であったが、人減らしで縮小している業種がある一方で、従業員を増やし拡大している業種も少なくない。

 以下のLinkedInのグラフでは、各業種がこの5年間に増減させた従業員数の割合を示している。またプロットした円印の大きさは、増減させた従業員数の規模を示している。

LinkedInShrinkingGrowingIndustry2012.jpg
(ソース:LinkedIn)

 拡大している業種と、縮小している業種の代表例を以下に掲げておく。

◇拡大している業種例
+49.2%:Renewables &Enviroment
+24.6%:Internet
+24.3%:Online Publishing
+15.9%:E-learning

◇縮小している業種例
-12.8%: Automotive
-14.2%:Building Materials
-15.5%:Retail
-28.4%:Newspaper

 新聞は28.4%も従業員が減り、米国でも最も縮小している業種になってしまった。確かに新聞社のレイオフが日常茶飯化している。新聞各社は競うかのようにニュースルームの記者も減らし続けた。だが一方でこの間に、オンラインパブリシング業界は24.3%も従業員数を増やしてきている。伝統的なメディアから新興のオンラインメディアへ、メディア関係者の流れが進んでいるようだ。ジャーナリズムはプリントメディアでないとダメと言い張る人も少なくなってきているようだし。

 米新聞が経営的に崖っぷちに立たされているのは、今に始まったわけではない。少し前まで、米新聞の全売上の80%以上を、新聞紙広告(プリント広告)売上高に頼りきっていた。その命綱のプリント広告が読者の紙離れもあって、21世紀に入って急落下している。The Atlanticに記載されているグラフは、奈落の底に落っこちる新聞紙広告売上高の推移を物語っている。グラフではインフレ修正の入った新聞紙広告売上高を、1950年から2011年までの推移で示している。なんと、昨年の新聞紙広告は実質、約60年前の広告売上高に戻ってしまっているのだ。 

printNewspaperAd2011.JPG

 下げ止まらないプリント広告売上に頼っていくのは無理である。そこで、プリントからデジタル(オンライン)へのシフトに向わざるえなかった。多くの新聞社はデジタルシフトの掛け声を高らかに上げるのだが、どうも戸惑いが見られる。落ち目と言ってもプリント売上高の比率が高く、デジタル売上高はまだ低い。またデジタル事業の収益性が、歴史のあるプリント事業に比べかなり低い。このため、 Pew Research Centerの調査結果のように、新聞社のデジタルシフトの段階で、デジタル事業で1ドル稼ごうとすると、代償としてプリント事業の7ドル失うことになりかねないのだ。つまりプリント売上の占める割合が高い段階でデジタルシフトを加速化すると、弱体化している新聞社の経営破綻を早めてしまう恐れがある。

PewDiogitalGainPrintLoss.jpg

 八方ふさがりの米新聞社が、最後の賭けとして打って出たのがデジタル(オンラインも含む)コンテンツの有料化である。あまりにも危険な賭けであることは分かっていても、もう他に打つ手がないと言ったところか。WSJやFTのような経済/金融紙は別にして、一般紙のサイトやデジタル版の有料サービスが成功するのは極めて厳しい。それでも米国の日刊紙1400紙の約20%が今年中に有料デジタルサービスに突入する。LATimesサイトの有料サービスも始まるし、Gannettは傘下の80紙全てにPaywall(課金の壁)を置く。新聞サイトの有料化で配するPaywallは、ソーシャルメディアを遮るSocialwallとなる心配もある。プリント売上も確保しようとする新聞社の中途半端さが気になる(FTは違って、価格設定に工夫を凝らして、プリントからデジタルへの読者シフトを後押ししている)。

 新聞コンテンツのニーズは実は高まっている。ただ、伝統的なマスメディアが発行する新聞“紙”だけを新聞と定義するなら、米国では新聞の消える日は遠くない。でも日本は違うようだ。人口層の厚い中高年者向けとして新聞紙は長生きしそう。World Association of Newspapers and News Publishers (WAN-IFRA) の大会でも日本は羨望の的に。新聞閲読率が92%でアイスランドに次いで世界2位。発行部数の世界ランキングで、トップ10新聞に日本の4紙が入っている。日本の新聞1紙当たりの発行部数は46万1000部で、これは世界トップに。日本語の壁Japanesewallに守られているし。


◇参考
・Newspapers Are The Fastest Shrinking Industry In The U.S.(Business Insider)
・LinkedIn Industry Trends: Winners and Losers During the Great Recession(LinkedInBlog)
・Papers Put Faith in Paywalls(WSJ.com)
・HOW NEWSPAPERS ARE FARING TRYING TO BUILD DIGITAL REVENUE(Journalism.org)
・The Newsonomics of Paywalls All Around the World | (Newsonomics)
・The Collapse of Print Advertising in 1 Graph(Atlantic)
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posted by 田中善一郎 at 23:36 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース
2012年02月28日

FTやペンギンブックを発行する英老舗出版社ピアソン、急成長のデジタル事業で増収増益に

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 新聞や書籍のプリントメディア産業は、先進国を中心に長期低落が続いている。プリントからデジタルへのシフトに多くのメディア会社が注力しているが、必ずしもうまくいっていない。プリント時代のリソースやノウハウが足かせになったり、デジタル化により収益性が悪くなりがちであるからだ。

 でも1844年に創業した老舗出版社Pearson(ピアソン)はデジタルシフトに成功したようだ。今やデジタル事業が成長エンジンとして働き、2011年の増収増益に貢献した。英国に本部を置きグローバル展開している同社は、教育事業の大手であり、FT(フィナンシャルタイムズ)やペンギンブックの発行元でもある。

 同社の2011年の売上高と営業利益を、以下に示す。

*Pearsonの2011年売上高(1£=約127円)
FT2011Sales.jpg

*Pearsonの2011年営業利益
FT2011Profit.jpg

 3本柱の教育(Education)、FT(FT Group)、ペンギン(Penguin)のいずれも、デジタル化を加速化させ収益を向上させた。同社の総売上高のうちデジタル売上高が占める割合は年々高まっており、昨年のデジタル売上高は20億ポンド(約2480億円)で33%となった。

*Pearsonのデジタル売上高比率の推移
FTPearson2011DigitalRevenue.jpg


 デジタル化の成果は次の通り。教育事業では、同社のデジタル・ラーニング・プログラマーを利用する学生が前年比23%増の4300万人となった。またFTでは、デジタル購読者数が以下のように前年比23%増の26万7000人に達した。FTの購読料収入の44%をデジタル購読に頼っている。

*FT.comのデジタル購読者数の推移
FTDigitalSubscription201202.jpg

 ペンギンの電子書籍(デジタル書籍)も以下のグラフのように販売件数が急成長しており、売上高で前年比106%増となった。ペンギンの売上高の12%を占めるようになった。

*Penguin(ペンギン)グループの電子書籍の販売部数(米市場)
FTPenguinUSEbook2011.jpg

 このように、デジタル事業がPearson(ピアソン)の牽引役を担うようになってきたのは間違いない。同社自身も、2012年にはデジタルとサービス事業の売上高が伝統的な出版事業(プリント事業)の売上を追い抜くと見ている。


◇参考
・Pearson 2011 results(Pearson)
・Pearson Sees Digital Income Beating Print Publishing In 2012(paidContent.org)
・FT Digital Subscriptions Surpass Print In U.S. As Sign-Ups Slow(paidContent.org)
・FT profits jump 17% despite 'weak' advertising(MediaWeek)
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posted by 田中善一郎 at 23:20 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース
2012年02月11日

WSJまでがPinterestを活用、NYファッションウィークを報道

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 お堅いはずのWSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)までが、Pinterest(ピンタレスト)に惚れ込んでいるのか?

 今ニューヨークでは恒例のファッション・ウィークが開催されている。そのNY Fasion Week専用の特設ページを用意してまで、その催しをWSJが報道するとは、WSJも変わってきた。経済専門紙のWSJがスポーツやファッション、フード&ドリンクなどのライフスタイル分野を充実させるようになったのは、マードックが乗り込んでからである。狙いはNYタイムズの市場を侵食するためだ。

 今回のNY Fasion Weekをカバーするために9人の記者を張りつけた。そして彼らには、iPnoneも持たせ、 Instagram(iphone向けの写真共有アプリ)を装備させた。現場で写真を撮ったり、ノートを取ったりし、彼らのツイートや写真がWSJ.comの特設ページにリアルタイムで投稿されていく。その中から選りすぐった写真が、今話題のPinterestに掲載されているのだ。

 WSJはPinterestボードに19種のボードを設けているが、その中の一つがNew York Fashion Weekとタイトル付けしたボードである。現在、70種の画像(写真)がpinされており(貼り付けられており)、1379人がフォローしている。

PinterestWSJNYFashinWeek20120211.jpg

 女性を中心に続々と集まりだしているPinterestサイトにFashion Weekの生の写真を載せていけば、その写真をクリックしてWSJ.comの「特設サイトに多くの人が訪問するようになるのかも。効果はともかくとして、話題をふりまいたのは間違いない。以下に特設ページを載せておく。会場から送り出しているツイートや写真を閲覧できる。

WSJNYFasion201202.jpg

 WSJは新聞社としてはいち早くPinterestのブランドボードを設けており、今では既に19種のボードに407個の画像をピン(pin)している。 

The Wall Street Journal
PinterestWSJBland2010211.jpg

 WSJのブランドボードのフォロワー数は699人とまだ多くないが、以下の19種のボードを立ち上げて、試行錯誤でマーケティング調査を行っているのだろう。

New York Fashion Week
WSJ Hedcuts
WSJ Front Pages
Behind the Scenes at Paperless
WSJ. The Magazine.
WSJ Food & Drink
This Month in WSJ. Magazine
WSJ Design & Decorating
WSJ Arts & Entertainment
WSJ Adventure & Travel
WSJ Film, Music, Books & Ideas
WSJ Sports
WSJ Fashion
WSJ Real Estate
WSJ on Instagram
WSJ Tech & Gadgets
WSJ Cars
WSJ Beauty
WSJ Graphics

 女性向けのイベントであるFasion WeekはPinterest向けの格好のテーマであり、そのためにボード(New York Fashion Week)も新設したのだろう。大手新聞でPinterestにブランドボードを設けているのは、WSJ以外ではUSA Today(Technology)くらいである。でも雑誌は一斉に着手している。

◇参考
・The Wall Street Journal covers Fashion Week fashionably, finding uses for Pinterest and Instagram(The Nieman Journalism Lab)

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posted by 田中善一郎 at 17:11 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース
2012年02月07日

デジタルシフトに賭けたNYタイムズ、2011年に活路を見出したのか

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  デジタルシフトに生き残りを賭けるNYT社(The New York Times Company)。だが現実は厳しい。昨年(2011年)はデジタル有料化をバネに回復軌道に乗るはずだったが、景気後退もあって再び減収減益となった。

 以下は、2011年第4四半期(9月-12月)および2011年通年の決算である。2011年の売上高は2.9%減の23億2340万ドル、経常利益は75.8%減の5671万ドルで、純損益が約4000万ドルの赤字となった。

*NYT社(The New York Times Company)の2011年10-12月期および2011年(年間)決算:単位:1000ドル
NYT2011Q4.jpg

 新聞紙の読者離れと広告離れが進み、構造的な不況業種に陥っている米新聞業界。優等生であったNYT社も例外ではない。以下は、ここ10年近くの間の、同社の広告/販売/その他の売上高の推移である。総売上高の8割前後を占めていた広告売上高が急降下し、経営破綻寸前まで追い詰められたりした。

NYTrevenue20032011.jpg

 次は、営業利益(棒グラフ)と売上高、経費の推移である。数年前まで、30億ドル以上の売上高と5億ドル以上の営業利益を続けていたのに、2011年はそれぞれ23億ドルと5670万ドルにまで落ち込んでいる。2008年と2009年はリーマンショックに端を発する世界的な不況による広告の大不振で経営危機に追い込まれたのだが、人員削減やオフィス売却、さらにはメキシコの富豪に支援を仰いだりして、何とかしのいできた。その後の2010年は、徹底した経費削減とオンライン広告の再成長などもあって、営業利益も回復してきた。そして2011年はデジタルコンテンツ有料化をバネに回復軌道に乗ることが期待されていたのだが・・・。結果は減収減益で純損益が赤字に。地方紙(Regional Media Group)を売却したり、Boston Red Sox株の3000万ドル分の売却で食いつないでいくになる。

NYTShrinking201202.jpg
(ソース:Business Insider)

 上の二つのグラフを見ていても、NYTの長期低落のトレンドは2011年も続いたことになる。欧州の金融危機などによる広告売上高の下振れや、同社傘下のAbout Group(About.com)の大不振(Google検索エンジンのアルゴリズムの変更により来訪者が激減)もあって、2011年に再び長期低落の流れに振り戻されたのだ。

 同社がいますぐ経営破綻することはないようだが、このままでは破綻は時間の問題となる。そこでデジタルシフトの成果に頼らざる得ない。2011年はその大きな第一歩として、本格的なデジタルコンテンツの有料化に踏み切った。NYTのデジタル有料購読者数は次のように着実に増えてはいる。

・2011年第2四半期:28万1000人
・2011年第3四半期:32万4000人
・2011年第4四半期:39万人

 成果として、2011年の販売売上高(circulation)が前年比1.1%増とプラスに転じた。有料購読者数が積み上がっていった同年第4四半期には、前年同期比4.7%増となり効果も少しずつ目立ってきた。

 一方で心配されたのは、デジタルコンテンツの有料化に伴いユニークユーザー数が減り、デジタル(オンライン)広告売上高が大きく落ちるかもしれないことであった。だが、毎月一定数の記事を無料で閲覧できる「メーター制」を採用したこともあって、ユニークユーザー数もほとんど減ることがなかった。そのため、News Media Groupの2011年デジタル広告売上高は前年比10%増の2億3350万ドルへとアップした。

 ということで、NYTのデジタルコンテンツ有料化の滑り出しは成功したと言える。それでもNYTの台所事情が相変わらず厳しいのは、新聞紙広告売上高の落下が止まらないためだ。2011年の広告売上高が前年比6.1%減、2011年第4四半期が同7.1%減と落ち込んだ。今のデジタルシフトだけでは、まだ活路が開けたとはいえない。

 そこでNYT社はお荷物の事業を売り払うことを考えている。News Media Groupには、旗艦のNYTimesとIHTが属する「The New York Times Media Group」、Boston Globeなどが属する「New England Media Group」、それに地方紙を抱えている「Regional Media Group」の3グループから成る。赤字を垂れ流している地方紙の売却に続いて、次はBoston Globeも売り払いたい。


NYTNewMediaGroup2011.jpg 

 NYTとIHTが属する「The New York Times Media Group」だけだと、売上高は下げ止まるだろう。以下のように2011年売上高は昨年並みを保っている。デジタル事業の成果もはっきりと表れる。

NYTMediaGroup2011a.jpg

 The New York Times Media Groupだけに限れば、2012年は2011年に比べ業績が良くなりそうだ。現在のデジタルコンテンツの有料購読者数の39万人でも、年間を通せば8600万ドルになるという予測も出ている(Ken Doctor氏の予測)。ただし、割引制度もあるし、正規の購読料を支払っている読者数は少ないとの意見も多い。でも、今年も新規の有料購読者数が増えるであろうから、販売売上高の15%近くをデジタル販売が占めそうである。一方、2012年のデジタル広告も10%成長が続けば、広告売上高の中でデジタル広告が占める割合が30%を大きく超えるはずだ。プリントからデジタルへの主役交代が近付いているのは確かである。

 これまでデジタル売上の比率が低かったため、新聞紙広告の売上高がほぼ業績を左右していた。だがデジタルの売上比率が高まってくると、デジタル売上高が全体の収益に大きく影響するようになる。今年は米大統領選とロンドンオリンピックの2大イベントのお陰でプリント(新聞紙)広告売上が減らないとの予測も出ており、その希望的な予測が当たれば、デジタル売上の伸びが利益に直結し、デジタルシフトが加速化する年になるかもしれない。


◇参考
・The Incredible Shrinking New York Times(Business Insider)
・The New York Times Company Reports 2011 Fourth-Quarter and Full-Year Results(プレスリリース)
・NYタイムズ、生き残りを賭けたデジタルシフトへ(メディア・パブ)
・NYタイムズ、デジタル購読売上が黒字化に貢献(メディア・パブ)
・The NYT needs a lot more than just a paywall(GIGAOM)
・The newsonomics of the next New York Times CEO(The Nieman Journalism Lab)
・At Almost 400,000 Digital Subscribers, Inside the NYT Pay Strategy, Year 2 (Newsonomics)

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2011年12月25日

英国の大衆紙サイト「Mail Online」、世界トップの新聞サイトへばく進中

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 英大衆紙Daily MailのWebサイト「Mail Online」 の勢いが止まらない。英Audit Bureau of Circulation (ABC)によると、11月のユニークブラウザー数が約8500万に達した。新聞サイトとしては、驚異的な訪問数である。前月比7.75%も増えている。

 日間の平均ブラウザー数は約500万である。前月比で11.64%増、前年比で73.29%増と急成長を続けている。英国の新聞サイトでは断トツのトップを独走している。さらに、世界の新聞サイトと比べても、トラフィック数ではビッグ3に浮上してきた。老舗高級新聞のNew York Timesや新興ブログ系新聞Huffington Postとトップの座を競っている。

UKNewspaper2011a.jpg

 「Mail Online」に実際にアクセスして閲覧すれば、人気が沸騰している理由が納得できるだろう。スポーツ、ファッション、マネー、食、トラベル、ヘルスなどの一般受けするテーマから政治や経済もカバーし、王室、セレブ(有名人)のゴシップやスキャンダルとか、思わずクリックしたくなる写真もたっぷり掲載している。軟らかい記事中心の典型的な大衆新聞サイトとなっている。
 
MailOnline20111225.jpg

 今年に入っても、トラフィックが勢いよく増え続けている。その理由の一つは、今年はビッグニュースが相次いだことだ。アラブの春に始まった反政府運動、日本の震災・原発事故、ECの経済危機、ビンラディン・カダフィ・金正日の死亡、それに英王室の結婚式やタイの洪水など、多くの人が関心を寄せる大ニュースが相次いだ。最初の表で示したように、英国の代表的な新聞サイトがこぞって、この1年間でトラフィックを大きく増やしている。

 またMail Onlineは米国からのトラフィックも急激に呼びこんでいる。米国ネタを充実させ、全トラフィックの1/3が米国からとなっている。さらに、モバイルアプリも、iPhone向けに続いて、Android向けも始め、人気が急上昇していると伝えられている。日本からも利用できる。ユーザーインタフェースも含め充実している。無料なのに広告が掲載されていない。いつか有料に切り替わるかもしれない。

 紙のDaily Mailの発行部数が約200万部である。一方オンラインのMail Onlineの月間ユニークブラウザー数が8500万である。Mail Onlineのユニークユーザー数はブラウザー数よりも少ないが、それでもおそらくオンラインで新聞紙よりも20倍以上リーチを拡大できているのではなかろうか。ただユーザー1人当たりの接触時間は、逆に新聞紙がオンライン新聞サイトよりもかなり多い。(1人で多くのニュースサイトにアクセスするが、新聞紙は一般に1紙しか読まないから)。

◇参考
・Mail Online tops 80 million monthly online browsers(Guardian)
・大衆新聞が高級新聞を追い抜き、世界で最も人気の高い新聞サイトになる日(メディア・パブ)
・The newsonomics of the British invasion(NiemanJournalismLab)
・The Daily Mail’s MailOnline, one of the world’s most popular news sites, hits Android(TNW)

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2011年12月21日

NYタイムズ、生き残りを賭けたデジタルシフトへ

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 ニューヨークタイムズ(NYT)社がデジタルシフトで大きな賭けに打って出ようとしている。

 まずトップの挿げ替え。NYT社は同社CEOのJanet Robinson氏を年末に退任させることを、12月15日に突然発表した。そして19日には、同社の地方紙16紙をまとめて売却することも公表した。また11月中旬に出されたニュースルーム・スタッフ20人の削減要請に応えて、次々と著名なベテラン記者が退社することも明らかになってきた。

 米国の新聞社は崖っぷちに立たされている。先週発表された南カリフォルニア大学(USC)のレポートは、米国の新聞紙がほとんど5年以内に消えると予測している。生き残る可能性のある米新聞紙はNYT、WSJ、Wasington Post、USA Todayくらいと手厳しい。読者数や広告売上が減り続ける新聞紙に頼っていけないのは明らかで、米新聞社はオンラインを含むデジタルに賭けざる得ない段階に追い込まれたと言える。紙とデジタルの両立といった悠長なことは言っておれないのだろう。

 米新聞界の旗頭であるNYTも、事実上のCEOの解任まで強行して、デジタルシフトを加速化させるようとしているようだ。Janet Robinson氏はCEO期間中(2004年-2011年)、オンラインサイトの拡充やソーシャルメディア機能の取り込み、さらにはデジタルコンテンツの有料化など、先進的なプロジェクトを手掛けてきた。実際、NYTがオンライン化やソーシャルメディア機能の取り込みでトップランナーであったのは間違いない。全売上の中でデジタル売上高の占める割合も、図のように着実に増やしてきた。今年(2011年)はデジタルコンテンツの有料化も始めたので、デジタル売上比率は20%前後に達しているはず。

NYTDigitalRev2010.jpg


 でも同社発行人のArthur Sulzberger Jr.は、CEOが進めてきたデジタルシフトが手ぬるいと見ていたようだ。実際これまで、デジタル化による増益で、膨らむ一方の紙新聞の損失を補えないでいた。また買収したAbout.comに対する取り組みも期待外れであったという。CEO退任を発表したのに、新任のCEOは決まっていない。内外の候補者を探している段階と言う。オンライン/デジタルの専門性を備えた人を選びたいようだ。一方のニュースルームのスタッフ削減も、紙にこだわるスタッフに辞めてもらって、Webやデジタルメディアに適した人材を増やしていきたいのが本音のようだ。

 また、地方16紙を抱えるRegional Media Groupの売却も進めている。Halifax Media Holdings LLC.に約1億4500万ドルで売却する予定。16紙の総購読数は43万3251部で、フルタイムの従業員数は1755人である。2011年第3四半期のRegional Media Groupの売上高は6000万ドルで、全体の売上高の11%に相当する。地方新聞紙の広告売上は一段と激減しており、はっきり言ってNYTにとってお荷物となっている。これらの地方紙を売り払うことにより、The New York Times, The Boston Globe そしてThe International Herald Tribuneの旗艦3タイトルに集中して経営することになる。さらに良き買い手が現れれば、The Boston GlobeのNew England Media Groupも売ってしまいたいのではなかろうか。

NYT2011Q3NewsMedia.jpg


◇参考
・IS AMERICA AT A DIGITAL TURNING POINT?( USC Annenberg)
・Most print newspapers in the States have only a five-year life span(Guardian)
・The New York Times Company Confirms It Is in Discussions to Sell Its Regional Media Group(NYT,プレスリリース)
・The paidContent 50: The Most Successful Digital Media Companies In The U.S.(paidContent.org)
・Times Chief Is to Retire at Year-End(NYTimes.com)
・The New York Times Company Reports 2011 Third-Quarter Results(NYT,プレスリリース)
・More NYT Buyouts: Diana B. Henriques, Eric Dash, Bob Harris, and The Reporter Who Didn’t Get One(New York Observer)
・NYタイムズ、デジタル購読売上が黒字化に貢献(メディア・パブ)
・Times Co. Negotiating to Sell Regional Newspapers(NYTimes.com)
・New York Times Plans Staff Reductions(NYTimes.com)
・Five things I would do as CEO of the New York Times(GigaOM)
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2011年12月01日

過去300年間の英新聞記事のアーカイブ、英国図書館がネット公開

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 300年間の英国新聞記事を貯えたアーカイブ「British Newspaper Archive」を、英国図書館(British Library)が一昨日(2011年11月29日)からオンラインで公開し始めた。大英帝国時代や産業革命にからむ歴史的な出来事から、英国のローカルな出来事までをカバーした、膨大なニュースの宝庫が手軽に利用できるようになった。まず、サンプルの過去記事を。

BritishNewspaperAchiveSample.jpg
・The Lincolnshire Chronicle, etc. Friday 14 July 1854, Page 16. 'Lincoln’s Foundry at the Stamp End Iron Works'(左)
・The Days' Doings, August 6, 1870 - An Illustrated and Amusing Record of Passing Events(右)


 新聞記事のデジタル化作業は昨年から始まっており、現在400万ページ(紙面)がデジタル化された段階である。英国やアイルランドの新聞を対象にデジタル化を進めているが、全部で4000万ページ(6億5000万記事)をもスキャンする必要があり、まだ10年間くらいかかりそう。完成は2020年の予定だ。古い時期の著作権切れの新聞を主に対象にしているが、著作権が消滅していない20世紀の前半から半ばまでの記事も扱う。このため所有者と交渉しているという。今まで約200タイトルのローカル新聞をカバーしている。例として頭文字がAとBのタイトルの新聞を以下に掲げる。

BritishNewspaper.JPG

 現時点では約6500万記事にアクセスでき、利用可能な記事数が毎日12万のペースで増え続けているという。検索サービスは登録すれば、有難いことに無料で利用できる。300年前の1711年8月1日付け記事も見つけることができた。記事の閲覧は有料で、48時間アクセスが£6.95(約850円)、30日間アクセスが £29.95、年間アクセスが£79.95である。各ページをpdf形式でダウンロードできる。 英国図書館のリーディングルームでは無料でアーカイブにアクセスできる。

BritishNewspaperArchive.jpg


 「ワーテルローの戦い」に関する記事はサンプルとして無料で閲覧できるので、「The Battle of Waterloo」で検索してみた。以下のように、「ワーテルローの戦い」の記事を含む多数のページが検索された。
 
BritishNewspaperArchiveSearchWaterloo.jpg

 そこで、最初に現れた1815年11月10日付の記事を拡大してみた。

BritishNewspaperArchiveWaterloo.jpg


 保存状態が良くなかったが、以下のようにテキスト形式でも閲覧できた。

BritishNewspaperArchiveWaterlooText.jpg


 次に日本関連の記事を探してみた。以下は「japan」で検索した結果である。最も古い記事は、1723年4月13日付けであった。現時点でも、1700〜1749年の50年間におけるjapan関連記事が146点検索された。

BritishNewspaperArchiveJapan.jpg


◇参考
・Murder, mania and a leech-powered weather machine: up to 4 million pages of historical newspapers now searchable online at britishnewspaperarchive.co.uk(The British Library、プレスリリース)
・British Library newspaper archive puts 300 years of history online(The Telegraph)
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2011年10月21日

NYタイムズ、デジタル購読売上が黒字化に貢献

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 NYタイムスのデジタル有料購読者数は、今年第3四半期(7月〜9月)に約4万人も増え、32万4000人に達した。この結果、販売(circulation)売上高が前年同期比で3.4%増となったお陰で、次のように第3四半期の純利益は1569万ドルと黒字に転じた。

*NYT社(The New York Times Company)の
2011年7-9月期決算(単位:1000ドル)
NYT2011Q3.jpg

 今期は、景気の下振れで、広告売上高が落ち込むことを覚悟していた。新聞紙(NYT紙やBoston Glove紙など)の広告売上は前年同期比で10.4%も減り、デジタル広告も含んだ総広告売上高が同8.8減と沈み込んだ。でも、その広告売上の落ち込みのかなりの部分を、販売売上で補うようになってきたとは、少し前まで考えられないことであった。

 NYTは今年3月末からデジタル有料化を開始し、第2四半期末(6月)にデジタル有料購読者数が28万1000人に達していた。その後も順調に進み、4万人以上が上乗せされて32万4000人に膨れてきたのである。今四半期は経費節減も寄与して、何とか黒字化に漕ぎ着けたのだ。

 このほどBoston Gloveサイトの有料化も始めたし、さらにnewsroomスタッフ20人をレイオフする予定である。NYTのデジタル有料購読者が今後も増え続けば、光明も見えてくるだろう。


◇参考
・The New York Times Company Reports 2011 Third-Quarter Results(プレスリリース)
・New York Times Paywall Helps it Turn a Profit(Mashable)
・NYTのデジタル有料購読者が28万人に、まずは有料化路線が順調な滑り出し(メディア・パブ)
・BostonGlobe.com subscription model launches Wednesday(Boston Business Journal)
・NY Times Co.'s 3Q likely to show ad deterioration(Bloomberg Businessweek)
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posted by 田中善一郎 at 02:17 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース
2011年09月25日

ワシントンポストやガーディアンも、フェイスブック新聞に挑戦

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 米Washington Post(ワシントンポスト)や英Guardian(ガーディアン)も、ソーシャル新聞にFacebookアプリで挑むことになった。

 Facebookは先週末のf8会議で、メディアサービスの拡充を促す新機能を発表し、その時にニュース、音楽、映画などのメディア企業との連携も明らかにした。ニュースメディアとしては、Washington Post、Guardianの他に、英Independent、 The Daily(News Corp)、Yahoo Newsなどとも提携したようだ。また、フランスのLe Monde とL'Equipe も、新しいニュースフィードのTimelineが動き出してから、Facebookと手を組むという。

 そこでまず実例として、Washington Post(以下Post)がFacebook上のソーシャル新聞として立ち上げた「Social Reader」をみていこう。Facebook会員であれば、こちらのページ(http://www.washingtonpost.com/socialreader)に飛んで、「f Read Now」と記したアイコンをクリックして、Social Readerに登録しアクセスすればよい。一度登録すれば、自分のFacebookホープページのアプリ覧に、Postのアイコンが掲載されるようになる。

 以下は、私向けのSocial Readerページである。中央に私向けのパーソナライズドニュースが掲載されている。これまでの私のアクティビティ(どのような記事をアクセスしているかなど)や関心分野、いいね!と指図した事柄、それに私のFacebook友達が閲覧した記事などを参考にしてパーソナライズしているのだろう。それにPostの編集者が薦める記事も掲載されている。Postは今年の春先から、パーソナライズド・ニュースアグリゲーション・サービス「Trove」を試験的に実施していたが、このSocial ReaderアプリにこのTroveの技術を採用している。

WaPoSocialReader1.jpg

 ここで注目すべきことは、最初のスナップショットの例からも分かるように、APやReters、MashableのようなPost以外の記事が多く選ばれて掲載されていることだ。実際、私のSocial Readerには、washinton.postの記事がほとんど現れていなかった。もともとTroveでは多くの外部ニュースサイトから収集した記事を絞り込んで掲載している。先週末の発表時には、収集先のニュースタイトルとしては次の12種を対象としていた。

*パートナーのメディア企業
The Associated Press,
Express Night Out,
Foreign Policy,
GlobalPost,
The A.V. Club,
Reuters,
The Root,
SB Nation,
Slate,
Sugar Inc.,
WetPaint Entertainment
Mashable

 パートナーのニュースメディアを募っており、すでに次のように20タイトルに増えている。さらにもっとパートナーを増やしていきたいようだ。 

WaPoSocialPartner.jpg

 もう一つ注目すべきことは、Social Readerに掲載されている記事の全文を閲覧するために記事見出しをクリックすると、同じFacebook内のページに記事全文が現れることである(以下のスナップショットを参照)。外部のニュースサイトに飛ばないのだ。外部パートナーの記事が多いことからも明らかに、PostのSocial Readerは自社サイト(washingtonpost.com)へのトラフィック誘導を目的にしていない。あくまで、Facebook上のソーシャル新聞としてビジネスを展開することになる。たとえばFacebookとPost(パートナーも含めて)との間で、広告売上げをシェアするのでは。


WaPoSocialReader2.jpg

 このSocial Readerの特徴として、左サイドバーの仕掛けが見逃せない。今回のf8会議で新たに公開されたTicker機能で、リアルタイムでFacebook友達のアクティビティが表示されていく。この仕掛けの効果を説明するには、私のFacebook友達でSocial Readerに登録している人が必要だ。幸いにして、数少ないFacebook友達の中から早くも3人がSocial Readerを試していた。冒頭のスナップショット画面の左サイドバーにある“Friends Using Social Reader”のコーナーで、3人のアイコンが示されていた。

 その下の“What People Are Reading”のコーナーには、上の3人のアクティビティ、つまりどのような記事を閲読しているかをリアルタイムで表示されていく。中にはPost編集が選んだと思われる記事も含まれていた。スナップショットは1日前の画面だが、1時間前に3人のSocial Readerの内の2人が同じ記事「Facebook Timeline:  」(Mashableの記事)を閲覧したことが示されていた。こうなると、この記事を読んでおかなければとなり、クリックするとすぐに同じページに記事全文が現れる。

 このTickerには、Facebookサイトの外でのアクティビティも反映されることがある。Postのサイト(washingtonpost.com)でFacebook Connectを登録していると、washingtonpost.comで閲覧した記事がリアルタイムでFacebook友達のTickerに掲載されていく(オプトイン機能が用意されている)。

 このようにソーシャル新聞では、読みたくなる記事が次々と現れ、特定のSNSサイト内だけで用が足せるようになるのかな?そして、そのSNSでのユーザーの滞在時間がますます長くなる。Facebookが狙っていることなんだろう。


  英GurdianもFacebook上のソーシャル新聞に挑んでいる。 Guardian Facebook アプリを利用するには、http://apps.facebook.com/theguardianを訪れ、 "Use this application" optionを選べばよい。 追う時間がなかったので別の機会で紹介することにして、スナップショットだけを貼っておく。 guardian.co.ukの記事だけを対象にしているようで、PostのSocial Readerに比べると、あまり魅力的には思えないのだが。

FacebookGuardian20110923.jpg


 またYahoo!NewsもFacebookと手を組んでいるが、Yahoo! Newsアクティビティと称する新機能によるサービスを提供していく。パーソナライズ機能やTicker的な機能を、Facebook上ではなくて、Yahoo!Newsサイト上で提供していこうとしている。友達がどのような記事を閲覧しているかが、すぐに分かるようになっている。ポータルのニュースサイトとしては自サイトでソーシャル化を実現し、ユーザーがFacebookサイトに流れていかないようにしたいのでは。

YahooNewsFacebook.jpg
(画面ソースはYahoo Developer Networkから)

 ソーシャル新聞は試行錯誤の段階。新聞などのニュースサイト側にとって本当にビジネスとして成り立つのかは、まだまだ不透明である


◇参考
・The Post Launches Social Reader As a Newspaper For Facebook(Mashable)
・Washington Post Social Reader: Editors’ note(Washinton Post)
・Washington Post Social Reader、FAQ(Washinton Post)
・The Guardian and Independent launch Facebook apps(journalism.co.uk)
・Guardian Facebook app: FAQ(Guardian)
・Media companies revisit their AOL days with Facebook(GIGAOM)
・The Washington Post Launches Trove, A Personalized Social News Site(TechCrunch)
・Mixer – The Data Service that Powers Yahoo! News Activity(Yahoo Developer Network)



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posted by 田中善一郎 at 13:15 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース
2011年09月24日

地方ニュースのソース、若年層でもインターネットより新聞から

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 米国人が接するニュースメディアとしてはインターネットが伸び続けているが、地方(ローカル)ニュースのソースとしては新聞がインターネットの倍以上も利用されている。

 Pew Research Centerがまとめたレポート「Views of the News Media: 1985-2011」によると、国内および国際ニュースのソースとしては、テレビが長期低落が続いているものの今でもトップで、米国民の2/3がテレビニュースを視聴している。またインターネットをニュースソースとしている国民の割合は43%へと増えており、31%の新聞との差を拡大している。車社会の米国ではラジオの人気が復活しており、19%の人がラジオニュースを利用していた。

 国内および国際ニュースの主要ソースメディアの利用状況の推移を以下に示す。18歳以上の米大人を対象にした電話調査の結果であるが、今年は7月20-24日に1501人の米大人を対象に実施した。各人に二つまでのニュースソースを回答できるようにした。

NewsMediaPew201109b.jpg


 次は、国内および国際ニュースとは別に、ローカルニュースのソースを調べた結果である。国内/国際ニュースのソースとしては、テレビとインターネットが主流となっている。18-29歳の若年層では65%がインターネットニュースを利用しており、テレビを追い抜いている。ここで気になるのは、18-49歳の働き盛りの人の間で新聞の影が非常に薄くなっていることだ(新聞ニュースに接触している割合が約25%)。

 ところが、ローカルニュースのソースメディアとなると、興味深いことに新聞が健在である。新聞利用がインターネット利用の倍以上となっている。18-29歳の若年層でも、39%が新聞に頼っており、23%のインターネットを大きく引き離している。

NewsMediaPew201109c.jpg


 今回のPewのレポートでは、主要ニュースメディアの評価についての推移など、興味深いデータが満載である。その中の一つだけを掲げておく。主要ニュースメディアの記事が年々、不正確とユーザーから見られてきていることだ。

NewsMediaPew201109a.jpg



◇参考
・Press Widely Criticized, But Trusted More than Other Information Sources(Pew Research Center)

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posted by 田中善一郎 at 11:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース
2011年09月21日

WSJ Social、Facebook上でキュレートした新聞コンテンツを配信へ

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 インターネットが事実上のソーシャルメディアへ。一つ前の記事で、米国のネットユーザーがインターネット利用時間の22.5%を、ソーシャルネットワークやブログで過ごしていることを伝えた(こちらの表)。ここでニュースメディア関係者にとって衝撃だったのは、“Current events & global news”のために消費する時間の割合がわずか2.6%であったことだ。

 これは、新聞社サイトのようなニュースサイトがこのままではじり貧になりかねないという警鐘を鳴らしてくれているのではなかろうか。特に米国では、ソーシャルメディアを牽引するFacebookの影響力が増す一方で、Facebook=新生インターネットとの声までも出始めている。そしてWSJ(Wall Street Journal)が動いた。「WSJ Social」のサービスをFacebookアプリとして立ち上げたのだ。

 早速、WSJ.com on Facebookを登録してみると、次のような私向けの「WSJ Social」が現れた。

FacebookWSJ20110921.jpg

 これは、今年7月にFacebookが予告していたニュースプラットフォーム「Facebook Edition」ではなかろうか。それにしても有料サイトのWSJ.comがソーシャル版を先頭を切って登場させたのだから驚きである(New York TimesがFacebook Editionプロジェクトに参画しなかったのは、NYTimes.comのpaywall(課金の壁)とFacebook Editionとが相容れぬ心配があったからと言われている)。

  登録したばかりだし熱心なFacebookユーザーでもないのでFacebook Editionの出来具合を評価する資格はない。でもWSJ Socialの画面から判断すれば、関心のある特定テーマの情報を発信しているユーザーや新聞編集者によってキュレートされた自分向けコンテンツが選ばれていくのだろう。タブレット向けのソーシャルコンテンツアグリゲーターのFlipboardやZiteなどと相通じるところがある。

 WSJの新製品開発のヘッドであるMaya Baratz氏によると、WSJ Socialでは全てのユーザーが編集者になり、コンテンツのキュレーターとしての役割を高めていく仕掛けが組み込まれているという。WSJ Socialで選ばれた記事は、Personalization(パーソナライズされた情報)とSerendipity(思いがけない情報。 掘り出し情報。)がうまく混ざった組み合わせになっていくと期待しているようだ。

 大きな課題として、WSJ Socialでキュレートされた記事に、WSJ.comのPaywall(課金の壁)の向こうに置かれたコンテンツも含まれることだ。頻繁に課金の壁にはね付けられていては、ユーザーは離れていく。そこで上の例のように、Dellなどのスポンサーシップで一定期間、有料記事を無料で読めるようにする。さらにこのようなFacebookアプリの人気が高まりスポンサーシップの企業が増えてくれば、WSJ.comをWSJ Socialを介して無料で読めるようになっていくのだろう。

 紙がダメになり、そして旧来型Webサイト(現在の新聞サイト)に固執しているとやはりダメになりかねない。ということで新興インターネットのソーシャルネットワークで新聞コンテンツを流通させていくことにも挑戦しておかなければならない。このようなコンテンツ流通の変革に同調するかのように、大手メディアサイトがパーソナライズド・ニュース・アグリゲーター(ソーシャル・コンテンツ・アグリゲーター)に急接近している動きも見逃せない。

 ユーザーが登録しているRSSフィードやTwitter、Facebookなどの利用履歴を参考にして、そのユーザーにパーソナライズしたコンテンツをアグリゲートして、提供するサービスである。現在はタブレットやスマートフォン向けのアプリとして、人気が高まってきている。代表的なサービスを以下に示す。 
 
・Flipboard
・Pulse
・News.me(NYT)
・Zite(CNN)
・Trove(WashintonPost)
・AOL Editions(AOL)

 つい最近、CNNがZiteを買収したばかりだ。CNNやAOLの有力ポータル系ニュースサイト、それにNYTやWaPoの有力新聞サイトがソーシャル・コンテンツ・アグリゲーション・サービスに着手し始めているのだ。そして、Googleまでも Propellerと称するソーシャルアグリゲーターの開発に取り組んでいることが Robert Scoble氏のブログで明らかになった。 ニュースコンテンツもソーシャルアプリとして提供していく動きはが、急展開していきそう。


◇参考
・WSJ Social, For a World Where Facebook Is the New Internet(Forbes)
・With WSJ Social, the Wall Street Journal is rethinking distribution of its content…on Facebook(The Nieman Journalism Lab)
・Americans spend just a fraction of online time with news compared to social media(Poynter.)
・フェイスブック版ニュースアプリが9月にも登場、有力ニュースメディア社が参画へ(メディア・パブ)
・It’s Called Google Propeller and It’s Aimed at Flipboard (and Facebook, Too, Natch)(All ThingsD)
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2011年08月22日

欧州の新聞サイト、Facebook効果でビジター数が増加

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 新聞サイトにもフェイスブックからのトラフィックが増えてきている。

 欧州(ロシア、トルコを含むヨーロッパ)の新聞サイトのトップ5がそろって、1年間でフェイスブックからのトラフィックを急増させていた。トップ5の各新聞サイトにおいて、この1年間で全トラフィックのうちフェイスブックからのトラフィックの割合がどれくらい増えたかを以下に示す。これは、2010年6月および2011年6月に調べたcomScoreのデータである。

 英国のMail Onlineは3.7%から10.6%と大幅に増やしている。同じ英国のGuardianは4.7%から7.4%に、ドイツの Bildは3%から14%へと増やした。またトルコ新聞のHürriyetとMilliyetの2サイトは共に、フェースブックからのトラフィックをこの1年間で約3倍も流入させている。

EuroNewspaperSite201106.jpg


 comScoreは、欧州ユーザー(15歳以上)を対象にした新聞サイトのトップ10も発表した。これは、2011年6月の月間ユニークユーザーが多いサイトランキングである。トップ10には、NYTサイトを除く全てが欧州新聞のサイトとなっている。この1年間でユーザー数が11%も増えた。フェースブックからのトラフィック流入が増えたためであろう。

NewsSitecomScoreEU201106.JPG


◇参考
・Newspaper Sites across Europe Demonstrate Growth in the Past Year
・Traffic from Facebook to Top Newspaper Sites Nearly Doubles Since Last Year in Europe(comScore Data Mine)
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2011年08月16日

米国の地方新聞23紙、一斉にサイトの有料化を開始

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  米国の地方新聞23紙が一斉に、オンラインサイトの有料化を昨日(2011年8月15日)から実施した。いずれの新聞もMediaNewsグループに属し、California, Pennsylvania, New Mexico, MassachusettsそしてVermontの各州の中小地方紙である。

  サイトの定期購読料は、新聞紙購読者の場合、月間が1.99ドルで年間が19.99ドルと割引価格になっている。また非新聞紙購読者の場合は、月間が5.99ドルで年間が59.99ドルとなる。また、NYTのようにメータ制を採用している点が注目される。定期購読者でなくても月間5ページまでの編集記事を無料で閲読できる。そのほか、ホームページ(最初のページ)や案内広告、死亡記事、お知らせページも無料でアクセスできる。

  また同じMediaNewsに属しているが、部数が多い新聞のthe Salt Lake City Tribuneやthe Denver Postは現在のところ、メータ制paywallによる有料化を実施する予定はないという。

  以下に、23紙のサイト(リンク)を掲げておく。

California
Daily Democrat (Woodland)
Lake County Record-Bee (Lakeport)
Red Bluff Daily News
Redlands Daily Facts
The Reporter (Vacaville)
Times-Herald (Vallejo)
Times-Standard (Eureka)
The Ukiah Daily Journal
Whittier Daily News


Massachusetts
North Adams Transcript
Sentinel & Enterprise (Fitchburg)


New Mexico
Alamogordo Daily News
The Carlsbad Current-Argus
Daily Times (Farmington)
Deming Headlight
Las Cruces Sun-News
Ruidoso News
Silver City Sun-News


Pennsylvania
Evening Sun (Hanover)
Lebanon Daily News
Public Opinion (Chambersburg)


Vermont
Bennington Banner
Brattleboro Reformer



 いい機会なので、米国の中小地方紙がどんなものかを探るために、MassachusettsのNorth Adams Transcriptという地方紙をちょっとだけ覗いてみた。Northern Berkshires地方をカバーする地方紙であるが、創刊が1843年だから170年近い歴史を誇る。部数はWikipediaによると6279部となっている。記事内容は、その地方独自のニュースが多い。有料化スタートの15日のサイトは以下の通り。

NorthAdamsTranscript20110815.jpg


 読者への重要なお知らせと大きく出ていたので、クリックすると有料サービスの案内が出てきた。

NorthAdamsTranscript20110815a.jpg

 サイトで広告主向けのメディアキットが掲載されていたのでそこに飛ぶと、以下のようなグラフが現れた。


thetranscriptMediaKit.jpg

 170年近くも頑張ってきた新聞だから、この地方の名士的存在のはずで、ブランドも健在といったところか。興味深かったのが、こんな地方紙でもFacebookやTwitterを使い始めていること。グラフは今年5月の調査結果であるが、Facebookページの現在のファンは486人から570人へ、Twitterアカウントの現在のフォロワー数は89人から146人へと増えている。けなげに頑張っている小さな地方紙の姿を見ていると、いつまでも生き残ってほしいと応援したくなるのだが・・・。


◇参考
・MediaNews Group Adds Paywalls To 23 More Newspapers(paidContent.org)
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2011年07月22日

NYTのデジタル有料購読者が28万人に、まずは有料化路線が順調な滑り出し

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 デジタル定期購読モデルは順調に滑り出した。NYT社(The New York Times Company)は2011年4-6月期の決算発表の中でそのように主張した。

 NYTは今年3月末から、サイト(NYTimes.com)やデジタルプラットフォーム(iPad、iPhone)のデジタル定期購読パッケージを提供し始めたが、そのデジタル有料化の成果が初めて第2四半期決算報告の中で明らかになった。そのデジタル定期購読パッケージの有料デジタル定期購読者数が、2011年6月末までに22万4000人に達した。またeリーダーとレプリカ版の有料デジタル定期購読者数は5万7000人となった。両方を加えた有料デジタル定期購読者数は第2四半期末に28万1000人となった。

 この有料デジタル定期購読料の収入増で新聞紙購読料の収入減を穴埋めでき、第2四半期の販売売上高(circulation revenue)は前年同期を維持した。また、NYTimes.comの有料化によりオンライン広告売上の成長にブレーキがかかるのではとの懸念があったが、メーター制を導入したこともあって月間ユニークユーザー数もほとんど減っていないし、今のところ有料化によるオンライン広告への悪影響はないようだ。NYTimes.comなどのデジタル広告の売上高は前年同期比15.5%増と、第1四半期の14.9%増よりもさらにアップさせている。

 このようにNYTのデジタル有料化路線は順調に滑り出している。だが、デジタル有料路線がNYTの経営を大きく改善させる力はとてもない。まだまだ広告収入に頼らざる得ないのが現状で、その広告売上が今期の決算でも相変わらず同4.0%減と落ち続けている。やっぱり足をひっぱているのは新聞紙広告で、第2四半期の紙広告売上げは前年同期比6.4%減と、底が見えない状況が続いている。About Groupの不振もあって、デジタル広告が15.5%増といっても、紙広告のマイナス分を相殺できないのが現状だ。
 

*NYT社(The New York Times Company)の
2011年4-6月期決算(単位:1000ドル)
NYT2011Q2.jpg



◇参考
・The New York Times Company Reports 2011 Second-Quarter Results(NYT)
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posted by 田中善一郎 at 01:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース
2011年07月18日

フェイスブック版ニュースアプリが9月にも登場、有力ニュースメディア社が参画へ

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 Facebook(フェイスブック)は、「Facebook Edition」 と称する新ニュースサービスを計画している。Forbes.comのブログMixed Mediaによると、今年の9月にも立ち上げる予定という。

 CNNやThe Daily、Washinton Postなど10を越える大手ニュース提供者が参画し、フェイスブックの上で閲覧できるニュースアウトレット・アプリを出していくことになっている。「Facebook Edition」の概念が今ひとつ明確でないのだが、ユーザーは好みのニュースアウトレットの記事を選べるようである。ただ意外なのは、最大手のthe New York Timesが参画しないということ。NYTimes.comのpaywall(課金の壁)とFacebook Editionとが相容れぬ心配があるからである。

 今回のファイスブックの計画に対し、ニュースメディア各社も無視できないだろう。ポータル時代のヤフーやサーチ時代のグーグルもそうだったし、そしてこれからのソーシャル時代のフェイスブックも、ニュースメディアと協力関係を築いていこうとしている。伝統的な有力ニュースマスメディアが、政治や経済などの世界でまだまだ大きな影響を及ぼすのは間違いないだけに、当然の動きかもしれない。ところが今まで、ヤフーやグーグルのような新興の巨大ネット企業と、伝統新聞のようなニュースメディア企業との間ではギクシャクすることが多かった。ヤフーやグーグルは読者を誘導し新聞サイトなどを手助けしていると主張するのだが、新聞社はヤフーやグーグルこそ新聞をダメにした元凶だと時あるごとに反発する。

 ソーシャルメディア時代に突入した現在、米国においてはとりあえず、トップランナーのフェイスブックとの関係をどう築くかが課題となる。ニュースサイトへのトラフィックも、検索エンジンからが減り始め、SNSなどのソーシャルメディアからが増えてきている。以下のグラフはPewの調査結果で、米国の代表的なニュースサイトにおける、Google(検索エンジン)からのトラフィックおよびFacebook(SNS)からのトラフィックの割合を示している。約1年前の古いデータだが、現在はオレンジのFacebookからのトラフィックの比率がもっと高まっているはず。

fbGoogleNews.jpg
(Graph:Economist,Data:Pew)


 次は、同じ米国のニュースサイトにおける、月間ユニークユーザー数とFacebookトラフィック比率の関係を示している。

FacebookNewsSites.jpg
 

 フェイスブックから新聞サイトへのトラフィックとしては、各新聞のフェイスブックページ(かつてのファンページ)がかなり貢献しているはず。幾つかの米新聞のフェイスブックページにおけるファン数の推移を以下に示す。この1年間で2倍から数倍、ファン数を増やしており、フェイスブックから新聞サイトへより多くの読者を誘導しているだろう。


NYTFBFan.jpg


 また、フェイスブックページを開設することにより、ソーシャルメディア内でも話題になる頻度が高まるだろう。読者の声(コメント)数も増えるはず。以下の例は今朝のNYTimesの「なでしこジャパンがサッカーW杯初優勝」の記事だが、同じ記事への読者から寄せられたコメント数は、NYTimes.comよりもFacebookページのほうがはるかに多かった。

NYTCommentSiteFacebook.jpg

 NYTimesはフェイスブックページの中で最も多くのファンを抱える新聞であり、これまでソーシャルメディアとの密な関係を重視してきていた。NYTimesサイトの活性化にも、成果を上げてきたと言える。だが、有料化路線をまい進するために今回のFecebook Editionプロジェクトに参画しないことが、NYTimesにとって吉となるか凶となるか、注目していきたい。


◇参考
・Facebook Is Getting Into the News Business(Mixed Media)
・New Twist in Paywall Debate As Publishers Get Wooed by Social Media(Marketing VOX)
・Facebook launching news platform Facebook Editions in September(Digital Trends)
・Stop the presses: Facebook CTO says news next in social revolution(BBC)
・WHERE PEOPLE GO, HOW THEY GET THERE AND WHAT LURES THEM AWAY(Journalism.org)
・The people formerly known as the audience(Economist)
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posted by 田中善一郎 at 23:44 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース
2011年07月10日

盗聴問題拡大で廃刊する英大衆紙、 'Thank You And Goodbye'の大見出しで168年の歴史を閉じる

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 盗聴問題で廃刊することになった英大衆紙「The News Of The World」は、今日(7月10日)発行の最後の日曜版で168年の歴史を閉じることになった。最終号の見出しは'Thank You And Goodbye'。

NewsoftheWorld20110710.jpg

 1843年創刊だから、ペリー提督が日本に来航する10年前から発行していたことになる。73ページの最終号はこちらから、全ページ閲覧できる。World's Greatest Newspaperと自画自賛しているが、内容は典型的なゴシップ紙。最終号の発行日の日曜日に、メディア王の英ニューズ会長のマードック氏がThe News Of The Worldのオフィスを訪れた。


◇参考
・News Of The World's 'Thank You And Goodbye'(Sky News HD)
・Rupert Murdoch arrives at News of the World offices amid scandal(thestar.com)

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posted by 田中善一郎 at 23:59 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース
2011年06月29日

Googleサイト掲載のソフトで、WSJサイトの有料記事が全てタダで読み放題に

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  WSJ.comはマードック自慢の有料サイトである。それにならって、News Corp.の英新聞the Times/the Sunday Timesサイトなどの有料化も実施している。

 マードックの持論は、Googleが新聞社を苦境に追い詰めたということ。まるで盗人のごとくメディアのコンテンツを勝手に使って,Googleは繁栄を謳歌していると,マードックは主張するのだ。News Corp.のコンテンツがGoogleの検索エンジンに引っかからないように,禁じ手を使うぞと脅したりもした。実際、the Times/the Sunday Timesの記事の大半はGoogleの検索エンジンで検索できない。

 ところが、有料化サイトの本家本元のWSJ.comの記事は、Googleの検索エンジンでアクセスできる。それどころか裏技を使えば、Googleの検索エンジンからWSJ.comの有料記事を無料で閲読できる。この裏技(こちらで参照)は未だに放置されたままだ。ソーシャルメディア・ユーザーにリーチするためや、NYTimes.comのユーザーを取り込むためと見られているのだが・・・。

 さらにこの裏技以上の決め技が、6月10日あたりから米国のブログで紹介されていた。Googleのサイトで紹介されていたソフトを使えば、WSJ.comの有料記事が全て無料で見放題になる。すぐにも差し止めになるのではと思ったのだが。最近再び、人気サイトRegisterに「Google Chrome extension busts Murdoch paywall」という記事が出たのだ。それでも、いまだに放置されている。そこで、その決め技なるものを試してみた。


 WSJ.comのサイトに行けば分かるのだが、以下のように有料記事には鍵アイコンが付いている。そして有料記事をクリックすると、右のような「SUBSCRIBER CONTENT PREVIEW」が現れ、記事の出だしの一部しか読めない。つまり課金の壁が置かれている。


WSJSaab20110627.jpg

 上のWSJ.comの課金の壁を突き破るソフトとして「Read WSJ Extension」が出てきたのだ。それも、Googleが開設している「Chrome Web Store」(https://chrome.google.com/webstore)で紹介されているのだ。Chrome Web Storeは、Google Chrome 用のアプリ、拡張機能、テーマを取り揃えたオンライン マーケットである。

 そこで、Chrome Web Storeで検索して「Read WSJ Extension」を見つけた。

ReadWSJExtension.jpg


 クリックするとすぐにRead WSJ Extensionがインストールされた(ブラウザーに Chrome を利用)。

chrome web store.jpg


 早速、WSJ.comにアクセスしてみた。すると驚くことに、鍵アイコンの隣にUnlockアイコンが現れているではないか。

WSJ201106unlock.jpg


 そのUnlockアイコンにカーソルを近づけると、“Read Complete Article”の吹き出しが飛び出る。

WSJReadPreview20110627.jpg


 その有料記事をクリックすると、以下のように“Article Free Pass”が表示され、記事全文が無料で閲覧できる。

WSJFreePass.jpg


 実は、上の記事全文ページが現れる寸前に、一瞬、次のGoogle検索エンジンページが現れる(裏技経由なのか)。

WSJGoogleSearch20110627.jpg


 これまでの裏技のような面倒くさい操作は不要で、すぐにWSJ.comの有料記事が無料でアクセスできる。なぜ放置しているのか。現在、米検索エンジン市場で寡占状態にあるGoogleに対して、FTCや州は独禁法違反がないかどうかの調査を行おうとしている。このニュースをいち早く報道したのがWSJで、うがった見方だがキャンペーンを張ろうとしているようにも思えるのだが。

 ついでに、WSJ日本語版(http://jp.wsj.com/)をアクセスしてみた。するとUnlockアイコンが現れた。しかし、その有料記事に飛ぶと課金の壁が遮り、記事全文は閲覧できなかった。WSJ日本語版は対応しているのに、なぜ英語版は放置しているのか?

WSJJapan.jpg


◇参考
・Google Chrome extension busts Murdoch paywall(The Register)
・Feds to Launch Probe of Google(WSJ.com)
・The Easiest Way To Read The Wall Street Journal For Free(Businss Insider)
・マードックの矛盾,盗人グーグル経由で有料のWSJ記事がタダで読めるのはなぜ(メディア・パブ)


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posted by 田中善一郎 at 10:46 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース
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